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旧ver(※書籍化本編の続きではありません)

心地好い温もり★

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「……これは一体どういう事なのですか?ヴィクトリア様」

アルディエンヌ公爵邸にある、ヴィクトリアの私室にて。
天蓋付きのベッドまで、フィルにお姫様抱っこで運ばれて、コロンと寝かされたヴィクトリアは、貞操帯を外されて秘部の確認をされていた。

「これじゃあ、貞操帯の意味がないな」

ナハトは薄っすらと額に青筋を浮かべ、殺気を迸らせている。

無理もないだろう。
ヴィクトリアの貞操帯の鍵を開け、剛直を抜いて確認してみれば、蜜口からコポリコポリと白濁とした子種が溢れてきたのだから。

放課後まで、ジルベールと共にヴィクトリアを存分に抱いたエリックは、自分の子種を幾度もたっぷりと蜜壺へ注いだ後、ジルベールに命じてヴィクトリアに再び貞操帯を着けさせたのだ・・・・・・・・・・・・・


『零さないように、しっかり栓をしておかないとね。リア、君の従者達はなかなかに良いセンスをしている』


――――この貞操帯は、栓をするのに丁度良い。


ヴィクトリアはぼんやりとした頭で、エリックの言葉を思い出していた。
間違いなく皮肉の言葉。
けれど、今のヴィクトリアには理解出来ていなかった。

「……エリック様が、フィルとナハトはセンスが良いと、褒めていらしたわ」
「「は?」」

フィルとナハトの顔が歪み、口角がヒクリと上がる。

そもそも、エリックは貞操帯自体が気に入らなかった。誰の目から見ても分かる。


――――ヴィクトリア様はお前達のものではない。

彼女は自分達のものだ。

勝手に抱く事は許さない。


貞操帯は、二人のそういった意図から着けられたのだ。
エリック達人間の男達への牽制。
しかし、エリックはそんな牽制をものともせず、まんまとやり返した。

貞操帯こんなものに意味なんて無い。
むしろ、栓として丁度良いものを着けてくれた。

フィルとナハトは腸が煮え繰り返りそうになりながら、必死にエリックへの殺意を抑え込む。
本音を言えば、今すぐにでもエリックをぶち殺してやりたいところなのだが、それをしてしまっては、ヴィクトリアが悲しむと分かっているからだ。

(……まぁ、嫌な予感はしていましたが)

従属契約により、フィルとナハトはヴィクトリアと繋がっている。
ヴィクトリアの感情が激しく揺さぶられていると、以前はすぐにその感情がフィルとナハトにも伝わってきていた。
だが、ここ最近は違う。
以前の様にハッキリとした感情が流れ込んで来ないのだ。

(恐らく、ヴィクトリア様が無意識に遮断してしまっているのだろう)

ヴィクトリアはいつまで経っても、他人と交わる行為に対して、見られたり聞かれたりする事に抵抗を持っている。

“恥ずかしい”という思いが無くならないからだ。

そうしてそれには、魔物としての力が定着しつつある事も関係している。
人間だった頃のヴィクトリアは、それ程魔力が強くなく、平均並みだった。けれど、サキュバスへとその身が転じた事で、魔力が強くなったのだ。
淫魔は精気を多く得る事で力も増していく。ヴィクトリアの場合は人間からサキュバスへと転じてしまった身体を保つ為、常に足りていない状態が続いていたから魔力に対して目に見えた変化が無かったが、先日の件で少なからず今は状態が安定しているのだろう。

今だけは、精気を蓄える事が可能になってしまっているのだ。
それだけ力が増している状態だからこそ、己の感情が流れ込む事を無意識下で遮断してしまっているのだ。

(一時的なものだろうけれど……)

それに、ヴィクトリアの精気が不足する理由は他にもある。
身体を保つ事以外に、他者へ食糧として・・・・・与えてしまっているからだ。

ヴィクトリアの身体の事を考えれば、そう多くは貰えないが、それでも自分達はヴィクトリアの精気を喰べている。
他の人間の精気を受け付けなくなってしまっているからだ。

「……湯殿へ参りましょう、ヴィクトリア様」

そう言うと、ヴィクトリアはコクリと頷いて、フィルの差し出した手に、細くしなやかな白い手を重ねた。

「隅々まで綺麗にしましょうね」
「腫れてるところも、全部治してやるから」

それはつまり、また気持ち良くなってしまうという事だ。
しかし、今のヴィクトリアは疲労からか、頭がぼーっとしているようだ。二人の言葉に素直に頷き、反論や抵抗する様子はない。

エリック達、人間の男に対する怒りは消えないが、フィルとナハトはヴィクトリアにどこまでも優しくした。
洗い場で、エリックの精子を掻き出す時も、嬲られ過ぎて腫れてしまっている秘玉を治療する時も、丁寧に優しく優しく。

『やぁ……♡♡んっ、んん♡♡』
『ヴィクトリア様、もっと足を開いて。そう、良い子ですね』
『全部俺達が治してやる。淫芽ここも、お腹の奥も。優しくするから」
『フィル……ナハト……♡♡ああっ♡♡』

どこまでも優しい二人の行為はもどかしく、ヴィクトリアが自ら欲しいと懇願してしまう程。
そうして二人は、ヴィクトリアが願うものを与えてくれる。

疲れているヴィクトリアに、意地悪はしない。

『ヴィクトリア様が欲して下さるのなら、いくらでも』
『俺達は、ヴィクトリアのものだ。愛してる』

耳に心地良い、二人の甘やかな声音。

フィルとナハトに身体の隅々まで優しく癒され、気持ち良くさせられて、ヴィクトリアは安心しきって夢の世界へと落ちていった。


* * *
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