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夏旅①
しおりを挟む*ひなのside
そんなこんなで季節は進み、わたしは大学2年生に。
夏樹「なぁ、あのさ。夏休み、3人でどっか行きたくね?旅行とか」
講義終わり、いつものように図書館で勉強していると、ふと思いついたように夏樹が言う。
七海「いいね、行こう。ひなのも今年は遊びに行けそうだし」
ひな「うん!わたし2人と旅行行きたい!!どこ行く!?」
夏樹「どこがいいか、うーん……」
七海「ひなのはどこか行きたいところあったりしない?どこでも行けるとすれば、ひなのはどこ行きたい?」
ひな「どこでもいいとしたら……わたし海に行きたいかな!」
夏樹「あ、海いいな!大学生の夏休みって感じするし!」
七海「うん、じゃあ海にしよう!いつ行こうか?」
夏樹「再再試を考えるとお盆以降」
ひな「夏樹、なんで再再試まで受ける前提なの?(笑)」
七海「まぁ、夏樹は引っかかるでしょ(笑)」
夏樹「はぁ??傑に言われるとなんか嫌なんだけど」
ひな「もう、2人とも喧嘩はダメだよ!」
七海「喧嘩じゃないない(笑)そしたら、8月下旬か9月入ってから行くとして、ひなのって連泊大丈夫?1泊だけの方がいい?」
ひな「あ、どうだろう……そもそも友達と旅行とか初めてだから、五条先生と藤堂先生に相談しないといけないかも……」
夏樹「その2人に相談はマストだな」
七海「じゃあ、まずはひなのに確認してもらって、それからプラン立てようか」
ひな「うん。わたし先生たちに聞いとくね!」
ということで、五条先生と藤堂先生にさっそく聞いてみたところ、体調さえ問題なければ行ってもいいとOKをもらい、
***
——1週間後
夏樹と傑が家に来てくれて、さっそく旅行の計画を立てることに。
ひな「わぁ~、ここの景色すごく綺麗。あ、でもこっちも綺麗だな~。どうしようこんなの迷う~……」
ガイドブックや旅行サイトを見ながら、先ずは行き先を決めるところから。
とはいえ、
・移動手段は車のみ
・家から車で3時間以内の場所
・2泊3日まで
という条件で旅行の許可をもらったから、
ひな「ねぇ、見て!ここのビーチすごく綺麗!ここ行きたい!」
夏樹「ひなのこれ沖縄だぞ?飛行機ダメなんだから無理だ」
ひな「そっか……あ、じゃあこっちは?ここならどう?」
七海「ここだと車で5時間はかかりそう」
ひな「ここもダメなの……」
気になるところはことごとく却下。
ひな「なんかごめんね……わたしのせいで行き先すらなかなか決められなくて」
夏樹「そんなことは気にするな。旅行行くってこんなもんだぞ」
七海「そうそう。それに、条件ある方がプランは立てやすかったりするからさ。ひなの、ごめんはなしだよ」
と、話していると、
ガチャッ——
五条「ただいまー」
五条先生が帰って来た!
……と思ったら、
「「お邪魔しまーす」」
なぜか黒柱が全員うちに……。
夏樹「は?兄貴?」
七海「え?悟くん?」
黒柱が来るなんて2人も知らなかったようでびっくりしてる。
ひな「五条先生、なんで……今日みんな来るなんて、わたし夏樹と傑来るって、ちゃんと言った……」
五条「あぁ、聞いたぞ。で、先生たちにそのこと話したら」
工藤「女の子の家に男2人が押しかけてるなんて聞いたもんだから」
藤堂「心配で来ちゃった」
いや、来ちゃったって……
ひな「え……?」
夏樹「は……?」
七海「は……?」
わたしと、夏樹と傑、3人声が揃った。
神崎「んまっ、そういうことでさ。工藤先生が行くなら宇髄先生も行くってなって、みんな行くなら俺もって来たの!」
宇髄「急に押しかけて悪いな、ひなちゃん」
ひな「いえ、散らかってますがどうぞごゆっくり……」
五条「そういうことだけど、まぁ、お前らは気にせずやってくれたらいいから。俺らは俺らで適当に飲んどくし。晩飯も用意するから、ひなは2人とゆっくりしてたらいいぞ」
ひな「は、はい。ありがとうございます……」
ということで、先生たちはダイニングへ行き、わたしたちは引き続きリビングで旅行の計画を。
けれど……
五条「おい、ちょっと待て。ひな海で泳ぐつもりか?」
ひな「え?海に行くんだから当たり前でしょ?」
五条「はぁ??お前は馬鹿か!日頃から走るなって言われてるやつが泳いでいいわけないだろ!」
……って、この広いLDKの部屋なのに、リビングの声をダイニングで聞いていたようで、先生たちが話に入ってきた。
藤堂「ひなちゃん、泳ぐってすごく体力消耗するんだよ。水の中は入ってるだけでもかなり体力が奪われるの。運動はしないお約束でしょ?」
五条「そもそも泳ぎ方も知らないのに、お前は溺れに行くつもりか??」
ひな「それなら浮き輪持って行くから大丈夫です。夏樹が何個か持ってて、大きいのもあるって!」
五条「だからそういう問題じゃない!藤堂先生の話聞いてなかったのか、海に入るのはダメって言ってんだ。それに、こんな人の多いビーチ行くのもダメ。もっと良い場所探せ」
そして、あれはダメこれはダメと言われ、
ひな「旅行行ってもいいって言ったのに、そんな制限しないでよ……それにわたし元気じゃん。去年の夏から入院だってしてないんだから、大丈夫だもん……」
五条「元気なのはみんなわかってる。でもそれは、ひながちゃんと体調管理してるからだろ?せっかく気をつけて過ごせてるのに、旅行だからって羽目外したら病院行きだぞ」
ひな「そんなことないです……」
五条「そんなことあります」
ひな「……っ、そんなことないからっ。あれもダメこれもダメって、わたしもう大学生だよ?子どもじゃないんだから好きにさせてよ!それに、わたしに合わせたら夏樹と傑楽しめないよ……」
と、半泣きでご機嫌斜めに。
すると、
夏樹「そんなことねーって。みんなで旅行行けるだけで楽しいじゃん。それは気にしなくて大丈夫だから」
七海「そうそう。だから、ひなのの身体に負担なく楽しめるプラン考えよう。ほら、先生たちにお墨付きもらっておけば、後は思いっきり楽しむだけだし。ね?」
ひな「……うん、わかった。ごめんね、2人とも」
七海「ひなの?」
夏樹「ごめんじゃなくて?」
ひな「……ありがとう」
って、2人がわたしを落ち着かせてくれた。
ということで、気を取り直し再びプランを練り直してみるものの、
工藤「だからこのビーチも毎年人多いって。こんなところ行ったら、ひなちゃんナンパされるぞ?」
五条「……っ、ダメだ、そこは絶対ダメ……」
神崎「あと、このバーベキューもダメだよ。こんな密集したバーベキュー場だと、煙でひなちゃん喘息出るでしょ」
藤堂「そもそもスケジュールも詰め込みすぎ」
五条「はい、やり直し」
考えたプランを紙に書いて見せては、学校の先生みたいにダメ出しされ突き返される。
夏樹「はぁ?マジかよこれもダメ!?」
七海「今回はいけると思ったのにな……」
ひな「もう、旅行行けないじゃん……」
そして、これ以上先生達を納得させられるプランなんて思いつかないと、3人で完全に行き詰まっていたら、
宇髄「ったく、じーっと聞いてたらお前らは。ちょっと待ってろ」
見かねた宇髄先生がプライベートビーチのある一棟貸しのコテージを予約してくれて、2日間そこで遊んで来いということになった。
神崎「宇髄先生、こんな良い所どうやって見つけたんですか。さすがですね」
宇髄「ここ、昔祥子を連れて行ったところでな。海に行きたいけど人混みは嫌。俺と2人きり、浜辺に座って夕陽見ながら黄昏たいって、珍しく祥子が甘えてきて探したとこだ。あの頃、祥子仕事でパンクしかけてたんだよな……」
へぇ、そうだったんだ。
祥子さんのためにこんな素敵な場所見つけるなんて、さすが宇髄先生だな。
と、話を聞いてると、
神崎「ほうほう、なるほど」
藤堂「ふふっ、祥子ちゃんにもそんなことがありましたか」
工藤「宇髄先生のそのたま~に聞かせてくれる惚気話、俺大好物です。久しぶりに聞かせてもらって、ご馳走様です」
宇髄「……工藤、明日の急患お前が全部受けろ。あと、当直も代われ」
工藤「げっ、なんでっすか……当直は勘弁してください……」
宇髄「いいや、代われ。俺、明日は祥子抱くから」
って、宇髄先生がまさかのひと言を。
五条「ちょっ、宇髄先生(笑)」
神崎「そういう返しで来るとは(笑)」
藤堂「ははっ。工藤先生は宇髄先生に敵わないね(笑)」
工藤「も~、わかりましたよ。明日の当直は交代しますから!そのかわり、祥子ちゃんとの夜どうだったか、また教えてくださいよ?」
宇髄「んぁ??」
って、先生たちはもう話がどんどん逸れていく……
夏樹「なぁ、先生たち酔ってるよな?」
七海「だね。ひなのの前でする話じゃないし、俺たちの存在忘れてるよね(笑)」
夏樹「ひなの大丈夫か?」
ひな「う、うん、全然っ……!わたしも大人だからね。先生たちが言ってる意味もちゃんとわ、わかってるしっ……//」
七海「ふふっ。大人って、ひなのはまだ19でしょ。お子様なんだから無理しないの。顔真っ赤だよ(笑)」
ひな「へっ!?///」
夏樹「やっぱりひなのにこんな話はまだ早いな。ほら、これ以上先生たちの話が盛り上がる前にあっち(リビング)行っとこう……」
ひな「う、うん。そうだねっ//」
と、なんだかんだありつつ旅行のプランは無事に決まって、大学のテストも終わり、夏休みに入った。
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