16 / 57
第4章 嬉しすぎるお誘い
4
しおりを挟む
「悪いね。せっかくの休みに」
「いえ。休日はどうせ家でだらだらしてるだけなので」
「3、4件回りたいところがあるんだけど、大丈夫? 車にすれば良かったんだけど、都内を走るはあんまり好きじゃなくてさ」
「はい、大丈夫です」
わあ、1件じゃないんだ。ってことは本当に1日中、一緒にいられる。やった。
「スイーツは好き?」
「はい! 大好きです! 宮沢マネージャーは?」
そう言うと、宮沢さんはちょっと顔をしかめて、
「ねえ、その『宮沢マネージャー』ってやめない? 会社じゃないんだし」
「えっ、じゃあなんとお呼びすれば?」
「友だちはジュリオって呼ぶけど」
「じゅ、ジュリオですか」
「ほら、その敬語もなし。俺もさ、『ひよりちゃん』って呼んでいい?」
ひよりちゃん⁈
一瞬、息が止まるかと思った。
こうして一緒にいるだけでも有難すぎて涙が出そうなのに、その上、ひよりちゃんだなんて。
「えっとじゃあ、ジュリオさんにします。ため口は……できそうにないです」
下を向いて小声でつぶやいた。
「まっ、いいか。高橋、おっと、ひよりちゃんらしくて」
宮沢さんは目を細めて笑った。
もう、目尻によった笑いじわまで絵になるんですけど。
最初の目的地は南青山の住宅地にあるカフェ。
ガラスの引き戸が印象的な、全部で6席ほどの小さな店だった。
人気店らしく、到着したときには3組の客が外で並んでいた。
「開店してまだ日が浅いはずなのに、もうずいぶん知れ渡っているんだな」
「SNSがあるから、みんな情報早いですよね」
30分ほど待って、店内へ。
野菜素材のみを扱ったケーキの店で、わたしはホウレンソウのシフォンケーキ、宮沢さんはニンジンのパンケーキを注文した。
「いえ。休日はどうせ家でだらだらしてるだけなので」
「3、4件回りたいところがあるんだけど、大丈夫? 車にすれば良かったんだけど、都内を走るはあんまり好きじゃなくてさ」
「はい、大丈夫です」
わあ、1件じゃないんだ。ってことは本当に1日中、一緒にいられる。やった。
「スイーツは好き?」
「はい! 大好きです! 宮沢マネージャーは?」
そう言うと、宮沢さんはちょっと顔をしかめて、
「ねえ、その『宮沢マネージャー』ってやめない? 会社じゃないんだし」
「えっ、じゃあなんとお呼びすれば?」
「友だちはジュリオって呼ぶけど」
「じゅ、ジュリオですか」
「ほら、その敬語もなし。俺もさ、『ひよりちゃん』って呼んでいい?」
ひよりちゃん⁈
一瞬、息が止まるかと思った。
こうして一緒にいるだけでも有難すぎて涙が出そうなのに、その上、ひよりちゃんだなんて。
「えっとじゃあ、ジュリオさんにします。ため口は……できそうにないです」
下を向いて小声でつぶやいた。
「まっ、いいか。高橋、おっと、ひよりちゃんらしくて」
宮沢さんは目を細めて笑った。
もう、目尻によった笑いじわまで絵になるんですけど。
最初の目的地は南青山の住宅地にあるカフェ。
ガラスの引き戸が印象的な、全部で6席ほどの小さな店だった。
人気店らしく、到着したときには3組の客が外で並んでいた。
「開店してまだ日が浅いはずなのに、もうずいぶん知れ渡っているんだな」
「SNSがあるから、みんな情報早いですよね」
30分ほど待って、店内へ。
野菜素材のみを扱ったケーキの店で、わたしはホウレンソウのシフォンケーキ、宮沢さんはニンジンのパンケーキを注文した。
4
お気に入りに追加
68
あなたにおすすめの小説
小さな恋のトライアングル
葉月 まい
恋愛
OL × 課長 × 保育園児
わちゃわちゃ・ラブラブ・バチバチの三角関係
人づき合いが苦手な真美は ある日近所の保育園から 男の子と手を繋いで現れた課長を見かけ 親子だと勘違いする 小さな男の子、岳を中心に 三人のちょっと不思議で ほんわか温かい 恋の三角関係が始まった
*✻:::✻*✻:::✻* 登場人物 *✻:::✻*✻:::✻*
望月 真美(25歳)… ITソリューション課 OL
五十嵐 潤(29歳)… ITソリューション課 課長
五十嵐 岳(4歳)… 潤の甥

