今度は後悔させません

複雑な気持ち

3.

♦︎奏多Ver.♦︎

　橙子さんの想いのこもった言葉を聞いた途端、雷に打たれたような衝撃が走った。

“こんな終わり方嫌”

　その言葉は、かつて自分が吐いた言葉。離れたくなくて、置いていかれたくなくて、自分の置かれた運命を呪って、そして……。

「光を失った……光……」

　‼︎‼︎

“私には分かるの、私には見えるのっ‼︎‼︎ あなたの光が‼︎‼︎ ”

　あぁ……橙子さんがよく掛けてくれた言葉だ。いつもそう言って励ましてくれていた。橙子さんの側にいると、何も怖くない。不思議と不安が消えて、温かい気持ちになって、そして……惹かれて……。

「運命の人だったから……セオ……」

　間違いない。彼女はきっと、セオの魂を宿している。

　そんな彼女が、僕の気持ちを逆撫でしてズタズタにするような仕打ちを、本当にするのだろうか。

　三枝さんが側にいた時、なぜか不安な気持を抱えていた。それは、橙子さんの潔白を細胞レベルで感じ取っていたのかもしれない。

「ちょっと、奏多聞いてる？」
「橙子さん、少しだけ、少しだけ時間を下さい」

　僕はそう声を掛けると、事務所の社長の元へ足を進めた。