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本編
甘やかな夢を③★
しおりを挟むあれから、どのくらいの時間が経ったのだろうか?
体感的には、もの凄く長く感じるけれど、まだ外は暗いまま。
望んだ通りに、フェリクス様は私を抱いてくれた。私の身勝手な願いを聞き入れて下さって、とても嬉しい。
嬉しい、のだけど―――……
「待って……そんなに、しちゃ……ああぁあああ♡♡♡」
ジュポジュポと中に出たり入ったりする卑猥な音。あまりの気持ち良さに、私は甘い声を上げながら、身体を弓なりにしならせる。
(だめぇ♡気持ち、良すぎて……おかしくなっちゃう……♡♡)
……こんなの知らない。
あんなに嫌だった行為が、こんなに気持ちが良いなんて、何かの夢に違いない。
だって、ヤデル伯爵の時は―――
「可愛い私の大事なマリアンヌ。もっともっと気持ち良くなろうね?」
「ひっ?!あっ♡♡らめ……奥っ……やあああん♡♡♡」
最奥をグリグリされて、私は目の前が真っ白になり、あまりの気持ち良さから絶頂を迎えてしまった。プシャッとはしたなく私の蜜口から大量の蜜が溢れるけれど、彼は一向にそのガチガチに硬くなっている己の欲望を抜いてくれなくて。
「い、いやっ♡♡今、イッたばっかり、なのに……♡また奥っ……」
「君のイキ顔は凄くそそるね。奥が大好きなんだよね?ほら、沢山グリグリしてあげるから、もっともっとその顔を見せて?」
「ひぅっ♡♡あっあっ♡♡~~~~っっ♡♡♡」
最奥を何度も何度もグリグリされて、私の身体はビクンビクンと痙攣しながら何度も続け様に絶頂を迎えてしまう。二人の接合部分は私から溢れた蜜でドロドロだ。いっそ、彼が達してくれれば、この甘過ぎる拷問のような情事を終わらせられるのではと思うけれど、彼にはまだまだ余力がありそうで。
「下の欲しがりなお口が涎まみれだね。余程私の肉棒がお気に召したのかな?」
「違っ……涎、なんかじゃ……」
「ほら、私の肉棒を離すまいと必死に締め付けて、吸い付いてくる。君は中身だけじゃなく、身体まで健気で可愛いんだね。そんなにまで私の子種を欲しがってくれるなんて……♡」
「あっ♡ああぁあああ♡♡イクッ……!またイッちゃ……♡♡らめぇぇぇっ♡♡♡」
花芽を嬲られながら、最奥ばかりをひたすらに攻められて、身体中を快楽に支配されてしまい、もう私は限界だった。
達しても達しても終わらない情事。
やがて私の意識が遠ざかり始めた頃、彼は……フェリクス様はやっと私の中に白濁とした欲望を吐き出した。
(あったかい。……なに、これ……すごく、気持ち良い……♡♡)
フェリクス様の熱があまりに心地好くて。
私の中の理性までぐずぐずに溶けていってしまう。身体はもうクタクタで限界な筈なのに。
「マリアンヌ。私の子種は美味しいかい?もっと欲しい?」
「もっと……欲し、い♡」
「いいよ。なら、もっともっと愛し合おう。沢山沢山、私の子種を注いであげるからね」
「~~~~っっ♡♡♡」
もう何も考えられない。
フェリクス様から注がれる度に、何故だか余計に中が蕩けて、気持ち良くなっていく。
(これが……フェリクス様の言っていた、王家に掛けられている魔法の効果なの……?)
フェリクス様のでいっぱいになった中を、全く萎えない彼のガチガチな硬い欲望でぐじゅぐじゅと掻き混ぜられて、最奥をグリグリと突き上げられる。それがあまりにも気持ち良くて気持ち良くて堪らない。彼が優しく花芽まで指で愛撫するから、私はまたしても高みへと導かれ、快楽へと呑み込まれてしまう。
こんな筈じゃなかった。
だって私は、私は――――……
自分がこんなに、快楽に溺れてしまうなんて、思っていなかった。
最初は、痛い事を覚悟して、身体だって怖くて少し震えてしまっていたのに。
「マリアンヌ……っ」
フェリクス様に愛おしそうに名前を呼ばれて、私に触れる手はどこまでも優しくて。
奥へ奥へと突き進み、私の気持ち良いところばかりを的確に攻められて、今では快楽で身体はドロドロに蕩けてしまっている。
こんなに気持ち良いなんて。
こんなに、満たされた気持ちになるなんて。
「ふぇりくす、さま……っ」
「マリアンヌ、マリアンヌ♡……君と一つになれて、夢のようだよ。もっともっと、私が気持ち良くしてあげるから」
「あっ♡♡だ、め……ソコ、気持ち、い♡♡また、イッちゃう、からぁ……♡♡」
「くっ……♡マリアンヌの中、すごいうねって……っ♡ここだね?マリアンヌ、イッていいよ♡」
じゅぷじゅぷじゅぷ♡♡
クリクリクリクリ♡♡
「あっあああっ♡♡ふぇり……っ……♡♡イクッ!イッちゃ……っ……~~~~っっ♡♡♡」
「……うっ、ぁ♡……マリアンヌは……可愛すぎるよっ……!すまない、マリアンヌ。君が欲しくて欲しくて……止められない……っ!」
「ふぇり、くす……っ♡♡」
奥をグリグリされながら花芽を弄られ、フェリクス様が私の双丘の頂きにしゃぶりつく。まるで食べられてしまうかのように貪り尽くされて。
「吸っちゃ……や、ぁ♡♡ああんっ♡♡」
「すごい、締ま……っ……マリアンヌッ……!」
「~~~~っっ♡♡♡」
痛い、なんて一度も感じないままに。
甘い甘い快楽に、私は深く深く溺れてしまっていた。
そうして、私はいつの間にか、意識を手放してしまっていた。
……………………
…………
「あ、れ……?もう、お昼……?」
本当は、翌日には消えるつもりだった。
身勝手な願いを叶えてもらったくせに、何も言わずに消えようとしていたなんて。フェリクス様が知ったら、私を怒るだろうか?それとも、裏切られたと私を嫌うだろうか?
けれど、現実では、私はまだ王太子宮の客室にいる。あのまま抱き潰されてしまった私は、昼過ぎまで目を覚まさなかったからだ。
(な、なんて事なの……)
ミシェルから、『出立の日取りはマリアンヌ嬢が望む日に』との言伝てをいただいたけれど。
身体自体はもう大丈夫なのだし、長居しては離れがたくなる。自分の為にも、早々に発たねばと思うのに。
夜になって、公務を終えたフェリクス様が客室へ来ると、少しだけ顔を赤くしたフェリクス様が、申し訳なさそうに眉尻を下げながら私にこう言った。
「昨日みたいに、抱き潰したりはしない。だから…………」
――――今夜もまた、抱いてもいいだろうか?
拒めない。
断れない。
だって、私もフェリクス様を欲してしまっているから。
早く出て行かねば、決心が鈍ってしまう。
そう頭では理解しつつも、私はフェリクス様の広げた腕の中へ、自ら身を寄せてしまう。
欲張ってはいけない。
フェリクス様が、今夜も私を、まるで宝物のように優しく抱き締める。
優しく触れる。
フェリクス様の紡ぐ言葉が、胸に染み渡るように降り積もっていく。
どうしようもないぐらい、お互いがお互いを欲しているのだと実感してしまう。
『……休みの日には、二人で温室に行こう。マリアンヌが好きな花が、沢山咲いているから』
駄目。
これ以上は駄目。
フェリクス様が好き。
だからこそ、早く離れないと―――……
『愛してる、マリアンヌ……っ』
―――ずっと、彼女に対しては恐ろしい魅了の魔法の印象ばかりだった。勿論、良くも思ってはいなかったけれど。
私はこの時、初めて彼女を―――シュゼットを心底憎いと思った。
無理矢理私と彼の未来を奪った彼女を、殺してやりたい程に、憎らしいと。
フェリクス様は、既に彼女を処刑したと仰っていたけれど。
(……神様、どうか……)
どうか彼女に罰が下りますように。
私も罰を受け入れます。
だから――――
彼女が、少しでも幸せだと感じる事がないように。
神様。
……どうか彼女に神罰を。
* * *
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