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本編
学校に入学します①
しおりを挟むお母様からの条件をクリアしてから、私は毎日勉強と特訓に明け暮れて、あっという間に2年の時が経過した。私は9歳、お兄様は12歳になった。
私は日々の特訓の成果により、自分の持つ属性魔法であれば上級魔法も使えるようになった。魔力量は身体の成長と共に少しずつ増えていったけど、まだ絶対防御を安定して使うには全然足りていない。試しに何度か内緒で使ってみたけれど、数秒しか保てず、すぐに割れてしまった。どこで試していたかと言うと、夜寝る前に、自分の部屋のベッドでやってました。魔力が涸渇しちゃうと倒れちゃうからね。
なので、魔力量については何とか劇的に増やせないものかと、未だ勉強中である。
それはさておき、同時進行で他の勉強やマナー等も頑張った私は、今年見事に飛び級入学する事に成功した!!転生小説あるあるだけど、やっぱりこの世界の学問レベルは前世より低かったのだ。中学生くらいまでで、私が前世で苦労した微分積分とかは出てこないと分かり、本当に助かりました。というか、生物とか物理が無かったのも大きい。
そうだよね。だってここは魔法のあるファンタジーな世界だもの。ここにメンデルさんやニュートンさんは居ないのだよ。いや、似たような人は居るのかもしれないけど。
この世界の学校で必要なものは、算術、語学、歴史、マナー、ダンス、魔法、薬草学、剣術などなど……
選択科目に天文学や武術、弓術もあった。
なので、みんなやらないだけで、多分この世界の人でも飛び級入学って頑張れば割りとすぐに出来ちゃうと思う。そんな感じで、私は期待に胸を高鳴らせて学校の入学式へと臨んだ。
勿論、セルジュ・プランドルとして。
ちなみに、私が学校に行っている間のアリバイはお母様が何とかしてくれるらしい。お母様ありがとうございます!!
「えーと……入学式の会場は……」
メルに手伝ってもらって家を抜け出し、無事に学校まで辿り着いた私は、入学式の会場を探していた。
思ったよりも大きな学校で、校舎とは別に体育館のような建物が三つもあり、着いて早々、私は迷子の危機に瀕していた。
乙女ゲームは15歳からのスタートで学校に通うシーンとか無かったし。地図はあるけど、現在地はどこなの?
「現在地は……」
「…………君、どうかしたの?」
「っ?!」
私は驚いて、思わず一歩後ろに下がった。
地図ばかり見ていたから、すぐ目の前に人がいた事に、まるで気付いていなかった。
顔を上げて見てみると、そこには上級生だと思われる少年がいた。少しくすんだ金髪の碧眼で、お兄様とはまた違った感じの美形だ。分類的には可愛い系。
あれ?
この人どっかで見たような……
「君、新入生?迷子かな?」
「は、はい!会場がどこか分からなくて……」
「おいで。案内してあげるよ」
なんと?!
初対面なのに、なんて親切な人なの?!まるでお兄様のようね!!
嬉しくなった私は、その人に笑顔でお礼を言った。
「本当に困っていたから助かります!ありがとうございます!」
「?!」
あれ?
なんか顔が赤くなったけど、どうしたんだろう??
* * *
くすんだ金髪の可愛い系イケメン様に案内してもらい、私は無事に入学式の会場まで辿り着く事が出来た。ていうか、私がお礼を言ったあたりから、全然喋ってくれなくなっちゃったんだけど。
何か失礼な事でもしちゃったかな?
私は別れ際に、もう一度お礼を言おうと話し掛けた。
「あ、あの。本当にありがとうございました!」
「いや、大したことはしていないから」
「……すみません。僕、何か気に障るような事でもしましたか?」
「え?」
「さっき僕がお礼を言った後くらいから、急に黙ってしまわれたので……」
「ああ、ごめん。……その、俺は女の子が苦手でさ。君が男の子なのは制服を見れば分かるけど、笑った顔があんまりにも……その、可愛くて」
「え……」
* * *
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