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・
希花 紀歩
恋愛
24時間二人きりで甘~い💕お仕事!?
『膝の上に座って。』『悪いけど仕事の為だから。』
小さな翻訳会社でアシスタント兼翻訳チェッカーとして働く風永 唯仁子(かざなが ゆにこ)(26)は頼まれると断れない性格。
ある日社長から、急ぎの翻訳案件の為に翻訳者と同じ家に缶詰になり作業を進めるように命令される。気が進まないものの、この案件を無事仕上げることが出来れば憧れていた翻訳コーディネーターになれると言われ、頑張ろうと心を決める。
しかし翻訳者・若泉 透葵(わかいずみ とき)(28)は美青年で優秀な翻訳者であるが何を考えているのかわからない。
彼のベッドが置かれた部屋で二人きりで甘い恋愛シミュレーションゲームの翻訳を進めるが、透葵は翻訳の参考にする為と言って、唯仁子にあれやこれやのスキンシップをしてきて・・・!?
過去の恋愛のトラウマから仕事関係の人と恋愛関係になりたくない唯仁子と、恋愛はくだらないものだと思っている透葵だったが・・・。
*導入部分は説明部分が多く退屈かもしれませんが、この物語に必要な部分なので、こらえて読み進めて頂けると有り難いです。
<表紙イラスト>
男女:わかめサロンパス様
背景:アート宇都宮様

俺様系和服社長の家庭教師になりました。
蝶野ともえ
恋愛
一葉 翠(いつは すい)は、とある高級ブランドの店員。
ある日、常連である和服のイケメン社長に接客を指名されてしまう。
冷泉 色 (れいぜん しき) 高級和食店や呉服屋を国内に展開する大手企業の社長。普段は人当たりが良いが、オフや自分の会社に戻ると一気に俺様になる。
「君に一目惚れした。バックではなく、おまえ自身と取引をさせろ。」
それから気づくと色の家庭教師になることに!?
期間限定の生徒と先生の関係から、お互いに気持ちが変わっていって、、、
俺様社長に翻弄される日々がスタートした。

ネカフェ難民してたら鬼上司に拾われました
瀬崎由美
恋愛
穂香は、付き合って一年半の彼氏である栄悟と同棲中。でも、一緒に住んでいたマンションへと帰宅すると、家の中はほぼもぬけの殻。家具や家電と共に姿を消した栄悟とは連絡が取れない。彼が持っているはずの合鍵の行方も分からないから怖いと、ビジネスホテルやネットカフェを転々とする日々。そんな穂香の事情を知ったオーナーが自宅マンションの空いている部屋に居候することを提案してくる。一緒に住むうち、怖くて仕事に厳しい完璧イケメンで近寄りがたいと思っていたオーナーがド天然なのことを知った穂香。居候しながら彼のフォローをしていくうちに、その意外性に惹かれていく。
恋とキスは背伸びして
葉月 まい
恋愛
結城 美怜(24歳)…身長160㎝、平社員
成瀬 隼斗(33歳)…身長182㎝、本部長
年齢差 9歳
身長差 22㎝
役職 雲泥の差
この違い、恋愛には大きな壁?
そして同期の卓の存在
異性の親友は成立する?
数々の壁を乗り越え、結ばれるまでの
二人の恋の物語
恋に異例はつきもので ~会社一の鬼部長は初心でキュートな部下を溺愛したい~
泉南佳那
恋愛
「よっしゃー」が口癖の
元気いっぱい営業部員、辻本花梨27歳
×
敏腕だけど冷徹と噂されている
俺様部長 木沢彰吾34歳
ある朝、花梨が出社すると
異動の辞令が張り出されていた。
異動先は木沢部長率いる
〝ブランディング戦略部〟
なんでこんな時期に……
あまりの〝異例〟の辞令に
戸惑いを隠せない花梨。
しかも、担当するように言われた会社はなんと、元カレが社長を務める玩具会社だった!
花梨の前途多難な日々が、今始まる……
***
元気いっぱい、はりきりガール花梨と
ツンデレ部長木沢の年の差超パワフル・ラブ・ストーリーです。
腹黒上司が実は激甘だった件について。
あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。
彼はヤバいです。
サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。
まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。
本当に厳しいんだから。
ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。
マジで?
意味不明なんだけど。
めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。
素直に甘えたいとさえ思った。
だけど、私はその想いに応えられないよ。
どうしたらいいかわからない…。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる