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剣と魔法の世界のストレンジャー
白き民悲劇的ビフォーアフター
しおりを挟む(もしかしたらお前の苦手なやつかもな。お化けみてーだろ?)
『白き民』の営みを観察してると、タカアキの声がこっそりとした。
(ああ、夢に出て来そうなやつリストにまた一つ追加だ)
(俺も初めて見た時は悪い夢でも見てるのかって思ったぜ、あれが白き民だ)
(初めてお会いした時はどんな印象だったんだ?)
(転移してきた廃墟に目ぼしいもんないか探しに来たらこいつら住み着いてやがったんだよ。散弾銃で頭吹っ飛ばしたけどな)
(初対面相手に無遠慮に散弾お見舞いするお前もお前だな)
(暗がりから真っ白のっぺらぼうが襲ってきたらそれしかねえだろ?)
まったくその通りだ、顔のない白塗りの身体がヒトらしくしている。
手にした槍にはテュマーを殺すほどの明確な殺意もあるし、今から仲良くできる余地もないだろう。
「Porti-Bona」
その中で妙に物持ちの良いやつが指示を飛ばしてるように見えた。
身体の要所を鎧で守って、腰に鞘付きのベルトを巻いた白き民だ。
取り回しのいい剣と顔面ほどを守れる小さな盾を持っており、使い込まれたそれがだいぶ様になっていた。
「Mi-Port」
「Komprenite」
しかし果たしてそいつらに感情はあるのやら、二人が死体を淡々と運ぶ。
何の間も置かずに両腕をずるずる引きずる姿はテュマーより機械的だ。
見届けた結果、きびきびと「あそび」のない作法でその場を片付けたらしい。
装備のいいやつも広い通路の奥へと消えていった――あれが白き民か。
「キャプテンさんがいましたね……。ということはですよ? ここに白いのがめっちゃいらっしゃるわけになるんですけども……」
こそこそする必要も遠のいたところで退くとセアリが嫌そうにしてた。
キャプテンの意味はともかくあの白いのがもっといると表現してる。
「要は敵のお偉いさんと下っ端がいるってことだな?」
散弾銃を握ったまま「キャプテン」について尋ねると。
「えっと……白き民には役割を持たされた個体がいるの。今のは『キャプテン』っていう一団を指揮する役目があって、だいたい数十人ぐらいの仲間を連れてるんだけど……」
「あのように他と比べて装備を良くして区別化されていただろう? 他のやつらに指示を出しているのがその証拠だ。二人の言うようにここには奴に従う兵が数十といるわけだな」
ミコとエルがよろこばしくない調子で応じてくれた。
あんなのでも組織的に活動してるのは関心してやるが、それが敵として待ち構えてるなんて嫌な話だ。
「ナノマシンゾンビの次は白いお化けの兵隊か。そんなのがあんな風に好き放題やってるなんて初耳だぞ」
「わたしたちが転移する前からいたらしいんだよね……。意思疎通もできないし、こっちを見たらすぐ襲ってくるし、フランメリアの人達はあんなのとずっと戦ってたみたいなの」
「だがこの頃は更に妙でな、近頃は白き民を見かけるようになったという報告が相次いでいるんだ。おかげで仕事には困っていないんだが、こんな風にクラングル近郊でもたまに現れるようでな……」
「……ん、また来る」
そこでニクが反応、俺たちは息を殺してまた様子を伺った。
そーっと陰から覗けば、通路途中の扉がぎこちなく開き。
「Bazigu-ci-tie、Bona」
感情の籠ってない言葉遣いで誰かが出てきた――皮鎧を着た白いやつだ。
背中には矢筒と短い弓があった。鈍く潰れた声を漏らしてやってくる。
まずいな、見回りに来てる感じだ。急いで「下がれ」と引いた。
(今のは『アーチャー』っていう弓持ちだ。他にも杖持って魔法使う『メイジ』とかいるぜ)
(役割きめられて偉いねお前らって褒めてやりたい気分だ)
はっきりと伝わってくる足音にタカアキの散弾銃が持ち上がった。
間違いなく接敵寸前だ。「やりますか?」とセアリの腕が前に出るも。
「ニク、援護頼んだ」
「ん、了解ご主人」
