111 / 139
第7章 雪の軽井沢にて
3
しおりを挟む***
その日も宗介さんは午後7時過ぎに帰ってきた。
「おかえり」
このところ、ずっと彼の部屋に入り浸りで、隣は空き部屋状態。
「お、いい匂い」
しばらくすると、シャワーを浴び、ルームウエアに着替えた彼がやってきて、テーブルについた。
食卓に並ぶブリの照り焼きを目にして、顔を綻ばせる。
「今日もうまそうだな。いただきます」
宗介さんは和食党。
特に、魚の煮つけとか肉じゃがなんかの定番料理が好き。
魚の調理は苦手だけど、母直伝のブリの照り焼きだけは自信があった。
「今日、ちょっとした騒動があってさ」
食後、お茶を飲みながら、宗介さんが話しはじめた。
「騒動って? 芝居の稽古で?」
「いや、事務所でさ……」
ある週刊誌から、榊原宗介が路上で女性と抱き合っている写真を入手した、と言ってきたらしい。
本人に間違いなければ、今週の紙面に載せると。
向井さんが「あなた、わたしの胃に穴を開ける気?」と怒りのメールを送ってきたので、宗介さんは舞台稽古の帰りに事務所に寄ったそうだ。
1
お気に入りに追加
64
あなたにおすすめの小説
クリスマスに咲くバラ
篠原怜
恋愛
亜美は29歳。クリスマスを目前にしてファッションモデルの仕事を引退した。亜美には貴大という婚約者がいるのだが今のところ結婚はの予定はない。彼は実業家の御曹司で、年下だけど頼りになる人。だけど亜美には結婚に踏み切れない複雑な事情があって……。■2012年に著者のサイトで公開したものの再掲です。
隠れオタクの女子社員は若社長に溺愛される
永久保セツナ
恋愛
【最終話まで毎日20時更新】
「少女趣味」ならぬ「少年趣味」(プラモデルやカードゲームなど男性的な趣味)を隠して暮らしていた女子社員・能登原こずえは、ある日勤めている会社のイケメン若社長・藤井スバルに趣味がバレてしまう。
しかしそこから二人は意気投合し、やがて恋愛関係に発展する――?
肝心のターゲット層である女性に理解できるか分からない異色の女性向け恋愛小説!
男に間違えられる私は女嫌いの冷徹若社長に溺愛される
山口三
恋愛
「俺と結婚してほしい」
出会ってまだ何時間も経っていない相手から沙耶(さや)は告白された・・・のでは無く契約結婚の提案だった。旅先で危ない所を助けられた沙耶は契約結婚を申し出られたのだ。相手は五瀬馨(いつせかおる)彼は国内でも有数の巨大企業、五瀬グループの若き社長だった。沙耶は自分の夢を追いかける資金を得る為、養女として窮屈な暮らしを強いられている今の家から脱出する為にもこの提案を受ける事にする。
冷酷で女嫌いの社長とお人好しの沙耶。二人の契約結婚の行方は?
冷淡だった義兄に溺愛されて結婚するまでのお話
水瀬 立乃
恋愛
陽和(ひより)が16歳の時、シングルマザーの母親が玉の輿結婚をした。
相手の男性には陽和よりも6歳年上の兄・慶一(けいいち)と、3歳年下の妹・礼奈(れいな)がいた。
義理の兄妹との関係は良好だったが、事故で母親が他界すると2人に冷たく当たられるようになってしまう。
陽和は秘かに恋心を抱いていた慶一と関係を持つことになるが、彼は陽和に愛情がない様子で、彼女は叶わない初恋だと諦めていた。
しかしある日を境に素っ気なかった慶一の態度に変化が現れ始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる