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プロローグ
過ちの夜に 1
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【3月4日、午後11時】
「……あっ」
彼がわたしのなかに入ってきたとき、キツく結んでいた唇が解けた。
「声……聞かせてよ」
吐息まじりの淫らな声で呟かれ、身体に震えが走る。
都内のラグジュアリーホテルの一室。
カーテンを閉める間もなく、彼に組み敷かれて……
欲望を孕んだ視線から逃れるため、わたしは顔をそむけた。
目に入ってきたのは、非現実的なほど巨大な、赤く光る東京タワー。
彼はわたしの顎に指を添え、自分のほうに向けた。
「こっち向いて……感じてる顔見せて……」
切なげに眉を寄せた島内さんの顔は、普段とまるで別人。
前髪が乱れて額にかかっているところも。
その隙間から覗く瞳が、欲情で潤んでいるところも。
ひとつだけ変わらないのは、見惚れてしまうほど精悍で整ったその容貌。
彼は、わたしが勤める繊維メーカーの1年後輩。
でも歳はひとつ上。
女子社員に絶大な人気を誇る第一営業部のエース、島内亮介28歳。
幼稚園からストレートで大学まで行ける名門校の出身。
大学を2年留年したのも、遊びすぎたせいらしい。
社内ゴシップにはあまり関心のないわたしでさえ、彼の噂はよく耳にする。
それほど、注目の的だった。
「……あっ」
彼がわたしのなかに入ってきたとき、キツく結んでいた唇が解けた。
「声……聞かせてよ」
吐息まじりの淫らな声で呟かれ、身体に震えが走る。
都内のラグジュアリーホテルの一室。
カーテンを閉める間もなく、彼に組み敷かれて……
欲望を孕んだ視線から逃れるため、わたしは顔をそむけた。
目に入ってきたのは、非現実的なほど巨大な、赤く光る東京タワー。
彼はわたしの顎に指を添え、自分のほうに向けた。
「こっち向いて……感じてる顔見せて……」
切なげに眉を寄せた島内さんの顔は、普段とまるで別人。
前髪が乱れて額にかかっているところも。
その隙間から覗く瞳が、欲情で潤んでいるところも。
ひとつだけ変わらないのは、見惚れてしまうほど精悍で整ったその容貌。
彼は、わたしが勤める繊維メーカーの1年後輩。
でも歳はひとつ上。
女子社員に絶大な人気を誇る第一営業部のエース、島内亮介28歳。
幼稚園からストレートで大学まで行ける名門校の出身。
大学を2年留年したのも、遊びすぎたせいらしい。
社内ゴシップにはあまり関心のないわたしでさえ、彼の噂はよく耳にする。
それほど、注目の的だった。
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