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旧ver(※書籍化本編の続きではありません)

色欲の悪魔・アスモデウス②★

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『ひあああぁアアッッ♡♡♡』

ビクビクと身体を痙攣させ、何度も何度も絶頂を繰り返してしまうヴィクトリア。
そんなヴィクトリアの前には、いつの間にか若く美しい男性が立っていた。肌は浅黒くやや細身ながら逞しい体つきで、髪は長い艶やかなブロンド、頭には山羊のような角が生えている。

『おねがっ……これ、抜いてぇえ♡♡♡』

プシャアアと潮を吹くヴィクトリアを見つめ、現れた男は優しく頬にキスを落とす。

『良い乱れっぷりだ。なるほど。サキュバスなのに、人間のように恥じらい、快楽を怖がる様がとてもイイ。可愛いぞ、お前。気に入った』
『やらっ、やぁああ♡♡また、イクっ……!あはぁあん♡♡イっちゃうのぉ♡♡♡』
『お前のイキ顔はそそるな。子種をたっぷり注ぎたくなる。奥の奥まで穿ってやろうか?』

……奥の奥まで?
その男に囁かれる度に、何故だかお腹の奥が酷く疼いた。
けれど、最初にこの部屋の扉を見た時と同じ様な警鐘がガンガンと激しく鳴り響いた。

身体がどれだけ欲しがっても、絶対にこの男のモノを受け入れてはいけない。

ヴィクトリアはふるふると左右に首を振る。
こんな拘束されている状態で拒否したところで、意味なんてないかもしれない。けれど、ヴィクトリアは明確に“駄目”だと主張した。

『……何故拒否する?他の女は人間であれ魔物であれ、皆喜んで私を受け入れたぞ?』
『だ、め……です。私は……望んでませ、ん……』

触手達の動きが緩慢になり、辛うじて会話が成り立つようになった。だが、快楽を感じる行為は続いている。美しいその男は、ヴィクトリアの答えが気に入らないようだ。ショーツの上から張り付いていた触手をショーツごと剥がし、蜜口の中へ長い指を二本じゅぶっと差し入れる。

『ひゃうぅっ♡♡』
『本当は欲しいくせに、どうして我慢する?……ほら、ここだ。指先が掠めるだけでも、堪らなく気持ちいいだろう?』

指先で軽くトントンされて、ヴィクトリアはゾクゾクとした快感に肌を粟立たせるも、再び首を左右に振った。

男の口元が妖しく弧を描く。

『欲しくて欲しくて仕方がない淫乱のくせに。だが、不思議だな。逆らわれたのに、殺す気にはならない。……むしろ、興奮する』

ジュブジュブジュブジュブ♡♡♡

『あっあっ♡♡アアアアアーーーーーーーーーーッッ♡♡♡』
『またイったな。私の指で、私の指をこんなに締め付けて。次は私が直々に舌を使って舐めてやる。紅くコリコリした芽だ。そら、皮を剥いて沢山嬲ってやる』
『らめっ……らめぇええ♡♡♡やぁあああああーーーーーーーっっ♡♡♡』

魚のように身体が跳ねて何度も絶頂するが、男が止まる気配は無い。
赤い舌にレロレロと優しく舐められて、時にちゅうっと吸い付かれ、長い指は蜜壺の中を音を立てて泡立てながら掻き混ぜていく。
花芽の裏側や、奥をトントントントンされて、ヴィクトリアは気が遠くなる程にイカされてしまう。

やがて男が、再び子種が欲しいかと訊いてくるが、ヴィクトリアはその度に何とか首を動かして拒否する姿勢を崩さなかった。
ならばと、最奥に直接触手の媚薬を注ぎ込まれたけれど、ヴィクトリアは必死に自我を保ち、拒否し続けた。僅かだが、媚薬に対する耐性があったからかもしれない。

『……強情だな。私も、お前の中に挿れたくて仕方がないのに。』
『だめ……れす。ぜったい、に…………』
『仕方ない。ならば、中は諦めよう。だが……』
『ああっ♡♡』

取り出された巨根をヌルヌルと秘処に擦り付けられて、ヴィクトリアは既に鳴き過ぎて枯れてしまった喉で、甘い嬌声を漏らす。

『気持ちいいか?私はとても気持ちが良いぞ……っ』
『気持ちい……♡♡ああああん♡♡気持ちいいのぉ♡♡♡』

ヴィクトリアの答えに、男は一瞬だけ目を丸くした。そして、くそっと小さく悪態をつきながら、激しく腰を動かし始める。室内には、男とヴィクトリアの荒い息遣いと淫靡な粘液の擦れる水音だけが響いた。

『中には挿れさせないくせに、素直に気持ちいいと答えるなんて、私をどうしたいのだ?!』
『やぁあああん♡♡らめ、気持ちい……っ♡♡ああああイっちゃうぅう♡♡♡』
『いけっ!!何度でも気持ち良くしてやるっ!!』
『アアアアアーーーーーーーーーーッッ♡♡♡』

