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第6章 甘い計略
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わたしは夢遊病者のようにベッドに一歩近づいた。
「うん……」
彼が寝返りを打つ。
我にかえる。
いけない。
欲求が理性を食い尽くす前に、その部屋を出なければ……
これ以上、この人と生活するのは無理だ。
もう……ここにはいられない。
自室に戻り、ベッドに横になってはみたけれど、まったく寝つくことができず、とうとう窓の外が白んできた。
鳥がしきりに囀っている。
時計を見ると、5時10分前。
わたしはベッドから抜け出した。
朝の澄んだ空気を吸えば、少しは頭を冷やせるだろう。
4月も終盤とはいえ、まだ早朝の空気は冷えびえとしていた。
花はもうとっくに散り、鮮やかな新緑が芽吹いている広場の枝垂れ桜を目指した。
朝靄のなかに立つ桜の大木の下で、思いっきり深呼吸する。
新鮮な酸素を吸いこんで、少しだけ心がスッとした。
部屋に戻ったら、彼に言わなければ。
もう一緒に住むのは限界だと。
おかげで、最近は教わったことが身に着いてきた実感もある。
残りの期間、自宅からレッスンに通うことにしても、問題ないと思う。
彼を好きになりすぎた。
もう、なんでもないふりなんて、できない。
ベンチに坐って、そんなことを考えているうちに、あたりはすっかり朝の光で満ちていた。
端末を時計表示にすると、6時10分。
わ、もう1時間も経っていたんだ。
そろそろ戻って、朝食の準備をしないと。
「うん……」
彼が寝返りを打つ。
我にかえる。
いけない。
欲求が理性を食い尽くす前に、その部屋を出なければ……
これ以上、この人と生活するのは無理だ。
もう……ここにはいられない。
自室に戻り、ベッドに横になってはみたけれど、まったく寝つくことができず、とうとう窓の外が白んできた。
鳥がしきりに囀っている。
時計を見ると、5時10分前。
わたしはベッドから抜け出した。
朝の澄んだ空気を吸えば、少しは頭を冷やせるだろう。
4月も終盤とはいえ、まだ早朝の空気は冷えびえとしていた。
花はもうとっくに散り、鮮やかな新緑が芽吹いている広場の枝垂れ桜を目指した。
朝靄のなかに立つ桜の大木の下で、思いっきり深呼吸する。
新鮮な酸素を吸いこんで、少しだけ心がスッとした。
部屋に戻ったら、彼に言わなければ。
もう一緒に住むのは限界だと。
おかげで、最近は教わったことが身に着いてきた実感もある。
残りの期間、自宅からレッスンに通うことにしても、問題ないと思う。
彼を好きになりすぎた。
もう、なんでもないふりなんて、できない。
ベンチに坐って、そんなことを考えているうちに、あたりはすっかり朝の光で満ちていた。
端末を時計表示にすると、6時10分。
わ、もう1時間も経っていたんだ。
そろそろ戻って、朝食の準備をしないと。
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