26 / 57
第6章 甘くない練習。そしてドキドキのプレゼン当日
2
しおりを挟む
「珍しく愛想なかったね、マネージャー。あれっ、実は高橋さんに気があるんじゃないの? ちょっと嫉妬混じってたよ、今の目つき」
と坂上くん。
「そんなことあるわけないでしょう。気のせいだよ」
坂上くんは、いや、こういう勘は鋭いほうなんだけどと言いながら
「じゃあ、賭けようよ。下のコンビニのハーゲンダッツ」
「いいけど。どうせわたしが勝つに決まってるから」
期間限定の一番高いやつ、おごってもらおう。
しかし……勝ってもひとつも嬉しくない賭けだな。
そんな、宮沢さんが嫉妬なんて……ないない、絶対ない。
***
その日の帰り、一階のロビーで前方を歩いている宮沢さんを見つけた。
また、一緒に帰れる!
二度あることは三度ある、とはこのことだと喜んで追いかけようとしたら、柱の陰から亜矢美さんが現れた。
待ち合わせしていたみたいだ。
ふたりは談笑しながら、夜の街に消えていった。
ほら、坂上くんの言うことなんて、まったくあてにならないよ。
明日、アイスおごってもらわなきゃ。
きっと、ぜんぜん美味しくないけど。
***
企画書の作成も大変だったけれど、プレゼンの練習はもっとハードだった。
「ほら、ずっと下ばかり向かないで。声も小さいよ」
ひえー、そんなこと言われても。
「資料はあくまでも補助。内容は一言一句暗記しといたほうがいい」
「わかりました」
昼休憩。
ミーティング室を借りて、宮沢さんにプレゼンの特訓を受けていた。
「せっかくのいい企画も、プレゼンで台無しになったらつまんないからね。明日までに全部覚えてきてね」
「はい」
口調は相変わらず優しいけれど、要求はなかなか厳しい。
でも、わたしにとってかけがえのない時間だ。
あと2週間あまり。
プレゼンが終わってしまえば、もう宮沢さんとこうして過ごす機会も無くなる。
「もう一度、やってみます」
「あっと、その前に、あのさ……」
と坂上くん。
「そんなことあるわけないでしょう。気のせいだよ」
坂上くんは、いや、こういう勘は鋭いほうなんだけどと言いながら
「じゃあ、賭けようよ。下のコンビニのハーゲンダッツ」
「いいけど。どうせわたしが勝つに決まってるから」
期間限定の一番高いやつ、おごってもらおう。
しかし……勝ってもひとつも嬉しくない賭けだな。
そんな、宮沢さんが嫉妬なんて……ないない、絶対ない。
***
その日の帰り、一階のロビーで前方を歩いている宮沢さんを見つけた。
また、一緒に帰れる!
二度あることは三度ある、とはこのことだと喜んで追いかけようとしたら、柱の陰から亜矢美さんが現れた。
待ち合わせしていたみたいだ。
ふたりは談笑しながら、夜の街に消えていった。
ほら、坂上くんの言うことなんて、まったくあてにならないよ。
明日、アイスおごってもらわなきゃ。
きっと、ぜんぜん美味しくないけど。
***
企画書の作成も大変だったけれど、プレゼンの練習はもっとハードだった。
「ほら、ずっと下ばかり向かないで。声も小さいよ」
ひえー、そんなこと言われても。
「資料はあくまでも補助。内容は一言一句暗記しといたほうがいい」
「わかりました」
昼休憩。
ミーティング室を借りて、宮沢さんにプレゼンの特訓を受けていた。
「せっかくのいい企画も、プレゼンで台無しになったらつまんないからね。明日までに全部覚えてきてね」
「はい」
口調は相変わらず優しいけれど、要求はなかなか厳しい。
でも、わたしにとってかけがえのない時間だ。
あと2週間あまり。
プレゼンが終わってしまえば、もう宮沢さんとこうして過ごす機会も無くなる。
「もう一度、やってみます」
「あっと、その前に、あのさ……」
2
お気に入りに追加
39
あなたにおすすめの小説
隠れオタクの女子社員は若社長に溺愛される
永久保セツナ
恋愛
【最終話まで毎日20時更新】
「少女趣味」ならぬ「少年趣味」(プラモデルやカードゲームなど男性的な趣味)を隠して暮らしていた女子社員・能登原こずえは、ある日勤めている会社のイケメン若社長・藤井スバルに趣味がバレてしまう。
しかしそこから二人は意気投合し、やがて恋愛関係に発展する――?
