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最終章 さよならダンジョン
14 また来てデルフ
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とりあえず一度家に帰ろうと、大急ぎで下山したコイル達だったが、すでに聖域の外の屋台村はてんやわんやの大騒ぎだった。
一昼夜たっても第4層ではまだ話し合いが続いている。現在は上からの連絡で、第2層以上は方針が決まるまで冒険者ギルド管理により立ち入り禁止とされた。そのため禁止されていない第1層には、多くの冒険者や薬師、それに屋台を出しているオヤジなども詰め掛けて、かつて見たことがない程の混雑ぶりだ。
日鳥やシルフは景気よく人々にちょっかいを出し、人がそれらを捕まえようとすると、容赦なく電撃や突風でやり返していた。朱雀になった天花も退屈な話し合いよりも下で遊びたいと、人化したり朱雀に戻ったりして、冒険者の鼻先でからかっては笑っている。
何か食べるものを買って帰ろうと屋台を見て歩いていたら、変化からたった一日でもう「本家聖域まんじゅう」という旗が立っているのには笑った。確か数日前までは「元祖ダンジョンまんじゅう」の店だったので。
先にダンジョンアウトしていた桃旗隊のメンバーが、下山してきた残りの三人とデルフ村で合流していた。彼らが何を思いこれから如何するのか、気にならないわけではないが、多分きっと、また楽しいことになる。そう、空を見上げながらコイルは思った。
だってほら、空には縁起がいい光烏が舞っている。
……
……
……光烏?
「マスター・コイル、言い忘れていましたが、聖域の理の及ぶ範囲は霧衣山の山頂からデルフ村を含む先の海までに広がっています。聖獣たちがその範囲内で「薬草と脳筋達の森」の結界の外にも自由に出ることが出来るようになりました」
「何だと!……コイル、今のフェイスの言葉は俺にも聞こえたぞ。多分新しいギフトの効果だ」
「俺もー。っていうか、嫌な予感しない?家の方から……」
駆け足で家に帰ると、コイルたちが階段を上がるより早く、バタンとドアが開き中から雰囲気の変わったルフが飛び出してきた。
「おおーーーん!」
「ルフ!あ、こら、こけるってば!ルーフー」
白狼になったルフは、駆け寄ってコイルに飛びかかった。ふかふかの柔らかい白い毛に抱きついて頭を撫でるコイルに、ルフの尻尾が千切れんばかりに振られている。
「あ、コイルではないか、遅かったな」
畑の方から、両手にいっぱいの野菜を持って、少し大人っぽく、丁度コイルと同じ歳に見える程度に成長した龍王が歩いてきた。その後ろからついてきたマツは、金髪碧眼の西洋人形のような姿から、透き通った海のような青い髪と黒い瞳を持つ背の高い美女に変わっていた。
「ほら、早く持って行かないと、おかみさんが待ってますよ。コイルさま、お帰りなさい。今、おかみさんがご飯を作ってくれていますので、早く上がってきてくださいね」
そう言うと、龍王を追い立てて、コイルの家へとさっさと上がっていった。
きゃははは
小さな笑い声が聞こえる。よく見れば、あちらこちらの物陰からシルフが覗いていた。
二階の窓がぱたんと開き、中からマイが手を振っている。
「マスターーー!あたしら、話し合いなんて暇だから、来ちゃったぜっ!」
……家の中、どうなってるんだろう?
少し怖くて、すごく楽しみになりながら、コイルは家に向かって一歩踏み出した。
ボッチになったコイルが、ついうっかり寄り道してダンジョンに入った結果
たくさんの保護者と、気の良い仲間たちが、そこに……
「ただいまーーーーーーーっ!」
一昼夜たっても第4層ではまだ話し合いが続いている。現在は上からの連絡で、第2層以上は方針が決まるまで冒険者ギルド管理により立ち入り禁止とされた。そのため禁止されていない第1層には、多くの冒険者や薬師、それに屋台を出しているオヤジなども詰め掛けて、かつて見たことがない程の混雑ぶりだ。
日鳥やシルフは景気よく人々にちょっかいを出し、人がそれらを捕まえようとすると、容赦なく電撃や突風でやり返していた。朱雀になった天花も退屈な話し合いよりも下で遊びたいと、人化したり朱雀に戻ったりして、冒険者の鼻先でからかっては笑っている。
何か食べるものを買って帰ろうと屋台を見て歩いていたら、変化からたった一日でもう「本家聖域まんじゅう」という旗が立っているのには笑った。確か数日前までは「元祖ダンジョンまんじゅう」の店だったので。
先にダンジョンアウトしていた桃旗隊のメンバーが、下山してきた残りの三人とデルフ村で合流していた。彼らが何を思いこれから如何するのか、気にならないわけではないが、多分きっと、また楽しいことになる。そう、空を見上げながらコイルは思った。
だってほら、空には縁起がいい光烏が舞っている。
……
……
……光烏?
「マスター・コイル、言い忘れていましたが、聖域の理の及ぶ範囲は霧衣山の山頂からデルフ村を含む先の海までに広がっています。聖獣たちがその範囲内で「薬草と脳筋達の森」の結界の外にも自由に出ることが出来るようになりました」
「何だと!……コイル、今のフェイスの言葉は俺にも聞こえたぞ。多分新しいギフトの効果だ」
「俺もー。っていうか、嫌な予感しない?家の方から……」
駆け足で家に帰ると、コイルたちが階段を上がるより早く、バタンとドアが開き中から雰囲気の変わったルフが飛び出してきた。
「おおーーーん!」
「ルフ!あ、こら、こけるってば!ルーフー」
白狼になったルフは、駆け寄ってコイルに飛びかかった。ふかふかの柔らかい白い毛に抱きついて頭を撫でるコイルに、ルフの尻尾が千切れんばかりに振られている。
「あ、コイルではないか、遅かったな」
畑の方から、両手にいっぱいの野菜を持って、少し大人っぽく、丁度コイルと同じ歳に見える程度に成長した龍王が歩いてきた。その後ろからついてきたマツは、金髪碧眼の西洋人形のような姿から、透き通った海のような青い髪と黒い瞳を持つ背の高い美女に変わっていた。
「ほら、早く持って行かないと、おかみさんが待ってますよ。コイルさま、お帰りなさい。今、おかみさんがご飯を作ってくれていますので、早く上がってきてくださいね」
そう言うと、龍王を追い立てて、コイルの家へとさっさと上がっていった。
きゃははは
小さな笑い声が聞こえる。よく見れば、あちらこちらの物陰からシルフが覗いていた。
二階の窓がぱたんと開き、中からマイが手を振っている。
「マスターーー!あたしら、話し合いなんて暇だから、来ちゃったぜっ!」
……家の中、どうなってるんだろう?
少し怖くて、すごく楽しみになりながら、コイルは家に向かって一歩踏み出した。
ボッチになったコイルが、ついうっかり寄り道してダンジョンに入った結果
たくさんの保護者と、気の良い仲間たちが、そこに……
「ただいまーーーーーーーっ!」
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