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性交の証①

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~ノワール国際病院~





コンコンコン——





藤堂「ひなちゃん、こんにちは」


ひな「こんにちは」





翌日。今日は病院の日。

診察室に入り、藤堂先生の前に腰を下ろす。





藤堂「調子どう?」


ひな「変わりないです」





答えながら、慣れた手つきでさっそく胸元をさらけるわたし。

藤堂先生は呼吸するように、ステートを首から外して耳につける。





藤堂「深呼吸ね」





藤堂先生の手で軽く温められたステートが胸に当てられ、





ひな「スー……ハー……」





いつも通り聴診が始まると、





藤堂「ひなちゃん、悠仁とセックスした?」


ひな「え?」


藤堂「五条先生と、最後までセックスした?」





っ!?!?!?





ドクンと心臓が大きく跳ねる。

聴診の最中なのに、藤堂先生にバレていないわけがない。

口より先に心臓が藤堂先生に答えてしまった。





藤堂「ふふっ。正直でよろしい(笑)」





視線を外していた藤堂先生がわたしの目を見て言う。

わたしの顔は今、真っ赤なんてものではないだろう。





藤堂「はい、いいよ。お洋服直してね」


ひな「あの、どうして……っ」





動揺して、胸元のボタンが上手く留められない。



キスマークが目に入ったんだろうか。

でも、それなら前からあることで、今さら藤堂先生がつっこんではこないはず。

となると、五条先生が今朝話したのか……いや、五条先生が自分からそんなことを話すとは思えない。





どうして、藤堂先生は……





藤堂「ひなちゃんの雰囲気が変わったんだよ」





ドキッ……!





言って、藤堂先生は覚束ない私の手を取ると、代わりにブラウスのボタンを留めてくれた。





藤堂「不思議だけどね、女の子は女性になると雰囲気が変わるんだよ。胸がふくらみ始めた時、初潮が来た時。大人の階段を上るたびに、ベールがひとつひとつ外れていくの。ほら、結婚式でウェディングドレスを着た花嫁さんみたいにね。ベールを外すとパァッとオーラが放たれる。何枚にも重なったベールがさ、恋をした時、初めてパートナーができた時、キスの味を覚えた時。ひとつひとつ捲られていって……初めてSEXした時が1番変わるかな。一気に大人の顔になる」





それは、誰にでもわかることなのか、近くにいるとわかるのか、お医者さんだからわかるのか、主治医だからわかるのか、藤堂先生だからわかるのか。

わたしにはわからないけど、とにかく藤堂先生にはなんでもわかってしまうみたい。





ひな「恥ずかしいです……」





肩をすくめて言うと、





藤堂「恥ずかしいことじゃないよ。おめでとう。大人になったんだね」





そう言って、





藤堂「悠仁は優しくしてくれた?」


ひな「はい……//」


藤堂「幸せだった?」


ひな「はい……//」


藤堂「それならよかった」





藤堂先生は優しく微笑んだ。



かと思いきや……。





藤堂「ただ、ひなちゃんの身体に大きな変化を与えたことではあるから、主治医として、問題がないかちゃんと確認させてね」





キラキラしつつ、真面目な医者の顔をして、いつも通り診察を進めていく藤堂先生。

最後にわたしの下瞼をめくると、





藤堂「ひなちゃん。お腹が痛いとか、いつもと違うことはない?」





ドキッ……





藤堂先生の手で顔を挟まれたまま目を見て言われ、またドキッとしてしまう。

藤堂先生がかっこいいのはもちろんだけど、本当はほんの少しだけ、下腹部に痛みを感じているから……。





藤堂「SEXしたからと言って、何か悪い病気になることは考えにくい。ひなちゃんの病気が悪化することもないはずだよ。だから、隠さないで言ってごらん」





ひょっとしたら、藤堂先生はエッチしたことよりも最初からお腹の痛みを見抜いていたのかもしれない。





ひな「本当に病気じゃないですか……?」


藤堂「100%と言い切ることは出来ないけどね。でも、大きな問題はないと思ってる」





そう言われ、





ひな「あの、実は……」










***



~婦人科診察室~





宇髄「ひなちゃん、どの辺りがどんな風に痛む?」





実は、今朝起きた時から少しお腹が痛かったこと。

それを藤堂先生に伝えたら、念のためと宇髄先生の診察を受けることに。





ひな「えっと、お腹の……たぶん子宮のあたりなんですけど、少しチクチクというかピリピリというか……」





ベッドの上で仰向けになり、痛むあたりに手を当てながら答えると、





宇髄「ちょっと触るな」





まずはお腹を触診される。





宇髄「この辺り?」


ひな「はい」


宇髄「押したらどう?痛む?」


ひな「いえ、痛みは変わらないです」


宇髄「ここは?」


ひな「そこも大丈夫です」


宇髄「ん、次内診もさせて」





触診が終わると、今度は内診台に移動し、





宇髄「椅子動くよー」





ウィ~ン……





宇髄先生にあそこをさらけ出す。





……っ……//





この格好に慣れないのはいつものことだけど、五条先生とエッチをしたからか、今日は特別恥ずかしい。





宇髄「よし。ちょっと診ていくな」





グローブを付けた宇髄先生が、タオルを捲って、手際良く消毒する。





ビクッ……





宇髄「ひなちゃん、そんなタオル握り締めんでも(笑)」


ひな「すみませんっ……」





掴むタオルを鼻先まで持ち上げるわたし。





宇髄「さすがに今日は恥ずかしいか(笑)」





なっ……!?





怖いか?とか、いつもはそう言う宇髄先生なのに。

ズバリ見抜かれていて、さらに顔を隠したくなる。





宇髄「ははっ。ささっと終わらせるから、すまんがちょっと我慢して」





そう言って、宇髄先生はわたしの脚をぽんぽんとすると、





宇髄「息吐いてー」





スッとあそこの中に指を沈めた。





ひな「んっ……」


宇髄「痛い?」


ひな「少し……」





中に入れたところで、指を止める宇髄先生。





宇髄「痛みのポイント探るから、ちょっと中触っていくぞ?ゆっくりするから楽にしててな。痛かったら教えて」





と、膣内を押し撫でるように内診される。





ひな「ぁ、痛っ……」


宇髄「痛い?」


ひな「はいっ……」


宇髄「ここが痛い?」


ひな「は、ぁ、いや、そこはそんなに……」


宇髄「ここ?」


ひな「いえ、なんか、さっきの奥の方が……」


宇髄「奥?……こっちか」


ひな「痛っ……。そ、そこ痛いです……っ」





そこと言いつつ、そこがどこかはわかってないけど、とにかく今宇髄先生の指が当たるところが痛い。





宇髄「ひなちゃん、ここはどう?痛い?」


ひな「す、少しだけ……」


宇髄「こっちは大丈夫そうか。じゃあ、これは?」


ひな「……っ、痛いっ!! い、痛いです……っ、こわい……」


宇髄「ん、ごめんごめん。大丈夫だぞ。一旦抜くよ」





内診が終わり、肩の力が抜けたのも束の間。





宇髄「ひなちゃん。場所は大体わかったから、最後膣鏡入れて診るな」


ひな「はい……お願いします……」





今度は膣鏡を入れられて、





宇髄「あー、これだな。うむ、そうか……」





独り言のようにつぶやいた宇髄先生は、





宇髄「ひなちゃん。今ひなちゃんの中な、子宮口が少し炎症を起こしてるんだ。痛みの原因はそれだから、薬だけ塗って終わりにしよう」





と。





えっ……?





ひな「炎症って、どうしてまた……。手術とかになりますか……?」





膣内に炎症なんて言われると、嫌な思い出がよみがえる。

でも、





宇髄「いいや、大丈夫。このくらいならすぐ治るから、心配はしなくていい。特別治療も必要ないから、薬だけ塗らせて」





宇髄先生がそう言ってくれて、ほっと胸を撫で下ろした。

そして、





ひな「いっ……!」


宇髄「ひなちゃん、気持ち悪いけどちょっと我慢な~」


ひな「い、痛い……っ!」


宇髄「ごめんな、染みるな。もう終わるから楽にしてて~……ん、おしまい!」


ひな「ハァハァ、いたっ……」





炎症箇所に薬を塗ってもらい、





宇髄「2、3日これで様子見てみてな。もし痛みが引かなければ、またおいで。……というか、来るんだぞ?」


ひな「……っ、は、はい。ありがとうございました」





もう薬を塗られるのはごめんだな……。

と思っているのがバレたのか、釘を刺されて診察室をあとにした。










***



そして、診察を終えた宇髄は、その足で五条の元へと向かい……。


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