踏み出しかけたやつに散弾銃を預けて――背中のマチェーテを抜いた。
ニクがじゃきっと槍を展開するのと同じだ。直後に向こうがぴたっと止まるが。
「よお、ここがお前らの新居か? 引っ越し祝いにしにきたぞ」
片手いっぱいの重みを突き出しつつ踏み込んだ。
訝しむアーチャーがあと一歩、というところで蒼白顔をびくっとさせて。
「MA――Malamiko!」
しかしどこか無造作な驚き方をしつつ、大慌てで腰の短剣に手がいったようだ。
対してこっちはマチェーテ、それも先端の尖りをぶち込める超至近距離で。
「……ふんっ!」
相手の顔を掴んで抑えた、人間に硬いゴムを張ったような奇妙な質感だ。
首元に刀身を捻じ込めば、人とは明らかに違う跳ね返りがざぐりと伝わる。
途端に電気でも走ったようにそいつが跳ねる、握りかけの短剣がからっと落ちた。
「A-A-AAAA……!」
白い顔のどこかからくぐもった呻きが漏れた。
手早く抜いて胸元にもぶちこんだ、皮鎧越しに死んだ感触がだらりと伝わる。
得物を引き抜けば、そいつはシェルターの冷たさにぐらっと倒れるが。
――青い光が散り始めた。
まるで用が済んだとばかりに、背から倒れた白い身体がざらざら溶けていく。
代わりに空中にマナの青色を踊らせつつ、そいつは弓やら鎧やらを残して消えた。
信じられないと思うが本当に溶けたのだ。着の身着のままを置き土産に。
「マジかよ、消えやがったぞ……? まさか幽霊じゃないよな……?」
それから――透明感のある青い板のようなものも落ちてる。
いや待て。もしやと思ってしゃがんで確かめると。
【ファストショット 発動必要スキル:弓30】
と、触れた指先に『アーツ』の名前が重なる。アーツアーカイブだ。
不可解なそいつの死に方にほんの僅か気が持っていかれたその時。
*がちゃっ*
そんなドアの開閉が耳に伝わるが、この状況だと大体ろくでもない音だ。
なにせ違う部屋から白き民が飛び出てくる場面だったからだ。
杖持ちに槍持ちが一瞬のためらいを挟んで身構えるも。
「――しっ!」
お邪魔したお詫びだ、クナイを抜いて投げ飛ばす。
槍持ちが「ア」と何か言いかけて突っ込んでくるタイミングと重なった。
狙いはそいつじゃなくその後ろ、杖を持ち上げ始めたもう一体だ。
「bureiz――!」
魔法の発動が蒼く閃いたところで、真っ白な顔にうまくクナイが生えた。
そいつは顔の具合を確かめようとしたまま倒れたが槍持ちが続く。今度は穂先ごと踏み込んできた。
「ご主人、油断は禁物」
お返しに横からするりとニクが突っ込んでいった。
柄で槍を打ち合わせて払うと、すれ違うように胸元を「ぐさり」だ。
「オオオオオオオゥ……!?」
背中まで串刺しだ。そいつは苦しげに全身を引きつらせて死んだ。
ニクは持ち主が消えた槍を足でそっと受け止めると、尻尾をぱたぱたさせておかえりだ――グッドボーイ。
「死体消えるわなんか落とすわでびっくりしてんだ、大目に見てくれ。何はともあれありがとう相棒」
「んへー……♡」
いっぱい撫でてやった、すると後ろの方から。
「どうなっているんだ貴様は……? さほど強くないクラスとはいえ、白き民を一瞬で始末するとは……」
「……団長びっくりだよ。なにその手慣れ具合、イチ君どんな修羅場くぐってきたの? ねえ大丈夫キミ?」
エルとフランが驚いてるんだか関心してるんだか分からないリアクションだ。
「生活能力全部売り払って殺し屋にでもなったのかお前。いやすげえわ、うん……一応言っとくとそう簡単に倒せない相手だからな、それ」
ついでに幼馴染からも要は「よくやった」だってさ。
「なんなんですかこの人、手際よすぎるんですけど前職なんだったんです?」
「い、いろいろあったんです……相変わらず容赦ないよ、いちクン」
「わーお……すごいですね☆ さすがイチ君です、歴戦の戦士みたいな動きでしたよ!」
セアリも引いてミコも困り、リスティアナも静かに手をぱちぱちしてるがそれどころじゃないだろう。
「とりあえず二つ言うことがある。死体が消えたぞ、んでアーツアーカイブ落とした。こいつらどういうライフスタイルなんだ?」
