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夏旅②
しおりを挟むそして、待ちに待った旅行当日。
ひな「五条先生、行ってきます!」
五条「気をつけてな。向こう着いたら連絡するんだぞ」
ひな「はい!」
五条「それと、お前ら2人。ひなのこと頼むぞ。何かあったら承知せんからな」
朝、傑と夏樹が家まで迎えに来てくれると、五条先生は後部座席のドアを開けてわたしを乗せるなり、前に座る2人を睨みつけてる。
夏樹「わかったから、そんな怖い顔で俺のこと見るなって……」
五条「お前が1番頼りないからだ。初心者マークでひな乗せて走るなんて、絶対事故るなよ?」
旅行の間、運転は傑と夏樹が交代ですることになってるんだけど、夏樹は春休みを使って免許を取ったばっかりだから、五条先生は心配みたい。
五条「傑、頼むぞ。夏樹の運転下手だったらお前が全部運転しろ」
夏樹「うわ、ひどっ!俺運転うまいっつーの!」
七海「ははっ。大丈夫です。ひなのはちゃんと家まで送り届けます。よし、そしたら出発しようか」
ひな「うん!五条先生、行ってきます!」
五条「ん、いってらっしゃい」
——と、出発して4時間ほど。
途中、スーパーに行ってお菓子や飲み物を買ったり、休憩も多めに挟みながらで少し時間がかかったけど、無事、コテージに到着。
ひな「うわぁ~!!すっごい綺麗!!」
コテージの中へ入りリビングに抜けると、大きな窓ガラスの向こうには、綺麗な砂浜と海が広がっている。
ひな「ねぇねぇ、早く外出てみよう!」
と、さっそく海へ駆け出そうとすると、
夏樹「ちょっ!ひなの待て!」
七海「走っちゃダメでしょ!」
2人に止められ、
夏樹「先生たちの気持ち、なんかわかった気がするわ……ひなの、マジ危なっかしい」
七海「ほんと、油断できないね(笑)」
って。
ひな「ごめん、海が綺麗だからつい……」
七海「テンション上がるけど、先生たちに怒られないようにしないとね(笑)」
夏樹「何かあったら俺たちがしばかれるんだからな……まだ昼だし明日もあるし、とりあえず一息吐こう」
ひな「うん。2人とも運転ありがとう」
と、まずは少し休憩をしたら、初日の今日はバーベキュー。
必要なものは全部コテージに用意されてるから、
夏樹「んじゃ、俺と傑で火起こしてくるから、ひなの食材お願いしていい?」
ひな「うん!わかった!」
七海「手切らないようにね」
ひな「大丈夫!」
手分けして準備もすぐに完了。
「「いただきまーす!!」」
「「ん~!美味しい!!」」
お肉に魚介にお野菜と、美味しい食材が食べ切れないほどたくさんあって、海を見ながら、スマホで写真を撮りながら、思う存分バーベキューを楽しんでいると、あっという間に夕暮れ時。
海に沈む夕陽を見つめ、
夏樹「綺麗だな」
七海「綺麗だね」
ひな「夏樹、傑、ありがとう」
七海「ひなの、急にどうしたの?」
ひな「うん?なんか、幸せだな~と思って。2人と美味しいご飯食べて、こんな綺麗な夕陽見て、楽しくて幸せだなって。ありがとうね」
なんて言いながら、楽しい旅の1日目が終わった。
***
そして、2日目。
夏樹「おーい!傑、早く行くぞ!!」
七海「夏樹早いって!ちょっと待って!!」
今日は朝から夏樹と傑が海へ。
プランを考えてる時、最初はわたしに気を遣ってか、2人も海には入らないって言ってたけど、せっかく海に行くのに遠慮して欲しくなくて、2日目は1日海を堪能することにした。
夏樹と傑が泳いでる間、わたしはパラソルの下でのんびり座ってる。
七海「夏樹~!こっち魚いる!!」
夏樹「え!マジ、どこ!?」
晴れ渡る空の下、綺麗な海に、波の音と夏樹と傑の楽しそうな声が心地良くて、海に入れなくてもそれだけで十分。
それに、足を水につけるくらいはしてもいいって先生たちに言われたから、
ひな「うわぁ~、冷たくて気持ちいい!!」
って、時々わたしも波打ち際で遊んでみたり。
夏樹「はぁ~!海最高っ!!」
七海「思ったけど、夏樹めっちゃ良い体してるよね」
夏樹「兄貴に負けじと鍛えてるからな!ま、傑も良い体してんじゃん!」
一頻り泳いだ後、海から上がり砂浜に座り込んで休憩する2人は、何やらお互いの筋肉を見せ合ってる。
ふふっ、2人とも男の子だな~。
なんでも器用にこなす天才肌の傑と、不器用だけど努力家な夏樹。
いつもちょっとしたことですぐに火花を散らす2人だけど、なんだかんだすごく仲が良くて微笑ましい。
ひな「工藤先生って本当ムキムキだよね。宇髄先生はもっとすごいけど」
夏樹「それな~。あの2人、医者のくせに頭だけじゃなくて顔も体もイケてるよな」
ひな「男から見てもやっぱりそう思うの?」
夏樹「そりゃもう。黒柱は男も惚れる男だよ。こんなの言うの小っ恥ずかしいけど、兄貴みたいになれたらな~って、本気で思う」
七海「俺も。悟みたいになりたいな~」
って、実は身内のお兄さんを1番尊敬しているところも一緒。
ひな「2人ならなれるよ。先生たちみたいなお医者さんに!」
と言って、わたしは波打ち際の水を一つ蹴り、2人が休む間、また足をピチャピチャして遊んでいると、
ひな「あっ……!」
すぐそこにクラゲがいるのを見つけた。
ひな「ねぇ!見て、クラゲがいる!」
夏樹「クラゲ??……うわ、本当だ」
2人もこっちに来て、わたしが指差す方を覗き込む。
ひな「すごいよね!クラゲなんて初めてみた!写真撮ろっと」
と言って、近づこうとすると、
七海「ひなの、危ない。近づいたらダメだよ、刺されるから」
傑に腕を掴まれた。
ひな「え、そうなの?」
夏樹「そうなのって、知らねーのかよ」
ひな「だって、クラゲなんて初めてだから……。あ、でも離れてたら大丈夫だよね?近づかないようにするから、一瞬だけ撮らせて!」
夏樹「そんな呑気なこと言ってると本当に刺されるぞ?」
ひな「大丈夫大丈夫!」
と、2人の言うことを無視して、手に持っていたスマホのカメラを開いていたら……
「痛っ……!!!」
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