魔法の姫と世紀末世界のストレンジャー

ウィル・テネブリス

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魔法の姫とファンタジー世界暮らしの余所者たち

おやすみ前の顔合わせ(まだ見ぬ魔獣とも♡)

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 帰還したやつらを「明日は休み」で出迎えたのは適切だったと思う。

 というのも休みを告げられてようやくみんなの肩の力が抜けたからだ。
 考えてみればずっと気を張ってたし、都市と違って敵を身近に感じる環境だ。
 襲撃の件やら新種の白き民やらなんてけっこうなストレスになるだろう。
 そんな状況下で調査が捗ってた分、いい加減疲れが目に見えてきた。

 もっといえばヌイスが『休まず働こうとする日本人的な悪癖だね』と語る通りだ。
 順調に縄張りを広げてるものの、誰一人として「休みたい」なんて口にしちゃいないし休み時も知らない。

 スパタ爺さんはそんな俺たちを見かねて休むように広めてくれたんだろう。
 効果は絶大だ。誰もが「やっとか」みたいに緊張が解けてすっかりそういう空気だ。 
 それに明日からいろいろと絡みにくる事情も含めると、合理的な判断なのかもしれない。

 まあ、そんなことはどうだっていい。 

「ヌイス、あんなもん実装した馬鹿はどいつだ」

 広場のすみっこで仮眠覚めしたばかりのヌイスに詰め寄った。
 一区切りついた冒険者たちが憩う様子をお茶請けに茶をたしなんでるようだ。
 なので木の化け物の残骸を、どん、とテーブルに添えて圧をかけると。

「――実はMGOってね、AIたちがノルテレイヤを主導に一から部品を作って組み立てたような作品なんだ。まあそういうことだから、開発にあたって余計なしがらみはなかったし、費用も全くかからなかったし、発案してから1年と少しで完成したっていう先鋭的なゲームなのさ。じゃあ登場する敵キャラのデザインから設定まで私たちが手掛けたことになるよね?」

 ストレートの一杯をすすりながらゆったり語り始めた。
 違う、俺が知りたいのは自走して襲いかかる木の生みの親だ。

「そりゃすごいな、AIがさくっと作ってくれたのか。ああもちろんあの木の化け物もな」
「もちろん最終的な決定権は君にあったけどね?」
「俺にか」
「うん。アーツから素材アイテムの仔細まで全て君の目に通してから、更にみんなで吟味して話し合って、それでようやくオーケーが出たらって感じだったね。最後は段々面倒くさくなって、流れ作業になってたけど」
「じゃあ少なくとも俺はこんなやつの生みの親じゃないんだな?」
「この出来の悪い薪みたいなのを見るに、無事に本物のグラフティングパペットと邂逅したようだね。どうだった?」
「最高に皮肉な出会いだった――おい、森の中でホラー風味に襲ってくるような設定を作ったのはどいつだ? エルドリーチか? それともお前? まさかノルテレイヤじゃないよな?」
「私だったらもうちょっと趣味のいいものを提示すると思うよ。しいて言うならニャルのやつだろうね」
「ってことは、あいつが悪趣味なもんぶち込んだって言いたいのか」
「あのねえ、MGOはもうちょっとこうメルヘン寄りな予定だったのさ。けれどもあいつがダークファンタジー味のある設定をちまちま仕込んで、気が付いたら闇の深さもマシマシだよ。まあ、それがかえってゲームの人気に拍車をかけたんだから皮肉だよね」

 落ち着き払ったヌイスの説明で真実にたどり着けた、ニャルと俺だってさ。
 オーケーもう十分だ、つまり相変わらず皮肉な運命に弄ばれてるらしい。

「そうかそうか。で、恐竜一歩手前のやつと元気に歩く植物の次はなんだ? 角生えたウサギ? それともひとりでに歩くキノコ?」
「既にどっちもいるねえ。そういえばだけど、猫にまつわる特別な日には限定出現モンスターとして目からレーザーを投射する猫がいたものだよ」
「ああそうかよ、じゃあ口からプラズマ弾吐き出す犬がいたっておかしくないな。んなもん許可するな俺の馬鹿野郎」
「言っておくけど私だってこっちで暮らして間もなく、冒険者の子たちに付き合って実物を目にした時はその迫力に目を疑ったものさ」
「話のオチはこうだな、文句は全部ニャルに言え。よく分かったよどうもありがとう、こいつはお礼だ」
「お互いあいつに引っ掻き回されてるということさ。いや君、こんなところにあれの木片を飾らないでおくれよ」

