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G.U.E.S.T-Survival Simulator
Begin Again【挿絵追加】
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ぼんやりと目が覚めた。まぶたがダクトテープでふさがれたように重い。
まずは鼻で大きく呼吸をして――妙だ、いつもと違う部屋の匂いがする。
「……んあ」
ぐっすり眠った気分だ。
ああ、そうだ、確か新作ネトゲをやろうとして……。
「……ベッド?」
見慣れないメタリックな天井が見えた。
ベッドの上で寝転んでるようだ、無意識のうちに移動してしまったんだろうか。
「やべー、寝ちまった……」
俺はあくびと背伸びをセットに身体をむくりと起こした。
そして最初に目に入ったのは完全に知らない誰かの部屋だ。
周りには壁掛け棚やロッカー、果てには冷蔵庫まで置いてある。
「……いや、どこだここ!?」
少し遅れたがさすがに飛び起きた。
やっと状況が認識できた、ここは飾り気のない知らない部屋だ。
見慣れたパソコンも、単眼少女が飾られた棚も、外を眺めるための窓もない。
というか足元に服や本が散らばっていてぐっちゃぐちゃだ。
ついさっきまで泥棒でもいたんじゃないかと思うほど散らかってる。
「どうなってんだ……?」
部屋に質問したって返答が返ってくるわけでもないか。
考えを軽く巡らせた結果、浅い睡眠による深い夢だと決定した。
つまり二度寝してさっさと現実世界で目覚めようってわけだが。
【ハーバー・シェルター居住者に告ぐ! シェルター内にアルテリー・クランが侵入中! 全居住者は警備兵に従ってすみやかに退避せよ!】
リラックスしようとしたところにいきなり大音量の放送がぶちまけられる。
脳にびりびり響くけど負けるものか、寝る。
【繰り返す! シェルター内部に侵入者……なっ!? お、おい、どうしたんだ? そんなもんこっちに向け――】
ところがスピーカー越しにばんっ、ともずんっ、とも判断しがたい派手な音がした。
やかましい放送はそれっきり何も言わなくなったみたいだ。
同時に俺は「やっぱこれ夢じゃ無くね?」とか感じ始める。
よーし、ちょっと状況整理だ。それと無性に喉がかわいた。
まず勇気を出して立ち上がった。
見知らぬ部屋にあるどこの馬の骨かもわからぬ冷蔵庫に近づいてみた。
瓶タイプの飲み物ばかりが詰め込んである。たぶん炭酸系だと思う。
どれも良く冷えてる。
それに一本ぐらいなくなっても気づけなさそうなぐらいある。
……本当に夢かどうか確かめてみるか。
そう誰かに納得させて、こそこそとひんやりとしたコーラみたいなのを掴んだ。
冷蔵庫に使ってくださいとばかりに栓抜きがくっついていたので拝借。
なるべく音を立てないように開けると――なんだか薬臭い、というか。
【ドクターソーダ】
触れたらまるでアイテム名です、とばかりに名前が表示されてる。
オーケー、よくわかった、これは確実に夢なんだな。
そうと分かれば怖いものはない。いただきます。
「……っ、ぷはっ!」
炭酸系だ。それに薬臭いというか杏みたいな風味というか。
酸味があって炭酸も控えめでまあ何が言いたいかっていうと結構いける。
ぴりぴりとした炭酸の辛さが糖分と一緒に身体を駆け巡る感覚がする。
……いやまずい。いや、そっちのまずいじゃなくて、これ夢じゃなくね?
まずはどんな状況に置かれているのか考えよう。
確か新作ネトゲのスタートを待ってたわけだが、急に眠くなったのは覚えてる。
そういえばアイツからもらった世紀末ゲーも一緒に起動してたな。
そうだアイツは? タカアキはどうした?