俺は階段まで下がって――戦利品の槍とアーツアーカイブをちらつかせた。
こいつらは殺した時の手ごたえがおかしい。人間とは違うし、かといって『魔壊し』が効いた感触もないのだ。
「うん……白き民はね、倒すとマナになって散っていくの。その時にたまにアーツアーカイブとか、スペルピースを落とすんだよ」
「でもそんじょそこらの雑魚じゃ中々落とさないんですよねえ……落としたとしても弱いのばっかですし。あっ、ちなみにそいつらの使ってた装備やらはお金になるのでなるべく拾いましょうね。殺意のこもったSDGsですよ」
相棒に渡すとそう教えてくれた、どうやら『アーツ』やらの生みの親らしい。
おまけにセアリが言うにはそいつらの遺品にもちゃんと価値があるようだ。
槍なんてどこぞのホームガードのものよりずっと出来がいいし、すぐにでも人殺しに赴けそうだ。
「そして奴らが消えるとその土地がマナで豊かになっていくそうだ。だからフランメリアは白き民を討伐することを推奨していてな」
槍の品質を見ているとエルが「もらっていいか?」と身振りで尋ねてきた。くれてやるとフランの手に流されて。
「でもさー、団長みたいなヒロインでも油断できないんだよねあいつら。たまに太刀打ちできないレベルのやつとかいるからねー……この槍いただくね、ちょうどいい投げ槍げっと!」
フランの背中のホルダーが終着点となった。じきに有効利用されそうだ。
それよりもヒロインと渡り合えるような奴もいるなんて嫌な情報だ。どうかそんなやつと一期一会しませんように。
「今俺たちを出迎えてくれたやつらはどれくらいだ?」
「弓使いと魔法使いに現場指揮官クラスがいるんだからけっこーかなあ」
「上に立ってるやつはそういうのもまとめて指揮管理する度量があるってことか」
「そだねえ? でもキミの勢いの方が強かったみたいだよ、何のためらいもなく行っちゃうもん」
「そういう生き方してるもんでね。それでどうするリーダー、今のところはまだ感づかれてないけどいずれバレるぞ」
敵の具合が分かったところで奥の様子について尋ねた。
ミコは通路の様子に「うん……」と少し考えた後。
「いちクン、お願いしたいことがあるんだけど…」
おっとりとした顔に度胸が入った目でそう持ち掛けてきた。
ストレンジャーにしかできない仕事がどうもあるらしい。
「いいぞ、でも全部俺がやれとかいうなよ」
「流石に無理だと思います……」
「だよな、ここの構造も分からないしどこに敵がいるかもまだ不透明だ」
「まず確認するけど、わたしたちの目的は白き民をすべて倒すことだよね?」
「ああ、きれいさっぱりな」
「でもどの道気づかれないままやり通すのは不可能だと思う。向こうもシェルターのあちこちにいるだろうし」
「またさっきみたいに不意打ちができるとは限らないしな。今度は五体ぐらい待ち構えてる可能性もある」
「うん。でも向こうもこんな閉鎖空間じゃできることは限られてると思うし、まだこの環境に慣れてないんじゃないかなって」
「なるほど、さっきのやつらも引っ越し先をまだ把握しきれてない感じだったな。どうも新居暮らしに苦戦してるみたいだ」
「だからね、白き民たちの態勢が整う前にこっちが有利な状況で戦いたいの。そのためにわたしたちが安全に動ける場所を確保したくて」
するとミコはシェルターの奥をじっと見た。
敵が数体消えた分だけ静まり返っているが、一人忍び込むにはいい具合だ。
「先を見て来いってことだな? 任せろ」
敵の数は上、内部の構造は不明、そしてストレンジャーでもぶちのめせる――まあ条件はそこそこだ。
すべきことは全員の能力を生かせるように敵を知ることだ、頷いた。
「うん、通路の先あたりまでお願い。もし危険だったらすぐ戻ってきてね?」
「了解だリーダー。ちなみに俺たちいなかったらどうするつもりだった?」
「フランさんたちが堂々と突っ込んで壊滅してたと思います……」
「お前らが活躍できるように下見しといてやるよ。じゃあ行って来る」
「お願いします。気を付けてね? 何かあったらすぐに駆けつけるようにしておくから」
