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九の三
戦闘
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流れる空気が変わったことに気付き、北斗は不信感とともに外へと視線を向け、驚いたように目を見開いた。
普通の人間には、別段変わった様子は見受けられないだろう。だが、北斗の眼にははっきりと時計塔の周囲の結界が濃密なものに変わっていることを見抜いていた。
「まさか……」
昇魔の動きはここ最近おとなしいものだった。だがここに来てこうも活発化しているのはなぜか。
一気に片をつけるつもりか。
そう結論づけると、北斗は校内にいるであろう亜里沙の気配を探る。
けれどもいっこうに亜里沙の気配は見つからず、代わりに時計塔周辺でぶつりとその気が消されていることに気付いた。
小さく舌打ちが漏れる。
結界に飲み込まれたのはこれで分かった。だが、何故そうなったのかを考え、浮かんだ予想に再度舌打ちを漏らした。
「あれだけ注意しとけっつうたろうが、あの馬鹿」
深田水鳥をエサに使われれば、亜里沙自身が動くしかない。自分に相談ぐらいしろと言いたいが、その暇すらも与えられずに結界に閉じ込められたとすれば、これ以上危険かつ厄介極まりないことはない。
無事ならばよいが、最悪の結果も考慮しなくてはならない事態に、北斗の歩調は駆け足と何らさして変わらない速度にまで上がっていた。
薄暗くなった空は逢魔が時と言うに相応しい色を帯び、幾分か北斗の顔に感を強くさせる。
「やべぇな」
闇は、昇魔にとっての活動時間だ。
陰と陽の区別が曖昧なこの時間から日が昇るまで、昇魔の力は昼間よりも増し、その妖気も強大なものとなる。
左手に陽炎を出現させた北斗は、目の前に広がる結界の一部を切り裂いた。
うわぁん、という奇妙な音を立て、ほんの数瞬、けれども北斗にとっては十分な時間、結界が開き、そのままその中を突っ切るように北斗は走り込んだ。
「っ」
一瞬だが、北斗の呼吸が止まる。
結界の内部は思った以上に瘴気が強く、それ故に亜里沙が動かざる得なかったのかと納得もする。それと同時に、その身体を続々と表す昇魔達の姿に、新人一人でこの事態が好転するわけはないと悪態混じりにそう考えてしまった。
「雑魚ばっか用意しやがって」
陽炎が一閃するや、ぼたりと胴体を引き裂かれた昇魔が大地に転がる。
殺気立つ昇魔達の奥に、時計塔の扉がある。その先からは、確かに亜里沙の気配を感じ取り、北斗は内心でほっと息をついた。
とりあえずは、まだ生きているようだ。それだけ分かれば御の字というもの。
とはいえ、急いで亜里沙と合流しなくてはならないのは、当たり前と言えば当たり前の事だろう。
目の前には溢れんばかりの昇魔の群れがひろがり、北斗は辟易したようにと息をこぼした。
「まぁ、これも仕事の内だしな」
安月給―一般的に見れば高給としかいえない値段ではあるのは間違いないが―の身で、何故こんな危険なことをしなくてはならないのだ、と、愚痴めいた言葉が頭の中で浮かぶが、そんなことを考えたところで現実が変わるわけもない。小さく舌を打ち付けながら、北斗は眼前の光景など見えていないかのような歩調で歩き出す。
一瞬怯んだかに見えた昇魔達だが、すぐにそれを攻撃のための力とし、一斉に北斗に襲いかかった。
冷めた目線で昇魔を眺めながら、北斗は無造作に陽炎を振るう。まるで舞うように銀色の軌跡が空を描き、それと同時に昇魔達が次々に大地に転がってく。不気味な色合いの血潮が大地に広がるが、それはしゅうしゅうと音を立てて大地に染み込むことなく蒸発し続ける。
異臭と異音とともに時計塔に近づいた北斗が、勢いよく重い扉を蹴り開けた。
「亜里沙!」
その声に、荒く肩で息をつく亜里沙がそちらに視線を向ける。