考えを巡らせつつ、もう一口飲もうとして――
『おい、まだ中に誰かいるのか!?』
夢とは思えぬ感覚に嫌な予感を感じたところでいきなり声がした。むせた。
見回すと部屋の中にやたらと大きな扉があって、その向こうからだ。
「すっすいません喉が渇いててつい!」
どうしようか悩んで、とりあえず扉越しに謝罪した。
機械的な金属製の扉だ。いかにも開閉に使いそうなボタンが横にある。
『喉が渇いた!? それどころじゃないんだ! 早くここから避難しろ!』
「は、はい! 今開けるんでちょっと待っててください!」
とりあえずボタンをぶっ叩いたらしゅーっと音を立ててドアが持ち上がった。
その向こう側では見知らぬ外国人が立っている。誰だお前。
「あいつらがすぐそこまできてるぞ! 悠長にやってないで早く――」
白人だ。そいつはとても短い金髪で、軽薄さのある厳つい顔つきである。
ほかの特徴は額の横側にライフル弾のタトゥーが刻んであるぐらいか。
格好も妙だ、真っ黒な作業着みたいな服とブーツの組み合わせだ。
しかもどう見ても銃としか思えないものを手にしてる。
「ってお前……さっきトイレに行って来るって言って出てこなかったか!?」
ところが相手はびっくりした様子でそう尋ねてきた。わけわからん。
それになんだその格好は、作業着みたいなの着やがって。
「……なにその格好」
しかしうっかり思ったことを口にしてしまった。
当たり前だけど相手は「は?」って感じで困惑してる、俺の馬鹿野郎。
「なにって……ジャンプスーツだろ? っていうかお前も着てるだろ?」
「……は?」
言われて自分を確かめてみると、なんだか全身が包まれてる気がした。
視線を動かしてみると相手と同じものを着ていて、黒いブーツもしっかり履いてた。
ていうかなんで俺、室内で靴履いてんだ?
「うわっなんで部屋の中で靴なんて履いてんだ俺!?」
「おっおいマジでどうした!? なに靴脱ぎだしてるんだ! 落ち着け!」
慌てて靴を脱ごうとすると肩を掴まれてしまった。
まずい、感触がマジだ、これ夢じゃないのか。
「くそっ……とにかく良く聞け! クソカルトどもがすぐそこまで攻め込んできてる、このままだと皆殺しにされる、だから俺についてこい! いいな?」
クソカルト? 皆殺し? 一体こいつは何を言ってるんだ?
いろいろ問い詰めようとしたものの、目の前の男は部屋から出てしまう。
「早くこい、ぶっ殺される前に逃げるぞ! PDAはもったな!?」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。すぐ行く!」
何一つ状況が分からないまま、けっきょく室外へ飛び出すことにした。
慣れないジャンプスーツのポケットを探ってみると、指先に何かが当たった。
「……なんだこれ?」
つまんで引っこ抜くと大きめのスマホみたいなものが出てくる。
やや無骨で、ダークグレー色の長方形をした何かの機械だ。
触って確かめると画面の中で何かの通知がきていることが分かって。
【P-DIY1500】
同時に視界の中で電子的なウィンドウみたいなのが浮かんだ気がした。
おそらくはこいつの名前、なんだと思う。
「……クソ! 一体どうなってんだよ!」
よく分からないが今はこの銃を持った男にあわせるしかない。
部屋の外にはどこへ続くかわからない通路がずっと遠くまで続いている。
まずは鼻で大きく呼吸をして――妙だ、いつもと違う部屋の匂いがする。
「……んあ」
ぐっすり眠った気分だ。
ああ、そうだ、確か新作ネトゲをやろうとして……。
「……ベッド?」
見慣れないメタリックな天井が見えた。
ベッドの上で寝転んでるようだ、無意識のうちに移動してしまったんだろうか。
「やべー、寝ちまった……」
俺はあくびと背伸びをセットに身体をむくりと起こした。
そして最初に目に入ったのは完全に知らない誰かの部屋だ。
周りには壁掛け棚やロッカー、果てには冷蔵庫まで置いてある。
「……いや、どこだここ!?」
少し遅れたがさすがに飛び起きた。
やっと状況が認識できた、ここは飾り気のない知らない部屋だ。
見慣れたパソコンも、単眼少女が飾られた棚も、外を眺めるための窓もない。
というか足元に服や本が散らばっていてぐっちゃぐちゃだ。
ついさっきまで泥棒でもいたんじゃないかと思うほど散らかってる。
「どうなってんだ……?」
部屋に質問したって返答が返ってくるわけでもないか。
考えを軽く巡らせた結果、浅い睡眠による深い夢だと決定した。
つまり二度寝してさっさと現実世界で目覚めようってわけだが。
【ハーバー・シェルター居住者に告ぐ! シェルター内にアルテリー・クランが侵入中! 全居住者は警備兵に従ってすみやかに退避せよ!】
リラックスしようとしたところにいきなり大音量の放送がぶちまけられる。
脳にびりびり響くけど負けるものか、寝る。
【繰り返す! シェルター内部に侵入者……なっ!? お、おい、どうしたんだ? そんなもんこっちに向け――】
ところがスピーカー越しにばんっ、ともずんっ、とも判断しがたい派手な音がした。
やかましい放送はそれっきり何も言わなくなったみたいだ。
同時に俺は「やっぱこれ夢じゃ無くね?」とか感じ始める。
よーし、ちょっと状況整理だ。それと無性に喉がかわいた。
まず勇気を出して立ち上がった。
見知らぬ部屋にあるどこの馬の骨かもわからぬ冷蔵庫に近づいてみた。
瓶タイプの飲み物ばかりが詰め込んである。たぶん炭酸系だと思う。
どれも良く冷えてる。
それに一本ぐらいなくなっても気づけなさそうなぐらいある。
……本当に夢かどうか確かめてみるか。
そう誰かに納得させて、こそこそとひんやりとしたコーラみたいなのを掴んだ。
冷蔵庫に使ってくださいとばかりに栓抜きがくっついていたので拝借。
なるべく音を立てないように開けると――なんだか薬臭い、というか。
【ドクターソーダ】
触れたらまるでアイテム名です、とばかりに名前が表示されてる。
オーケー、よくわかった、これは確実に夢なんだな。
そうと分かれば怖いものはない。いただきます。
「……っ、ぷはっ!」
炭酸系だ。それに薬臭いというか杏みたいな風味というか。
酸味があって炭酸も控えめでまあ何が言いたいかっていうと結構いける。
ぴりぴりとした炭酸の辛さが糖分と一緒に身体を駆け巡る感覚がする。
……いやまずい。いや、そっちのまずいじゃなくて、これ夢じゃなくね?
