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まさかの朝とまさかの進路

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——翌朝





ひな「スー……スー……」





……ん?



やけに布団の中がぽかぽかしてる。

それに、寝息がすごく鮮明に聞こえてくる。

と思って、ゆっくり目を開けて見ると、



……っ!!



五条先生にしっかりとバックハグされてた。



ななななんでこうなってるの!?



いや、確かにお布団ぴったりくっつけて敷かれてるなとは思ってたけど、わたしちゃんと片方のお布団入ったし。

ってか五条先生の方が後から寝たんだから、今回はわたしのせいじゃない!!



さて、どうしよう……

まだ薄暗いから朝早いよね……

五条先生を起こさずに脱出する……って、



ん?



五条先生が覆い被さってる手が……

わ、わ、わたしの……

む、胸の上に……





ひな「ふぇっ!?」





と、思わず変な声を出しちゃって、





五条「……ん?ひな?どうした??」





五条先生が起きた。





ひな「あ、あ、あの……ごごごっ、五条先生……手、手が……」


五条「ん?手?」





まだ寝ぼけてるのかピンときてなさそうなので、胸の上に置かれた五条先生の手の上に、わたしの手をそっと置いてみると、





五条「えっおっあっわっ!!ご、ごめん!!」





と、急いで体まで離してくれた。





ひな「だ、だ、大丈夫です。き、気にしてませんからっ」





言いながら、心臓がドキドキしすぎて、五条先生に背を向けたまま1ミリの寝返りも打てない……。





五条「昨日飲み過ぎたか……」





という独り言が聞こえた後、





五条「ごめんな、ひな……悪かった。俺、他に何もしてなかったか?」





逆に他になんかされてたの!?





ひな「いえ、大丈夫です。本当に気にしてないです。わたしのどうせすごく小さいですしっ」





……はっ!!

自分もテンパり過ぎてめっちゃ変なこと言った!





ひな「あっ、いやっ、ごめんなさい!最後のは取り消しますっ!!」


五条「取り消さなくても事実だからいいだろ」


ひな「なっ!?ひ、ひどい……」


五条「胸の大きさなんかどうでもいいだろ。そんなこと気にするなよ。それも思春期か?」


ひな「お、女の子だからです……!!」





もう、なんなのっ!

わけわかんない会話になってる。

すっかり目も覚めちゃったしもう起きようと布団から出ようとすると、





五条「待てひな」





と、五条先生に腕を掴まれた。

そして、グッと引き寄せられて、ころんと五条先生の方に転がってしまい、





ドキッ……





五条先生の顔が目の前に……。

ドキドキしすぎて死にそう。





五条「まだ早いからもう少し寝てろ。しっかり寝とかないとしんどくなっちゃうだろ」





ぽんぽんっ……





五条先生はまだ眠たいのか、寝起きだからか、とろんとした目をしてる。

でも瞳の輝きはいつもと変わらなくて……

そんな目で見つめられながら、頭ぽんぽんをされたわたしは……





"トクン"





五条「スー……スー……」





え?

……えぇ?



五条先生もう目閉じて寝てる……。

もしかしてさっきまでの全部寝ぼけてた?



もう、まったく……。

とわたしも目を閉じてみたけど、もちろん目が冴えちゃって二度寝なんてできなかった。










***



「「ひなちゃん、おはよう!」」


ひな「おはようございます」





朝食会場で、黒柱の先生たちと夏樹くんと一緒にご飯を食べた。





藤堂「ひなちゃん、今朝は具合どう?」


ひな「大丈夫です。夜も発作起きませんでした」


藤堂「それならよかった。今日は無理せずにね。何かあったらすぐ言うんだよ?」





と、朝から主治医な藤堂先生。





宇髄「昨日は五条先生に何もされなかったか?」


ひな「え?」





と、朝から謎の質問をしてくる宇髄先生。





五条「宇髄先生、やめてください……」


工藤「昨日は五条先生ベロベロになるまで飲んだからね。お酒強いのに珍しい」





そうだったんだ。

それで今朝あんな状態になってたのかな。

……って、





ひな「昨日の夜そんなに酔ってましたっけ?わたしが喘息出ちゃってなんか酔いが覚めてたような……」


神崎「その後だよ。夜遅くに夜鳴きそば食べた時」


ひな「夜鳴きそば……?」


夏樹「ひなの寝てたんだろ。美味しかったのにもったいない」





ちょっと待って、話についていけてない。





ひな「あのー……さっきから何の話ですか?」


藤堂「あれ?ひなちゃん聞いてなかった?夜みんなで夜鳴きそば食べたんだよ。ひなちゃんは寝ちゃってたみたいだけど。その時、またみんなで少し飲んだんだけどね、もう五条先生がすごくてさ(笑)」