力を少しでも温存するために姿を元に戻している亜里沙の姿を見、北斗は僅かに眉間にしわを寄せた。
制服のあちこちが裂け、そこから薄く血が滲んでいる。髪もほつれ、返り血を浴びた箇所は軽い火傷の跡を残しながらも、傷の再生が始まっている事を確認すると、北斗は亜里沙との距離を縮める。
「で?」
数歩分の距離を置いて背中合わせとなった北斗が、冷ややかな口調で亜里沙に尋ねた。
びくり、と、亜里沙の肩が跳ね上がる。それをちらりと背中越しに見た北斗は、説明など求めていないという空気を向け、そのまま眼前の敵をにらみ据える。
その雰囲気を肌で感じ取り、亜里沙は数度唇を開閉させた後、意を決したように言葉を紡いだ。
「あたしのミスよ」
「そうだな」
簡潔にそう答え、北斗は小さく唇の端をつり上げる。
自分で理解できているのならば、こちらが強く言う必要はない。もしもその判断がつかないようならば、使い道はなかったと報告すればよいだけだが、きちんと自己判断が出来るならば、上にそう報告して今回限りの相棒として手を切ればよいだけだ。
「時計塔に近づいたのは、本人か?」
「そうよ。掃除当番だったから、そのせいで」
「何故言わなかった」
「……近づいたといっても、時計塔の中に入るとは思って」
「なかったとしても、忠告はしておくべきだたっだろう」
その言葉に黙り込み、亜里沙はきゅっと拳を握りしめた。それに小さく息を吐き出し、北斗は気持ちを切り替えさせるために幾分拡張を柔らかくして話しかけた。
「まぁ、今までよくやったな」
「え?」
驚いたように亜里沙が振り向く。その隙を逃さず、昇魔の一匹が突進してくる。
トン、と亜里沙の肩を押し、北斗がそれを何となく切り捨てた。
「何呆けてる。敵はまだいるんだぞ」
「あ、うん」
慌てて正面に向き合い、亜里沙は翠刃光鞭を振るう。輝く鞭は昇魔を切り裂き、時には締め付けるために絡め取りその息を奪っていく。
北斗もまた数匹ほど固まって襲い来る昇魔を難なく切り裂く。それとなくではあるが、背後の亜里沙と息が合いつつあるのを感じ、北斗は苦い溜息を吐き出した。
まるでいくつもの修羅場を潜り抜けた者達同士のように、二人の呼吸は合わさり、互いの行動を邪魔することなく、そして、的確にほしい位置に手助けをしてくる。
この調子では、しばらくの間はこのコンビを組まされるのではという予感がひしひしとする。ただでさえ、北斗はパートナーに求める条件が厳しい。それ故に今まで相棒となった者達は、長続きせずに上に嘆願するか、局長の命令と言う形で外されてきたのだ。
それ故に、北斗が信頼記できるものは手の中にある陽炎のみだった。
ただの新人だからなのか。それとも、亜里沙が自分自身が気付かぬうちにその隙間に入り込んだのか。
どちらかが分からず、北斗はそれでも眼前の敵を排除するべく使い慣れすぎた陽炎を振るう。
それにしても、と、内心で独りごちる。
無表情故に分かりづらいが、亜里沙なりに北斗を信頼しているだろう。初めての昇魔退治だというのに、その動きには北斗をカバーすることを第一優先においた動きであり、自分の力量をきちんとわきまえて仕事をこなしている。
―普通は、もっとがちがちなんだがな。
まだ昇魔退治になれていない者は、どうしてもその動きが単調になり、敵にその動きを読まれやすくなる。だが、亜里沙はその点を難なくクリアーし、敵に攻め入る隙を与えずに黙々と昇魔達を倒している。
本当に初仕事か、と疑いたくなるが、今までのことを振り返れば新人らしいミスを何度も犯してはいる。もっとも、自分を信用して―それが表に出ることはないのだが―くれることは、今の時点ではありがたいの一言に尽きるだろう。
初仕事という大任と未経験から来る動きとしては、上出来といえるだろう。それに、亜里沙が他人を信頼していないことは、表に出していることはないが、長年の経験で北斗はすぐに気が付いた。