 また一つ真相を解き明かしたので、お礼に死んだグラフティングパペットを添えておいた。
 すると、食堂近くの席を陣取るオーガとご老人のサイズ差が目に触れた。

「もしやご老人、かの名高い魔術師のライオス殿か?」
「おや、知っとったのか。そういうそっちはなんというかこう、ローゼンベルガー家のものとしか思えん貫禄だな?」
「うむ、まさしく俺様はローゼンベルガー家のノルベルトだ。本に描かれていた通りのご老人でもしやと思ったぞ、こうしてお会いできて実に光栄だ!」
「あの本を通じてわしを存じてるとはな、お前さんがどんだけ読みふけったかよーく分かるわ。いかにもわしはライオスさ、よもやあの名家のご子息が冒険者の首飾りぶら下げとるとはのう……」
「昔からこのようなものに興味があったものでな、また一つ俺様の憧れが満たされたわけだ――まあ、今は少々訳ありの身ではあるが……」
「なあに、ローゼンベルガー家のこじれ具合はなんとなく分かっとる。余計なおせっかいなど挟む気はない、今は後ろめたさなど忘れてその訳とやらの糧にしてしまえ」
「ご理解とご配慮に感謝する、ライオス殿。貴方のいうように悔いなき道を歩むつもりだ」

 やり取りを聞くに、ライオス爺ちゃんはやっぱりただものじゃなさそうだ。
 ノルベルトの熱心な眼差しがその答えだ。今は横から茶化さないでおこう。
 そうやって続きを見守ってると――

「それでよい、お前さん確かまだ十七のわらべだろうに。しかしまあ、わしが名高い魔術師か……はてそこまで世に出しゃばった覚えはないんだがのう」
「なにをいう、歯車仕掛けの都市の防衛戦を綴った【魔獣狩りの夜】にも貴方の名がたびたび出ていたではないか? 第四章の前半には魔獣の群れめがけて空から星を落としたと記述されていたぞ」
「そうそう、魔獣が大量に押し寄せた時に後方支援に駆り出されたのさ。よく覚えとったなおい」
「何度も何度も読み直したからな! おおそうだ、たしかフランメリアにおいて『徳を積む』という言葉はその際に生まれたとあったな?」
「徳を積むか。ありゃあ実をいうと、もう敵いっぱいでこっちもボロボロで当時の指揮官がヤケクソ気味にいった適当な冗談みたいなもんよ」
「なんと! 民のためにやつらで徳を積め、とあったのだが……違うのか?」
「いや全然、数え切れんほどの敵に「善行積み放題だな」って苦し紛れに放った程度の皮肉さ。しかもそいつを馬鹿正直に信じて戦うやつばっかでなあ、あれでこの国の気質が決まってしまうとは思わなんだ」
「なんだかフランメリアらしい実情だったのだな! そういえば図書館が焼け落ちた際、ライオス殿が深く打ちひしがれたと記されていたが……」
「あーあれな。市民連れて逃げる時、中央区にある図書館に火ついちまってわしらの血と汗の結晶ともいえる魔獣に関する資料が一晩にして灰と化したんだからもうショックよ」
「俺様もあの一文を読み直すたびになんともったいないと思ったことよ。たしか騒動に乗じた他国の間者が火をつけたとあったな」
「そうそう、おかげで市民と資料どっち取るかっつー究極の選択肢を迫られたものさ。ちなみにわし図書館って即答して公衆の面前でぶん殴られた」
「フハハ、本に書いてあった一文の通りだったのだな!」 
「あの斧男め、よくもわしのことボロクソ書いてくれたな。にしても新種の白き民とやらが出たそうだが、見るに余裕の相手だったようだな? ずいぶんでっかいもん持ち帰りおって」
「うむ、ちょうどひと狩りしてきたのだ。良き戦いだったぞ」
「この人生もデカいのを狩る知人に恵まれたものだ。オーガの子よ、冒険者としてやっていくつもりならその人柄を宝のように大切にするんだぞ」

 よく喋る二人のやり取りは満足げに終わったみたいだ。
 爽やかなオーガは俺の視線に気づいたそうで、その足でこっちにきた。

「どうだイチ、俺様の積んだ徳は大きいだろう?」

 ただし攻撃力強めの笑顔はそ馬鹿でかい兜をずっしり突き出してきた。
 オーガの半分を覆って、丸めたニクがすっぽり入るほどだ。
 よりいうなら腕が四本あって、何メートルもデカい気の毒のやつが落とした戦利品だ。

「ワオ、今日も特大サイズだな」
「ふっ、たまたまでかいのと出くわしてしまったのだ。ならば皆で良き狩りをししたまでよ――して、そちらはどうだった?」
「今の俺見て分からないか? ひどい目にあった」
「むーん? お前がそれほど苦戦するような敵と相まみえたのか? それは興味深いではないか」
「性格上合わないのとマッチングしただけだ。そいつの持ち主の名前はコロッサス? どっかに名前書いてない?」

 俺の苦労はさておき「お前ほんとに仕留めたのか」とクソデカ兜に視線を送った。
 おそらく不幸な目にあった持ち主に変わって、オーガの両手でぎらっと太陽光を跳ね返してる。

「フハハ、このとおり快く兜をくれたぞ」
「ピカピカの新品を快くか、さぞいいやつだな」
「気前のよいやつだったぞ、何せタダでくれたのだからな?」
「円満な取引だったみたいだな。こっちは恐竜みたいなトカゲが空から降ってきて、生きてる木が剣振り回して走ってきた。最後はクマの出来損ないがおこぼれあずかりに乱入するにぎやかなクソパーティーだ」
「そちらも中々にぎやかではないか。俺様もユルズの森とやらに興味が湧いてしまったぞ」
「不運にもあそこに行けとか言われる日が来たら絶対、何があっても、お前連れてく」
「ほう、俺様が必要とされる戦場とな? それは胸躍るではないか」
「奇遇だな、こっちも心臓がいつもの二倍躍ってた。悪い方にな」

 この強いスマイルの持ち主がユルズの森にいればどんだけ気楽だったのやら。
 ところが、頼もしいあいつの重たげな足取りはなぜか集会所へとまっすぐだ。

「おい、ところでそのでっかい兜どうするつもりだ」
「せっかくこうも奇麗なのだ、ここの集会所の彩りに一役買ってくれそうではないか?」

 誇らしげな表情はここのインテリアに一役買ってくれそうな調子である。
 気づけば後ろでお疲れなシナダ先輩が「勝手にどうぞ」と遠巻きな視線だ。
 向こうも向こうでご苦労だったらしい。俺からも勝手にどうぞ、だ。

「ちょうど入ってすぐ横が空いてるぞ。後で飾り台でも作ろうか?」
「うむ、この兜はシナダたちとの良き戦いが籠った思い出そのものよ。ここで末永く物語ってもらおうか」
「後ろでそいつらが疲れた顔してるぞ。なにやってきたんだお前」

 コロッサスの馬鹿でかい兜はずんずん運ばれてしまった。これでアサイラムの象徴がまた一つ増えたな。
 さぞ大暴れしただろう後輩を得たチーム・シナダがすぐ目につくと。

「イチ、お前はなんてやつをダチにして……いやもういいお前はそういう生き物だ。コロッサスに迷わず一直線なあいつの勢いに引きずられて、みんなで撃破しちまったよ……」

 テーブルにだらりと突っ伏すシナダ先輩が今日の六割を物語ってた。
 付き合う羽目になったネコマタな彼女も、キリガヤとサイトウも激戦を経たようにぐったり緊張が解けてる。

「キュウコさん、大体察した上で聞くけどどうしたんだシナダ先輩」
「みんなでノルベルト君にぶんぶん振り回されてた! すごかったよねー、ヒロイン目線でもパワフルすぎるよあの子……」
「騒ぎを聞きつけたソルジャーどもの相手もしてやって、今日だけでえらい数倒しちまったぜ……。欲しかった槍のアーツが手にはいったのが救いだ」
「イチ、やはりノルベルト師匠はすごいぞ。一瞬で足を奪って武器を落として思うがままだ」
「遭遇一番、なんのためらいもなくあいつの戦闘力を奪いましたからね。あの判断の速さは見た目通り人間離れしてるとしか……」
「相変わらずだなあいつ。そういうやつだからどうか末永く仲良くしてやってくれ」
「ねえイチ君、あれはもはやストーン級が誇っていい強さじゃないよ……」
「お前は情報量の高いダチしかいないのかこの野郎。……はぁ、ここんところ驚きっぱなし戦いっぱなしだったけど、やっと休めるんだな俺たち」
「俺はまだまだいけるぞシナダ先輩! にしてもだ、なんだかそっちはひどく気疲れしてるな。大丈夫なのか?」
「イチさんはイチさんでいったい何があったんですか……?」
「ユルズの森はホラースポットだったよ。もし行きたいとかいう特殊な性癖持ちがいたら聖水持ってくようにいっとけ」

 また一つ経験と徳を積んだチーム・シナダが総意で『聖水?』と謎めくところから抜けた。
 広場はヒロインの多さが災いして無駄に華やかだけど、紛れた桃色髪の相棒を俺は見逃さない。

「いちクン、オリスちゃんたちから聞いたよ。ユルズの森は魔獣でいっぱいだったとか」
「ああ、収穫はあったけどそれ以上にヤバい場所だった。ミセリコルディアは全員無事だな、こっちは一人除いて無傷だ」
「よ、よっぽど怖い目にあったみたいだね……?」
「分かるか、心に傷ができた」
「掲示板の地図に『ホラースポット』とか書いてたから、絶対何かあったんだなって思ったよ」
「それか『ぬめぬめの森』だ」
「ぬめぬめ……!?」
「やたらとぬめぬめしてるんだよあの森――なあ、俺の背後になんかいない? セイクリッドウェーブ撃てる?」
「呪われてはないと思うよ……? いちクン、ちょっと落ち着こう? よしよし」

 ミコ率いるヒロイン軍団は――湖から危なげなく帰ってきた空気だ。
 相棒に頭をやわっこく撫でられつつ一人一人数えると、チアルたちも九尾院四人も「ただ疲れた」程度にゆるく集ってる。