もう何度達したかなんて分からなかった。ただただ気持ち良くて、いつの間にか、男に激しく口付けられていたけれど、頭がもう働かなかった。

(キス……気持ちいい……)

深く濃厚なキスが気持ち良くて、触手に弄られていた双丘は、いつの間にか男が両手で揉みしだいていた。先端を指でクリクリと転がされて、時折ピンッと弾かれれば、身体がビクリと跳ねてしまう。
ひたすら巨根を押し付けられ、擦り続けられている秘処は、花芽もヌルヌル擦れて気持ちが良い。
一度は剥がした細く突起のついた触手が、巨根で秘処を擦られる度に蜜壺の浅い部分をちゅぽちゅぽと出たり入ったりを繰り返し、やがてブルブルと震える突起を花芽の裏側に押し当てられたら、もう駄目だった。

『~~~~っっ♡♡♡』

目の前がひたすら明滅を繰り返し、もう何も考えられない。
唇を激しく貪られ、触手に蜜壺の中を蹂躙されて、巨根で花芽を激しく擦られて、全身が性感帯のようだった。

ヴィクトリアが薄く開けた瞳で男を見つめると、男の血のように真っ赤な深紅の瞳と視線が交じり合う。
ヴィクトリアの瞳は紅く、濡れていた。男は堪らない様子で、更に激しく腰を突き動かす。

『出るっ……出るぞ!くっ……ァッ!』
『ひゃっ?!』

勢いよく解き放たれた熱い欲望が、ヴィクトリアの顔や身体に降り注ぎ、汗と蜜と白濁とした欲望にまみれた姿が艶かしく扇情的だ。
そんなヴィクトリアの姿を見てペロリ舌舐りし、男はフーと呼吸を整えつつ、汗で張り付いた髪を左手でかき上げる。

男の肉棒は、たった今欲望を解き放ったばかりだと言うのに、全く萎える事なく、既に質量を取り戻していた。

もう一度と思い、ヴィクトリアに顔を近付けると、男は違和感に気付いた。随分とヴィクトリアがぐったりしていたのだ。あれだけ繰り返し絶頂していたのだから、ぐったりするのも当然だ。しかし、肉体的な疲労とは別に、ヴィクトリアの何かが急速に減ってしまっている。

そうして、男はハッとした。
精気を与えるよう命令していた触手の魔物が、どういうわけか、ヴィクトリアの精気を吸い上げ始めていたのだ。

『……お前達、一体何をしている?』

腹の底から響く、地を這うような低い声。
明らかな怒りを滲ませる声音に、触手の魔物はヴィクトリアから勢いよく離れていく。

『ひああああああっ♡♡♡』

離れていく際、蜜壺内を蹂躙していた触手がズルルルっと引いて外へ出ていく。触手が出ていく感覚さえ快感が伴い、ヴィクトリアは達してしまった。

『……私の命令に絶対遵守の魔物が、己の欲に負けて命令違反するとはな。それ程までに、この女の身体と精気が魅力的だということか』

男はヴィクトリアの秘処に指を這わせ、しとどに溢れ出ている蜜を掬い取り、ペロリと舐め上げる。

『……美味い』

あまりの甘さに目を見張った。
花芽を嬲った時にも美味しいと感じていたが、今はその時よりも更に甘く濃厚で美味しくなっていたからだ。

それはまさしく、“極上の味”。

精気を纏う濃密な蜜は、人間のものとも魔物のものとも言い難く、淫魔どころか、あらゆる魔の物を魅了し、虜にしてしまう程の美味しさ。
そして、穢れなき純粋な魂は、生来の魔物が大なり小なり必ず持っている破壊衝動や殺戮衝動を持っていない。淫魔の特性である快楽に貪欲な部分以外は、未だ魔物に染まっていないのだ。

『ならば、聖なる者さえも惹き付けられるという事だ』

魂に、精気に、身体に。
この者を形作る全てのものに。

『……私の名はアスモデウス。普段は魔物達に干渉する事はないのだが、お前は“特別”だ。印をやろう。……お前が望むなら、いつでも交わってやる。光栄に思え』

ヴィクトリアは薄れゆく意識の中、知らず知らず、その名を胸に刻んだ。

(アスモ……デウス…………)

色欲を司る悪魔。
彼の深紅の瞳には、僅かに金色が混じっていた。

彼の薄い唇が弧を描く。


『――――色欲の愛し子、ヴィクトリア。また逢おう。』


アスモデウスはそう言って、ヴィクトリアに印を刻んだ。
只人には見えぬ印。しかし、その印は確かに刻まれていて、一瞬だけ紅く光輝いた。



ヴィクトリアの、左胸。

心臓の上に。



* * *
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