ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜

はな

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中学3年生

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五条先生のおかげでとても素敵な誕生日を過ごしてから1ヶ月。



わたしは中学3年生になって、元気に過ごしてた。



定期健診での結果も良くて、そのうち毎日の薬も飲まなくて良くなった。

みんなと体育したりはできないし、走るとすぐ怒られるけど、ちょっと走ったくらいで実際はなんともない。

夏樹くんとはクラスが離れたけど、新しいお友達もできて楽しく学校生活を送ってる。



そんな毎日で病気のことなんてすっかり忘れてたのに……










五条「ひな、もう泣くな」


ひな「ヒック……ゔぅ……グスン……ヒック……ケホッ……」





最悪のタイミングでまた体調が悪くなって、喘息も酷くなって、楽しみだった修学旅行に行けなくなった。



2週間くらい前から夜に発作が出るようになって、病院に連れて来られて検査して入院。

夏休みも終わって、修学旅行まではあと1ヶ月というタイミングだったから、なんとかそれまでによくなればって話だったけど、

たった今、五条先生に修学旅行には行けないって言われたところ。





ひな「なんで!少し前までなんともなかったのに!吸入器持っていけば大丈夫でしょ!?グスン、ヒック……」


五条「その場の吸入だけで耐えられないから言ってるんだ」


ひな「そんなの知らない!抜け出しても行くんだから……グスン」


五条「何言ってんだ!抜け出したら承知せんからな!」


ひな「別にいいです!怒られても行く!どうせよく怒られるし!」





そう言って、布団に潜って五条先生に背を向けた。





五条「ひな!」


ひな「グスン……グスン……ヒック……ケホケホッ……グスン……」


五条「ほら、潜ってたらまた苦しくなるから顔出せ」





と、五条先生が布団を引き剥がそうとするけど、こっちだって負けじと布団をギュッと被り続ける。





ひな「嫌!ケホケホッ、もうどっか行って!……グスン」


五条「はぁ……。わかったから、俺が出たらちゃんと顔出して休んどくんだぞ」





と言って、五条先生が部屋から出て行った。





もう嫌……

元気になってたのに……





ひな「ケホケホッ……グスン、ハァハァ……」





はぁ、何でこんなに咳が出るんだこの身体は……





五条先生が出てったあとも、ずっと布団に潜り続けて泣いてたら、いつの間にかそのまま眠ってしまった。










***



~小児科医局~





五条「はぁ~……」


神崎「五条先生、何そのどでかいため息は……(笑)ひなちゃんやっぱり嫌だって??」


五条「はい。もう機嫌悪すぎて、どっか行ってって布団に潜って出てこなくなりました。泣いて興奮するんで、また咳も出てるのに……後で見に行きますけど」


神崎「あらまぁ……ちょっと代わりに行ってみようか?五条先生だとまたそうなるかもだし」


五条「ありがとうございます。その方がいいかもしれません」


神崎「うん、OK。10分くらいしたら一度行ってみる」










***



*神崎side





コンコンコン——


神崎「ひなちゃ~ん」





五条先生の言ったとおり、ひなちゃんは頭まで布団を被ってて、呼んでも反応がない。





神崎「ひなちゃ~ん?お布団苦しいでしょ。とりあえず顔出そっか!」





布団をめくってみると、





ひな「スー……ハァハァ……スー……ハァハァ……」





寝てるけど、呼吸が荒いし顔も赤い。

そっと額に手を当てると、



熱いな……



すぐにナースコールして、





神崎「まこちゃ~ん、ごめん。ひなちゃんとこに氷枕お願い」





と伝え、体温計をひなちゃんの脇に挟む。



ピピッ……



38度7分か。

聴診もするけど、喘鳴が酷い。





コンコンコン——





真菰「おまたせしました」


神崎「ありがとう」


真菰「ひなちゃん、調子悪いですか?」


神崎「うん、ちょっと良くないね。布団に潜ってたせいかもしれないから、少し様子見てから点滴のオーダー入れようかな……。夕食まではこのまま寝かせて様子見ようか」


真菰「わかりました」










***



~小児科医局~





神崎「おつかれ~」


五条「神崎先生、ひなどうでした?」


神崎「布団に潜ったまま寝ちゃってたよ。顔真っ赤にして、熱は38度7分、喘鳴も少し酷くなってた」


五条「そうですか……」


神崎「とりあえず、夕食までは寝かせて様子見でいいと思う。また、次は五条先生行ってあげなよ」


五条「はい。すみません、ありがとうございます」










***



*ひなのside





ごはんが運ばれてきて目を覚ましたら、頭に氷枕が敷いてあった。



五条先生が置いたのかな?

というか熱なんかあったかな?

寝ちゃって全然わかんない……





コンコンコン——





ん?

はっ……!

五条先生……っ。





すぐに布団をかぶって隠れる。





五条「なんで布団に潜るんだよ。出てこんか」





と、呆気なく布団を剥がされてしまった。





五条「ほら、ごはん食べろ。手つけてないだろ」


ひな「いりません……」


五条「しんどいか?」





そう言って、おでこに乗っかる五条先生の手を、





パシッ……





五条「ひな!」


ひな「しんどくありません……」


五条「しんどくないなら食べなさい」


ひな「ご飯は食べたくありません……」


五条「……わかった。また後で来るから、少しでもいいから食べるんだぞ」


ひな「……」










***



——1時間後





コンコンコン——


真菰「ひなちゃ~ん。ごはん食べた?」





あ、まこちゃん……





真菰「食べれなかったね」





手付かずのごはんを見てまこちゃんが言う。





ひな「ごめんなさい……」


真菰「少しだけでも食べてみない?お薬飲めないと点滴になっちゃうから」





点滴……それは嫌だ。





ひな「りんごだけ……」


真菰「うん!じゃあ……りんごとお味噌汁にしよう!」





げっ、まこちゃんがちょっとスパルタになってる。

こんなこと初めてだな。

でもニコニコ笑顔のまこちゃんに言われたら仕方ない……





ひな「はい……」





と、お味噌汁とりんごを食べて、薬を飲んだ。





真菰「お疲れさま!お味噌汁も食べたしえらかったね!後はゆっくり休んでいいからね」










***



*五条side



~小児科医局~





五条「まこちゃん、ひなどうだった?」


真菰「部屋に行った時は何も食べてなくて、いらないって言ってたんですけど、点滴になっちゃうよって言うとお味噌汁とりんごだけなんとか食べてくれて、薬も飲ませました」


神崎「さっすがまこちゃん!」


真菰「でも、ひなちゃん元気ないですね。しばらくは笑顔が戻らない気がします」


神崎「う~ん、そんな感じだよね……。昼間の熱は下がったかな?」


五条「さっきおでこ触った感じ37度5分くらいだったんで、薬も飲ませてますし大丈夫かと。まぁ、手叩かれましたけど」


神崎「あはは……ひなちゃんに嫌われちゃってんじゃん」


五条「修学旅行は可哀想ですが、こっちはひなの身体を心配してるのに……」


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