警戒のレベルを少しずつ取り除いた結果なのだろうか。北斗も亜里沙も、次の行動がどうすればいいのかなど、いちいち確認せずともに分かっている。
少しずつ、昇魔達の数が減り、代わりに昇魔達に焦燥と狼狽が表れてくる。
上階に行くために螺旋階段を上りながら、北斗と亜里沙は攻撃の手が鋭くなった昇魔達に苦戦することなく突き進んだ。
やがて、大きな鉄の扉にたどり着くと、昇魔達が恐れたように二人から離れる。
ここが、出口だ。
一瞬だけ亜里沙に視線を向けると、亜里沙は小さく頷きをを見せてちらりと眼下に群がる昇魔達を見やった。
仕掛ける気配どころか、慌てふためいたような昇魔達の行動に疑問を持ったのだようだが、それを尋ねることなく亜里沙は沈黙したまま北斗と背中合わせの形でその場に佇む。
ドアノブに手をかけ、北斗は少しばかり力を入れてそれを中に押し入れる。
軋むような音を立てて扉が開く。
カビ臭い臭いが鼻を通り抜け、歩くたびに巻き上がる埃が喉に絡みついた。
二人ともに警戒しながら中に入り、北斗は眼を細めて中を見回しながら陽炎を隙なく構えた。
先ほどよりも瘴気が強いのは、ここにいるのは間違いなく外にいる雑魚どもとはレベルが違うからだ。あちこちから向けられる殺気に肌を焦がしながら、北斗の口の端が小さくつり上がった。
―無駄なことを。
本当に、無駄なことでしかないと言うのに、何故そこまでするのか。
馬鹿馬鹿しい疑問は頭の隅へと押しやり、北斗はくつりと喉を鳴らした。
「いい加減、姿を現したらどうだ」
「北斗?」
安っぽい北斗の挑発に、亜里沙が僅かに驚きの言葉を投げかける。だが、その背中からは何かを感じ取ったのか、亜里沙はすぐにも動き出せるように足元を確かめた。
挑発に引っかかったのは、引きずり出すべき対象ではなくこの中でも雑魚と言ってもいいクラスだが、それでも数匹固まってこちらに向かってくるにしては少々人が多すぎた。
だが、それは北斗の背後から伸びる翠の光が中に軌跡を描きながら、銀光を鈍く光らせる細長い太刀によってそれらはまとめて切り裂かれた。
へぇ、と、北斗は内心で感心しながら亜里沙の武器を眺める。
翠刃光鞭。本来は鞭の形状が最適なのだろうが、それは時として鋭い刃へと変化する。その名に違わぬ役割を持つ武器を、亜里沙は的確な判断で使いこなしている。取りも直さず、それは亜里沙が必死になって修練によって得た成果といえるだろう。
重い音を立てて床に転がった昇魔達を眺める亜里沙が、不満を多少込めながら呟いた。「そんな挑発で、雑魚以外につれるとでも思ったの?」
「んなわけねぇだろ」
「じゃぁ、なんで」
「単なる嫌がらせだ」
きっぱりとした断言に、亜里沙が一瞬虚を突かれたように目を見開く。
年相応な表情に苦笑をこぼせば、亜里沙は憮然としたように北斗を睨み付けた。
北斗に比べれば、まだまだ子供と言って差し支えない年月しか経ていない亜里沙だが、北斗の行動は嫌がらせの一環として行うには幼子じみた行為にしか思えない。自分の感覚がおかしいのか、それとも北斗が常に行う態度なのか。短い時間しか相手との交流がない亜里沙にとって、それがどちらになるのかなど分からない。けれど、これは明らかに呆れるしかないことといえる。
複雑な表情を浮かべながらも、亜里沙はざっと周囲を見回した。
たかが数匹しか倒せてないとはいえ、室内の殺気は入室した時以上に膨らんでいる。動き出そうとはしているが、昇魔達は何かに押さえつけられたかのようにその行動を止めている。
これ以上の時間の引き延ばしは、捕らえられている水鳥の身体に影響が色濃く残ってしまう。
それは、北斗も重々承知しているはずだ。
にもかかわらず、北斗は一向に何もする気配もなくその場に佇んでいる。
じわじわと自分の首を絞めるような殺気にすら動じることなく、北斗はちらりと亜里沙を見やった。