「みんな元気なこった。で、ベオクル湖はどうだった?」
「見ての通り……かな? みんな無事だし、ちゃんと白き民も全部倒してきたんだけど」
「私たちの方は滞りなく壊滅したぞ。少しばかり想定外の事態が混ざったがな……」
「ヒロイン勢ぞろいだから勝ち確に決まってるじゃーん……いやうん、エルの言うとおりちょっと驚かされたけどね?」
「あっちの白き民はセアリさんたちが見事に粉砕してやりました、数の暴力というやつです。これでベオクル湖は制圧したんですが……」
「楽勝だった割にはなんか後味ぼんやりだな、どしたん?」

 そんな華やかさを代表して、エルを前にしたミセリコルディア四名は涼しい顔に微妙なものが混じってた。
 話の続きに何かあった系のオチがこびりつく振る舞いだ、どうしたお前ら。

「はいこれっ! がんばったいちくんへのお土産だよっ!」

 ミコが「えっと」と続けた途端だった、キャロルがとことこ差し入れにきた。
 人懐っこいロリ顔よりも一つ大きな――赤褐色のだ。
 赤い殻をお堅くまとったシーフードが、二つに先割れした丸っこい造形を「土産です」と言い張ってる。 

「うわあ、おっきなカニだぁ……じゃねえよ、なんだこの徳用サイズのハサミ」
「カニじゃないよ、クライオロブスターだよ!」
「ロブ……なんだって?」

 それを持ち上げるドヤ顔成分入りの表情は「ふふん」ともう一段階得意げで。

「これはね、クライオロブスターっていうモンスターの爪だよ。MGOに出てくる敵なんだけど湖にいっぱいいたの、襲い掛かってきたからやっつけちゃった!」

 時間の立ったシーフードくさい塊をずい、と突き出してきた。
 丸い爪先からつーっとマナ色の青線が走ってる――オーケー、さてはカタギの生物じゃないな貴様。

「お前らのお土産から察するにこういうことか? 向こうはこんなでっかい爪持った……ザリガニの名産地でしたと?」
「ザリガニじゃないよ、ロブスターだよ!」
「キャロルねーちゃんが湖に近づいたらうじゃうじゃ出てきたんだ、あそこってあいつらの住処だったみたい!」
「クライオロブスターとははさみの間から氷の魔法を放ってくる敵でございます。まさかこのようなものも生息しているとは、思いもよりませんでした……」
「要は魔法を使うおっきいエビですね。この爪見たら分かると思うんですけど、あにさまほどの背はあります。おかげで白き民どころじゃありませんでしたよ……」
「遠くから氷の魔法をびゅんびゅん撃ってくるし、近づくとすっごい勢いでパンチしてくるよ! あっ、スクショも撮影したから送るね!」

 キャロルたちはこんな食べがいのあるハサミから魔法をぶっ放すエビがいると語ってる。
 信じられないし信じたくないふざけた話だが、ぴこんと画像も送られた。
 ノルベルトの腕より太い四足をぐったり広げるザリガ……が確かにいた。
 そばで比較対象になったチアルよりも大きく、ぼこぼこした身体は目に見えて堅く、槍みたいなヒゲを二本伸ばした丸顔が死を晒してる。

「へー、今度はエビのお化けか……おいヌイス!!」
「なんだい、またおっかないものでも目にしたような呼び方だね――ってクライオロブスターの足じゃないか、実物は初めて見たよ」
「今度は氷撃ってくるエビだ! とうとう人類に反旗を翻しやがったのかこっちのシーフード!?」
「作中に忠実だったみたいだね。そうか、ベオクル湖とやらはこいつらの生息地だったのか」
「えっと、そうなんです。湖近くの集落を制圧したのはいいんですけど、どうもクライオロブスターが住み着いてる場所だったみたいで……」
「というか、たどり着いた頃には白き民たちがそいつらと戦っていてな。その隙に付け入って壊滅したんだが、安全になったとは言い切れんな……」
「なんか殻とか武器防具とか既にいっぱい転がってたし、あんまり仲良くないのかもねー? わらわら出てきたと思ったら氷魔法の弾幕飛んできて地獄絵図でした」
「原作に忠実すぎてセアリさんたちひどい目にあったんですけど!? 未開の地だからって過酷すぎませんかね!?」

 ミコたちとヌイスをごちゃ混ぜにすると、ベオクル湖はユルズの森に負けず劣らずにヤバかったらしい。

「木が襲い掛かってくるんだ、エビが俺たちに殺意を向けようがおかしくはねえが――くそっ、知れば知るほどやべえ場所じゃねえか。スパタ爺さんが俺たちに休めっていうのもしょうがねえ」
「驚き疲れちゃいましたね……今度は魔法撃ってくるエビか、すごいところに来ちゃったな俺たち」
「氷属性のエビ……植物はおろか魚介類まで命を狙ってくるとか、フランメリアの生態系が心配です」

