魔法の姫と世紀末世界のストレンジャー

ウィル・テネブリス

文字の大きさ
上 下
109 / 581
世紀末世界のストレンジャー

エルフとオークは余生を過ごす

しおりを挟む

 この町で一番大きな民家――あるいは『司令部』と呼ばれる場所へと案内されると、俺たちは話し始めた。

「フロレンツィアと申します。あちらでひっそりと隠居していたのですが、気が付けばこの世界に迷い込んでいましたの」
「俺はイチ。あるいはストレンジャーともいう。こっちの黒い犬はニクだ」
『はじめまして、フロレンツィア様。わたしはミセリコルデです』
「ワンッ」
「まあ、短剣の精霊さんもいらっしゃるのね。それにわんこも」
「いろいろあったんだ。ところであんたはいつからここに?」
「もう、ふた月も前だったでしょうか……?」

 俺を「アバタール」と呼ぶ彼女は、やっぱりこの世界に転移してしまったのか。
 だが話を聞く限り、彼女はこの洗面器かぶった連中の指導者になってるようだ。

「フロレンツィア様は我々の指導者なのだよ、若き擲弾兵」

 そこへ、ここの『将軍』が長い耳の彼女の言葉に乗っかってきた。

「このエルフのお姉さんが? あんたらのボスだって?」
「はい、訳あってこの『ガーデン』にいるホームガードの皆さまを率いています」

 思わずエルフの顔をうかがったが、責任感のある強い意思を感じた。
 仕方がなくとか、いやいやでやってる、とかそういったものは一切ない。

「前の指導者がアルテリーに攻め込まれた際に亡くなってな。そんなところにたまたま彼女が現れて、ここが崩れ落ちるところを繋ぎとめてくれたんだ」

 そればかりか、こくりとうなずかれて――代わりに将軍が割り込んで来た。
 ホームガードとかいう連中のボスは、えらく彼女を信頼しているみたいだ。
 その顔には信頼はあれどけして妄信する類じゃない、心の底からの感謝を感じる。

「もちろん、彼女や少佐からはいろいろなことを聞かされたよ」

 相手の様子を見ていると、ベーカー将軍はゆったりと切り出した。
 俺が「こいつは異世界から来たなんだぞ」というよりも早く、だ。

「だから別の世界があるということも、彼女がエルフだということも、この世界がおかしくなっていることも、とうの昔に受け入れていることだ。もちろん我々ホームガードの全員がね」

 将軍は「あと若く麗しいお嬢様とファンタジーが好きでね」と笑って付け加えた。
 この人は見た目は冷たいがかなり度量のある人間だ。
 俺もつられて笑ってしまった、金髪のエルフもにっこりして。

「もう、わたしは今年で二百歳なのですよ?」

 とんでもないことを言い出した、まあリム様のほうは三百だし別に驚かない。

「どこぞの料理ギルドの魔女もなんか同じこと言ってたな。面白半分に受け止めてたけどやっぱりマジなのか」
「あら、そのご様子だとリムちゃんもこちらの世界に?」
「……リムちゃん? まさかリム様と知り合いなのか?」
「ええ、もちろん――昔はよくいっしょに植物の研究をしていました。夜な夜なエルフの森に許可なくじゃがいもをいっぱい植えたり、やんちゃなお方でしたけれども」
「おいミコ、芋テロ被害者がここにもいるぞ」
『何してるのあの人……』

 しかもこの人はリム様の知り合いだったらしい。
 まさかこんな形であの魔女の知り合いと会えるなんて、と思っていると。

「そうか、こちらに作物が戻ったのもやはり魔女殿によるものか。流石である」

 オークが感心していた――いや、チャールトン少佐か。

「チャールトン少佐、あんたもリム様と知り合いなのか?」
「深いかかわりがあるわけではない、だがフランメリアの貴族というのはどうも魔女というものと必ずかかわってしまうものでな」
「あーうん、庭に勝手にじゃがいも植えられたとかじゃないよな?」
「その件もある」
「あるのかよ」
『あるんだ……』
「まあ、あの国は魔女が主体となっている。気まぐれで会いに来るもの、善意で訪れるもの、打算を持って接しに来るもの、彼女らと巡り合うきっかけというのは魔女の数だけあるのだ」
「なるほど、で? その三つの中からどれが選ばれたんだ?」
「全部だ。リーリム殿といえば一際奇抜な魔女なのだぞ?」
「だと思ったよ。心中お察しする、ちなみに俺も被害者だ」

