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麻疹②

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*五条side





ひな「ぅっ……」





ん? ひな?





ひな「ぅ、っ……」





っ!?





五条「ひな!」


ひな「っ、オェ……ッ! ゴホッ、オェッ……!!」





頭を撫でてたら静かに眠ったと思ったのに、突然吐き気に襲われるひな。





五条「ひな、起きろ! わかるか?」





慌ててひなを起こし身体を横にするが、何も口にしていないから僅かな胃液しか出ないよう。





五条「大丈夫大丈夫。苦しいな」





ひなの背中をさすりながらナースコールで藤堂先生を呼ぶと、藤堂先生も祥子さんもすぐに来てくれて、





藤堂「祥子ちゃん、吐き気止め入れたら輸液全開でお願い」


祥子「はい」





祥子さんはさっそくひなに吐き気止めを。

その間に藤堂先生は、





藤堂「ひなちゃーん、わかる?先生来たよ。大丈夫だからね」


ひな「オェ……っ!  ハァ、ハァ……ぅ、ぅっ……オェッ!」


藤堂「つらいね。今吐き気止め入れたから落ち着くからね。落ち着いたらちょっと診てみようね」





と、優しく声をかけながら、





ひな「ゴボッ……!! ハァ、……ぅ、グスッ……ぅ、オェッ、ゴホゴホッ!!」


藤堂「ひなちゃん焦らなくていいよ。大丈夫、大丈夫。楽な姿勢していいからね」





涙を溢しながらパニックになるひなを、なんとか落ち着かせてくれる。










それから30分ほどして、ひなの吐き気が治まると、藤堂先生はひなを診察。

途中から喘息の発作も起こしながら吐いてたひなは、体力を消耗し切ってぐったり。





藤堂「……うん、大丈夫。落ち着いてくれた。また様子見よう」


五条「直明け早々、ありがとうございました」


藤堂「ううん。悠仁がいた時でよかったよ。ひなちゃん1人じゃ、ナースコール出来てなかったと思う」





言いながら、藤堂先生はステートを首に掛け、ひなのパジャマを整えてくれる。





五条「久しぶりですよね、ひながここまで体調崩すの。ひな、あまり眠れてないみたいなんです」


藤堂「熱がずっと高いし、吐き気や発疹もあってかなり辛いんだろうね。今がピークだとは思うけど……後はこのまま合併症さえ起こさなければ」


五条「そうですね……」





そう言って、俺は疲れ切った顔で眠るひなの頭にそっと手を伸ばす。

すると、





ひな「ん……」





てっきり眠ってると思ったのに、ひなはうっすらと目を開き、





五条「ん? ひな起きてたのか?」





言うと、俺たちの会話を聞いていたのか、目を潤ませながら不安そうな顔を。

そんなひなに、





五条「大丈夫だぞ、ひな。心配しなくて大丈夫」


藤堂「ひなちゃん。今すごくしんどいけど、ひなちゃんの身体が一生懸命戦ってくれてるからね」


五条「たくさん寝たら早く良くなる。おめめ瞑ってるだけでもいいから。な? 俺も藤堂先生もここにいるから、不安がらずに目閉じてごらん」





藤堂先生と声をかけながら、肩の辺りをリズム良く叩いたり、寝たきりの脚をマッサージするように撫でてやったり。

今度こそひながぐっすりと眠りにつくのを見守った。










その後、ひなの熱は無事に下がり、順調に快方へ。



……と言いたかったが、残念ながらそうはいかず。

熱は下がり麻しんそのものは快方に向かったものの、心配だった合併症で肺炎に。

幸いにも酷くならずに済んだのだが、喘息の症状もしばらく続き、





ひな「ハァハァ、五条せっ……ゴホゴホッ! 五条せっ……ゲホッ!!」


五条「落ち着けひな」


ひな「ハァハァ……治……る?……っ、ゲホゲホッ……!」


五条「ああ治る。ちゃんと治るからそんなに焦るな」


ひな「でも……ぜんぜっ…………ゴホゴホ! 治ら……ゲホッ……っ!」


五条「も~、ひな。しゃべらなくていいから、ほら、薬剤しっかり吸ってごらん?」


ひな「ゴホッゴホッ! スー……ハァハァ、ハー……ハァハァ……グスン」


五条「そうそう、呼吸しっかりして。上手上手。ここまで来たんだ、後は落ち着いて対処していけば治るから。泣かない泣かない」


ひな「グスン……ハァ、グスン……」





結局、本調子に戻るのにひと月以上かかったが、ひなはなんとか回復して、ポリクリにも無事復帰できた。


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