魔法の姫と世紀末世界のストレンジャー

ウィル・テネブリス

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広い世界の短い旅路

ブルヘッドの戦い(2)(01/10修正)

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 まったくひどい人生になったと思う。

 思えばこの首にはチップが付きまとってた。確か最初は5000チップか。
 それが巡り巡って、北へ這い上がるにつれて最終的に60000もの価値を叩きだす。
 おまけに知り合いは俺のことをフリー素材みたいに賭け事の題材にしやがる。

 その一方で自分に付きまとう物語も知ってしまった。
 未来の自分が死んで残したものが、こうして過去の自分たる俺に回ってきた。
 たった一人で世界のバランスをぶち壊しもれなく創造主という肩書もある、そして手探りでそれをどうにかしなくなちゃならない。
 
 更に追加だ。文明的な都市を観光しに来たら企業に恨まれて賞金首。
 しかし奴らは一体何をしたのか、街のルールすれすれをゆき無人兵器を開発したら暴走と伝染。
 気づけばスティングさながらの戦場が目の前に一杯だ――やってられっか。

『どうしたのいちクン……? 笑ってる……?』

 エグゾの足を頼りに駆けているとそんな声が耳元に届く。
 がしょがしょといつもより数倍早いペースで進む後ろでは、ストレンジャーズがついていた。

 そこは戦場だ。俺たちは銃声飛び交うブルヘッドの南側の通りを辿ってる。
 あれから戦える奴らを幾つにも分けて、小回りの利く戦力のまま市街地に飛び込むことになった。
 フランメリア人の非常識さと、スカベンジャーたちの支援と、そしてストレンジャーがいるからこそのやり方だ。

「いや、自分の人生の数奇さに呆れてるところだ」

 だけど俺は笑っていた。
 嫌な悩みはもはや底知れぬ深さを醸す一方だが、逃れる場所があったから。
 戦場だ。ここに来てしまえばすべては吹っ切れる、気持ちを晴らす相手にも恵まれ自分の全力を振るえる故郷ふるさとだ。

「フハハ! イチよ、お前の複雑さを今日この頃で山ほど目の当たりにしたが……笑えるほどの余裕があるのは良きことだぞ!」

 並走したノルベルトがいい笑みだった。
 エグゾでやっと並んだ足並みは気持ちがいいし、ここが戦場ならひとしおだ。

「考えてみればスタートも戦場だったな。あのシェルターの出来事は人様の人生をよくもまあ変えてくれたもんだ」

 通りから路地へ差し掛かった。ここを抜ければ別の通りが見えるはずだ。
 段々と騒ぎも近づくころだ。無人兵器の無骨な稼働音も装甲越しに伝わる。
 火薬の爆ぜる音に混じって逃げ戸惑う声も聞こえて来たのだから、きっとそこはヤバいんだろう。

『あーあーこちらヌイスだよ。君たちの行動を安全な場所で支援させてもらう、ご武運を』
『ら、ラザロだ。ラーベ社の保有する兵器に関する情報が必要なら伝えてくれ、可能な限りサポートするから』

 だが残念だったな、ぽんこつども。
 シェルターでエグゾ姿に助けられた新兵はもうここはいない、エグゾに乗ってぶち殺しにきた上等兵だぞ。

「お前の"ハーバー・シェルター脱出劇"には興味があるぜ、なんたってこんなやつを放ってくれた場所だからな?」

 デュオのエグゾも追いついてきた。路地の終わりが見えてくる。
 五十口径の重機関銃をチェック、弾倉よし、腰の『スティレット』も万全だ。

「エグゾに乗ったやつが命懸けで助けてくれて、その命を台無しにして今に至ります、以上」
「なんてかみ砕いた説明しやがるんだお前は」
「当時の俺の心境込みなら1時間使ってたっぷり話したいところだけど、今は先にすることがあるだろ?」
「へへ、でもお前だったら片手間でいけるんじゃねえか?」
「だったら今からアルテリーがいかにクソだったか語る必要があるな」
『うん君たち、この無線でふざけないでくれたまえ。私の意図せぬ使い方をこう何度もされてどれだけぷんすかしてるか想像してみないかい?』