 少佐の微妙な表情からしてリム様に対して感謝五割、迷惑五割の表情だ。

「……ちなみに吾輩もフロレンツィア殿と似たようなものだ。稽古をしていたら野に放り出されていたのだが、たまたまここの近くだったものでな」

 リム様の被害者同士なにか親近感を感じていると戦豚の少佐が口を開いた。

「ここが襲われていた時、彼が加勢してくれたんだ。それはもうすさまじい戦いぶりでね、言ってしまえばここの英雄だ」
「ずっと忘れていた戦いを思い出してしまってな、年甲斐もなくはしゃいでしまったわ。フランメリアを轟かせた戦豚はまだまだ健在である」

 将軍もひょこっと口を挟んできたが、この少佐も相当信頼されてるみたいだ。
 今度はオークの戦士に二百歳を超えるエルフ、俺が呼び起こす転移はどんな人選センスなんだか。

「オークにエルフ、それで……蛮族か。どんなラインナップだ」
『いちクン、蛮族って呼ぶのはやめてあげよう?』
「だって上半身裸なんだぞ?」

 ここに来るまで何度も無双してきたオーガを見た。
 当の本人は蛮族呼ばわりされてとてもうれしそうだ、胸筋丸出しで。

「オーガの夢を描いたような世界に来たと思えば薬学の権威であるフロレンツィア殿に、あのチャールトン卿もいるのだ。これほど同郷のものもいて実に愉快な場所ではないか!」
「ふふ。わたしはもう、ただの隠居したエルフなのですよ? でもこの世界に来てからまた生きがいを見つけてしまいましたわ」
「吾輩も戦いもなく落ちぶれていたところを救われたわ、長生きはするものだな。だがオーガの子よ、貴公の家の者が心配しておるだろう?」

 ものすごい会話が繰り広げられている。
 俺はどさくさに紛れてオーガの胸をノックした、金属製のドアの感触。

「お前もしかして……家族とかいたのか?」

 内心、申し訳なく思いながら尋ねた。
 こいつを元の世界にいる家族と引き離したことになるからだ。

「何を言っているのだ? 彼はフランメリアの名家の者だぞ? ローゼンベルガー家といえば数え切れぬほどの戦場で数多の戦士を屠り続けたあの貴族ではないか」

 オーガはばつが悪そうに何か口にしようとしたが、戦豚が代わりに言った。
 ――ん? いまなんていった?

「……貴族?」『……貴族?』

 思わずミコと言葉が重なるぐらい、俺は隣のオーガに親指を向けた。
 本人は「いわないでほしかった」みたいに顔をそらしている。

「つまりあれか? いわゆる……貴族のお坊ちゃま的な?」
「そういうことになるな。それもただの貴族ではない、フランメリアで、いや、あの『テセウス』で愛される良き貴族だ」
「……こいつが?」
「そうだとも。オーガの英雄の息子なのだぞ」
「でも見てくれよ! こんなおっ……胸丸出しの格好なんだぞ!?」
『いちクン、いったん胸から離れよう?』
「それがオーガの本来の姿なのだ。だがまあ、時代がそれを妨げてしまった」

 タッチしつつ、かなり気まずそうにしているワイルドな貴族をもう一度見た。
 本人はいつもの暴れる様から到底想像できないぐらい言葉を詰まらせつつ。 

「俺様はその…………家出をしていたのだ」

 不安そうに俺たちに身の上を教えてくれた。
 まさかこいつの口から「家出しました」なんて言葉が出るなんて。

「その名家のやつが家出してるっていってるぞ、どうなってんだ」
『オーガさんが家出……』
「まあ、家出……? 何があったのですか?」
「家出? なんだ、まさか貴公……勘当でもされてしまったのか?」
「あー、君たちのいうあちらの世界でもそういった複雑な家庭事情はあるようだな」

 全員の興味を向けられてオーガは困りながら「恥ずかしい話なのだが」と答え始めた。

「紆余曲折を経て父上に「戦うオーガなど時代遅れ」などと説教されてしまってな。口論になった末、殴り合いになってしまったのだ」

 家出オーガは「大丈夫?」とすり寄ってくる黒い犬を撫でている。
 父親をつい殴り倒して逃げてきたんだろうか、かなり心を痛めてそうだ。

「それでうっかりやりすぎて逃げてきちゃったと?」
「いや、殴り返されて負けたのだ。普段怠けているくせになぜ俺様よりも強いのか、いまだに理解できん。今でも悔しく思う」
「戦って負けたのかよ」
『……どれくらい強いお父さんなんだろう』

