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第4章 嬉しすぎるお誘い

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 それから4,5日 ほど経ったある日。

 朝、たまたまつけたテレビで、午後の降水確率は40%と言っていたので、出がけに折り畳み傘をカバンに突っ込んできた。

 実はこの雨がわたしにとっての恵みの雨となった。

 帰るころになって、案の定、降り出した。
 それもけっこう激しく。

 最近の天気予報は本当によく当たると思いながら、会社の車寄せの下で傘を開いた。すると……

「お、ラッキー。駅まで入れてってくれる?」
 と頭上から声がした。

「宮沢マネージャー!」

「今日、降るなんて思ってなかったからさ」
 そういうと、わたしの手からパッと傘を奪いとり、行こうよと促した。

 わー、宮沢さんと相合傘!
 ……天気予報、チェックしてよかった。
 わたしは心の底から、そう思っていた。

 こうして一緒になるのは、初日以来だ。

「そういえば、飲み会の日は具合悪そうだったけど、あの後ちゃんと帰れた?」

「はい。ご心配おかけしてすみません」

「仕事でも飲み会でも、体調悪かったら遠慮なく休めよ。日本の会社にありがちなそういう同調圧力はどうも肌に合わないな。しかも飲み会は業務時間外だし」

 宮沢さんらしい。

 アメリカの大学院に通った彼には、
 旧態依然とした日本の会社文化にはなじめない部分が多いらしい。

 他ならぬ宮沢さんの歓迎会だったからどうしても行きたかったので……
 そう言いたくなったが、その言葉は飲み込んだ。

***

 地下鉄はいつも通り混んでいた。
 つい、この間の”心臓破裂寸前壁ドン案件”を思い出してしまう。

 今日も、もしあんなことがあったら、今度こそご臨終だ。

 でも、それは取り越し苦労だった。

 今日は車両の中ほどまで進むことができて、並んでつり革につかまった。

 前に座っていた女子高生が、宮沢さんを見てハッとして、もう一度まじまじと見つめてから、顔を赤らめている。

 うん。よくわかるよ、その気持ち。

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