「そうならないようにするのが俺の仕事だ、まあ見てろ」
俺は余計な荷物を誰かに押し付けた。
代わりに自動拳銃をカービンキットに組み込んで、消音機もしっかりつけた。
経験上、シェルターの規模は建物の大きさと同等かそれ以上あるのが普通だ。
それに人間が避難する目的で作られた以上、構造も単純なはずだ――銃口と共に飛び出した。
「……どんなシェルターなんだろうな。また人食いはごめんだぞ?」
静まり返った通路に差し掛かるとコンクリート壁に目が行く。
『テュマーに屈するな』『アルミホイルでテュマー電波を防ごう』などと手書きのスローガンが掲げられてる。
しばらくしないうち、途中で左右に扉があることに気づく。
【ワークショップ】【資料室】
とある、どっちも白き民がいた場所だ。
まずは弓使いが出てきた方からだ。ワークショップの扉に手をつければ。
「ワーオ……」
そこそこ広い部屋で作業台とたくさんの工具が壁まで及んでいた。
それだけならただの物持ちの良い部屋で済むが、テーブルの上には銀色のヘルメットが十数人分並んでて。
【テュマーは人間を化け物にする毒電波を発しているが、こいつはアルミホイルで防げる! 安物は使わず分厚いヘルメットを作ればゾンビにならずに済むぞ!】
と、怪奇な文章が壁に貼られていた。
残念だが知り合いが「んなもんで防げるか」と言ってた事実だ。
更に言えば――
「……まあ、その理論が間違ってたことがよく証明されてるな。良かったな、間違いに気づくチャンスがあって」
部屋の片隅で永遠に横たわる誰かがいた。
テュマー化を表す黒ずんだ肌と、開いたままの機械的な瞳を晒す死体だ。
頭に飾ったアルミホイルには銃創がある、つまり最近のものじゃない。
安全を確かめて部屋を出た。通路に敵なし、横でミコたちが覗いてる。
(この部屋はクリアだ)
手癖でそう表現してから【資料室】へ押しかける。
一見、机やらファイルキャビネットやらで狭苦しいだけだが。
「OOOOOoooo……」
壁に貼られたボードを無心で眺めている白い背中が一つ。
次に白き民がゆっくり振り返ってきた、扉を閉じながら照準を合わせる。
*Pht!*
ばすっと頭に一発、45口径をいいところに食らってぐるっと倒れる。
結果は死亡からの消滅だ、身に着けていた胸当てや斧が虚しく残った。
どうもここは紙媒体の資料だらけで、おかげで机に見取り図がある。
拝借してその場を後にした。また(クリア)と伝えてから通路を進むと。
「……おいおい、どうなってんだここ」
そこでようやくこのシェルターのおかしさに気づく。
まっすぐ進んだ先の暗がりには【トイレはここ】とどんより案内されてるが、問題はその道中にある横道だった。
デザート・ハウンドほどが楽々通れそうな広い通路だ。まだ稼働している照明が壁の看板を照らしていて。
【反乱軍の街へようこそ! テュマー以外歓迎!】
と、誰かに向けている。
先にはガラス窓が埋め込まれた大部屋が何個もあって、そこに食堂だの雑貨店だの詰所だのと役割が持たされていた。
まるでちょっとした地下街だが――
『MI-Prosperos、Bona』
『Kion-Faris-antikvaj-Homoj……?』
シェルターを活用した小さな町に白き民たちの営みがよく見えた。
武装した数十ほどが黒ずんだ死体を片づけて、邪魔な家具を取っ払い、守りを固めてるようだ。
テュマーを追っ払ってくれてここの製作者もさぞ喜んでるはずだ。
「こりゃ手遅れだったかもな……」
分かることはこうだ、敵がシェルター奥に密集してる。
最奥では頑丈そうな機械式の扉が閉じたままで【家主以外触れるなクソが】とスローガンが掲げられてた。
どうであれ「いっぱいいやがった」と報告するのが妥当か。
◇
『白き民』の営みを観察してると、タカアキの声がこっそりとした。
(ああ、夢に出て来そうなやつリストにまた一つ追加だ)
(俺も初めて見た時は悪い夢でも見てるのかって思ったぜ、あれが白き民だ)
(初めてお会いした時はどんな印象だったんだ?)