肝心のターゲット層である女性に理解できるか分からない異色の女性向け恋愛小説!
純真~こじらせ初恋の攻略法~
伊吹美香
恋愛
あの頃の私は、この恋が永遠に続くと信じていた。
未成熟な私の初恋は、愛に変わる前に終わりを告げてしまった。
この心に沁みついているあなたの姿は、時がたてば消えていくものだと思っていたのに。
いつまでも消えてくれないあなたの残像を、私は必死でかき消そうとしている。
それなのに。
どうして今さら再会してしまったのだろう。
どうしてまた、あなたはこんなに私の心に入り込んでくるのだろう。
幼いころに止まったままの純愛が、今また動き出す……。
恋に異例はつきもので ~会社一の鬼部長は初心でキュートな部下を溺愛したい~
泉南佳那
恋愛
「よっしゃー」が口癖の
元気いっぱい営業部員、辻本花梨27歳
×
敏腕だけど冷徹と噂されている
俺様部長 木沢彰吾34歳
ある朝、花梨が出社すると
異動の辞令が張り出されていた。
異動先は木沢部長率いる
〝ブランディング戦略部〟
なんでこんな時期に……
あまりの〝異例〟の辞令に
戸惑いを隠せない花梨。
しかも、担当するように言われた会社はなんと、元カレが社長を務める玩具会社だった!
花梨の前途多難な日々が、今始まる……
***
元気いっぱい、はりきりガール花梨と
ツンデレ部長木沢の年の差超パワフル・ラブ・ストーリーです。
冷たい外科医の心を溶かしたのは
みずほ
恋愛
冷たい外科医と天然万年脳内お花畑ちゃんの、年齢差ラブコメです。
《あらすじ》
都心の二次救急病院で外科医師として働く永崎彰人。夜間当直中、急アルとして診た患者が突然自分の妹だと名乗り、まさかの波乱しかない同居生活がスタート。悠々自適な30代独身ライフに割り込んできた、自称妹に振り回される日々。
アホ女相手に恋愛なんて絶対したくない冷たい外科医vsネジが2、3本吹っ飛んだ自己肯定感の塊、タフなポジティブガール。
ラブよりもコメディ寄りかもしれません。ずっとドタバタしてます。
元々ベリカに掲載していました。
昔書いた作品でツッコミどころ満載のお話ですが、サクッと読めるので何かの片手間にお読み頂ければ幸いです。
羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。
泉野あおい
恋愛
人の気持ちに重い軽いがあるなんて変だと思ってた。
でも今、確かに思ってる。
―――この愛は、重い。
------------------------------------------
羽柴健人(30)
羽柴法律事務所所長 鳳凰グループ法律顧問
座右の銘『危ない橋ほど渡りたい。』
好き:柊みゆ
嫌い:褒められること
×
柊 みゆ(28)
弱小飲料メーカー→鳳凰グループ・ホウオウ総務部
座右の銘『石橋は叩いて渡りたい。』
好き:走ること
苦手:羽柴健人
------------------------------------------
ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました
菱沼あゆ
恋愛
ご先祖さまの残した証文のせいで、ホテル王 有坂桔平(ありさか きっぺい)と戸籍上だけの婚姻関係を結んでいる花木真珠(はなき まじゅ)。
一度だけ結婚式で会った桔平に、
「これもなにかの縁でしょう。
なにか困ったことがあったら言ってください」
と言ったのだが。
ついにそのときが来たようだった。
「妻が必要になった。
月末までにドバイに来てくれ」
そう言われ、迎えに来てくれた桔平と空港で待ち合わせた真珠だったが。
……私の夫はどの人ですかっ。
コンタクト忘れていった結婚式の日に、一度しか会っていないのでわかりません~っ。
よく知らない夫と結婚以来、初めての再会でいきなり旅に出ることになった真珠のドバイ旅行記。
ちょっぴりモルディブです。
【完結】俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜
雪井しい
恋愛
「こはる、俺の妻になれ」その日、大女優を母に持つ2世女優の花宮こはるは自分の所属していた劇団の解散に絶望していた。そんなこはるに救いの手を差し伸べたのは年上の幼馴染で大企業の御曹司、月ノ島玲二だった。けれど代わりに妻になることを強要してきて──。花嫁となったこはるに対し、俺様な玲二は独占欲を露わにし始める。
【幼馴染の俺様御曹司×大物女優を母に持つ2世女優】
☆☆☆ベリーズカフェで日間4位いただきました☆☆☆
※ベリーズカフェでも掲載中
※推敲、校正前のものです。ご注意下さい
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる