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最終章
4. 最終話
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「あなたっ、きつねうどんと肉うどん一丁」
「はいはいっ」
「あ、いらっしゃいま……‼︎⁉︎ しゃ、社長……」
あんな形で顔に泥を塗って出て行った私達の元に、どこで情報を仕入れたのか事務所の社長がやって来た。きっと違約金の話だろう。そう思っていたのに、社長は注文を済ませると、こんな事を言い出した。
「解散した後の事だからな、違約金は発生せんぞ」
「えっ⁉︎」
「それにしても、思い切ったもんだな。セオ、アステリア」
‼︎‼︎‼︎⁉︎
ドンガラガッシャーーン
私と同様、動揺した夫が丼をひっくり返したようだ。
「ほら、祝儀だ祝儀っ」
「しゅ、祝儀?」
「晴れて夫婦になったんだろ?」
「は、はい……。あ、あの?」
「俺もずっと後悔してたんだ。あの時、引き裂いた事を」
「⁉︎」
なんと、事務所社長はアステリアの父の魂を宿していた。現世では絶対、二人の行く末をあたたかく見守ろう。二度と口出しはしない。そう思ってくれていたらしい。
「あの会見で全てを悟ったんだ。お前達がセオとアステリアなのだと。どうしても最後に祝っておきたくてな。色々つてを頼ってここまで来た。でも安心しろ。他言はせんから」
「しゃ、社長……」
「幸せにな」
「社長……」
そして私達は今日も、煌々としたあたたかい光に包まれながら、そして優しい常連さん達に見守られながらお店を切り盛りしている。
「あなたぁっ、高菜うどん一丁っ♪」
「はいはいっ。橙子、熱いから気をつけて」
「は~~いっ♪ 1番テーブルさん、お待たせしましたぁ~」
【完】
「はいはいっ」
「あ、いらっしゃいま……‼︎⁉︎ しゃ、社長……」
あんな形で顔に泥を塗って出て行った私達の元に、どこで情報を仕入れたのか事務所の社長がやって来た。きっと違約金の話だろう。そう思っていたのに、社長は注文を済ませると、こんな事を言い出した。
「解散した後の事だからな、違約金は発生せんぞ」
「えっ⁉︎」
「それにしても、思い切ったもんだな。セオ、アステリア」
‼︎‼︎‼︎⁉︎
ドンガラガッシャーーン
私と同様、動揺した夫が丼をひっくり返したようだ。
「ほら、祝儀だ祝儀っ」
「しゅ、祝儀?」
「晴れて夫婦になったんだろ?」
「は、はい……。あ、あの?」
「俺もずっと後悔してたんだ。あの時、引き裂いた事を」
「⁉︎」
なんと、事務所社長はアステリアの父の魂を宿していた。現世では絶対、二人の行く末をあたたかく見守ろう。二度と口出しはしない。そう思ってくれていたらしい。
「あの会見で全てを悟ったんだ。お前達がセオとアステリアなのだと。どうしても最後に祝っておきたくてな。色々つてを頼ってここまで来た。でも安心しろ。他言はせんから」
「しゃ、社長……」
「幸せにな」
「社長……」
そして私達は今日も、煌々としたあたたかい光に包まれながら、そして優しい常連さん達に見守られながらお店を切り盛りしている。
「あなたぁっ、高菜うどん一丁っ♪」
「はいはいっ。橙子、熱いから気をつけて」
「は~~いっ♪ 1番テーブルさん、お待たせしましたぁ~」
【完】
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