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転校生#2

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僕の家のメイドとなった江藤メイさん。
彼女の話によると、メイドになったのは父さんのスカウトによるものだった。ネットで募集を掛けるなり、希望の人を集めて選抜したらいいものだと思うが、なんで特命でなんだ?信用に値する人物だったから、何だろーけど...

食事中に持っている箸の先をボーっと見つめたり、休日にバラエティー番組を見ていたら急にラジオ体操を踊りだすとか元から何を考えているのかわからない人だったから、今更驚くことじゃないし、考えてもあの人の考えは読めないのは割り切っている。
それでも、疑問は僕の頭から離れなかった。

それに、朝起きたらメイド、それも一級美女がいたなんて、どんなご褒美だよ。じゃなくて、驚愕ものだ。
本気で家を間違えたかと思ってしまったんだから。

朝から、メイさんには振り回せれてばかりいる気がする。
そして、僕は再び机に顔を張り付ける。

その時、また教室中が騒めきだす。
「おーい、彼氏さん。彼女のからの呼び出しですぜ。」

そう健二が煽るような口調で言ったのを聞いた瞬間、事態を察する。
「またか...」

廊下側を見ると、予想通りメイさんが戻ってきてこちらを覗いている。
放っておこうと考えたが、このままだと変な奴が現れるかもしれない。いや、もう手遅れか。
それに、あの今にも泣きそうな表情を見ると放っておくにはいかない。

「どうしたのメイさん?」

「あの、更衣室ってどこにありますか?さっき、ここのい生徒指導の先生に見つかってしまい今すぐ着替えるように言われてしまって。」

「なるほどね、分かったよ。なら、教えてあげるからついてきて。」

「はい、お願いします。シュウジ様。さすが私のご主人様です!」

その一言で僕はクラスの陰で、「ドSの主人」と名付けられたのであった。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「おっ、帰ってきた!」

「はぁーあ、ひどい目にあった。」

時刻は11時30分、僕はやっとの思いで教室へ戻ってきた。

決してサボっていたということはない。これには、事情があるのだ。
事は3時間前。メイさんを着替えさせようと、女子更衣室まで連れていったのだがメイさん一人を置いて教室に戻るのも気が引けたため、女子更衣室の扉の前で待っていた。

その時ちょうどそこへ教室へ向かう先生と鉢合わせて何やら僕がいやらしいことを考えていたと勘違いした先生に、
「ちょっと、シュウジ君。職員室に来なさい。」
と、連行されたのだ。

「でっ?誤解は解けたのか?」

「あー、何とかな。そんなことよりだ。メイさんは自分の学校についたのか心配だ。怒られずに済んだのかどうか...」

メイさんは僕の弁当を届けるためにここまで来たんだ。自分のせいで...そう考えると罪悪感を感じる。
そんなモヤモヤしている時、健二はふと思い出したように手を合わせて音を鳴らす。

「そういえば、そのメイさん?っていう子なんだけどよ。そこにいるぜ?」

「そこって?」

僕は、またこっちのクラスに来たのかと廊下側を見てみるがそこには、むさ苦しい男集団だけで、そこにはいなかった。僕は、再度健二の方を見てみるとこっちに指をさしていた。
一瞬、何こっち指してんだよ。と、ツッコみたくなったが別に僕の方をさしているわけでは無いとすぐに理解して、指先の直線状を目で追っていくと、そこには顔を横に置き、寝ているメイさんがいた。

「げっ、なんでこんなところに!?」

「ん?知らなかったのか?江藤メイさん。今日からうちの高校に通うことになった転校生だ。」

「なるほど、あの時の、またあとでっていうセリフはこういうことだったか。」

「...あれ?驚かないのか?」

「もう、朝からメイさんに振り回されっぱなしなんだ。もう反応するのも疲れた...でもよかったよ。ちゃんと制服に着替えてくれてるし。」

シュウジは冷静に対応するが、内心驚いていた。だけど、それ以上に疲労がたまっていたのだ。
それに、ぐっすり眠ってるのに大声で驚いて起こしてしまっても可哀そうだと思い冷静な対応で済ませる。

今思い返せば、朝食は栄養バランスを考えられていて、量の昼までお腹が持つように多く作られていた。多分だけど、アルバイトの初日だからといって気合を入れて作ったんだろう。
それに、6時にはもう朝食ができているということは起きたのは5時くらいといったところか。
そんな早くに起きたんだ。眠いに決まっている。

学校にメイド服を着たり、周りに人がいるのに勘違いをされる発言をしたりで常識というものが抜けている部分はあるが、メイドとしてみるなら完璧だ。
それに、寝顔も...いかんいかん。これじゃあ、変態だ。変な目で見られる前にさっさと前を向いておこう。そう思い、前を向けばケンジの、にやけ切った顔があったから一発殴っておいた。
「ふんっ!」
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