「平気か?」
「まだ大丈夫。それよりも深田さん」
「そいつは、後に考えろ」
亜里沙の言葉を短く遮り、北斗は目の前から視線をそらすことなく暗闇の奥底に隠れている何かを見つけるように眼を細める。
北斗が何を考えているのかが分からずに、亜里沙はためらいながらも言葉を綴った。
「深田さんが移動されている可能性は?」
「そいつを見極めてる」
素っ気なくそう切り返し、北斗は亜里沙が最悪の結果を想定していないことに気づいて何かを言いかけようとするが、言ったところで詮無いことだと判断を下しそのままゆっくりと歩き出した。
―厄介だな。
ざわりと空気が揺らめく。昇魔達にも、それなりの危機感があるのだろう。
当たり前か、と、内心で独りごち、北斗は翠刃光鞭を刃状にした亜里沙に一瞥を送る。
緊張感と焦燥とに身を焦がしながら、亜里沙は北斗の背中を守るために翠刃光鞭を装着している手を握りしめている。仕方ないとはいえ、この仕事をする以上は少ないながらも余裕を持って欲しいのだが、と北斗はちらりとそんなことを考えた。
年期、ということを考えれば、北斗は亜里沙以上の経験と知識を得ている。それ故に持てる余裕だが、自分は初めてこの仕事をこなした時はどうであったか。それを苦笑で止めた北斗は、無謀にも自分に向かってきた昇魔を陽炎を振るうことで眼前から消し去ってしまう。
それを合図としたかのように、暗がりに潜んでいた昇魔達が一気に二人に襲いかかってきた。
「ちっ」
小さく舌打ちを漏らし、北斗は絶え間なく襲い来る昇魔達を切り裂く。
同じように亜里沙もまた昇魔達を退けながら、不意に浮かんだ思考に動きが止まりそうになる。
まるで最後の抵抗のようだ。死に物狂いでやってくる昇魔達の姿は、亜里沙の背中に冷たいものが流れるには十分すぎた。
こいつらは、死を恐れていないのだろうか。それとも、主の逆鱗に触れることの方が恐ろしいのだろうか。
どちらにしろ、今までとは桁違いの力を持ち昇魔達だ。半ば手こずりながらも、なんとか亜里沙も昇魔達を倒していく。視界を埋めていた昇魔の数が減り、やがてその最後の姿も見えなくなると、思わず亜里沙の膝から力が抜けかけた。
「上出来だ」
心底感心した、と言う北斗の声がなければ、実際亜里沙はその場に膝をついていただろう。
どうにか力を込めて北斗に近づき、亜里沙は無表情を保ったまま北斗に疑問を投げつけた。
「あの奥?」
「あぁ。いるな」
水鳥なのか、それともこの昇魔達を束ねていたものなのか。どちらかを断言せずにいる北斗の様子に亜里沙は疑問を瞳の奥で瞬かせる。
だが、今はそれを考える暇はない。とにかく水鳥の安全を優先させるべきだろうと考えた亜里沙は、最上階に置かれたもう一つの扉に向かって歩き出した。
機械室、と、煤けたプレートに彫り込まれた文字は、暗がりでもどうにか分かる程度の代物だ。
ぎ、と、耳障りな音を立てながら開かれたその奥には、巨大な歯車が幾重にも重なりながら一定の間隔で様々な音を立てている。
それを蹴破るように、かつり、と硬質な音が二人の爪先から上がった。
埃と、外に張られていた結界と同質の糸を無造作に陽炎で切り裂き、北斗はその奥底に隠れていた代物に僅かに眼を細める。
糸から流れてくるのは、人間だけではなく様々な生き物の負の感情だ。膝をついてその黒い糸を指先で確認した亜里沙が、ぽつりと呟いた。
「蜘蛛よりもたちが悪いわね」
肯定する代わりに、北斗は陽炎に纏わり付く糸を振り払うために、軽く手首を動かして刃先の糸を周囲にばらまく。
闇と同化するように仕掛けられた糸の先を確かめるように、二人の視線が奥へと向けられた瞬間だ。
ヒュン、と、鋭い風切り音が二人の耳に届いた。
考える間もなく、二人がその場から転がるようにして移動する。とっさに自分たちがいた場所を見れば、床を抉る爪痕がくっきりと出来上がっている。
