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第6章 甘くない練習。そしてドキドキのプレゼン当日

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「珍しく愛想なかったね、マネージャー。あれっ、実は高橋さんに気があるんじゃないの? ちょっと嫉妬混じってたよ、今の目つき」
 と坂上くん。

「そんなことあるわけないでしょう。気のせいだよ」

 坂上くんは、いや、こういう勘は鋭いほうなんだけどと言いながら
「じゃあ、賭けようよ。下のコンビニのハーゲンダッツ」

「いいけど。どうせわたしが勝つに決まってるから」

 期間限定の一番高いやつ、おごってもらおう。

 しかし……勝ってもひとつも嬉しくない賭けだな。

 そんな、宮沢さんが嫉妬なんて……ないない、絶対ない。

***

 その日の帰り、一階のロビーで前方を歩いている宮沢さんを見つけた。

 また、一緒に帰れる!

 二度あることは三度ある、とはこのことだと喜んで追いかけようとしたら、柱の陰から亜矢美さんが現れた。

 待ち合わせしていたみたいだ。

 ふたりは談笑しながら、夜の街に消えていった。

 ほら、坂上くんの言うことなんて、まったくあてにならないよ。 

 明日、アイスおごってもらわなきゃ。
 きっと、ぜんぜん美味しくないけど。

***

 企画書の作成も大変だったけれど、プレゼンの練習はもっとハードだった。

「ほら、ずっと下ばかり向かないで。声も小さいよ」

 ひえー、そんなこと言われても。
「資料はあくまでも補助。内容は一言一句暗記しといたほうがいい」
「わかりました」

 昼休憩。
 ミーティング室を借りて、宮沢さんにプレゼンの特訓を受けていた。

「せっかくのいい企画も、プレゼンで台無しになったらつまんないからね。明日までに全部覚えてきてね」
「はい」
 口調は相変わらず優しいけれど、要求はなかなか厳しい。
 でも、わたしにとってかけがえのない時間だ。

 あと2週間あまり。
 プレゼンが終わってしまえば、もう宮沢さんとこうして過ごす機会も無くなる。

「もう一度、やってみます」
「あっと、その前に、あのさ……」

 
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