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しおりを挟む*ひなのside
——1ヶ月後
勉強会が終わって、なぜか医者を目指すことになって、今はとりあえず勉強を頑張り中。
でも、実はここ最近、身体がだるくて少ししんどい。
喘息は出てないから貧血が酷くなってるのかなって思ってるけど、なんかいつもと違う感じで嫌な予感がする。
だから怖くて、五条先生にも伝えてない。
バレるかなと思ったけど、幸いにも五条先生が忙しくて、朝も夜も、お互い寝てる時にしか会ってないからまだバレてはなさそう。
そんな今日もいつも通り学校に来て、お昼になったので食堂でご飯を食べる。
友達「ひーちゃん、今日もそれだけ?最近食欲ないみたいだけど大丈夫?」
ひな「大丈夫大丈夫!ちょっとダイエット中!」
いつも一緒にご飯を食べるクラスの子が、少し心配してくれてる。
友達「え?ひーちゃんの体でダイエットしちゃいけないと思うよ。むしろもっと太らないと……」
この学校には医療関係者を親に持つ子が多い。
だから、病気の子への理解がある子ばかりで、わたしみたいな体の小さい子を見ても奇妙な目では見てこない。
それに、クラスの子はわたしが病気だって知ってるから、むしろ身長と体重が増えたら褒めてくれるくらい(笑)
ひな「大丈夫大丈夫。前の定期健診は体重増えてたし、家ではいっぱい食べてるの。学校で食べるとお昼眠くなっちゃうから!」
なんて、それらしい理由を並べてサラダを食べる。
夏樹「ひなの、お前もっと食えよ」
すると、夏樹くんが通りかかって声を掛けてきた。
ひな「食べてるよ?」
夏樹「いや、最近ずっと食べてるとこ見てたけどさ、サラダかおにぎり1個かコロッケ1個か唐揚げ3個とかだろ?先生に怒られるんじゃね?」
ひな「大丈夫!家では食べてるから!心配しないで!」
と言って、夏樹くんをなんとか追い払った。
16時前、授業が終わって五条先生に連絡をしようとスマホを見ると、
"新着メッセージがあります"
と、LIMEの通知が。
開くと五条先生からLIMEが来てて、
"学校終わったら病院来い"
え、な、なんで……?
定期健診は来週だし、突然病院来いって……
なんか嫌な予感。
と、ひとまず既読スルーで家に帰った。
家に帰ったら手洗いうがいと着替えを済ませて、コップ1杯のお水をゴクリ。
それからトイレに行って『ふぅ~』と一息ついてると、最近気になってたお腹の張りがまた酷くなってる気がした。
だけど、ガスでも溜まってるのかくらいに気にしないようにして、部屋に行ってさっそく宿題をする。
そして、少しすると、
ガチャッ——
家のドアが開く音がして、
五条先生が帰って来たかな?
今日は早いな。
なんて思ってたら、
コンコンッ!!ガチャッ!!
五条「ひなっ!!」
ひな「うわぁぁ!!!」
って、突然勢いよく部屋のドアが開いてびっくりした。
振り返るとすごい顔した五条先生が立ってる。
ひな「お、おかえりなさい。今日は早かったですね……で、な、なんですか?」
五条「お前なに既読スルーしてんだよ」
え?
あ……忘れてた……。
ひな「あ、忘れてました。なんで病院行くんだろーって、とりあえず帰ろうと思って……」
五条「なに考えてんだ!!せめて返事くらいその場で送ってこんか!!さっさと着替えろ。病院行くぞ!」
ひな「え!?ちょ、ちょっと待ってください。だからどうして……」
五条「顔色悪いし怠そうだし、飯もちゃんと食っとらんのだろ!!1週間顔合わせられなかったら、まったくなんで言わないんだよ!!何かあれば言うって藤堂先生との約束はどうした!!」
あぁ、すごく怒ってる……。
きっとあれだ、これはもう夏樹くんの仕業だろうな。
今日食堂で会ったもん。チクったんだろう。
とりあえず、これ以上カミナリを落とされないように……
ひな「すぐに着替えますので、一旦ドア閉めてください……」
着替えを済ませ、病院へ……。
病院に着いたら、さっそく診察室に連れて行かれる。
もう外来は終わってるのに、藤堂先生が待っててくれたみたい。
藤堂「ひなちゃん、こんばんは」
ひな「こ、こんばんは……」
藤堂先生はいつも通り。
ただ、わたしの後ろで腕組んで仁王立ちしてる五条先生が怖い。
背後に感じる圧がすごい……
藤堂「最近どう?」
ひな「毎日楽しく過ごしてます。もうすぐ期末テストもあるので勉強頑張ってます」
藤堂「いや、そうじゃなくて(笑)聞きたいのは体調。体調は最近どうだったの?」
あ、そ、そっちか。
いや、いつもそっちしか聞かれてなかった。
恥ずかしい……
ひな「体調は特に変わりなく……喘息も出てないですし問題ありません」
五条「ひなぁ?お前なんでここに連れて来られてるかわからんか?怒られる前に自分で考えて早く言え」
うぅっ……
もう十分怒ってるのに……
ひな「えっと、そうですね。最近は少し身体がだるい時があります」
藤堂「他には?」
ひな「ほ、他?えっと、まぁだるいからしんどいなと感じます」
藤堂「他は?」
ひな「え?ほ、他?他は、えっと……」
五条「食欲がありません」
げっ……
五条先生声がやばい、めっちゃイライラしてる。
鬼レベル3にはなってる。
藤堂「僕はひなちゃんの口から聞きたいんだけどなー。いつから食欲なかったの?」
藤堂先生も表情からなんだか優しさが抜けた気が……
ひな「一昨日くらい、だったかな?」
五条「少なくとも今週はずっと食欲がありません。昼間はサラダかおにぎり1個、たまにコロッケ1個や唐揚げ3個食べて、なんとなくしっかり食べた感出してました」
……!?
な、なんでそこまでわかったの……
しっかり食べた感じゃなくてしっかり食べたじゃん。
肉はしっかりでしょ……
五条「他にも自分で気になってることはあるだろ?まだ隠すか?」
ひな「え、えっと……」
お腹のこと言わなきゃ……
でも、お腹が変なんて初めてなんだよね……
って、考えてると、
藤堂「ひなちゃん、身体は痩せたのにお腹だけ少し出てるね。どうして?」
と、藤堂先生がコロコロの椅子に座ったままグッと近づいてきて、わたしの腰とお腹を手でサンド。
なんで…………バレてたの……?
この服だとわかっちゃったかな……?
ひな「えっと……その……」
五条「ひなぁっ!!」
ビクッ!!
あぁ……カミナリを落とさせちゃった……
ひな「はい……」
五条「ここまで連れて来てやったんだからちゃんと言え!!だいたいもっと早く自分から言わないといけないことだぞ!?それをこの場に及んで隠そうとするとはどういうことだ!!」
ひな「ごめんなさい……」
藤堂「ひなちゃんさ、僕としたお約束忘れちゃった?」
ひな「いえ、覚えてます……」
藤堂「覚えてたけど守ってくれなかったか。それはちょっとショックだな」
ひな「ごめんなさい……」
さすがに藤堂先生もお怒りのよう。
五条先生みたいに表に出してないけど。
藤堂「じゃあ、今から検査しようか」
ひな「来週の定期健診じゃダメですか……?」
藤堂「本気で言ってる?」
五条「お前本気か?」
うっ……
2人して言わなくても……
そんなに責めないで……
ひな「いえ。なんでもありません。よろしくお願いします……」
藤堂「はい。そしたら聴診からさせてください」
普段優しい人って怒ると余計に怖いよね。
静かに怒りのエネルギーを身に纏ってる感じ。
もう、しばらく藤堂先生の目見れない。
藤堂「はい。次はレントゲンに心電図、MRI撮って、血液検査をするからね」
ひな「そんなにたくさん、今からですか……?」
藤堂「今からです。そしたらこっちに着いて来て」
と言われて、藤堂先生に連行されて検査を受けた。
全部の検査が終わったら2時間近く経ってた。
藤堂「お疲れ様。たくさんして疲れたでしょ?」
いつの間にか優しい藤堂先生に戻ってる。
ひな「疲れました……帰ってゆっくりお風呂に入ります」
五条「はぁ?帰れるわけないだろ」
ひな「え?」
藤堂「ひなちゃん、さすがに今日帰れると思っちゃダメ。約束も守れなかったんだから」
ひな「そ、そうですよね……」
五条「当ったり前だろが」
ひな「あ、でも入院セット持って来てないので取りに帰ります」
五条「持って来てるから問題ない」
げっ、いつの間に用意してたの?
藤堂「そしたら病室行こうか。今回もとりあえず小児科に入ってもらうからね」
ひな「はい……」
ということで、わたしはまた病院に戻って来てしまった。
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