 しまった、無線がそのままだった。ヌイスが怒ってらっしゃる。
 デュオと見合わせた。機械的な表情越しにはきっとあの顔があるはずだ。
 お互いの得物を確かめる。ノルベルトが手持ちに改造した81㎜迫撃砲を抱えてるのもあって俺たちの火力は大したもんだが。

「……あひひひっ♡ さっそくお見えになったっすねえ」

 首がちゃんとあるメイドの声と、向こうに構える景色が重なった。
 何を攻撃してるんだろうか? こっちに背を向けるエグゾが数体いる。 
 あの無人機に改造されたやつだ。どんどんと25㎜グレネードの発射音が街中に向けられてる。

「――第一印象最高で行くぞ!」

 ストレンジャーズはすぐに変わった。
 ロアベアが仕込み刀を抜いて、ニクがじゃきんと槍を展開して走る。
 ノルベルトも戦槌を伸ばして突っ込む――俺も重突撃銃片手にペースを速め。

『市民の皆様、落ち着いて行動してください。弾が当たりません』
『多数の危険因子を確認、撃て、殺せ、撃て、殺せ』
『優先目標は幼児と若年の女性、駆除します』

 敵は数体だ。俺たちで処理しきれるな。
 あちこちにグレネード弾の炸裂をお見舞いしてるようだが、まだ気づかない。

「ニク君、トドメお願いっす」

 緑髪のメイドが最初だった。杖から一閃するなり見えない何かを飛ばす。
 一瞬の青をちらつかせた【ゲイルブレイド】の一撃、中央で背中を晒すそいつの足がぎぎんと音を立てる。

『本日の任務は皆殺し――――ッ!?』

 関節を狙ったか。膝下の上からがらんと倒れた。
 仰向けに転んだ上半身めがけてニクが接近、跳躍した身体で圧し掛かり。

「――邪魔」

 ダウナー声で穂先が刺さった。首元狙いの一撃が中身を潰す。
 仲間が気づいたようだ。25㎜の砲身と目が合う、足を緩めて銃を持ち上げ。

*DODODODODODODODODODOM!*

 五十口径をごちそうだ、いきなり撃たれた無人エグゾがぐらぐら震える。
 近づきながら撃ちまくった。しつこく浴びせるうちに仰向けに機能停止、更に打ち込んで主要部分を壊す。
 残りが『危険を感知!』と急いで標的を変えようとしたようだが。

「前のようにはいかんぞ? うおおおおおおおおおおらぁぁぁッ!」

 ノルベルトが滑り込むように懐へ向かった。
 いきなりの巨体に25㎜弾がどんどんと遅いリズミを刻むが当たるはずもない。
 外れたそれは後ろのどこかを派手に鳴らし――代わりに戦槌が脳天をぶち破る。

『想定外、想定外……!』

 機械がよろめくが更に一撃、頭を二度殴られてクリーンインストールだ。

「ハッハァァァッ! どこ見てんだい、機械クンよ!」

 生き残りがまだいた、通りから伺いに来た一体にデュオがぶっ放す。
 五十口径を浴びて無人の骨格が『てきしゅ』と怯んだが、そこに金属音が挟まる。
 がきんという音だ。銃弾で踊るエグゾに太い矢のようなものが生えていて。

*Baaaaaaaaaaam!*

 それは急に爆ぜた。骨格の「こ」すら残さぬ火力の具合だ。

「支援は任せろ! 面白い矢をもらったぞ!」

 クラウディアの声がしたかと思えば建物の屋上からだ。
 そこで丸みと鋭さを帯びた矢を見せびらかしてた、きっと爆発する矢か何か作ってもらったんだろう。

「厄介な相手にぶち込め! 判断は任せるぞ!」
「心得たぞリーダー!」

 あいつは「とうっ」とか言って次の建物へ移った。
 前菜さながらの無人エグゾを平らげた次も、やはり敵の姿だ。
 なんてことない都市の通りが独り立ちした機械どもで遮られていて。

