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言葉の刃③
しおりを挟む*五条side
五条「智樹くんお疲れさま。今日も上手にモクモクできたな!」
智樹「ねぇごじょーせんせー?おねぇちゃんきょうもいないの?」
五条「うん?お姉ちゃん?」
吸入を終えた智樹くんが、突然俺に質問してきた。
智樹「モクモクでコホンコホンってしてるおねぇちゃん」
あぁ、ひなのことか。
ここ数日、会わなかったからかな。
五条「お姉ちゃんは、今お部屋でお休みしてるよ」
友達「まだないてるの?おねぇちゃんかなしい?」
えっ??
ひなが泣いてるって、なんで智樹くんがそんなこと……
五条「なんでお姉ちゃん泣いてるんだ?」
智樹「だってぼくみたよ。きのう、おねぇちゃんのおへやのまえでね、ひめじまさんがでてきてね、おねぇちゃんみえたらないてたよ」
……!?
ひながああなったのは、やっぱり姫島が原因なのか?
子どもは正直だ。智樹くんの話が嘘とは1ミリも思えん。
五条「そっか。でも、もうお姉ちゃん泣いてないからな、大丈夫だ。智樹くん、心配してくれてありがとう」
そして、智樹くんを病室に戻した後、急いで医局へ戻った。
~小児科医局~
五条「あれ、先生方……?」
医局に戻ると、さっきまでいなかった宇髄先生と藤堂先生が来てた。
そして、みんなが囲む机の上には、誰かと通話が繋がってるスマホ。
そこから聞こえてきた声は、
五条「姫島……?」
宇髄「今、工藤が食堂で飯食ってんだ。後ろに姫島がいるらしく、ひなちゃんの話してるって急いで通話繋いできた。こっちのマイクは切ってるから」
ケラケラと笑う姫島の声がスマホから聞こえる。
次から次へと、とにかくとんでもない話ばかり。
そして……
『汚れてるって言ってやったわ。カルテに親から強姦受けた可能性が書かれててね。親にチンコ入れられたんでしょ?って、手術したのもそのせいよ。って言ったのよ』
「「んぁぁあ!?」」
姫島の信じられない発言に、全員の怒りが一瞬にして頂点へ。
その後、工藤先生が姫島をここへ連れて来るようで通話は切れた。
藤堂「そう、いう……こと……」
宇髄「……許せん」
神崎「ありえないだろ……」
みんな怒りに満ち溢れてる。
大人だから必死に冷静を保とうとしてるだけ。
でも、俺は今にも気が狂いそう……。
こんな言葉を投げつけられたひなは、どれほどの衝撃を受けて、苦しくて辛かっただろう。
言葉の刃で斬り刻まれたひなの心は、どうやって治してあげれば、どうやって包み込んであげればいいんだ……
五条「さっき智樹くんが、ひなの部屋から姫島が出るのを昨日見たって、ひなが泣いてたって話してくれたんです。今の話は恐らくその時に……どんなに苦しくて辛かったことか……ズタズタに斬りつけられた心を今もたったひとりで抱えて……」
コンコンコン——
工藤「失礼します」
そして、工藤先生が姫島を連れてくるのに、そう時間はかからなかった。
姫島「ちょ、ちょっと!何なんですか急に」
工藤「それは自分が1番よくわかってんだろ?ほら、会いたかった柱が揃ってる。さて、思う存分俺たちと話してよ」
姫島「どういうことですか……?いじめですか?」
工藤「いじめ?黒柱と近づきたいってさっき言ってたから、望みを叶えてやったんだけど?」
姫島「そんなこと言ってませんけど」
宇髄「姫島」
まだとぼけ続けようとする姫島に、宇髄先生の一言。
ただ名前を呼んだだけでその場を凍りつかせる宇髄先生の声。
姫島の顔からはスーッと血の気が引いた。
宇髄「お前の話は全部聞いた。工藤が通話繋いでたんでな。で、どういうつもりだ……?自分でしたことがどういうことかわかってるよな?」
姫島「どういうつもりって、何もないです……」
藤堂「何もない……?何もないのに患者に薬飲ませなかった?何もないのにいなくなったこと黙ってた?何もないのに、ひなちゃんにあんなこと言ったの?これだけのことしておいて何もない……?」
こんな藤堂先生見たことない。
いつもの優しくて柔らかい雰囲気は一切なく、まるで別人かと思うくらい、殺気すら感じるほどの怒りを身に纏ってる。
姫島「はぁ……全部聞いてたんなら言わなくてももうわかるでしょ?黒柱にちやほやされるあの子がムカついたからよ。ただそれだけ」
神崎「それだけ……って、開き直りやがって……」
姫島「先生たちも先生たちよ。当たり前のことも出来ない知らない馬鹿。親の虐待からも強姦からも逃げられない、小さくて弱くてボロボロの子ども。そんな子のどこがいいの?揃いも揃ってなんであの子に構うわけ?」
この女は、どこまでも気が狂ってる……。
なんで看護師なんかやってる?
いいや、なんで人間やってるってレベルだ……。
そんな女にただただ唖然とし、誰も言葉が出なくなった。
すると突然、勢いよく休憩室のドアが開き、
りさ「姫島さん」
バシッ!!
りさ先生が出てきて、姫島の頬を思いっきりビンタした。
姫島「……っ!? り、りさ先生……何するんですか……」
りさ「いい加減にしなさい。それから、もう二度とあなたに先生なんて呼ばせません。来なさい」
と、りさ先生は姫島をどこかへ連れて出て行った。
藤堂「さ、さすが……」
神崎「りさ先生が休憩室で寝てたこと忘れてた……」
工藤「りさ先生……あんな怖い顔出来んだな……」
宇髄「……五条?大丈夫か?」
俺はずっと黙ってた。
少しでも口を開けば、姫島のこと殴り殺しかけなかった。
半分冗談のつもりだが、冗談にならないくらい、本当にそうしてしまいそうだったから……。
五条「すみません、今すぐひなのとこに行かせてください……」
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