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第二章

傷ついたきみを甘やかしたい 3

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 デザートを待つあいだ、島内さんは窓に目を向けながら話しかけてきた。

「実際に、東京タワーに登った人ってあんまり聞かないよな」
「わたし、ありますけど」
「へえ」

 言ってから、しまったと思った。
 だってそれは……直接、裕樹につながる思い出だったから。

 島内さんは、続きを促すようにわたしの眼を見つめている。
 引っ込みがつかず、結局、わたしはぽつぽつと話しはじめた。

「大学生のころ、サークルで児童クラブをやっていて」

「児童クラブって」

「2ヶ月に一度、近くの小学生を集めて、イベントしたり、遠足したり、キャンプしたりするサークルで。そのとき、子供たちと一緒に行ったことがあったんです」

「なんか先生みたいだな」

「教師を目指していたので。でも向いてないって気づいて、今の会社に就職したんです」
「えー、そうかな。先生、ぴったりだと思うけど」

 島内さんは氷の入ったグラスをもてあそびながら、わたしに視線を合わせた。

「俺、植田さんみたいな綺麗な先生が担任だったら、一生懸命勉強しただろうな。褒められたくて」

「島内さんって……本当に口がうまいですね」

「だから本心だって。何言っても信じてくれないんだな、植田さんは」
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