(転移してきた廃墟に目ぼしいもんないか探しに来たらこいつら住み着いてやがったんだよ。散弾銃で頭吹っ飛ばしたけどな)
(初対面相手に無遠慮に散弾お見舞いするお前もお前だな)
(暗がりから真っ白のっぺらぼうが襲ってきたらそれしかねえだろ?)
まったくその通りだ、顔のない白塗りの身体がヒトらしくしている。
手にした槍にはテュマーを殺すほどの明確な殺意もあるし、今から仲良くできる余地もないだろう。
「Porti-Bona」
その中で妙に物持ちの良いやつが指示を飛ばしてるように見えた。
身体の要所を鎧で守って、腰に鞘付きのベルトを巻いた白き民だ。
取り回しのいい剣と顔面ほどを守れる小さな盾を持っており、使い込まれたそれがだいぶ様になっていた。
「Mi-Port」
「Komprenite」
しかし果たしてそいつらに感情はあるのやら、二人が死体を淡々と運ぶ。
何の間も置かずに両腕をずるずる引きずる姿はテュマーより機械的だ。
見届けた結果、きびきびと「あそび」のない作法でその場を片付けたらしい。
装備のいいやつも広い通路の奥へと消えていった――あれが白き民か。
「キャプテンさんがいましたね……。ということはですよ? ここに白いのがめっちゃいらっしゃるわけになるんですけども……」
こそこそする必要も遠のいたところで退くとセアリが嫌そうにしてた。
キャプテンの意味はともかくあの白いのがもっといると表現してる。
「要は敵のお偉いさんと下っ端がいるってことだな?」
散弾銃を握ったまま「キャプテン」について尋ねると。
「えっと……白き民には役割を持たされた個体がいるの。今のは『キャプテン』っていう一団を指揮する役目があって、だいたい数十人ぐらいの仲間を連れてるんだけど……」
「あのように他と比べて装備を良くして区別化されていただろう? 他のやつらに指示を出しているのがその証拠だ。二人の言うようにここには奴に従う兵が数十といるわけだな」
ミコとエルがよろこばしくない調子で応じてくれた。
あんなのでも組織的に活動してるのは関心してやるが、それが敵として待ち構えてるなんて嫌な話だ。
「ナノマシンゾンビの次は白いお化けの兵隊か。そんなのがあんな風に好き放題やってるなんて初耳だぞ」
「わたしたちが転移する前からいたらしいんだよね……。意思疎通もできないし、こっちを見たらすぐ襲ってくるし、フランメリアの人達はあんなのとずっと戦ってたみたいなの」
「だがこの頃は更に妙でな、近頃は白き民を見かけるようになったという報告が相次いでいるんだ。おかげで仕事には困っていないんだが、こんな風にクラングル近郊でもたまに現れるようでな……」
「……ん、また来る」
そこでニクが反応、俺たちは息を殺してまた様子を伺った。
そーっと陰から覗けば、通路途中の扉がぎこちなく開き。
「Bazigu-ci-tie、Bona」
感情の籠ってない言葉遣いで誰かが出てきた――皮鎧を着た白いやつだ。
背中には矢筒と短い弓があった。鈍く潰れた声を漏らしてやってくる。
まずいな、見回りに来てる感じだ。急いで「下がれ」と引いた。
(今のは『アーチャー』っていう弓持ちだ。他にも杖持って魔法使う『メイジ』とかいるぜ)
(役割きめられて偉いねお前らって褒めてやりたい気分だ)
はっきりと伝わってくる足音にタカアキの散弾銃が持ち上がった。
間違いなく接敵寸前だ。「やりますか?」とセアリの腕が前に出るも。
「ニク、援護頼んだ」
「ん、了解ご主人」
踏み出しかけたやつに散弾銃を預けて――背中のマチェーテを抜いた。
ニクがじゃきっと槍を展開するのと同じだ。直後に向こうがぴたっと止まるが。
「よお、ここがお前らの新居か? 引っ越し祝いにしにきたぞ」
片手いっぱいの重みを突き出しつつ踏み込んだ。
訝しむアーチャーがあと一歩、というところで蒼白顔をびくっとさせて。
「MA――Malamiko!」
