【R18】乙女ゲームの悪役令息の妹に転生しました!お兄様の処刑フラグを全力で叩き壊します!!

はる乃

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本編

一番安心出来る場所

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「お兄様っ……お兄様ぁ!」

私は漸く動くようになった身体で、お兄様の首に腕を回した。ぎゅっとしがみつきながら、お兄様を何度も何度も呼ぶと、そんな私に応えて、お兄様も私を強く抱き締めてくれる。

「ロゼ、もう大丈夫だから。恐かっただろう?」
「お兄様……!」

ああ、お兄様だ!お兄様が助けてくれた!お兄様お兄様……!!

私はお兄様の温もりを感じて、漸く安心する事が出来た。やっぱりお兄様が一番安心する。ピンチの時に駆けつけてくれるとか、ヒーローそのものね!私が甘えるようにお兄様に頬擦りをすると、お兄様が少しだけ私を抱き締める力を緩めた。

「落ち着いたかい?」
「はい、お兄様のお陰です。こうしてお兄様に抱き締めてもらうと、とても安心して落ち着きます」
「……それは嬉しいな。ロゼ、痛い所や、どこか違和感を感じるような所はあるかい?」
「大丈夫です。痺れ薬を嗅がされていたけれど、さっきの騎士様の魔法で治りましたから。……ああ、でも……」
「ロゼ?こんな時に遠慮なんてしてはいけないよ?私に出来る事なら、何でも言って欲しい」

お兄様の心配そうな瞳を見て、私は言い難いと思いつつも、少しだけ瞳を伏せてから、右の太股の事を話した。

「さっきの赤い髪の男に、太股を…………その、舐められて。気持ち悪いので、洗いたいです……」
「なっ?!」
「変なお願いをしてしまってごめんなさい、お兄様。だけど、私……………………お兄様?」

お兄様の身体が少しだけ震えている。寒いのかな?夜だしね。
私はお兄様が寒くないように、なるべく密着する。服着てるけど、この方が少しは暖かいかもしれないし。

すると、お兄様の震えが止まった。
やっぱり寒かったんだね!

「怒りでどうにかなりそうだった。……ロゼ、砦に行ったら湯殿を借りて、私が洗ってあげるよ。ちゃんと綺麗にしてあげるから、安心するといい」

え?!

「お、お兄様が洗って下さるのですか?」

それは流石に色々と宜しくないような?!

「大丈夫だよ。洗うのは太股だけだし、私は目隠しをしておくから。それに、ロゼには濡れてもいい服を着ていてもらうし」
「!」

私は服を着たまま入ればいいんですね!その上で太股を見ないように目隠しまでするだなんて、流石はお兄様!!なんて紳士なの?!
聞きましたか、赤髪野郎っ!!私のお兄様は貴方とは比べ物にならないくらい格好いいんだからね!!
月とスッポン、美女と野獣なんだからっ!!

「お兄様大好き!!」
「私もだよ、ロゼ!……太股以外は大丈夫かい?」
「はい、太股以外は大丈夫です。一度逃げ出した時にお腹を殴られたりしたけど、身体強化していたからそれほど痛くなかったですし……」
「は?……ロゼを殴った?ロゼのお腹を?」
「え?ええっと、はい。……殴られました。あんな生身の男に殴られるなんて、情けないですよね……」

私が少し気落ちして言うと、お兄様が「どいつだ?それもさっきの赤髪か?」と訊いてきた。
……何かお兄様、瞳孔開いてない??

私は、私とお兄様の居る位置からは少し離れた所に居る捕縛された男達を眺めて見るが、どうにも私を殴った男が見当たらない。一人だけ背格好の似ている男を見つけたが、流血し過ぎてて顔の判別が不可能だった。

「えっと…………背格好的には、あそこで倒れてる人が似てますけど。顔がちょっと…………」
「ああ、あいつか……」
「お兄様??」

私が不思議そうに首を傾げると、「あいつはここに来て最初にオリバーに殴られた奴だな」とお兄様ではない別の誰かが答えた。

聞き覚えのある、低くてよく通ったこのイケボは…………

「グリード?」


* * *
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