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-1章- 終わって、始まって

3話 これは…黒歴史ですね。。。

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(んん…私…寝てたのですかね。赤ちゃんの身体は不便ですね…)



体はうまく動かせないので、見えることろだけで判断するしかない

(ここは…子供部屋ですかね。)



自分が寝ているベビーベッドと、すぐ近くにあるベビーベッドで寝ているイリアを見てからふと周りの色がオレンジ色になっていることに気付く。





(どうやらこの世界にも、朝と夜があるみたいですね。ちゃんと向かうべきであった世界に飛んでいれば良いのですけど…)



赤ん坊ということで、体を動かすことがほとんどできず、退屈であった。



「あら、アリサちゃんは目が覚めたのね。それにしてもアリサちゃんはなかなか泣かない子ですね。…はっ!もしかして、どこか悪いのかもしれません!」





(これは危ないですね…)

「あうう…おぎゃああ!」





「あらあら…よしよし。やっぱ、元気な子でしたね。良かったです。ママは嬉しいですよー!」





(ふぅ、よかったです。)





「シンシア!?どうした!?まさか盗賊か!?」





「いえいえ、ケイニスさん。盗賊なんて、最近この辺りでは出て無いじゃないですか。アリサちゃんが目を覚ましたのですよ。」



「そうだったのか、よかったよかった。しかし、いつなんどき盗賊が出るか分からないから用心は大事だぞ?何かあったらパパに言うのだぞー。」

(お父さんは心配性なのですかね。)





「おぎゃああ!おぎゃああ!」



「あらあら、イリアちゃんも起きちゃいましたかぁ。あらあら、おしめ汚れちゃってますね。交換だけしましょうね。」

少しワタワタしながら変えてるのを見て…



(あれ…これ、私も出さないといけないのですかね…おトイレにも行けないですし…)



そう思い、恥ずかしい思いをしつつ、生理現象には抗えず…



「あらあら、アリサちゃんもおしめ変えちゃいましょうね。」

精神年齢的に40超えてるアリサにとっては黒歴史確定である。





「それじゃ、おっぱい飲みましょうねー」

となんとかおしめを変えてから、イリアを抱っこするお母さんを見て、イリア、私、お母さんの順にそっと銀髪の頭を撫でて、お父さんは「それじゃ、仕事にもどるね」と言って部屋を出て行った。





どうやら、私とイリヤの髪は、お母さんのシンシア似で二人とも銀髪で、それを知ったときのお父さんのケイニスの顔と言ったら、嬉しいような、寂しいような、複雑な顔をしていた。





それから二人とも母乳を貰ってきちんとげっぷをさせて貰って、「それじゃ、ママはパパのご飯作って来るね?」と言って、部屋から出て行った。





(そうでした!シャルドネに連絡をとらないと、あの子が心配…はしないですね。でも一応連絡だけは入れておかないとダメですね。”コネクト”)





遠くの人と連絡をとる魔法、”コネクト”を発動してシャルドネに連絡をとろうとしたアリサであったが、魔法が全く発動した感覚も無く、いやな予感がして

(”オープンステータス”)

と頭の中で唱えると自分のステータスが表示された。





名前 アリサ・フォン・アカナム

年齢 0歳

職業 領主家の娘

HP  10

魔力 10



(…え?能力とかも初期化されてるのですか…これはどうにかしないといけないですね。)

HPは成長するにつれてある程度は上がるが、魔力は使わないと全く上がらないのであるため、ひたすら魔法を使わないと成長しないのである。



もちろん、HPも鍛えれば鍛えるほど伸びる。



(とりあえず、今は魔力量を鍛えるのが先決ですね。攻撃系は危ないですし、そもそもこの魔力量では使えませんね。”ブリーズ”)

と頭の中で唱えると、アリサの周りにそよ風がふんわりと吹いた。





”ブリーズ”はその名の通りほんの弱い風を吹かせる程度の魔法で、消費する魔力も少なく、発生する風もとても弱いため、今のアリサにはちょうどいい魔法であった。

そして、魔法を使った直後に、アリサの視界がぐにゃりと歪んでいった…

(あれ…これは、魔力欠乏症ですかね…久しぶりに感じました。)





そう、魔力がほとんど無くなってしまった時には少しのめまいと、体に気だるさが出てくる状態を魔力欠乏症と言うのである。





(魔力欠乏症ってこんなにつらいものでしたっけ。でも、赤ちゃんのうちに出来ることなんて何も無いですから、今のうちに使い切って回復して、使い切るの繰り返しですかね。)





この日からアリサの日常は、起きて、おしめを変えて貰って、母乳を貰って、魔力欠乏症になるまで魔力を使って寝て、起きての繰り返しになったのであった。
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