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旧ver(※書籍化本編の続きではありません)

幸せの形㉒*前半エリックside、後半フィルside*★

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「うっ……く……っ」

疲れ切って熱まで出してしまったリアに、ゆっくり休むよう告げて客室を出たあと、僕はすぐ近くに用意してもらった、もう一つの客室へと駆け込んだ。
内側から鍵を閉め、部屋に備え付けられているシャワー室へ向かうと、痛いくらいにガチガチに張り詰めた己の肉棒をトラウザーズから取り出し、欲望のままにソレを扱き始める。

「リア……リア……!」

愛する妻の名を呼びながら扱けば、彼女の柔らかな肢体を思い出し、更に大きく怒張する。
リアはサキュバスに転化したと言っても、僕にとって身体的な大きな変化は感じられなかった。勿論、環境や状況は一気に大きく変わったけれど、彼女の食事事情以外は、大した問題ではなかった。

むしろ、サキュバスになったことで、リアは前よりも積極的に僕を欲しがるようになった為、喜びを感じることさえあった。

「うぁ……っ!……で、る……!」

ビュルルルッ♡♡♡

シャワー室で己の欲を吐き出す。
だが、肉棒はすぐにまた質量を取り戻してしまい、僕は再びソレを握ってゆるゆると扱いていく。

これがサキュバスの能力。
男を魅了し、発情させ、身体を交えてその精気を喰らう。
今回、魅了の力は発動していなかったが、大多数の男は、発情してしまえば理性なんて失くしてしまうのではないだろうか。

「ああっ……!クソッ……!」

再びビュルルルッと射精するも、まだまだ治まる気配がない。
気持ち良くて堪らない。だが、本当は今すぐリアの中に己の熱杭をぶち込みたい。
温かく、柔らで、僕の肉棒を咥え込み、離れたくないとばかりに吸い付いて、締め付けてくる極上の蜜穴。
まるでリアの全てが、全力で甘えてくれているようで、堪らなくなる。

「……リア、愛してる……っ」

そうして、数回欲望を吐き出した後、冷水を浴びて必死に自身の熱を鎮めようと努めた。
身体はまだまだ欲望を吐き出したいと訴えていたが、これ以上は良くない。

リアの力が治まったら、恐らくすぐに大量の精気が必要となる。こんなところで無駄にしたくない。

(リアには、ジルやアベルたちより、僕の精気を食べて欲しいから……)

僕の精力は、今のところ衰えてはいない。だが。
まさか自分が、時の権力者たちと同じように、老いを恐れるようになるだなんて思いもしなかった。

(恐れる理由は違うけれどね……)

彼らは自らの地位や権力、富や名声の為に老いや死を恐れた。

(……愛する女性に一生自分を食べて欲しくて、老いを恐れる王族なんて、僕だけなんじゃないか?)

思わず笑ってしまう。
だが、そんな自分が嫌いじゃない。

体力を回復させる為に、少しでも眠っておこう。起きたら、他の皆と話し合わなければ。
未だ抜け切らない熱を無視して、無理矢理目を瞑る。愛するリアが、夢の中に出てくることを願って。

***

「…二人とも随分と辛そうだな?部屋に戻って一度抜いてきたらどうだ?」

アスモデウスにそう言われ、私は眉間に皺を寄せた。確かに身体が熱すぎて辛い。トラウザーズの中で、ギチギチに張り詰めているのが分かる。しかし、今はそのつもりはない。

「私とナハトのことは気にしないで結構です。…駄犬によれば、ヴィクトリア様の増え過ぎていた力の半分は吸収できたそうです。なので…」
「今日は敬語なんだな?」
「……昨日は怒っていましたから、つい素が出てしまっただけです」

私の返答に、アスモデウスは「ふぅん?」と言って面白そうに口角を上げた。

「まぁ、発情に関してはお前たち自身が淫魔だからな。同族の能力であれば、当然耐性がある。全く耐性のないエリックは、今頃持て余した熱を夢中で発散させているだろうが」
「死ぬ程どうでもいいです。それよりも、今優先すべきはヴィクトリア様のことでしょう?私としては、残りの力を私とナハト、それと、不本意ながら貴方かルカで吸収出来ればと思っているのですが。」
「ああ、それで良いと思うぞ。それに、今回の件で糧共も何か覚悟を決めたらしい」
「?…一体何の話ですか?」
「別に?ただ、お前ら皆面白いと思ってな。歪で、どこか一つでも食い違えば、全てがあっという間に壊れてしまいそうなのに、お前たちを繋ぐたった一本の細い糸は決して切れることがない」

アスモデウスが何に対して面白いと思っているのか、興味もないし、全く分からないが、何故かその一本の糸だけは理解出来た。恐らく、その一本の糸とはヴィクトリア様のことだろう。相容れぬ私たちを繋ぐ、私たちの唯一。

「……ぅ…」

室内にあるソファーの方から呻き声が聞こえる。ナハトだ。

「ナハト。辛いならここに居なくてもいいのですよ?」

辛いならさっさと抜いてこい。そういう意味で、出て行きやすいよう、居なくてもいいと言ったのだが、ナハトは苦しそうにしつつも、どこか嬉しそうで恍惚とした顔をしていた。

「ヴィクトリアのサキュバスの力を味わえるなんて、嬉し過ぎて死にそうだ」
「……」
「考えても見ろ。ヴィクトリアは俺たちに魅了や発情の能力なんて絶対に自分から使わないだろう?俺たちを思ってそうしてくれているのは理解出来るけど、俺はもっと本能のままに俺を欲しがって欲しい。…今回の発情は勝手に発動する無差別なものだけど、本来であれば、サキュバスが欲しいと思った相手に対して使う能力だ。…この男が欲しいってな」
「「!」」

――ヴィクトリア様が、欲しいと切に願い、絶対に使わないと決めている能力を使ってしまう。
ナハトの言葉で、そんなヴィクトリア様を想像してしまい、思わず身体に先程よりも熱が籠る。質量を増してしまった男根が内側からギチギチと押し上げてきて、痛くて苦しくて。しかし、一度想像してしまったことは頭から消えてくれるはずもなく。

「もしも、ヴィクトリア様にそこまで思っていただけたなら…」

いっそ果ててしまいそうだ。そんなの幸せ過ぎる。
ヴィクトリア様が、自ら定めた禁忌を犯してまで、欲してくれるだなんて。

「……私も既に一度当てられているのだが、今の話を聞くと何故だか無性に羨ましく感じるな」
「分かりま……いえ、そういうことではなくてですね。…ヴィクトリア様が目覚めたら、まずは私とナハトで吸収してきます。その後は、ルカと貴方でお願いします」
「分かった。…さっさと済ませるぞ」

それに関しては同感です。確かに、この学園にはヴィクトリア様との思い出が沢山詰まっている。けれど、公爵邸が一番居心地が良い。ヴィクトリア様の体調などから、今は動かさない方が良いと判断してここにいるが、終わったら早々に公爵邸へ帰りましょう。
気が付けば月明りではなく、太陽の日差しが窓から降り注いでいた。

(そろそろヴィクトリア様も目を覚ますはず)

ナハトへ視線を向ければ、先程よりも酷く汗を搔いているのが分かる。

「ナハト。そろそろヴィクトリア様の元へ行きましょう」
「……っ、…ああ」

エリックたちへの説明はアスモデウスに任せて、私とナハトはヴィクトリア様の元へ向かうべく、部屋を後にした。


***

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