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本編
至福の時間
しおりを挟むお兄様と一緒に眠った日の翌朝。
私は起きた瞬間に鼻血を吹き出しそうになり、必死に鼻を押さえて、気持ちを鎮める事に全神経を集中させた。
やばい。
お兄様の寝顔が天使過ぎてやばい。
尊すぎるでしょ。何なの?
私のお兄様やばくない??
駄目駄目、落ち着くのよ、ロゼ。
お兄様を鼻血まみれにするなんて絶対に嫌だし、何よりこの朝の幸せな時間を終わりにしたくない。
鼻血なんて出したら、目覚めたお兄様がメイドさん達を呼んで一気に大騒ぎだ。
私は興奮した気持ちを必死に抑えて、何とか落ち着きを取り戻した。
深呼吸、深呼吸。スーハースーハー。
お兄様は私をぎゅっと抱き締めるようにして眠っていた。私はもぞもぞとお兄様の尊いお顔に近付いて、眠っているお兄様のほっぺにキスをする。
「ふふふ。いつかはヒロインのものになってしまうんだもの。これくらい、いいよね?」
今のお兄様は、私だけのもの。
私は額や目尻にもちゅっちゅっとキスをして、お兄様のサラリとした髪を撫でようと手を伸ばした。
けれど―――
「うひゃ?!」
私は再びお兄様の腕の中に閉じ込められた。ぎゅっとされて、お兄様の良い匂いと温もりに包まれる。
「…………ロゼ。どうして朝からそんなに可愛いの?」
「お、お兄様!いつから目が覚めていたのですか?!」
「…………ほっぺにキスしてくれた辺りから」
「ええ?!」
ほぼ全部じゃない!!
ね、寝てると思ったから強気に出れていたのに!!恥ずかし過ぎて死ねる!!!
「ご、ごめんなさいお兄様!わ、私……」
「別に怒ってないし、謝る必要はないよ。だけど、ちょっと…………今は、僕を見ないで」
「お兄様?」
見上げてみると、チラリと見えたお兄様の首が真っ赤だった。
大人びていても、やはりお兄様は9歳の子供で男の子なのだ。
可愛い。
私のお兄様、可愛すぎる。
「お兄様、もしかして照れていらっしゃるの?」
「…………」
「ふふ。お兄様可愛いです」
「…………そんな事言ってると、仕返しするよ?」
「え?……ひゃっ」
「ロゼも照れて顔を真っ赤にすればいいよ」
「ひゃあああ!お、お兄様、ごめんなさい!あはっ……くすぐったいです!」
「くすぐったい?なら、いっぱいくすぐってあげるね。可愛い僕のロゼ」
「お、お兄……っ?!ひゃあ!あはははっ!も、やめ……ふふっ」
お兄様に額や瞼、耳をちゅっちゅされながら、首や脇腹をくすぐられて、私は笑いながらも涙目で止めてくれるよう懇願した。
首や脇腹もだけど、一番くすぐったいのは耳で、お兄様はそれに気付いているのかいないのか、やたらと耳にばかりキスをしてくる。
ひとしきり笑い合った後、私は息も絶え絶えに、涙目のまま、お兄様に抗議の眼差しを向けた。
「ひ、酷いです、お兄様!こんなにくすぐるなんて!」
「ふふ、ごめんごめん。ロゼがあんまりにも可愛くて、止められなくてさ」
「もー!本当に悪いと思ってるんですか?」
「うーん。というかね、ロゼ?そんな潤んだ瞳で睨まれちゃうと、もっと苛めたくなるって言うか……」
「い、苛めたくなる?!」
「僕以外の人には見せちゃ駄目だよ?きっと苛められちゃうからね。その瞳は、僕だけに見せてね」
「は、はい。お優しいお兄様でも苛めたくなるような目をしていただなんて!私、以後気を付けますわ!特に他の方の前では絶対に見せません!」
「うん、そうしてね。でも、僕には見せていいからね」
「え??……苛めたくなるのに?」
「僕はどんなロゼも好きだからね。苛めたくなるような瞳も、ロゼだから好きなんだ」
「お兄様!!なんて懐深い!!」
「おいで、ロゼ。メイドが来るまで、いっぱいぎゅってしてあげる」
「はい!ぎゅってして下さいませ!!」
お兄様お兄様お兄様!!
大好き大好き大好き!!!
今はお兄様をいっぱい独り占めしちゃうんだから!
幸せ~~~!!!
* * *
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