甘やかしてあげたい、傷ついたきみを。 〜真実の恋は強引で優しいハイスペックな彼との一夜の過ちからはじまった〜

第四章

弟のフットサルチーム 10

「あの……もしかして、島内さんのお兄さんって榊原宗介ですか？」
　顔を紅潮させた亜衣ちゃんが尋ねた。

　島内さんは、こともなげに答えた。

「ああ、そうだよ」
「だってそっくりですよね。じゃあ、フェイクニュースじゃなかったんだ。少し前、ネットで話題になってたんですよ。榊原宗介の弟はK大出身の元日本代表候補のストライカーだって」

「ああいうの、やめてほしいけどね。俺はただの一般人なのに」

　榊原宗介はモデル出身の俳優。
　国民的イケメンと名高い。

　会社の同僚たちもよく島内さんが榊原宗介に似ているって噂していたけど、えー、本当の兄弟なんだ。

　でも、そこまで意外じゃないかも。
　島内さんなら芸能人と言っても充分通用する。

　こんなにカッコよくて、海外のプロチーム入りするほどサッカーが上手で……
　そういう人が現実に存在するのが不思議。
　しかも、わたしはその彼と……

　急にあの夜のことが思い出されてきてしまい、顔が赤くなってくる。

　ごまかすために、わたしは眼の前のカクテルに手を伸ばし、ごくっと飲みこんだ。