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旧ver(※書籍化本編の続きではありません)
ヴィクトリアの決断②(やや★)
しおりを挟むヴィクトリアの胸に、深く突き刺さる言の葉の鋭利な刃。
『あの双子が見知らぬ女に買われても気にせずに放っておけるのか?自分以外の女の精気を糧にしていくことを許せるのか?』
『…………』
反論出来ない。
フィルとナハトを気にせずにいられたなら、そもそもこんな事になっていない。
『捕まった淫魔達の殆んどが、貴族達のペットにされている現状を知っているだろう?そして、飼い主はお前のような者ばかりじゃない。散々性玩具として弄ばれた結果、ゴミのように棄てられる者もいる。……あの双子も、そうなるかもしれないぞ?』
――――想像するだけで吐き気がする。
ヴィクトリアには、到底受け入れられない現実。
アスモデウスが言うように、ヴィクトリアは檻に入れられて売られているフィルとナハトを目にすれば、前と同じように二人を買うと言い出すだろう。
そして、二人への食事も、きっと同じになる。
自分以外の女の精気を与えるだなんて、許せる筈が無いのだ。
『そ、それなら、フィルとナハト以外の人達と出会う前に……』
『無駄だと言っているだろう?双子以外の連中と出会うのを避けたとて、結局お前は王太子の婚約者候補なのだから』
『候補から辞退すれば……!』
『今世でも、既に散々辞退すると断り続けただろうが。結果はどうだ?結局婚約者になってしまったではないか』
『~~~~っ!学園へ通わずに、い、いっそ平民に』
『公爵令嬢のお前が?……お前自身が全てを捨てたとしても、今度は周りがそれを許さないだろうよ。魔力持ちならば、あの学園へ通うのは国民の義務。家を出たところで、公爵家の力によって連れ戻されるのがオチだ』
一つ一つ潰されていく可能性。
ヴィクトリアの顔色からは、いつの間にか血の気が引いていて、身体は快楽とは違う別の理由で震えている。
『成長した今の双子ならば、お前を連れて少しは上手に隠れる事が出来るやもしれぬ。だが、時を巻き戻した際に出会う双子は、全てが幼く未熟だ。双子と共に逃げ出したなら、まず間違いなく見つかってしまうだろう。そして、双子は殺される。公爵令嬢であるお前を惑わし、拉致した悪い魔物としてな』
『?!』
『それとも、双子を早く成長させてみるか?だが、その時のお前の身体は処女であり、ただの人間だ。人間は短期間で精気を与え続けると、身体への負担が大きすぎて死んでしまう。……何より、お前は食事という言い訳無しで、自分から淫魔へ身体を捧げ、精気をもっと喰べて欲しいと懇願するのか?出来るのか?』
アスモデウスが口端を上げ、酷く意地の悪そうな笑みを浮かべた。
まさしく、悪魔そのもののような微笑。
そうして、忘れかけていた地獄のような快楽が再びヴィクトリアを襲い、蜜穴をグチュグチュと音を立てて犯していく。
『あああああっ♡♡』
『……くだらぬ話で、すっかり身体が冷めてしまったな。仕切り直しといこうか』
夢世界に響く卑猥な水音と、アスモデウスの言葉が、ヴィクトリアの羞恥心も思い出させて、身体の熱が加速する。
『ああ、何とも恥ずかしい身体だな。この身体で幼い淫魔を籠絡するのは容易かろう。自ら上になって、ぐちょぐちょに濡れそぼる秘処を押し付け、幼い淫魔の肉棒を咥え込み、腰を振る。……ほら、想像してみろ、ヴィクトリア。なんて淫乱な変態女なのだろうな?』
『わ、私は……っ、フィルと、ナハトを……襲ったりなんか……!』
『ならば諦めろ。いくらお前が頼んだとしても、下手をすれば主が死んでしまうかもしれない大量の精気を、奴等が“ハイ、そうですか”と言って素直に喰らう筈がないのだから』
ヴィクトリアの視界が、じわりと滲む。
アスモデウスはそんなヴィクトリアの目尻に溜まった涙をペロリと舐め取り、柔らかく目元を綻ばせた。
『理解出来たか?時間を巻き戻す、という願いには、何の価値も無いのだと』
『でも、私は……っ』
アスモデウスがヴィクトリアを自らの腕の中へ閉じ込めて、どこまでも甘く、優しく囁く。
『そんな事より、遥かに有意義な“願い”の使い道を教えてやる。……私の寵愛を受けろ、ヴィクトリア』
* * *
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