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第2章 麗しき副社長

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 現在、芹澤グループの一社が政府関連の事業をライバル社と競っているところで、落札のためには件の政治家の口利きが有効らしい。

 そのため彼の叔父である芹澤政喜CEOはこの結婚を押し進めようとしていた。

 彼はそこで一旦話を切って、じっとわたしの顔を見つめた。

 こんなふうに至近距離で見つめられると、二重まぶたや鼻筋のラインの造形の美しさに目を奪われる。

 この美貌、いくら見続けても見飽きることがない。

「今までのところは理解してもらえたかな?」
「はい。でも、それとわたしの役割はどういう関係にあるんでしょうか」

 芹澤さんはミネラルウォーターを1口飲み、話を続けた。

「今から2カ月先の5月25日にうちのグループの創業記念パーティーがある。その席できみにぼくの恋人役を演じてもらいたいんだ。彼女との結婚話が公になる前に、きみをぼくの婚約者だと発表するんだよ。縁談をぶち壊すために」

「えっ?」

 マジですか?
 マジで言ってます?

「む、無理ですよ、そんなの。失礼ですけど本気でおっしゃってます? そんな大役、わたしに務まる訳ないです」
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