甘やかしてあげたい、傷ついたきみを。 〜真実の恋は強引で優しいハイスペックな彼との一夜の過ちからはじまった〜

第八章

新しいステージへ ３

　で、わたしはと言えば、昨年末で退社した。

　理由は……新しい命を授かったから。

　今、妊娠６カ月。
　お医者さまの話では8割がた女の子。

　安定期を迎えて、つわりも少し収まってきたころだった。

　妊娠がわかったときに入籍だけ済ませた。
　だから、今、わたしは植田ではなく、島内奈月だ。

　同棲初日のプロポーズのあと、すぐお互いの両親に報告もしたけれど、それからはふたりとも仕事が忙しくなって。

　結局、ブランド事業の立ち上げがひと段落してから結婚準備をすることにしたのだけれど、入籍だけ前倒しになった形。

　式は子供が生まれてからゆっくり挙げようかと話している。

　最近は子連れで結婚式を挙げるカップルも増えているようで、休みの日はふたりでネットでいろいろ検索して、まだ生まれてもいないのに「こんなドレスを着せたら可愛いね」と話し合ったりするのも楽しい。