 全然違った上にもっとひどかった。
 こんな生物を殴り倒すモンスターがあっちにいるのか。

「母上は母上で俺様を過剰なほど甘やかすし、我が妹は俺様を妄信して止まないし、もうやってられんと思って家出したわけだ」

 声のトーンは明らかに今まで聞いた中で一番最悪なものだ。
 もっといえばかなり落ち込んでる。
 あの暴虐を振り向いた怪物をもっとも苦しめたのが複雑な家庭環境だったとは。

「ううむ……近頃ローゼンベルガー家で親子の間に軋轢が生じていると魔女の噂には聞いていたが、まさかここまでだったとは」

 話を聞いていたチャールトン少佐も困惑し始めている。

「むーん。やむを得ないことだとは思うのだがな、時代は変わり、戦いに明け暮れるオーガなど時代遅れになってきたことは俺様にだって分かることよ」
「貴公はまだ十七歳なのだろう、そろそろ悩みの多い時期だろうに。他人の家庭の有様に口を挟むのは無粋かもしれんが、大変だったのだな」
「…………十七歳!?」
『じゅうなな……えっ!?』

 個人的にそんな複雑な背景よりも、こいつが俺より四歳も下だってことの方がよっぽど重大な事実だと思う。

「お前が十七歳? マジで言ってんのか?」
「む、そうだが? どうかしたのか?」
「嘘だろおい……二十一だぞ俺!? こんな強い十七歳がいてたまるか!」
「フーッハッハッハ! 修業が足りんな!」
「なんのだよ」

 アレクといいなんといい、どうして俺より下のやつはこう屈強なのか。
 ともかく、一通り話し終えると。

「……それで、フロレンツィア様。アバタールの件について話したいんだ」

 きれいな姿勢で立っている、異世界からのエルフを見た。
 彼女は待ち構えていたように優しくうなずいた。

「もちろんです。貴方のその姿、その声、この状況、何か運命のようなものを感じますから」
「分かった。その前に、あんたはその……アバタールとどういう関係だった?」

 いろいろと話さないといけないが、まず関係性から確かめることにした。
 彼女は懐かしむように目を細めた。

「そうですね……僅かな間でしたが、教師と教え子という関係でした」
「生徒だったってことか?」
「はい。二十年でしたけれども、彼と過ごした時間は今でも忘れません。わたしのかわいい弟子でもあり、閉鎖的だったエルフを数多の他種族とつないでくれた唯一無二の恩人なのですから」

 ふんわりとした顔と声から想像できないぐらい強く語り始める。
 その視線は――リム様の時みたいに、俺を誰かと重ねているようだ。

「いろいろな思い出があります。共に学んだこと、三人で冒険したこと、寝床を共にしたこと、リムちゃんに我が子のように可愛がられていたこと――時が経ったというのに、つい昨日のように感じます」

 そう話すと、金髪のエルフはもやもやとしたため息をついて。

「……あなたは、アバタール君ではないのですか?」

 まるで俺がその生まれ変わりだと信じている、みたいな目を向けてきた。

「分からない。でもそれを知るためにあっちの世界に行かないとダメなんだ」

 首を横に振ってこたえた。
 少しだけ間を置いて、「そうですか」と惜しみが残る彼女の声が返ってきた。

 いよいよここにいる異世界の住人に、あのことを話さないといけない気がした。
 覚悟を決めた、エルフとウォークとオーガと、静かに耳を傾ける将軍を見て。

「オーケー、まず俺の置かれている状況についていろいろ話さないといけない。かなり複雑な話だけど、みんな聞いてくれないか?」

 そう尋ねた、拒むやつなんていなかった。

しおりを挟む
感想 456

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

こども病院の日常

moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。 18歳以下の子供が通う病院、 診療科はたくさんあります。 内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc… ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。 恋愛要素などは一切ありません。 密着病院24時!的な感じです。 人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。 ※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。 歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり

柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日―― 東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。 中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。 彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。 無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。 政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。 「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」 ただ、一人を除いて―― これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、 たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。

処理中です...