「む、無理だっ!? 火力が違いすぎるんだよ!」
「だが俺たちしかどうにかできる戦力がねえんだよ! 顔出すな!」
「くそっ!? もしかしてテュマーに侵入されたのか!?」

 ひっくり返された警察車両にかばわれながらの人間VS無人兵器の現場だった。
 ブルヘッドの誇るセキュリティチームが小火器をぶっ放してるが、効果的な一撃は見当たらない。
 せいぜい40㎜グレネードがどこかの無人のエグゾアーマーをはじけさせたぐらいだが。

『こんにちは、ブルヘッドの皆さま! 死ね!』
『清掃中! 清掃中! 血となり肉にどうでもよくなれ!』
『千匹の山羊を××ックした者どもは殺します!』

 ひどい顔ぶれの中、一際デカいのが暴れ回ってた。
 四足の足をがしがしと道路に刻んで、目につくものを吹き飛ばすウォーカーだ。
 乗っ取られたOSのもと機関砲を建物という建物に浴びせ、動くものを砲塔で追い回す迷惑極まりないライフスタイルだが。

「四足型のウォーカーがいたぞ! 弱点は!?」

 俺は倒れた車両に滑り込みながら迫った。
 気づいた。どんどんどんと機関砲が叩き込まれて背にも足にも振動が伝わる。
 爆音と熱は装甲が遮るのだから気楽なもんだ。

「だ、誰かっ……助け……!」

 そんなところ、通りの端に民間人を発見。
 作業用エグゾの生業らしいアームが今にも頭を潰そうと――ニクとロアベアに「行け」と頼んだ。
 砲塔はもちろん動く目標を優先だ。狙いが変わった合間に姿を出して。

*DODODODODODODODOM!*

 重機関銃を浴びせた。かんかん叩かれてこっちに意識が向いたようだ。
 その間に二人が進む。足をアーツで切り落とし、隙間を槍でほじくって機能停止。
 ここまでやれば流石に周囲の数機もぐるんと砲塔を向けてきたが。

『そいつは『パウーク』、クモみたいに歩いて機関砲をばら撒くコンセプトだ! 底とてっぺん以外は50口径程度じゃ効かないぞ!』
『そうですか、では脳天ですね』

 その光景の中、がきっ、と気持ちのいい音が落ちてくる。
 砲塔が太い矢にぶち抜かれていた。青い火花の名残が都市を鮮やかに彩った。
 いきなりの乱入者に不機嫌な形でそいつが向きなおれば、向かいの小さなビルの上に白エルフがいて。

*ZzBAAAAAAAAAAAAAAAAAM!*

 ……直後、『パウーク』が物理的に爆発した。
 頭に矢を食らっておかしくなったんだろうか、だが漂う煙は万能火薬の白色だ。
 一度に数機の仲間を失った四足ウォーカーは混乱してる。砲塔が脅威を探って目移りしてるようだが。

「爆発するミスリル矢か! 贅沢な使い方をするものだな!」

 ノルベルトが関心しながら飛び出た、マジかよこいつは!
 手持ちの迫撃砲を腰だめに構えると同時に、よく止まってくれてるそれを狙って。

*BAM!*

 81㎜の膨らむような砲声、そして先頭のウォーカーに派手な音が鳴る。
 徹甲弾でもぶっこんだだろう。胴体に大穴を穿たれたそれはぎゅるぎゅる機械音を立てて、滅茶苦茶にあたりを撃ちまくる。

「――ノルベルト、突っ込むぞ!」
『……えっ!? いちクン!? 今なんて』
「フハハ! よかろう!」
「おいおい、正気かよ……!」

 救助者は助かった、敵は減った、なら俺たちのすることは?
 突撃だ。敵の躊躇に付け込んでエグゾで走る。

『脅威の高い目標を検知! 変更! 変更!』

 ビルに機関砲をぶっ放していた二体はぎりっとこっちに胴体機銃を向けてきた。
 どどどどどっと生身では受けたくない口径に装甲ががんがんと悲鳴を上げた。
 撃たれながらも、そして機関砲が向けられるよりも早くそいつの懐に迫って。

「よお、こいつは効くか?」

 滑り込んだ。ざりざりした感触もろとも潜った先はウォーカーの股間だ。
 足が持ち上がるより早く、平たい底面に五十口径の銃身を押し付け。

*DODODODODODODODODODODODODOM!*

 余すことなく重機関銃の火力を押し付けた。四つ足の巨体がかくかく痙攣する。
 動く理由を失ったボディが落ちてくる、すぐに潜り抜けて避けた。
 ノルベルトも手負いの個体まで迫ってたようだ、迫撃砲を捻じり込んでいて。

「フーッハッハッハ! 俺様からの親愛の印だ、飛ぶぞ?」

 ゼロ距離でぶちかましやがった。
 実体弾をぶち込まれたそいつは硬直したまま転がった――撃破だ。
 そこへがんっと衝撃が走る。エグゾが変に揺れて胸あたりが嫌に圧迫される。
 『ひゃっ!?』と悲鳴を上げたミコと後退、こいつは攻撃だ、どこだ?

「ストレンジャー! まだエグゾがきてやがるぞ!」

 後ろからのセキュリティどもの声で気づいた、倒したウォーカーの後ろだ。
 ちょっとした無人のエグゾが部隊を伴ってこっちに来てやがった。
 グレネード弾がまた発射、足元をすくわれた、踵裏から持ち上げられるような感触にもってかれる。

「うお……!?」

 転んだ、物陰に隠れた敵がこっちを狙ってる――ならばこうする。
 重突撃銃を捨てて地面を思い切り蹴った。ぎゃりぎゃり擦れる背中で滑る。
 爆発から逃れて別の遮蔽物へ飛び込むと、丸まったセキュリティたちと遭遇だ。

「ひ、ひぃぃ……!? お、おいあんた……その声、確かあのストレンジャーだよな!?」

 装甲越しに見るそいつは覚えがあった、変質者を捕まえた時のやつか。
 俺は「そうだ」とばかりに腰から信管つきの迫撃砲弾を取り出した。

「あの時のやつか?」
「そうだよ! 世話になったやつだ! 会えて光栄だよクソが!」
「そうか、耳塞いどけ」

 そこで25㎜グレネードの爆音が止んだ、ピンを抜いて顔を出す。
 ノルベルトも乗ってくれたらしい。気づけば二人であの物騒な手榴弾を持ち上げてて。

「行くぞ、フラグ投下!」
「ドワーフどもからのささやかな品だ、持って行け!」

 向こうで隠れ撃つ姿に向かってぶん投げた。
 駆動した機械からもたらされる力はすごいもんだ、砲弾が軽々と飛んでいく。
 オーガの腕力からも一発追加されると、俺たちはすぐに隠れて。

*zzZbbBAAAAAAAAAAAAAAAAAM!*

 市街地では絶対に耳にしたくない大爆発が届いた。周囲のガラスも割れるほどだ。
 隣の男が命乞いするかのようにふさぎ込んでるが、大丈夫だと背を叩いてやった。

「やっ、はっ、は、迫撃砲弾だぁぁぁっ!? 何考えてんだあんた!? イカれてるぞ!」
「ドワーフどもに伝えておいてやるよ。ノルベルト! 行くぞ!」
「おう!」

 姿を出せば残りは少ない、そこへデュオの支援射撃が挟まった。
 どどどどどっと細かい連射を繰り返して無人エグゾを釘付けにしてるようだ。
 その間にまた滑り込んで、落ちていた五十口径を拾う――敵陣に進んだ。

