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転校生#1

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「よっ!シュウジ。今日もお疲れの顔だな。」

「まぁーな、もう頭働かないし、動くのもしんどいから休もうかと思ったよ。」
教室に入り、自分の席へ着くとすぐに机に顔をつける僕の様子を見て、親友の健二は声をかけてくる。
勉強に関しては、テストで毎回何かしら赤点をとっているような奴だが、スポーツ万能で部活のキャプテンをするほどの実力の持ち主だ。要するに、陽キャという部類の僕とは対照的な奴なのだ。

スポーツができて、僕のような奴としゃべるコミュ力があれば女子にモテていそうなものだが、勉強ができないという欠点とそれ以外のもう一つの欠点により、モテ要素をすべて台無しにしている。

その欠点というものは...

「シュウジ。そんな冗談やめてくれよ。お前がいなきゃ、お前がいなきゃ...俺、生きていけねーよ。相馬...」
そう、これが健二の欠点だ。
冗談で言ってるのだろうけど、このセリフでモテ要素をすべて台無しにしてしまっている。
一部の女子にウケているののもまた事実なのだが。

「ほんと健二って残念だよなぁ。」

「おいおい、それってどういうことだよ。んっ?...」
この時、急にケンジの視線が廊下側に向く。何かと思い、僕も振り向こうとしたら健二が質問してきた。
「シュウジって、最近彼女とかできた?...いや、すまない。対女子コミュ症の相馬が、できるはずがないんだけど。」

「あんっ?今のとこは聞かなかったことにしてやろう。だけど、否定することができないっていうのは複雑だな。はぁあ、はいはい、いませんよ。当たりでございます。」

「やっぱりか。じゃあ、あのかわいい子何者?」

健二が指と視線で指す方向を見てみる。
そこには、教室のドアから顔を覗かせてキョロキョロしているメイさんがいた。
「うちのメイドですね。」

恥ずかしい。今、親が授業をみにくる参観日の時のような、恥ずかしい気持ちだ。
どうして、メイさんが学校に?そう思ったが、よく見るとメイさんの服装はメイド服。まずはあの格好をどうにかすることが先決だと判断し、僕は一旦、席を立ちメイさんのもとへ近づいた。

「メイさん、どうしたの?それにその服...」

「あ、これ。シュウジ様、弁当忘れてしまってましたよ?」
手提げから弁当箱を取り出し、僕の手元に置く。
「それで、この服についてですが着替えようと思ってたんですけど時間がなかったんです。なので、届けてから着替えようと思って。」

「そっか。ごめんありがとう。とりあえず、先生来ちゃったら色々とめんどくさいことになるだろうから早く学校から出た方がいいよ。メイさんも学校あるんだろ?」

「まぁあそうですね。では、またあとで。」

メイさんが階段を下りていくのを見送った後、自分の教室へ戻った。
もちろん、みんなの視線はこちらに集中している。
妬んでいるような視線を送るような奴もいれば、なにか誤解をしている奴、耳打ちで話している奴もいた。何を言っているのかは聞こえなかったが、僕のことだとすぐに分かったのだった。
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