まずはどんな状況に置かれているのか考えよう。
確か新作ネトゲのスタートを待ってたわけだが、急に眠くなったのは覚えてる。
そういえばアイツからもらった世紀末ゲーも一緒に起動してたな。
そうだアイツは? タカアキはどうした?
考えを巡らせつつ、もう一口飲もうとして――
『おい、まだ中に誰かいるのか!?』
夢とは思えぬ感覚に嫌な予感を感じたところでいきなり声がした。むせた。
見回すと部屋の中にやたらと大きな扉があって、その向こうからだ。
「すっすいません喉が渇いててつい!」
どうしようか悩んで、とりあえず扉越しに謝罪した。
機械的な金属製の扉だ。いかにも開閉に使いそうなボタンが横にある。
『喉が渇いた!? それどころじゃないんだ! 早くここから避難しろ!』
「は、はい! 今開けるんでちょっと待っててください!」
とりあえずボタンをぶっ叩いたらしゅーっと音を立ててドアが持ち上がった。
その向こう側では見知らぬ外国人が立っている。誰だお前。
「あいつらがすぐそこまできてるぞ! 悠長にやってないで早く――」
白人だ。そいつはとても短い金髪で、軽薄さのある厳つい顔つきである。
ほかの特徴は額の横側にライフル弾のタトゥーが刻んであるぐらいか。
格好も妙だ、真っ黒な作業着みたいな服とブーツの組み合わせだ。
しかもどう見ても銃としか思えないものを手にしてる。
「ってお前……さっきトイレに行って来るって言って出てこなかったか!?」
ところが相手はびっくりした様子でそう尋ねてきた。わけわからん。
それになんだその格好は、作業着みたいなの着やがって。
「……なにその格好」
しかしうっかり思ったことを口にしてしまった。
当たり前だけど相手は「は?」って感じで困惑してる、俺の馬鹿野郎。
「なにって……ジャンプスーツだろ? っていうかお前も着てるだろ?」
「……は?」
言われて自分を確かめてみると、なんだか全身が包まれてる気がした。
視線を動かしてみると相手と同じものを着ていて、黒いブーツもしっかり履いてた。
ていうかなんで俺、室内で靴履いてんだ?
「うわっなんで部屋の中で靴なんて履いてんだ俺!?」
「おっおいマジでどうした!? なに靴脱ぎだしてるんだ! 落ち着け!」
慌てて靴を脱ごうとすると肩を掴まれてしまった。
まずい、感触がマジだ、これ夢じゃないのか。
「くそっ……とにかく良く聞け! クソカルトどもがすぐそこまで攻め込んできてる、このままだと皆殺しにされる、だから俺についてこい! いいな?」
クソカルト? 皆殺し? 一体こいつは何を言ってるんだ?
いろいろ問い詰めようとしたものの、目の前の男は部屋から出てしまう。
「早くこい、ぶっ殺される前に逃げるぞ! PDAはもったな!?」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。すぐ行く!」
何一つ状況が分からないまま、けっきょく室外へ飛び出すことにした。
慣れないジャンプスーツのポケットを探ってみると、指先に何かが当たった。
「……なんだこれ?」
つまんで引っこ抜くと大きめのスマホみたいなものが出てくる。
やや無骨で、ダークグレー色の長方形をした何かの機械だ。
触って確かめると画面の中で何かの通知がきていることが分かって。
【P-DIY1500】
同時に視界の中で電子的なウィンドウみたいなのが浮かんだ気がした。
おそらくはこいつの名前、なんだと思う。
「……クソ! 一体どうなってんだよ!」
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