『メーデー! 想定外の接敵! メーデー! メー』

 倒れた車の裏で身構える外骨格を発見、そこに銃口を突き出す。
 トリガを絞って目いっぱいに弾を浴びせた。至近距離から滅多打ちで一体が停まる。
 近くにまだいた。腕部のグレネードに弾倉を突っ込んでる。

「フーッハッハッハ! また徳を積んでしまったなァ!」

 慌てず引いた、弾倉を落とす、そこへあの豪快な声が関わる。
 再装填中の姿にノルベルトがとびかかった。戦槌の鈍さが振り上げられてて。

『撤退! てったたたたたたたた……』

 機械は重要部分に戦槌を捻じり込まれると壊れるそうだ、一つ学べた。
 得物の尖りでかき回されたエグゾが黙ってしまえば、通りはだいぶ綺麗に片付いたようで。

「……ど、どうなってんだ……!? い、いや、とりあえず逃げるぞ! 今のうちだ!」

 まったくいいタイミングなことに、近くの建物からぞろぞろ人がやってきた。
 きっと中で伺ってたんだろうか。ブルヘッドの市民の姿がこっちに逃げてくる。

「た、助かったわ! あなたシド・レンジャーなの!?」
「ウォーカーがぶっ壊されてやがる……!? えっと、どこ行きゃいいんだ……!?」
「ストレンジャーだ。南のヴァルハラを目指せ、あっちにいけばいくほど安全になるぞ」
「社長もいるぜ。早く逃げな、物好きなやつはついてきていいけどな?」

 一塊いいまとになってこっちにきたが、ヴァルハラの方へ「いけ」と教えた。
 弾倉を交換してるうちに市民たちは「ありがとう」と残してすたすた逃げていった。

「……どうなってんだあんたら、そんなナリでウォーカーをぶち壊すなんて」

 あたりの安全を確かめるとセキュリティの奴らもきた。
 しぶといというか運がいいというか、棺桶に収まりそうな奴はいない。

「フォート・モハヴィで経験済みだからな。そっちは大丈夫か?」
「あの噂がマジだったって実感してるよ。ここらの市民は今のが最後だ、あんたらのおかげだよ」
「そうか、他に敵は?」
「北から戦力が伸びてきてる感じだ、もうセキュリティじゃどうにもならねえ。一体何が起きてるのかさっぱりだ」

 様子を尋ねたがここはクリア、敵はまだまだ奥にいるそうだ。
 しかし横合いから聞こえる戦闘の音はだいぶ収まってる。フランメリア人どもがやってくれたか。

『――フェルナアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!』
『よっしゃああああああああああダブルキルだぜええええええええ!』

 ……元気にやってるようだ。

「手短に説明するぞ、ラーベ社が馬鹿やってウィルスまき散らしたらしい。あと勝手に無人兵器作ってたそうだぞ」
「……ご丁寧かつ手短で信じられない話をありがとう、ストレンジャー。冗談だと言ってくれ」
「文句はあいつらにいっとけよ、じゃあな。うまくやれよ」

 何だ今の声、と不審がるセキュリティどもは無視して先へ進むことにした。

「南からのゲストが大暴れしてるぜ、おたくらも無理すんなよ、どうしても戦いたかったらヴァルハラから武器受け取って来いよ」
「おい、おい……!? この声もしかしてデュオ社長か!?」
「なんであんたこんなところにいんだよ!? 死ぬ気か!?」
「ストレンジャーがいる限りは死にやしねえよ、それじゃ諸君、行ってくるぜ」

 去り際のエグゾ越しの社長の声にみんな大騒ぎだ。
 小さな路地は次の通りへ向けた道なりを作ってた。
 その奥から相変わらずの機械の大騒ぎが嫌というほど聞こえている。
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