ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜

はな

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脱走犯

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それから、1週間ほどたったある日……。





真菰「……なちゃん、ひなちゃん……!」


ひな「ん、んん~……まこちゃん?」





時計を見るとまだ朝6時。

いつもごはんが来る8時前に起きるか起こされるかなのに、どうしたんだろ……。





真菰「ごめんね、早くに起こしちゃって。夏樹くん知らないかな?部屋にいないの」





え?夏樹くん?





ひな「ううん、わかんない……」


真菰「そっか。ありがとう。ごはんまでもう1回寝てていいからね。ごめんね」





と言って、まこちゃんは出て行ったけど、なんか目が冴えちゃって二度寝できなかった。

それに、夏樹くんのことも気になる。

そして30分くらいすると、廊下からなにやら騒がしい声が。





夏樹「降ろせよー!」


宇髄「暴れるな、危ないだろうが!」


工藤「黙れ!まだみんな寝てるんだから静かにしろ!!朝っぱらから脱走しやがって!!」





宇髄先生と工藤先生の声だ。

夏樹くん脱走してたの?

それで先生たちに捕まったのかな?



って……、夏樹くんベッドに戻ってきたみたい。










夏樹「だったら早く退院させろよ!俺は元気なんだから!!」


工藤「静かにしろ夏樹!ひなちゃんも明里ちゃんも寝てるだろうが!!」





お、起きてるけど……。



と思ったら、シャッ!とカーテンが開く音がして、





明里「もう起きてますけどー」





あ、明里ちゃんも起きてたの!?





工藤「明里ちゃん、いつもごめんな……。ほら、明里ちゃん起こしちゃっただろ!ひなちゃんはまだ寝てるんだからな!」





いや……

お、起きてるけど……





宇髄「いいか?勝手に部屋抜け出して脱走するやつに退院はさせん。反省してろ」





と言って、先生たちは出て行ってしまった。










明里「夏樹くんのばーぁか!また屋上行ってたの?すぐ見つかるくせに」


夏樹「うるせえ……」





夏樹くん、よく脱走してるんだな……。

って、でもどうやって屋上に行ってるの?



と気になってしまい、気づいたらカーテンを開けてた。





明里「ひ、ひなのちゃん!!」


夏樹「びっくりした~!ひなの起きてたのか?」


ひな「あの……夏樹くんどうやって屋上行ったの……?エレベーター、乗れ……たの……?」





夏樹くんはたぶん145cmくらい。

わたしより高いとはいえ、まだエレベーターには届かないはず……。





夏樹「いや。エレベーターはボタンが届かないから無理だ。だから階段使うんだよ。って言ってもエレベーター横の普通の階段じゃないぜ。それとは反対側のエレベーターの横に鉄の扉がある。あそこを開けると非常階段があるんだ。ちょっと扉は重いけど鍵はかかってない。こっちの階段なら、普段人は通らないからバレずに屋上行けるぞ!3階にある中庭も行ける!」


明里「ひなのちゃんは真似しちゃダメだよ。先生にバレたらちょー怒られるから」


夏樹「バレなきゃいいんだよ。明里も1回屋上連れてってやっただろ!」


ひな「明里ちゃんも行ったことあるの!?」


明里「うん、1回ねっ!その時はバレずに行って帰って来れたの」





と、3人でわいわい話してると、





真菰「おはようー!ってみんな起きてたの!?」





まこちゃんが朝ごはんを持って入ってきたので、みんなですぐに黙った。





明里「夏樹くんに起こされたんだよー」


真菰「そっかそっか。夏樹くん、朝早くに脱走しちゃったからね~」





言いながら、まこちゃんはみんなにごはんを配って部屋を出る。










そして朝ごはんが終わると、今度は体調チェックをしにまこちゃんが来た。

夏樹くんと明里ちゃんの担当は別の看護師さんのようで、姫島さんっていう人が来ていた。





真菰「はい。ひなちゃん、お熱お願いね」





と言って、まこちゃんに体温計をもらう。

最近は自分で挟んで測るようになった。



ピピッ……



と音がして、まこちゃんに渡す。





真菰「36度ちょうどだねー。はい、次血圧測るね!」





血圧測定もだいぶ慣れた。

まだちょっと腕の締め付けとドクドク感は怖いけど……。





真菰「うん。血圧も問題なさそうだね」





と終わったところで、五条先生もきた。

夏樹くんのベッドからは宇髄先生の、明里ちゃんのベッドからは神崎先生の声がしてる。





五条「服捲って」





言われて、胸元の紐を自分でほどいて病衣をめくった。



そう、聴診の時も自分で服をめくれるようになったの。

緊張するし身体の傷見られるのも嫌だけど、なんでもかんでもまこちゃんにやってもらわないで、少しは自分でしなくちゃと思って。





五条「深呼吸して」


ひな「すぅ……はー……すぅ……はー……」


五条「ん。いいぞ。音はだいぶ良くなってきたな。今朝起きるの早かっただろ?昼間寝ないようにな。それから、みんなとお喋りしすぎて疲れないように」





と注意するものの、五条先生はいつもより嬉しそうな顔をしてる。



それから、わたしは体調が良くて発作も起きることなく、大部屋で毎日楽しくおしゃべりして過ごした。










***



~小児科医局~





神崎「ひなちゃん、大部屋に移って調子いいね!2人とも楽しくお喋りして少し笑顔も見せるようになってきた」


五条「はい。最初は不安な面もありましたが、今の様子見てると大部屋に移して正解でした」


工藤「1ヶ月で体重もいい感じに増えてるし、顔色も良くなったな」


宇髄「ひなちゃんが元気になると、五条も顔が穏やかになるしな」


五条「俺はいつも穏やかですけど……」


藤堂「いや、全然違う。ひなちゃんが元気だとすごくうれしそうな顔になるよ?」


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