しかしどこか無造作な驚き方をしつつ、大慌てで腰の短剣に手がいったようだ。
対してこっちはマチェーテ、それも先端の尖りをぶち込める超至近距離で。
「……ふんっ!」
相手の顔を掴んで抑えた、人間に硬いゴムを張ったような奇妙な質感だ。
首元に刀身を捻じ込めば、人とは明らかに違う跳ね返りがざぐりと伝わる。
途端に電気でも走ったようにそいつが跳ねる、握りかけの短剣がからっと落ちた。
「A-A-AAAA……!」
白い顔のどこかからくぐもった呻きが漏れた。
手早く抜いて胸元にもぶちこんだ、皮鎧越しに死んだ感触がだらりと伝わる。
得物を引き抜けば、そいつはシェルターの冷たさにぐらっと倒れるが。
――青い光が散り始めた。
まるで用が済んだとばかりに、背から倒れた白い身体がざらざら溶けていく。
代わりに空中にマナの青色を踊らせつつ、そいつは弓やら鎧やらを残して消えた。
信じられないと思うが本当に溶けたのだ。着の身着のままを置き土産に。
「マジかよ、消えやがったぞ……? まさか幽霊じゃないよな……?」
それから――透明感のある青い板のようなものも落ちてる。
いや待て。もしやと思ってしゃがんで確かめると。
【ファストショット 発動必要スキル:弓30】
と、触れた指先に『アーツ』の名前が重なる。アーツアーカイブだ。
不可解なそいつの死に方にほんの僅か気が持っていかれたその時。
*がちゃっ*
そんなドアの開閉が耳に伝わるが、この状況だと大体ろくでもない音だ。
なにせ違う部屋から白き民が飛び出てくる場面だったからだ。
杖持ちに槍持ちが一瞬のためらいを挟んで身構えるも。
「――しっ!」
お邪魔したお詫びだ、クナイを抜いて投げ飛ばす。
槍持ちが「ア」と何か言いかけて突っ込んでくるタイミングと重なった。
狙いはそいつじゃなくその後ろ、杖を持ち上げ始めたもう一体だ。
「bureiz――!」
魔法の発動が蒼く閃いたところで、真っ白な顔にうまくクナイが生えた。
そいつは顔の具合を確かめようとしたまま倒れたが槍持ちが続く。今度は穂先ごと踏み込んできた。
「ご主人、油断は禁物」
お返しに横からするりとニクが突っ込んでいった。
柄で槍を打ち合わせて払うと、すれ違うように胸元を「ぐさり」だ。
「オオオオオオオゥ……!?」
背中まで串刺しだ。そいつは苦しげに全身を引きつらせて死んだ。
ニクは持ち主が消えた槍を足でそっと受け止めると、尻尾をぱたぱたさせておかえりだ――グッドボーイ。
「死体消えるわなんか落とすわでびっくりしてんだ、大目に見てくれ。何はともあれありがとう相棒」
「んへー……♡」
いっぱい撫でてやった、すると後ろの方から。
「どうなっているんだ貴様は……? さほど強くないクラスとはいえ、白き民を一瞬で始末するとは……」
「……団長びっくりだよ。なにその手慣れ具合、イチ君どんな修羅場くぐってきたの? ねえ大丈夫キミ?」
エルとフランが驚いてるんだか関心してるんだか分からないリアクションだ。
「生活能力全部売り払って殺し屋にでもなったのかお前。いやすげえわ、うん……一応言っとくとそう簡単に倒せない相手だからな、それ」
ついでに幼馴染からも要は「よくやった」だってさ。
「なんなんですかこの人、手際よすぎるんですけど前職なんだったんです?」
「い、いろいろあったんです……相変わらず容赦ないよ、いちクン」
「わーお……すごいですね☆ さすがイチ君です、歴戦の戦士みたいな動きでしたよ!」
セアリも引いてミコも困り、リスティアナも静かに手をぱちぱちしてるがそれどころじゃないだろう。
「とりあえず二つ言うことがある。死体が消えたぞ、んでアーツアーカイブ落とした。こいつらどういうライフスタイルなんだ?」
俺は階段まで下がって――戦利品の槍とアーツアーカイブをちらつかせた。
こいつらは殺した時の手ごたえがおかしい。人間とは違うし、かといって『魔壊し』が効いた感触もないのだ。
