今度は後悔させません

東野鯉

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忍び寄る闇

3.

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♦︎奏多Ver.♦︎

“これがマネージャーの仕事だから”

 返ってくる言葉は分かっていたはずなのに、実際耳にするとこんなにも虚しいものなのか。

 彼女に初めて出会った時、どこか懐かしさを感じた。女性と関わる事が苦手なはずなのに、彼女の側にいると不思議と安心する。

 劣等感も不安も苦手意識も何もかも、彼女が側にいてくれる事でフワッとどこかに飛んでいく。

 彼女が側にいてくれると、不思議な力が湧いてくる気がするんだ。

 これが、恋心というものなのかな。

 いや、駄目だ。勘違いするな。彼女が親身になってくれているのは、それが“仕事”だから。ハッキリそう言われたじゃないか。

 彼女は前の事務所の事もあって、一発逆転に賭けてきた人だ。抱えているアイドルが大化けすれば、スカウトをかけた彼女の人生もガラッと変わる。だから、この仕事に賭けているんだ。ただそれだけの事。

「……」

 とてつもなく虚しい。

 僕の人生はこんなにも好転したというのに、どうしてこんなに虚しいんだ。

「橙子さんの事が……」

 あぁ、もどかしい。どうすれば橙子さんの気を惹ける。アイドルとマネージャーの関係を超えて親密になるにはどうすれば良い。どうすれば……。

 

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