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本編

お兄様の甘い尋問

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「オリバー、何を言ってるんですか?僕はセルジュ・プランドル。君の従兄弟ですよ」

お兄様の質問に、私は平静を装って、なるべく間を置かず、不自然に感じないように答えを返した。けれど、心臓はバクバクで、僅かに指先が震えてしまう。

どうしよう。
まだ学校に通い始めて1年目。騎士団に入るまではバレたくないのに……
何とか隠し通せないかな?

私がそんな事を考えていたせいか、お兄様は椅子から立ち上がり、私が寝ているベッドに片膝を乗せて、私の顔の両側に手をついた。そうしてそのまま、私の首筋に顔を近づけてくる。

「オリバー?!な、何を……」
「……やっぱり、ロゼの匂いがする」
「?!」

お兄様はそう言って、お仕置きの時みたいに、私の首筋に唇を寄せた。擽ったくて私の身体がふるっと震える。

「……っ!……止め……」
「首筋の感触も、そうやって震えるのも、ロゼと一緒だ」
「違う……!僕は、セルジュだ!」
「なら、ここは?」
「……?!」

お兄様が、私の一番弱い耳をペロリと舐めて、パクっと甘噛みしてきた。ロゼの時に、何度も擽られている所。お兄様はロゼの時と同じ様に、私の耳を擽って、私の反応を見て確認している。バレてしまうと思って、焦ってお兄様の身体に手をつき、身体を押すけれど、お兄様の身体はビクともしない。それどころか、私の両手を頭の上で一つに纏めて、抵抗出来ないようにされてしまった。

こんなのズルい。
いつも一緒に特訓していたから分かってはいたけど。私は力でも魔法でも、お兄様には勝てないのに。
耳ばかり弄られて、私は必死に声を我慢した。

「んっ……!」
「ロゼなんだろう?……耳が一番弱いって、前にロゼが教えてくれた。擽ったいくせに、必死に声を我慢してるのかい?でも、顔も赤いし、震えてるよ」
「オリバー……っ!わ、悪ふざけは、止めて下さ……」
「ああ、その潤んだ瞳も。色は違うけど、ロゼと一緒だ。……ほら、その可愛い唇で、いつもみたいにお兄様と呼んでごらん?」
「だから、違っ………ひゃっ」
「ほら、今のはいつものロゼの声。……ロゼ、もう観念するんだ。でないと、流石に私も怒るよ?」
「……うぅ……」
「ほら、お兄様って呼んでごらん?」

ああ、もう駄目だ。
もう言い逃れ出来ない。
怒ると言いながらも、お兄様の瞳も声も、とても甘くて。
私の耳元で、お兄様が囁くように甘く言葉を紡いでいく。私は、ソレにとても弱い。お兄様の声、大好き。

「ほら、ロゼ。言って?」
「……おにい、さま……」
「やっぱり、私のロゼだ。ロゼ、ロゼ。私の、私だけのロゼリア!」
「ひぁっ……!」
「…………ロゼ、このまま事情も話して欲しいな。どうして、こんなことをしているのか」
「それは……」
「言わないと、もっと擽るよ?まぁ音声遮断してあるから、いくら笑い声を上げようと大丈夫だけどね。……もしくは、少し甘い声でも」
「……っ……お兄様……?」
「ふふ、なんでもないよ。まさか学校の保健室でロゼとこんな事になるなんて、思ってもいなかったからね」

確かに、私もこうなってしまうなんて思ってなかった。というか、お兄様は本当に12歳なの?今年13歳になるにしても、前世で言えば中学生だよね?本人にそーゆう自覚はないのかもしれないけど、これって擽る格好と違くない??こんなのまるで…………

「……お、お兄様。あの、なんだか恥ずかしいので退いて下さいませんか?」
「ロゼ。私に隠し事をしていたのだから、これもお仕置きの一つだよ。さぁ、事情を話して。それと……」
「?」
「この間の、知らない人に魔力回復して貰ったと言っていた話。アレも嘘だね?学校で誰かにして貰ったんじゃないのかい?さぁ、その辺も白状しなさい」
「?!」

芋づる式に過去の過ちまで?!
あ、あれは不可抗力で!!というか、確かに無茶した私が悪かったんだけども……

「ロゼ」
「はっはいぃ!」
「ちゃんと話さないと、たーくさん擽るよ?一番弱いのは耳だろうけど、他にも弱いところ、いっぱいあるよね。……全部知ってるよ」

なんてこった!!!
お兄様がまるで獰猛な獣に見えてきたんですけど?!でも、全部は話せないし、また少し嘘をつくしか……

「……ロゼ。目が泳いでるけど、どういう事かな。もしや、また嘘をつくつもり?いけない子にはもっとお仕置きが必要だね」
「ひ?!」

お兄様の手が、するりと制服の中へ入ってきた。
直接擽るつもりですか?!
お兄様が甘い笑みを浮かべながら、私の耳を弄りつつ、するすると手を動かしていく。

「大丈夫だよ、ロゼ。……痛い事はしないから」
「~~~っ?!」


* * *
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