「うん……白き民はね、倒すとマナになって散っていくの。その時にたまにアーツアーカイブとか、スペルピースを落とすんだよ」
「でもそんじょそこらの雑魚じゃ中々落とさないんですよねえ……落としたとしても弱いのばっかですし。あっ、ちなみにそいつらの使ってた装備やらはお金になるのでなるべく拾いましょうね。殺意のこもったSDGsですよ」
相棒に渡すとそう教えてくれた、どうやら『アーツ』やらの生みの親らしい。
おまけにセアリが言うにはそいつらの遺品にもちゃんと価値があるようだ。
槍なんてどこぞのホームガードのものよりずっと出来がいいし、すぐにでも人殺しに赴けそうだ。
「そして奴らが消えるとその土地がマナで豊かになっていくそうだ。だからフランメリアは白き民を討伐することを推奨していてな」
槍の品質を見ているとエルが「もらっていいか?」と身振りで尋ねてきた。くれてやるとフランの手に流されて。
「でもさー、団長みたいなヒロインでも油断できないんだよねあいつら。たまに太刀打ちできないレベルのやつとかいるからねー……この槍いただくね、ちょうどいい投げ槍げっと!」
フランの背中のホルダーが終着点となった。じきに有効利用されそうだ。
それよりもヒロインと渡り合えるような奴もいるなんて嫌な情報だ。どうかそんなやつと一期一会しませんように。
「今俺たちを出迎えてくれたやつらはどれくらいだ?」
「弓使いと魔法使いに現場指揮官クラスがいるんだからけっこーかなあ」
「上に立ってるやつはそういうのもまとめて指揮管理する度量があるってことか」
「そだねえ? でもキミの勢いの方が強かったみたいだよ、何のためらいもなく行っちゃうもん」
「そういう生き方してるもんでね。それでどうするリーダー、今のところはまだ感づかれてないけどいずれバレるぞ」
敵の具合が分かったところで奥の様子について尋ねた。
ミコは通路の様子に「うん……」と少し考えた後。
「いちクン、お願いしたいことがあるんだけど…」
おっとりとした顔に度胸が入った目でそう持ち掛けてきた。
ストレンジャーにしかできない仕事がどうもあるらしい。
「いいぞ、でも全部俺がやれとかいうなよ」
「流石に無理だと思います……」
「だよな、ここの構造も分からないしどこに敵がいるかもまだ不透明だ」
「まず確認するけど、わたしたちの目的は白き民をすべて倒すことだよね?」
「ああ、きれいさっぱりな」
「でもどの道気づかれないままやり通すのは不可能だと思う。向こうもシェルターのあちこちにいるだろうし」
「またさっきみたいに不意打ちができるとは限らないしな。今度は五体ぐらい待ち構えてる可能性もある」
「うん。でも向こうもこんな閉鎖空間じゃできることは限られてると思うし、まだこの環境に慣れてないんじゃないかなって」
「なるほど、さっきのやつらも引っ越し先をまだ把握しきれてない感じだったな。どうも新居暮らしに苦戦してるみたいだ」
「だからね、白き民たちの態勢が整う前にこっちが有利な状況で戦いたいの。そのためにわたしたちが安全に動ける場所を確保したくて」
するとミコはシェルターの奥をじっと見た。
敵が数体消えた分だけ静まり返っているが、一人忍び込むにはいい具合だ。
「先を見て来いってことだな? 任せろ」
敵の数は上、内部の構造は不明、そしてストレンジャーでもぶちのめせる――まあ条件はそこそこだ。
すべきことは全員の能力を生かせるように敵を知ることだ、頷いた。
「うん、通路の先あたりまでお願い。もし危険だったらすぐ戻ってきてね?」
「了解だリーダー。ちなみに俺たちいなかったらどうするつもりだった?」
「フランさんたちが堂々と突っ込んで壊滅してたと思います……」
「お前らが活躍できるように下見しといてやるよ。じゃあ行って来る」
「お願いします。気を付けてね? 何かあったらすぐに駆けつけるようにしておくから」