互いの武器を瞬時に構え、二人は風音が上がった方向へと視線を向けた。
普通の人間には、別段変わった様子は見受けられないだろう。だが、北斗の眼にははっきりと時計塔の周囲の結界が濃密なものに変わっていることを見抜いていた。
「まさか……」
昇魔の動きはここ最近おとなしいものだった。だがここに来てこうも活発化しているのはなぜか。
一気に片をつけるつもりか。
そう結論づけると、北斗は校内にいるであろう亜里沙の気配を探る。
けれどもいっこうに亜里沙の気配は見つからず、代わりに時計塔周辺でぶつりとその気が消されていることに気付いた。
小さく舌打ちが漏れる。
結界に飲み込まれたのはこれで分かった。だが、何故そうなったのかを考え、浮かんだ予想に再度舌打ちを漏らした。
「あれだけ注意しとけっつうたろうが、あの馬鹿」
深田水鳥をエサに使われれば、亜里沙自身が動くしかない。自分に相談ぐらいしろと言いたいが、その暇すらも与えられずに結界に閉じ込められたとすれば、これ以上危険かつ厄介極まりないことはない。
無事ならばよいが、最悪の結果も考慮しなくてはならない事態に、北斗の歩調は駆け足と何らさして変わらない速度にまで上がっていた。
薄暗くなった空は逢魔が時と言うに相応しい色を帯び、幾分か北斗の顔に感を強くさせる。
「やべぇな」
闇は、昇魔にとっての活動時間だ。
陰と陽の区別が曖昧なこの時間から日が昇るまで、昇魔の力は昼間よりも増し、その妖気も強大なものとなる。
左手に陽炎を出現させた北斗は、目の前に広がる結界の一部を切り裂いた。
うわぁん、という奇妙な音を立て、ほんの数瞬、けれども北斗にとっては十分な時間、結界が開き、そのままその中を突っ切るように北斗は走り込んだ。
「っ」
一瞬だが、北斗の呼吸が止まる。
結界の内部は思った以上に瘴気が強く、それ故に亜里沙が動かざる得なかったのかと納得もする。それと同時に、その身体を続々と表す昇魔達の姿に、新人一人でこの事態が好転するわけはないと悪態混じりにそう考えてしまった。
「雑魚ばっか用意しやがって」
陽炎が一閃するや、ぼたりと胴体を引き裂かれた昇魔が大地に転がる。
殺気立つ昇魔達の奥に、時計塔の扉がある。その先からは、確かに亜里沙の気配を感じ取り、北斗は内心でほっと息をついた。
とりあえずは、まだ生きているようだ。それだけ分かれば御の字というもの。
とはいえ、急いで亜里沙と合流しなくてはならないのは、当たり前と言えば当たり前の事だろう。
目の前には溢れんばかりの昇魔の群れがひろがり、北斗は辟易したようにと息をこぼした。
「まぁ、これも仕事の内だしな」
安月給―一般的に見れば高給としかいえない値段ではあるのは間違いないが―の身で、何故こんな危険なことをしなくてはならないのだ、と、愚痴めいた言葉が頭の中で浮かぶが、そんなことを考えたところで現実が変わるわけもない。小さく舌を打ち付けながら、北斗は眼前の光景など見えていないかのような歩調で歩き出す。
一瞬怯んだかに見えた昇魔達だが、すぐにそれを攻撃のための力とし、一斉に北斗に襲いかかった。
冷めた目線で昇魔を眺めながら、北斗は無造作に陽炎を振るう。まるで舞うように銀色の軌跡が空を描き、それと同時に昇魔達が次々に大地に転がってく。不気味な色合いの血潮が大地に広がるが、それはしゅうしゅうと音を立てて大地に染み込むことなく蒸発し続ける。
異臭と異音とともに時計塔に近づいた北斗が、勢いよく重い扉を蹴り開けた。
「亜里沙!」
その声に、荒く肩で息をつく亜里沙がそちらに視線を向ける。
力を少しでも温存するために姿を元に戻している亜里沙の姿を見、北斗は僅かに眉間にしわを寄せた。
制服のあちこちが裂け、そこから薄く血が滲んでいる。髪もほつれ、返り血を浴びた箇所は軽い火傷の跡を残しながらも、傷の再生が始まっている事を確認すると、北斗は亜里沙との距離を縮める。
「で?」
数歩分の距離を置いて背中合わせとなった北斗が、冷ややかな口調で亜里沙に尋ねた。
びくり、と、亜里沙の肩が跳ね上がる。それをちらりと背中越しに見た北斗は、説明など求めていないという空気を向け、そのまま眼前の敵をにらみ据える。
その雰囲気を肌で感じ取り、亜里沙は数度唇を開閉させた後、意を決したように言葉を紡いだ。
「あたしのミスよ」
「そうだな」
簡潔にそう答え、北斗は小さく唇の端をつり上げる。
自分で理解できているのならば、こちらが強く言う必要はない。もしもその判断がつかないようならば、使い道はなかったと報告すればよいだけだが、きちんと自己判断が出来るならば、上にそう報告して今回限りの相棒として手を切ればよいだけだ。
「時計塔に近づいたのは、本人か?」
「そうよ。掃除当番だったから、そのせいで」
「何故言わなかった」
「……近づいたといっても、時計塔の中に入るとは思って」
「なかったとしても、忠告はしておくべきだたっだろう」
その言葉に黙り込み、亜里沙はきゅっと拳を握りしめた。それに小さく息を吐き出し、北斗は気持ちを切り替えさせるために幾分拡張を柔らかくして話しかけた。
「まぁ、今までよくやったな」
「え?」
驚いたように亜里沙が振り向く。その隙を逃さず、昇魔の一匹が突進してくる。
トン、と亜里沙の肩を押し、北斗がそれを何となく切り捨てた。
「何呆けてる。敵はまだいるんだぞ」
「あ、うん」
慌てて正面に向き合い、亜里沙は翠刃光鞭を振るう。輝く鞭は昇魔を切り裂き、時には締め付けるために絡め取りその息を奪っていく。
北斗もまた数匹ほど固まって襲い来る昇魔を難なく切り裂く。それとなくではあるが、背後の亜里沙と息が合いつつあるのを感じ、北斗は苦い溜息を吐き出した。
まるでいくつもの修羅場を潜り抜けた者達同士のように、二人の呼吸は合わさり、互いの行動を邪魔することなく、そして、的確にほしい位置に手助けをしてくる。
この調子では、しばらくの間はこのコンビを組まされるのではという予感がひしひしとする。ただでさえ、北斗はパートナーに求める条件が厳しい。それ故に今まで相棒となった者達は、長続きせずに上に嘆願するか、局長の命令と言う形で外されてきたのだ。
それ故に、北斗が信頼記できるものは手の中にある陽炎のみだった。
ただの新人だからなのか。それとも、亜里沙が自分自身が気付かぬうちにその隙間に入り込んだのか。
どちらかが分からず、北斗はそれでも眼前の敵を排除するべく使い慣れすぎた陽炎を振るう。
それにしても、と、内心で独りごちる。
無表情故に分かりづらいが、亜里沙なりに北斗を信頼しているだろう。初めての昇魔退治だというのに、その動きには北斗をカバーすることを第一優先においた動きであり、自分の力量をきちんとわきまえて仕事をこなしている。
―普通は、もっとがちがちなんだがな。
まだ昇魔退治になれていない者は、どうしてもその動きが単調になり、敵にその動きを読まれやすくなる。だが、亜里沙はその点を難なくクリアーし、敵に攻め入る隙を与えずに黙々と昇魔達を倒している。
本当に初仕事か、と疑いたくなるが、今までのことを振り返れば新人らしいミスを何度も犯してはいる。もっとも、自分を信用して―それが表に出ることはないのだが―くれることは、今の時点ではありがたいの一言に尽きるだろう。
初仕事という大任と未経験から来る動きとしては、上出来といえるだろう。それに、亜里沙が他人を信頼していないことは、表に出していることはないが、長年の経験で北斗はすぐに気が付いた。
警戒のレベルを少しずつ取り除いた結果なのだろうか。北斗も亜里沙も、次の行動がどうすればいいのかなど、いちいち確認せずともに分かっている。