 タケナカ先輩やホンダ、ハナコもおっかなそうに興味が立ってるようだ。
 エビ・モンスターの名残をがぱがぱいじってると、ちょうど氷魔法使いの後輩と重なった――

「イチ」
「なんだタケナカ先輩」
「そいつでハナコからかうなよ」
「まだ何もしてないだろ」
「今から何かするって顔じゃねえか」
「いや、氷属性っぽいしハナコにあげようかと」
「バレバレですよイチ先輩どうせ私に氷属性どうこうっていうんでしょう怒りますからね」
「魔獣の死骸で後輩からかおうとするなこの野郎」
「いちクンやめなさい。ごめんねハナコちゃん、この人悪気があってやってるんじゃなくって親しみを込めてるだけだから……」
「いえもうこの人の奇行には慣れてますので。私が出世したあかつきには覚悟しておいてくださいね」
「イチ先輩、ハナコいじるの好きですね」
「誠にごめんなさい」
「はぁ…………都市周辺がどんだけ平和だったのか身に染みるな、マジでどうなってんだこのギャップの差は」

 ハナコに「どうぞ」と爪を押し付けようとしたものの、周りに遮られたのであきらめた。

「おお、クライオロブスターの爪だな! あいつらこの地方に住み着いていたのか! ミコ、死骸はどうした? まさか持ち帰らなかったのか?」

 すると今度は人を襲うエビの爪に安定の大食いダークエルフがまっしぐらだ。

「んもーこいつすーぐ食欲に走る」
「お、大きすぎて無理でした……ってクラウディアさん、クライオロブスターを知ってるんですか?」
「なんてもったいない! エビの魔獣なんだぞ!?」
「エビのだって?」
「あれってこっちじゃ魔獣扱いされてたんだ……!?」

 しかもクラウディアによればこいつは魔獣、すなわち俺たちに害しかもたらさない厄介系の生き物らしい。
 そんな物欲しそうなよだれ混じりの近寄り方に「どうぞ」と引き渡すと。

「うむ、こいつはこれほどの図体のくせに繁殖力が強いし、目につく生き物は何でも食らって環境を乱す厄介者なんだ。だから魔物じゃなくて魔獣と定義されてるんだぞ」
「つまりでっかいザリガニか。俺の故郷でもなんかこう、そういうのが問題になってたな」
「ザリガニ……」
「ザリガニじゃない、ロブスターだぞ! 迷惑な生き物として名高いが、それを補うほどにうまいんだ」
「しかも食ったことあるのかよお前」
「あの……もしかしてそれ、食べるつもりですか?」
「こいつは部位によって味わいが違って、ハサミはカニの身みたいで甘くておいしいんだぞ。いらないならくれ」

 あいつは喜びいっぱいの後ろ姿で食堂へ駆けこんでしまった。
 近くで成り行きを静観してたクリューサも「なんだあれは」と言いたげだ。

「ウェイストランドには変異したカニのミュータントがいたが、こちらは魔法を放つエビか。ここのでたらめな環境が生み出したのか、それともこの世の創造主が薬物でトリップしていたのか、さてどちらだろうな」
「こっちにはちゃんと捕食側の生物もいるみたいだぞ。放置でいいのか、あいつマジで食うつもりだ」
「知るか。さっきからお前たちが持ち帰ったものに片っ端から食欲を見せてもうどうにもならん」
「ほんとに食べちゃうんだ……」
『どうしたんすかそのでっかいカニの爪。なんか見覚えあるっすねそれ』
『おーおーつまみ食いにはまだ早えーぞクラウディアの姉ちゃ――うおでっか!? なんだその爪!? ちょい待ち、撮影するから!』
『クライオロブスターの爪だ! 北の湖にいるらしいぞ! さっそく焼いて食べるぞ、おやつだ!』

 エビの魔獣の行きつく先はダークエルフの腹の中か、気の毒に。
 どうかこれ以上恐ろしいものが出ませんように。そう祈って他を当たった。



「みんな大変だったみたいだね……こっちもけっこうな目に会ったけどさ、うん」
「こっちは大冒険だったよ……よく生きて帰れたよね私たち」

 だらだらした冒険者たちに混じってると、目に見えて疲労困憊なチーム・ヤグチがいた。
 テーブルには戦利品らしい数々がつくろわない形で放り出されたままだ。

「ヤグチの方はどうだった? ってなんだこの、縞々なやつ」

 中でも、ひんやり佇む黄土色と黒色が混じった縞模様が気になった。
 力技でぎっちぎちになるまで折りたたまれた箱形の何かだ。
 横幅はオリスを詰め込めそうで、鱗の肌触りにところどころ傷がついてるような……。
 
「どうも噂に聞くクエイクサーペントだったみたいなんだよね。倒したらそのまま抜け殻になったから持ち帰ったんだけど」
「ああ、ミコが序盤の金稼ぎにいいとかいって――うわっまさか蛇の皮かこれ!?」