工藤「ずーっとひなちゃんの話ばっかりだったな」


神崎「最後は変なテンションで部屋戻っていったから、ひなちゃん襲ってないか心配だったんだよね(笑)」


ひな「襲うだなんて大丈夫ですよ。さすがにいくら酔っても五条先生は暴力振るったりはしないかと……。叱って手を上げるのはまた別だし、わたしが悪いし……」


夏樹「ひなの、今のそういう意味じゃないぞ?本当に国語は苦手なんだな。襲うっていうのは……」


工藤「あぁー!!夏樹、言うな。教えなくて良いから。ひなちゃんまたパニックになるから」


ひな「……?よくわかんないですけど、それより五条先生……?わたしを置いて夜鳴きそば……?わたしも夜鳴きそば食べたかった」





せっかくこんなところに来れたのに、わたしだって目いっぱい堪能したかった……。

五条先生だけ、他のみんなも、わたしを置いてひどいよ……。





五条「そ、そんな顔するなよ……。ひなは起きててもあんな時間にどうせ食べられないし、昨日は疲れてぐっすりだったろ?」


ひな「ずるい……五条先生だけ。アイスもちょっとしか食べさせてもらえなかったのに……ぴえん」





涙はこぼしてないけど目は潤んじゃう。





五条「ぴ、ぴえんって……。わかったからもうそんな目で見るな。帰りになんか買ってやるから、な?」


ひな「約束ですよ……?」










***



そして、勉強会が終わった帰り道。

サービスエリアで五条先生がソフトクリームを買ってくれた。

もちろん、五条先生と2人で半分こなんだけどね。





ひな「アイスっ!アイスっ!いただきま~す!」





って、五条先生とソフトクリームを食べてると、





五条「なぁ、ひな。昨日の話なんだけど、本気で考えてみないか?医者になること」


ひな「え?」


五条「向いてると思うんだ。頭の回転が良いし、何でも器用にこなすし、人の悲しみや辛さもわかるだろ?ひなみたいな子は、きっといい医者になれるんだけどな」





すごく真剣な顔で、綺麗な瞳で五条先生に見つめられる。

そんな真っ直ぐ見つめられると思わずうんと言ってしまいそう。





ひな「で、でも……」


五条「高校卒業したら、他にやりたいことあるのか?」





やりたいこと……

そんなの考えてなかったけど……





ひな「自分が何をやりたいかとか、何になりたいかとかって考えたことなかったです。ただ、わたしは今の幸せな時間が続けばいいなって。ずっと五条先生と一緒にいれたらいいなって思ってるだけで……」










***



*五条side





……俺と一緒にいたいって、ひなは今どういう意味で言ってるんだ?

ひなももしかして俺のこと……



いや、違う。

ひなは純粋にこんな時間が続いて欲しいだけだ。

あんな地獄の日々に戻りたくないって、そういうことだろ。

ひなは恋も知らない女の子。



早とちりするな俺……



それでも、ひなが一緒にいたいって言ってくれるのはやっぱり嬉しすぎるけどな。

というか、無意識にそんなこと言うなよ。

小悪魔かよ……





五条「俺はずっと一緒にいるぞ。離れるつもりなんてないから安心しろ。でも、卒業して何もしないわけにいかないだろ?俺と結婚して専業主婦でもするか?」


ひな「えっ!けけ、結婚って、な、なに言ってるんですか……っ!///」





とか言いながら、顔真っ赤にして、





はぁ……

ダメだ、可愛すぎる……





五条「ははっ。冗談だ。でもほら、医者になったら俺と一緒に働けるぞ?ずっと一緒にいられるだろ?」


ひな「あ、たしかに。それはそうですね!」





って、単細胞か……。

相変わらずどこか抜けてて、ほどよくおバカだな。





ひな「五条先生も他の先生たちも、お医者さんってみんなかっこいい。病気を治して人を笑顔にできる、先生たちみたいな大人になりたいなとは思うんです。わたしもお医者さんみたいな、そんな素敵な仕事ができたらいいなと思います」


五条「うん、なら決まりだな」


ひな「えっ?き、決まり?」


五条「決まっただろ。ひなは医者目指せ。勉強はよくできてるから、このまま頑張ってノワール医大の推薦狙えばいい」


ひな「わ、わかりました」


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