少しずつ、昇魔達の数が減り、代わりに昇魔達に焦燥と狼狽が表れてくる。
上階に行くために螺旋階段を上りながら、北斗と亜里沙は攻撃の手が鋭くなった昇魔達に苦戦することなく突き進んだ。
やがて、大きな鉄の扉にたどり着くと、昇魔達が恐れたように二人から離れる。
ここが、出口だ。
一瞬だけ亜里沙に視線を向けると、亜里沙は小さく頷きをを見せてちらりと眼下に群がる昇魔達を見やった。
仕掛ける気配どころか、慌てふためいたような昇魔達の行動に疑問を持ったのだようだが、それを尋ねることなく亜里沙は沈黙したまま北斗と背中合わせの形でその場に佇む。
ドアノブに手をかけ、北斗は少しばかり力を入れてそれを中に押し入れる。
軋むような音を立てて扉が開く。
カビ臭い臭いが鼻を通り抜け、歩くたびに巻き上がる埃が喉に絡みついた。
二人ともに警戒しながら中に入り、北斗は眼を細めて中を見回しながら陽炎を隙なく構えた。
先ほどよりも瘴気が強いのは、ここにいるのは間違いなく外にいる雑魚どもとはレベルが違うからだ。あちこちから向けられる殺気に肌を焦がしながら、北斗の口の端が小さくつり上がった。
―無駄なことを。
本当に、無駄なことでしかないと言うのに、何故そこまでするのか。
馬鹿馬鹿しい疑問は頭の隅へと押しやり、北斗はくつりと喉を鳴らした。
「いい加減、姿を現したらどうだ」
「北斗?」
安っぽい北斗の挑発に、亜里沙が僅かに驚きの言葉を投げかける。だが、その背中からは何かを感じ取ったのか、亜里沙はすぐにも動き出せるように足元を確かめた。
挑発に引っかかったのは、引きずり出すべき対象ではなくこの中でも雑魚と言ってもいいクラスだが、それでも数匹固まってこちらに向かってくるにしては少々人が多すぎた。
だが、それは北斗の背後から伸びる翠の光が中に軌跡を描きながら、銀光を鈍く光らせる細長い太刀によってそれらはまとめて切り裂かれた。
へぇ、と、北斗は内心で感心しながら亜里沙の武器を眺める。
翠刃光鞭。本来は鞭の形状が最適なのだろうが、それは時として鋭い刃へと変化する。その名に違わぬ役割を持つ武器を、亜里沙は的確な判断で使いこなしている。取りも直さず、それは亜里沙が必死になって修練によって得た成果といえるだろう。
重い音を立てて床に転がった昇魔達を眺める亜里沙が、不満を多少込めながら呟いた。「そんな挑発で、雑魚以外につれるとでも思ったの?」
「んなわけねぇだろ」
「じゃぁ、なんで」
「単なる嫌がらせだ」
きっぱりとした断言に、亜里沙が一瞬虚を突かれたように目を見開く。
年相応な表情に苦笑をこぼせば、亜里沙は憮然としたように北斗を睨み付けた。
北斗に比べれば、まだまだ子供と言って差し支えない年月しか経ていない亜里沙だが、北斗の行動は嫌がらせの一環として行うには幼子じみた行為にしか思えない。自分の感覚がおかしいのか、それとも北斗が常に行う態度なのか。短い時間しか相手との交流がない亜里沙にとって、それがどちらになるのかなど分からない。けれど、これは明らかに呆れるしかないことといえる。
複雑な表情を浮かべながらも、亜里沙はざっと周囲を見回した。
たかが数匹しか倒せてないとはいえ、室内の殺気は入室した時以上に膨らんでいる。動き出そうとはしているが、昇魔達は何かに押さえつけられたかのようにその行動を止めている。
これ以上の時間の引き延ばしは、捕らえられている水鳥の身体に影響が色濃く残ってしまう。
それは、北斗も重々承知しているはずだ。
にもかかわらず、北斗は一向に何もする気配もなくその場に佇んでいる。
じわじわと自分の首を絞めるような殺気にすら動じることなく、北斗はちらりと亜里沙を見やった。
「平気か?」
「まだ大丈夫。それよりも深田さん」
「そいつは、後に考えろ」
亜里沙の言葉を短く遮り、北斗は目の前から視線をそらすことなく暗闇の奥底に隠れている何かを見つけるように眼を細める。