 つるつる撫でてるうちに判明した。ミコが話してたヘビの化け物だこれ!
 手元の亡骸をどこかに押し退けると、口ぶりが背の高いやつから始まって。

「南西の方はずっと荒地が続いててさ、登ってる途中で突然出てきたんだよね……その蛇のモンスター」
「周りに何にもないし、小休止挟んでもいいかなって油断してたら地面で擬態してたよ。突然岩が持ち上がったと思ったらおっきい蛇だよ? 私、ショックで死ぬかと思った……!」
「んで、とりまみんなで急いで採掘場まで進んだんスけど……今度はゴライアスに見つかって大変な目にあったッス、マジで」
「隠れる場所とかなかったしさ、あののっぽ見晴らし良さそうだもんね。あの時、うちらどれくらい逃げ回ってたんだろ」
「ていうか、もう逃げつつ戦う他ありませんでしたよね。ふもとにあった集落まで飛び込んで一匹ずつ始末です」
「最後はハルオ兄ちゃんの機転で風車ぶっ倒してコロッサスをぶっ潰したんだ! もうアドレナリン出し尽くして、気が抜けたら腰抜けすぎてしばらく動けなかったぜ……」
「あーうんよくわかった、俺たちより過酷な目にあったんだな。そっち行かなくてよかった」
「アサイラムが見えた時にさ、つい嬉しくて泣いちゃったよ」
「ヤグチが力なく泣き笑いしてて私もつられちゃったぜ……」
「お前たちが全員無事でよかったよ、マジで。ゆっくり休んでくれ」

 しまいに六人一組は修羅場から全力で這い出た体で力なく笑ってる。
 歩く木ごときで騒いでた誰かさんとはえらい違いだ。

「うむ、大変みたいじゃったがよう戻ってきたなヤグチの。んで、向こうはもう安全なのかの?」

 が、スパタ爺さんはヤグチたちの苦労よりも採掘場の方が気がかりみたいだ。
 割り込んできた髭面は隠し切れないほど興味津々なご様子である。

「えっと、全部倒したと思います。建物はコロッサスが暴れたせいでぐちゃぐちゃになっちゃいました」
「奥に採掘場の入り口がきれいな状態で残ってたよね。流石に真っ暗で入れなかったけど」
「うむ、実によし。あんなデカいのぶっ倒して生きて帰ってきただけでも大した知らせじゃよ。採掘場っつーのはろくな装備もなしに気軽に立ち寄っていい場所じゃないしの、良い判断じゃお前さんら」
「……あ、そういや変わったもん落ちてたんで拾ってきたッス。これ、水晶みたいのなんスけど」

 報告に食いつくような感心具合だったものの、そこにチャラ……ハルオが何かを割り込ませた。
 戦利品に混じっていたこぶし大ほどの紫の鈍い輝きだ。
 ごつごつ丸くて、小豆みたいな濁った色合いからかすかに向こうが見渡せる。

「こいつぁ……ヅキアバ石じゃないの。おいおい、こっちの山々にも眠っとったのか?」
「スパタさん、ヅキアバ石ってなんスか? 変わった名前ッスね」
「えらく硬くて比重もアホみてーに重たい金属よ。まるで水晶みたいじゃけどれっきとした金属じゃからな」
「これ金属ッスか……そんな感触じゃねーのに、不思議ッスね」
「けれどもこいつは融点も金ほどで、熱にさほど強くないっつー弱点があるんじゃよ。加工しやすいのをいいことにもっぱら刃物研ぐのに使っとったが……なるほどこりゃいいタイミングじゃのう」

 ヅキアバ、とかいう変な響きがあるほどに興味がそそられてるみたいだ。
 スパタ爺さんはそこから何を見出したのかにいっと笑って。

「でかしたぞヤグチの。お爺ちゃんから小遣いあげちゃうぞ、お前さんらのパーティで分けるとよい」
「あ、ありがとうござ……え゛っこんなに」
「ええ……いきなり40000メルタ貰っちゃった……」
「あれ、うちらなんかすごいモン見つけちゃった系?」
「かもねー、あの喜んだ顔絶対そうに違いないっしょ」
「っていうかスパタおじいちゃん、足取りが嬉しそうですよ」
「俺たち何見つけちまったんだ……!?」

