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《分岐》リアム
三年後①*後半リアムside*
しおりを挟む「リアム!ほら、もう起きて!朝だよ?!」
「ん~~」
私がメルに刺され、昏睡状態から目を覚ましたあの日から、三年の月日が経った。
リアムと私は婚約し、私は特例で女騎士としてスペード王国騎士団に在籍する許可を国王陛下より賜った。あくまでも“婚約”なので、勿論部屋は別々。なのだが。
「リアムはそろそろ自分の部屋へ帰った方が良いと思う……」
リアムは三年前から、ずっと私の部屋で寝起きしているのだ。そう、あのままずっと。
リアムが眠たそうに薄らと瞳を開けて、既に普段着へと着替えを済ませている私の手をぎゅっと握った。
きゅん。
美形は例えどんな時でも関係無く美形であって、寝起きのリアムは超絶可愛い。ズルい。
「……今日明日は……休みだったと思うんだけど」
「そうだけど、食堂の時間もあるし」
「クッキーならすぐに出せるよ?」
「リアム。ご飯は出来るだけ、ちゃんとしたものを食べなくちゃ駄目だよ?」
前世で朝ご飯にカロリー〇イトを食べていた私が言ってもあまり説得力は無いけどね。
リアムはとにかく、良くも悪くも自由人だから、私がしっかりしなくちゃ!ご飯大事!!
私がそう固く決意していると、リアムに引っ張られて、ベッドへと倒れ込んでしまった。
既視感。
「り、リアム……?」
「ふふ。毎日一緒に居るのに、ロゼはまだ照れちゃうんだね」
「それは、だって……」
「ロゼのそういう所、可愛くて好きだよ」
「……っ」
リアムは何でもないように、さらっと“好き”とか言うんだよね。
心臓に悪い。というか、距離が近過ぎるので離れてくれませんか?
「ちか、近いよ、リアム……」
「可愛い。可愛くて、美味しそう。ロゼ、キスしてもいーい?」
「待っ……!んぅっ!」
ベッドの中でリアムに抱き締められながら、キスをされた。
いつも、触れるだけのキス。だけど、唇を離す時、リアムは毎回私の唇をペロリと舐めては、酷く嬉しそうな顔をするのだ。
「今日もロゼは美味しいね」
「~~っ!」
こんなの、慣れる訳ないっ!!
「は、はやく、起きよ?」
「んー……うん。じゃあ、ロゼが引っ張り起こしてよ」
「やだ。リアム、そういう時ばっかり本気だすんだもん」
「え~?じゃあ逆に聞くけど、他にいつ本気を出すのさ?」
「……」
リアムの考えている事は、私には一生理解出来ないと思う。
そうして私は、リアムの支度が終わるのを待ってから、二人で食堂へと向かったのだった。
……………………
…………
*リアムside*
朝起きると、ロゼが欲しくて堪らなくなる。
「リアム!ほら、もう起きて!朝だよ?!」
「ん~~」
起きれる訳ない。
少し落ち着く時間が欲しい。
だったら別々の部屋で寝ればいいんだろうけど、片時も離れていたくないから、こればっかりは仕方が無いよね。
だけど、婚約した時にバルトフェルト家当主であるロゼの養父、オーガスタス様に言われた。
『結婚するまでは清いままでいて欲しい』と。
スペード王国は貴族国家ではないし、婚前交渉については然程厳しくもない。個人的には、さっさと手に入れて確実なものとしたいけど。
(それでもし、ロゼが嫌がったら……)
そう思うと、手が出せない。
ロゼにだけは、嫌われたくないから。
(大丈夫。まだ待てる)
ロゼが18歳になれば結婚出来る。
現在ロゼは17歳で、18歳まで一年を切り、後数ヶ月。
(まぁ、キスだけでも結構幸せだけど)
今日は朝食を食べた後、ロゼと出掛ける予定だ。美味しいスイーツを食べて喜ぶロゼを堪能しよう。
「リアム?朝ご飯のメニュー何にする?」
「ん~~……ケーキ?」
「却下」
食堂でメニューを選んでいたら、にべもなくロゼに却下された。
なんで??
* * *
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