「そうならないようにするのが俺の仕事だ、まあ見てろ」
俺は余計な荷物を誰かに押し付けた。
代わりに自動拳銃をカービンキットに組み込んで、消音機もしっかりつけた。
経験上、シェルターの規模は建物の大きさと同等かそれ以上あるのが普通だ。
それに人間が避難する目的で作られた以上、構造も単純なはずだ――銃口と共に飛び出した。
「……どんなシェルターなんだろうな。また人食いはごめんだぞ?」
静まり返った通路に差し掛かるとコンクリート壁に目が行く。
『テュマーに屈するな』『アルミホイルでテュマー電波を防ごう』などと手書きのスローガンが掲げられてる。
しばらくしないうち、途中で左右に扉があることに気づく。
【ワークショップ】【資料室】
とある、どっちも白き民がいた場所だ。
まずは弓使いが出てきた方からだ。ワークショップの扉に手をつければ。
「ワーオ……」
そこそこ広い部屋で作業台とたくさんの工具が壁まで及んでいた。
それだけならただの物持ちの良い部屋で済むが、テーブルの上には銀色のヘルメットが十数人分並んでて。
【テュマーは人間を化け物にする毒電波を発しているが、こいつはアルミホイルで防げる! 安物は使わず分厚いヘルメットを作ればゾンビにならずに済むぞ!】
と、怪奇な文章が壁に貼られていた。
残念だが知り合いが「んなもんで防げるか」と言ってた事実だ。
更に言えば――
「……まあ、その理論が間違ってたことがよく証明されてるな。良かったな、間違いに気づくチャンスがあって」
部屋の片隅で永遠に横たわる誰かがいた。
テュマー化を表す黒ずんだ肌と、開いたままの機械的な瞳を晒す死体だ。
頭に飾ったアルミホイルには銃創がある、つまり最近のものじゃない。
安全を確かめて部屋を出た。通路に敵なし、横でミコたちが覗いてる。
(この部屋はクリアだ)
手癖でそう表現してから【資料室】へ押しかける。
一見、机やらファイルキャビネットやらで狭苦しいだけだが。
「OOOOOoooo……」
壁に貼られたボードを無心で眺めている白い背中が一つ。
次に白き民がゆっくり振り返ってきた、扉を閉じながら照準を合わせる。
*Pht!*
ばすっと頭に一発、45口径をいいところに食らってぐるっと倒れる。
結果は死亡からの消滅だ、身に着けていた胸当てや斧が虚しく残った。
どうもここは紙媒体の資料だらけで、おかげで机に見取り図がある。
拝借してその場を後にした。また(クリア)と伝えてから通路を進むと。
「……おいおい、どうなってんだここ」
そこでようやくこのシェルターのおかしさに気づく。
まっすぐ進んだ先の暗がりには【トイレはここ】とどんより案内されてるが、問題はその道中にある横道だった。
デザート・ハウンドほどが楽々通れそうな広い通路だ。まだ稼働している照明が壁の看板を照らしていて。
【反乱軍の街へようこそ! テュマー以外歓迎!】
と、誰かに向けている。
先にはガラス窓が埋め込まれた大部屋が何個もあって、そこに食堂だの雑貨店だの詰所だのと役割が持たされていた。
まるでちょっとした地下街だが――
『MI-Prosperos、Bona』
『Kion-Faris-antikvaj-Homoj……?』
シェルターを活用した小さな町に白き民たちの営みがよく見えた。
武装した数十ほどが黒ずんだ死体を片づけて、邪魔な家具を取っ払い、守りを固めてるようだ。
テュマーを追っ払ってくれてここの製作者もさぞ喜んでるはずだ。
「こりゃ手遅れだったかもな……」
分かることはこうだ、敵がシェルター奥に密集してる。
最奥では頑丈そうな機械式の扉が閉じたままで【家主以外触れるなクソが】とスローガンが掲げられてた。
どうであれ「いっぱいいやがった」と報告するのが妥当か。
◇
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