 惜しげもなく紙幣をけしかけて、ずやずや興奮した様子で行ってしまった。
 ヤグチが「どうしよう」という顔だ。仲良く分けろよと目で伝えて後にした。

「お疲れ様です、イチさん。今日の皆様は一段とお疲れのご様子ですけれども、誰一人も欠けることなく息災で戻ってきて何よりです」

 今度はお淑やかなおばちゃんが駆けつけてきた。
 帰還した冒険者を一目確かめてほっとした様子のムツミさんだ。

「俺も。木の化け物のせいで気分がクソだったけど、みんな無事ならもうそれでいいって感じだ」
「ええ、いろいろと大変なのがよく伝わっておりますが、けっして無理はなさらないようにしてくださいね」
「もちろんだ、食べさせがのあるやつが減ったらそっちも寂しいだろうからな」
「ふふ、ここではいくらでも腕を振るえますからね。本日のご夕食は皆様からの要望で定食形式となっております、後程メニューを外にお出ししますね?」
「よっしゃ定食だ。唐揚げ定食ある?」
「ええ、もちろんありますよ。抜かりありません」
「じゃあ予約しておくか、俺が見えたら唐揚げ定食で。ところでその、お盆に乗ってるやつは?」

 今日の晩飯に関する嬉しいお知らせにきたみたいだけど、本命はそうでもなさそうだ。
 お盆に霜がこびりつく瓶が二本、氷入りのコップを添えられてる様子が特に気になる。
 するとムツミさんは俺の疑問を待ってたように微笑んで。

「こちらはジンジャーエールの原液と、ミナミさんたちが見つけてくれた炭酸水です」
「ジンジャーエールだって?」
「イチさんの好物と聞いて作ってみました。よろしければどうぞ、出来立てをご賞味ください」

 えらく丁重にそういって、テーブルに移すなりさっそく調合が始まった。
 べっこう色のとろっとした液体がコップに注がれて、間を入れずに冷たそうな炭酸水がしゅわしゅわ泡を立てた。
 手際のよさがマドラーでかき混ぜるとしょうがの香りが立った――ジンジャーエールだ。

「いつのまにか手作りのジンジャーエールを用意してくれてたなんてびっくりだな、いいのか?」

 そう、自家製のジンジャーエールを作ってもらったなんて驚くよりも早く。
 愛嬌のある笑顔は是非飲んでほしそうだ、ぐいっと一口含んだ。

「これは……いつもよりスパイシおっふ……」

 普段口にしてるものよりもきりっとした甘酸っぱさと辛さが広まって、思わずむせた。
 向こうの心遣いがさっと気にかけてくれるも手で「うまい」と必死に表した。

「大丈夫ですか? スパイスが強すぎたかしら……?」
「いや、うまい、いつも飲んでるやつよりなんていうか……高級感があるな、新鮮だ。刺激的で気に入った」

 コップを掲げてまで強調すると安心と嬉しさ混じりの様子だ。実際、ほんとにうまい。

「お口に合ったようで良かったです。おかわりもいっぱいありますからね?」
「アサイラムに来て良かった理由また一つ追加だ。で、どうやって作ったんだ?」
「ジンジャーエールの原液は材料さえあれば簡単に作れますよ。お砂糖から作ったカラメルに、しょうがやスパイス、かんきつ類のしぼり汁を加えただけです」
「それでこのがっつりくる辛さか。お手軽な割にはうまいなこれ」
「そこに砦の地下でとれた炭酸水を注ぎました。専用の容器でしっかりと保存しておきましたから、気もほとんど抜けず新鮮なままですよ」
「……こんなにぴりっとくるやつが湧いてるのか、あそこ」
「フランメリアは不思議ですね、天然の炭酸水なんて贅沢なものが湧いて出てくるんですもの。沢山持ち帰っていただいたので、今日のご夕食にお出しする揚げ物に少し気が抜けたものを使おうかと思います」
「ミナミさんが見つけた炭酸水がさっそく生かされてるみたいだな――ん? 揚げ物に炭酸水? どゆこと?」
「揚げ物の衣に使うと炭酸の成分でさくさくと仕上がって、軽やかな味になるんですよ」

 ムツミさんはこの複雑さが絡まるアサイラムを楽しんでるみたいだ。
 ……そういえば、ここに運び込まれたストライクリザードの尻尾数本はどうなったんだろう。

「唐揚げ定食が楽しみだな。ところでそっちになんていうかその、トカゲの変死体がいかなかった?」
「ええ、クラウディアさんが何本かこちらに。ストライクリザード……なんていう魔獣の尻尾でしたね、少し驚きましたけれども、断面が白身魚のようで鮮やかでした」
「俺たちが回収したの全部持ってったのかあいつ。ごめんムツミさん、うちの食いしん坊が変なもん持ち込んで……」
「いいえ、むしろなんだか胸が躍りますもの。ファンタジーな世界の生き物の食材が手に入るなんて、料理人として好奇心がそそられるじゃないですか」
「ええ……」

