17 / 581
G.U.E.S.T-Survival Simulator
パスタアポカリプス
しおりを挟む
シェルターは相変わらずクソ寒いが。外の暑さに比べればまだマシだ。
ともあれこれでやっと食べ物にありつけるのか。
「……確か軍が使ってる糧食、だったか?」
拾ってきた戦利品をベッドの上に広げた。
記憶が正しければこの緑のパックは戦闘糧食とかいうやつだ。
死ぬほどまずいとか食べると腹壊すとか聞いたがもうなんだっていい。
頑丈そうな包装を引きちぎった。けっこう重たいが素手でさっくりと開いた。
中身をひっくり返すといろいろとあふれ出てきた。
スパゲッティ(ミートソース)と書かれたパック、ベジタブルクラッカー、チーズスプレッド、チョコケーキバー、プレッツェル、粉末コーヒー、あとは浄水タブレットやタバスコ、塩といった調味料などがある。
久々の食事にしてはいいほうじゃないだろうか?
当然、食器なんてないからそのまま食べなきゃいけないわけだが。
「別にいいさ、どうせ俺一人だ」
冷え切った部屋の中でクラッカーのパックを開封した。
十字の切れ目が入った大きな正方形が何枚か入っている。
端っこにかじりついてみると……ぱさぱさでベジタブル要素なしの味がした。
次はこの事実上プレーンのクラッカーに使えとばかりのチーズスプレッドだ。
パックを裂いてみると刺激を感じる塩辛いチーズ臭がする――少し抵抗感がわいた。
「まあ食ったって死にやしないだろ……」
中身を絞り出すとオレンジ色の固形物がにゅるっと出てくる。
見た目がすごくアレだが、食べてみるとちゃんとチーズのような何かだった。
塩味もしっかりしてて意外とうまい、ボリュームも増すしちゃんとしたチーズの味もする、ただやっぱり喉が渇く。
「……脱水症状で死なないよな?」
さあ、メインディッシュといこう――スパゲッティのパックを開封した。
赤いドロドロの中でミミズの死骸みたいなものが中でいっぱいおぼれてる。
「…………」
パックをそっと閉じた。
自分の目がまだ正常なら冷たいパックの中で地獄を垣間見た。
地獄の住人が解き放たれないようしっかり閉じてこの世の平穏を祈った。
……さっきのは気のせいだよな、きっとそうに違いない。
そう思ってもう一度パックを開いた。
世紀末にふさわしいこの世の終わりみたいな麺料理が見える。
もしこいつに名前を付ける権利が与えられたら、迷うことなく「黙示録の後のパスタ」と素晴らしい名を授けようと思う。
じゃねえよ、なんだよこれ。
三度見して、備え付けの先割れスプーンを突っ込んでみた。
べっとりとした赤いソースにちぎれた太麺が混ざってる。
不思議とトマトの香りがするし、細かい肉片も入ってるみたいだが。
「嘘だろ…………」
一目見て口から出たのは絶望のものだったのは言うまでもない。
しかもかき混ぜたときの感触もやばい。
粘土のようにもったりとしたソースの中でぶよぶよの麺がぶちっと切れるのだ。
ええい、どうせくたばっても生き返るんだ食ってやる!
食べたら死ぬだろこれとか思いつつ一口だけかっこんだ。
「……………ん、んふっ」
いったいどうしてスパゲッティを食べて口の中の水分が奪われるのか。
麺が茹で時間盛大にミスったみたいになんかもちもちしてる。
そのくせソースは濃くてただ酸っぱくて塩辛くて油っこい。
オーケーもうやめよう、これ以上考えても先へは進めない。
「そりゃ殺意も抱くわちくしょう!!」
あの紙に書かれてることがこうしてよくわかった。
もう自らの命を投げ捨てるぐらいの覚悟でMREをかっ食らった。
ねちゃっとしたスパゲッティとクラッカーを食べきったところでひどい胸やけを覚えて、俺は寝込んだ。
誓おう、こんなもん二度と食わない。
◇
ともあれこれでやっと食べ物にありつけるのか。
「……確か軍が使ってる糧食、だったか?」
拾ってきた戦利品をベッドの上に広げた。
記憶が正しければこの緑のパックは戦闘糧食とかいうやつだ。
死ぬほどまずいとか食べると腹壊すとか聞いたがもうなんだっていい。
頑丈そうな包装を引きちぎった。けっこう重たいが素手でさっくりと開いた。
中身をひっくり返すといろいろとあふれ出てきた。
スパゲッティ(ミートソース)と書かれたパック、ベジタブルクラッカー、チーズスプレッド、チョコケーキバー、プレッツェル、粉末コーヒー、あとは浄水タブレットやタバスコ、塩といった調味料などがある。
久々の食事にしてはいいほうじゃないだろうか?