北斗が何を考えているのかが分からずに、亜里沙はためらいながらも言葉を綴った。
「深田さんが移動されている可能性は?」
「そいつを見極めてる」
素っ気なくそう切り返し、北斗は亜里沙が最悪の結果を想定していないことに気づいて何かを言いかけようとするが、言ったところで詮無いことだと判断を下しそのままゆっくりと歩き出した。
―厄介だな。
ざわりと空気が揺らめく。昇魔達にも、それなりの危機感があるのだろう。
当たり前か、と、内心で独りごち、北斗は翠刃光鞭を刃状にした亜里沙に一瞥を送る。
緊張感と焦燥とに身を焦がしながら、亜里沙は北斗の背中を守るために翠刃光鞭を装着している手を握りしめている。仕方ないとはいえ、この仕事をする以上は少ないながらも余裕を持って欲しいのだが、と北斗はちらりとそんなことを考えた。
年期、ということを考えれば、北斗は亜里沙以上の経験と知識を得ている。それ故に持てる余裕だが、自分は初めてこの仕事をこなした時はどうであったか。それを苦笑で止めた北斗は、無謀にも自分に向かってきた昇魔を陽炎を振るうことで眼前から消し去ってしまう。
それを合図としたかのように、暗がりに潜んでいた昇魔達が一気に二人に襲いかかってきた。
「ちっ」
小さく舌打ちを漏らし、北斗は絶え間なく襲い来る昇魔達を切り裂く。
同じように亜里沙もまた昇魔達を退けながら、不意に浮かんだ思考に動きが止まりそうになる。
まるで最後の抵抗のようだ。死に物狂いでやってくる昇魔達の姿は、亜里沙の背中に冷たいものが流れるには十分すぎた。
こいつらは、死を恐れていないのだろうか。それとも、主の逆鱗に触れることの方が恐ろしいのだろうか。
どちらにしろ、今までとは桁違いの力を持ち昇魔達だ。半ば手こずりながらも、なんとか亜里沙も昇魔達を倒していく。視界を埋めていた昇魔の数が減り、やがてその最後の姿も見えなくなると、思わず亜里沙の膝から力が抜けかけた。
「上出来だ」
心底感心した、と言う北斗の声がなければ、実際亜里沙はその場に膝をついていただろう。
どうにか力を込めて北斗に近づき、亜里沙は無表情を保ったまま北斗に疑問を投げつけた。
「あの奥?」
「あぁ。いるな」
水鳥なのか、それともこの昇魔達を束ねていたものなのか。どちらかを断言せずにいる北斗の様子に亜里沙は疑問を瞳の奥で瞬かせる。
だが、今はそれを考える暇はない。とにかく水鳥の安全を優先させるべきだろうと考えた亜里沙は、最上階に置かれたもう一つの扉に向かって歩き出した。
機械室、と、煤けたプレートに彫り込まれた文字は、暗がりでもどうにか分かる程度の代物だ。
ぎ、と、耳障りな音を立てながら開かれたその奥には、巨大な歯車が幾重にも重なりながら一定の間隔で様々な音を立てている。
それを蹴破るように、かつり、と硬質な音が二人の爪先から上がった。
埃と、外に張られていた結界と同質の糸を無造作に陽炎で切り裂き、北斗はその奥底に隠れていた代物に僅かに眼を細める。
糸から流れてくるのは、人間だけではなく様々な生き物の負の感情だ。膝をついてその黒い糸を指先で確認した亜里沙が、ぽつりと呟いた。
「蜘蛛よりもたちが悪いわね」
肯定する代わりに、北斗は陽炎に纏わり付く糸を振り払うために、軽く手首を動かして刃先の糸を周囲にばらまく。
闇と同化するように仕掛けられた糸の先を確かめるように、二人の視線が奥へと向けられた瞬間だ。
ヒュン、と、鋭い風切り音が二人の耳に届いた。
考える間もなく、二人がその場から転がるようにして移動する。とっさに自分たちがいた場所を見れば、床を抉る爪痕がくっきりと出来上がっている。
互いの武器を瞬時に構え、二人は風音が上がった方向へと視線を向けた。
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