 心配した矢先にあったのは探求心溢れる笑みだ。
 マジであの未練たらしく現世に残った尻尾を美味しくするつもりだ、そんな顔である。

「クラウディアさんが『フライにするとおいしいぞ』とおっしゃっていましたので、下ごしらえが済んだら天ぷらにでもしてみようかと」
「トカゲの化け物が天ぷらかよ」
「最初は驚きましたけども、塩を振ってしばらくすると皮が剥がれやすくなって、中から上等な白身が出てくるんです。一晩寝かせて身が締まったものがよいとされるので、明日の昼食に――」
「オーケー分かった、どうか調理中に蘇らないように祈っとこう。良かったらみんなにもジンジャーエールをご馳走してやってくれ、特にヤグチたち」
「もちろんです、皆様のために軽い間食もご用意しておきましたよ」
「料理ギルドの人達には助けられてるよ、ありがとう。明日はいろいろ来るけど何かあったら遠慮なくいってくれ」

 別れ際におかわりをついでもらった。
 いつもと違ってやたらとうまいジンジャーエールを含んでどこかへゆくと。

「ふっ、やはり一仕事の後は冷たいものがあってこそよ」

 と、いつのまにやらドクターソーダの瓶を手にしたノルベルトが追ってきた。

「こうしてソフトドリンクを飲める暇があるならここも安泰だな」
「俺様には目に見えて余裕を持ち始めたのが分かるぞ。スティングみたいにな」
「スティングみたいにか――あの時みたいにアホほど攻め込んでこないことを願って乾杯」
「フハハ、その時はまた英雄になるがよい。良き未来に向けて乾杯だ」
「じゃあお前も巻き添えにしてやるからな」

 こいつの無茶ぶりにグラスと瓶で乾杯した。
 未開の地を走破し、白き民をぶちのめし、魔獣を狩るようになった俺たちはきっと強くなってるんだろう。
 その証拠に明日には外からあれこれ干渉しにくるんだ。冒険者の成長と、ここのまだ見ぬ発展を手前勝手に期待して。
 そうやってぴりっと辛い味をぐいぐい飲んでると。

『…………おいハツユキ。ここが戦力を欲していると聞いて駆け付けたのだが、なんなのだこの光景は。未開の地という割に近代化しているというか、割と余裕というか、私はさっきからいったい何を見せられているんだ』
『我々のイメージからだいぶずれちゃってますねー。あっ、あそこに見えるはパン屋のおにーさん!』

 ステーションからコートと軍帽つきの黒髪ぱっつんなロリ・アラクネが現れた。
 ちっこいダークエルフを従えて、人外ロリをぞろぞろ引率する姿には覚えがある。
 クラン『駆逐隊』の面々とそれを束ねるシディアン軍曹だ、お久しぶり。

「あ、どうも軍曹。ようこそアサイラムへ」
「む? イチよ、そこに見える麗しきアラクネの女子はお前の知り合いか?」
「まさに知り合いだ。もしかしてだけど、目の前にずらっと並んでらっしゃるのはここにくる予定の増援ってやつ?」
「いや、ようこそではなくてな? 確かに我々が貴官のいう増援だ、しかし思っていたものとだいぶかけ離れているんだが……」
「何想像してたんだ一体」
「噂では白き民が四方から押し寄せ、魔獣に囲まれた過酷な土地という話だったぞ。毎日のように何かと交戦していて、死人も出たなどと耳に挟んだほどだ」
「そこで私たち『駆逐隊』が誘われて、こうして赴いたってわけですねっ! でもシディアン隊長、なんか思ったよりずっと平和そうですよ……みんなだらだらしてますし」

 軍曹とお供エルフから知るに、彼女たちは知らぬ場所で勝手にバージョンアップした噂に引っ張られたみたいだ。
 おかげで準備万端でやってきたロリロリしい十人ほどは呆気に取られてる。

「なんか話に尾ひれつきまくってない? あいつらが攻め込んできたのは一回きりだし、殉職したやつもいないし、余裕できたから明日はお休みだ。合ってるのは人手が欲しいっていう点ぐらいだな」
「いったい何がどうなってこの様相があんな風に捻じ曲げられるか理解できんぞ。まあ、貴官らが私の思った以上に深刻な事態に放り込まれていないというのであればそれでいいんだが」
『おいお前らー、ムツミさんがなんか食いたい定食あったらどうぞだってよ。もしあるなら二種類までだからどうか民主的に話し合ってくれ』
「それから三食うまい飯が出てくる、今日は定食スタイル」
「ええ……」
『念願の【アサルトジャンプ】のアーカイブ手に入ったのでさっそく覚えますよバリバリムシャァ!』
『こらっセアリ! いきなりアーツアーカイブ食べないのはしたないでしょ!』
『またアーツアーカイブかじってる……!? ダメだよセアリさん!? めっ!』
『またか!? ストレス解消になるからという理由で食らって覚えるな馬鹿者!?』
「あとなんかアーツアーカイブ丸かじりしてるやつもいる」
「ええ…………」
「宿舎は南西側にある方を使ってくれ、鍵は部屋の中にあるから。ごゆっくり」

 ミセリコルディアの仲睦まじさまで紹介すると軍曹は戸惑い限界だ。
 「ちゃんと説明しろ馬鹿野郎」というタケナカ先輩の視線を感じたので、とりあえず宿舎まで案内することにした。

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