当然、食器なんてないからそのまま食べなきゃいけないわけだが。
「別にいいさ、どうせ俺一人だ」
冷え切った部屋の中でクラッカーのパックを開封した。
十字の切れ目が入った大きな正方形が何枚か入っている。
端っこにかじりついてみると……ぱさぱさでベジタブル要素なしの味がした。
次はこの事実上プレーンのクラッカーに使えとばかりのチーズスプレッドだ。
パックを裂いてみると刺激を感じる塩辛いチーズ臭がする――少し抵抗感がわいた。
「まあ食ったって死にやしないだろ……」
中身を絞り出すとオレンジ色の固形物がにゅるっと出てくる。
見た目がすごくアレだが、食べてみるとちゃんとチーズのような何かだった。
塩味もしっかりしてて意外とうまい、ボリュームも増すしちゃんとしたチーズの味もする、ただやっぱり喉が渇く。
「……脱水症状で死なないよな?」
さあ、メインディッシュといこう――スパゲッティのパックを開封した。
赤いドロドロの中でミミズの死骸みたいなものが中でいっぱいおぼれてる。
「…………」
パックをそっと閉じた。
自分の目がまだ正常なら冷たいパックの中で地獄を垣間見た。
地獄の住人が解き放たれないようしっかり閉じてこの世の平穏を祈った。
……さっきのは気のせいだよな、きっとそうに違いない。
そう思ってもう一度パックを開いた。
世紀末にふさわしいこの世の終わりみたいな麺料理が見える。
もしこいつに名前を付ける権利が与えられたら、迷うことなく「黙示録の後のパスタ」と素晴らしい名を授けようと思う。
じゃねえよ、なんだよこれ。
三度見して、備え付けの先割れスプーンを突っ込んでみた。
べっとりとした赤いソースにちぎれた太麺が混ざってる。
不思議とトマトの香りがするし、細かい肉片も入ってるみたいだが。
「嘘だろ…………」
一目見て口から出たのは絶望のものだったのは言うまでもない。
しかもかき混ぜたときの感触もやばい。
粘土のようにもったりとしたソースの中でぶよぶよの麺がぶちっと切れるのだ。
ええい、どうせくたばっても生き返るんだ食ってやる!
食べたら死ぬだろこれとか思いつつ一口だけかっこんだ。
「……………ん、んふっ」
いったいどうしてスパゲッティを食べて口の中の水分が奪われるのか。
麺が茹で時間盛大にミスったみたいになんかもちもちしてる。
そのくせソースは濃くてただ酸っぱくて塩辛くて油っこい。
オーケーもうやめよう、これ以上考えても先へは進めない。
「そりゃ殺意も抱くわちくしょう!!」
あの紙に書かれてることがこうしてよくわかった。
もう自らの命を投げ捨てるぐらいの覚悟でMREをかっ食らった。
ねちゃっとしたスパゲッティとクラッカーを食べきったところでひどい胸やけを覚えて、俺は寝込んだ。
誓おう、こんなもん二度と食わない。
◇
27
お気に入りに追加
152
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり
柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日――
東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。
中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。
彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。
無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。
政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。
「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」
ただ、一人を除いて――
これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、
たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
うちの冷蔵庫がダンジョンになった
空志戸レミ
ファンタジー
一二三大賞3:コミカライズ賞受賞
ある日の事、突然世界中にモンスターの跋扈するダンジョンが現れたことで人々は戦慄。
そんななかしがないサラリーマンの住むアパートに置かれた古びた2ドア冷蔵庫もまた、なぜかダンジョンと繋がってしまう。部屋の借主である男は酷く困惑しつつもその魔性に惹かれ、このひとりしか知らないダンジョンの攻略に乗り出すのだった…。
関白の息子!
アイム
SF
天下一の出世人、豊臣秀吉の子―豊臣秀頼。
それが俺だ。
産まれて直ぐに父上(豊臣秀吉)が母上(茶々)に覆いかぶさり、アンアンしているのを見たショックで、なんと前世の記憶(平成の日本)を取り戻してしまった!
関白の息子である俺は、なんでもかんでもやりたい放題。
絶世の美少女・千姫とのラブラブイチャイチャや、大阪城ハーレム化計画など、全ては思い通り!
でも、忘れてはいけない。
その日は確実に近づいているのだから。
※こちらはR18作品になります。18歳未満の方は「小説家になろう」投稿中の全年齢対応版「だって天下人だもん! ー豊臣秀頼の世界征服ー」をご覧ください。
大分歴史改変が進んでおります。
苦手な方は読まれないことをお勧めします。
特に中国・韓国に思い入れのある方はご遠慮ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる