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第二章 RLS-九つの世界-

41 土精霊を求めての移動1/3

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今俺のいる世界は北欧神話になぞらえて構築されている事は判った。
だが、問題になるのはその中のミズガルズにある他の街がどの様な状態になっているのかだ。
ディーとレーヌと契約できた街には人…亜人も含めてまったく存在しなかった。
それこそ街の中に結界でも張ってあるかの様にネズミ一匹見つけられなかった。
そんな状態であの精霊モドキを見つけられたのは運が良かったのだろう…

そう言えば虫は見たな…あれってなんだったんだろ?
あれだけ何も居ない場所に虫一匹…ちょっと気になる。
あれかな?小さい虫はMob扱いでモンスターとか亜人なんかと違ってステータスを持ってないのかな?
まぁ虫の事はとりあえず今は良いとして…

ディーとレーヌから聞いた限りでは、俺が街に来た時に水の精霊界(ニブルヘイム)にある水の里に繋がっていた穴は、あの壊れた井戸の中1ヶ所だけだったらしい。
元々街中の水が出る場所は全てが水の里に繋がっていたらしく、里から流れ出る綺麗な水を街に供給していたらしいのだが、あの里に繋がっていた所も含めて全ての場所が1度完全に壊されたらしい。
そして色々な場所を確認した結果あの壊れた井戸の穴だけなんとか繋げなおす事が出来たらしい。

あの井戸の中でギリギリ会話が出来ていた連中、実は元々ディー達と同じ水精霊だったそうだ。
契約して無い状態で精霊界の外に出てしまった事で若干本能に引きずられてあの様な精霊モドキみたいな感じになっていたらしい。

そして、話をしてる時にディーとレーヌが泉の中に落ちていた情報素子見つけて持って来てくれた。

その情報素子は開いてみるとこのミズガルズの世界の地図と主要都市の事が記載されていた。
そしてその情報によると、ここミズガルズには1つの島しかないらしい。
サイズは南極大陸程度の島1つ。

って言うかイメージ画像がまんま南極大陸だった。

そしてその周辺の海に相当する場所には陸から少し離れると無限の重力が発生している空間があるらしく、全ての物が水に沈むような場所になっているそうだ。
だから島から外には出られない様になっていると書いてあった…
そして、その辺りの深い海の中にミズガルズの周囲を取り巻く様に大蛇が寝ていると書いてあったが…もしかしたらヨルムンガンドの事?

それと街の説明書きとディーとレーヌが教えてくれた情報からさっきまで居た街の名前が判った。



この地図の中の真ん中辺りの入り江にある『ホバートの街』がどうもそうらしい。
そして地図と共に街の説明があったのだが、ホバートの街は水が豊かな所で街の至る所に精霊が現れる美しい街と書いてあった。

そして他の街の説明も一緒に書いてあった。

ウーズの街
森林資源の豊かな街。
特産品はエルフの彫り物。

ストラーンの街
西の端にあり、海からの強い風が有名。
巨人の住む街。

ロッキーケープの街
側に活火山があり、地下に溶岩の川がある街。
観光地として有名で火の精霊がよく見られる。

トマホークの街
海沿いに細い道しか存在しない僻地にある街。
大陸唯一の監獄のある場所で死者の集まる街とも呼ばれている。

セントメアリーズの街
大陸の東の端にあり日出る都市として有名。
ちなみに温泉が湧いていて保養地としてもよく知られている。

ウィナリアの街
大陸最大級の鉱山街で特にドワーフの多い地域。
採掘される鉱物は多岐にわたり、大陸で使われる地下資源のほぼ全ての産出地。

なんとなくどんな精霊界に繋がってるかが判る気がする。
とりあえずレーヌに言われたのは土の精霊と早く契約して連れて来いだったので、街のイメージを見る限りでは、『ウィナリアの街』が最初の目的地になると思いそこに向かって移動している最中だったりする。

移動を開始するにあたって何かワープ装置みたいな物が無いものか確認したのだが、どうも隕石が落ちた辺りにその装置が在ったらしく、街が破壊された時に一緒に消失したらしい。
とりあえず陸路を走って移動するのはさすがに危険だと思い龍人の姿で空を飛びながら移動していたのだが、俺…ちょっとだけこのミズガルズの世界を舐めていたかもしれない。
元々俺の居た場所は二人の言っていたアースガルズって世界な訳で、そこって北欧神話の設定では神の住む場所なんだよね。
だからそもそも危険な奴…まぁ神には危険な奴がいっぱいだけどそれ以外に関してはそこまで厳しい環境では無いって訳で、ここミズガルズは人が住む場所。地獄とまでは言わないけどけっこう危険な場所だったんだ。

おかげで今俺はワイバーンみたいな奴に追いかけられてる。
サイズ的には俺より確実に大きく、翼を広げた最大幅が俺の翼のほぼ倍。飛んで逃げてるので前後の長さは判らないけど、まぁ俺より大きいのは間違い無い。

俺って確か職業をテイマー(真)にしたから避けられるって事は無いにしてもここまで追いかけられるってのはちょっと意味が分らない。
この世界の生物って全部こんななの?
なんとなくだけど最初に戦ったウサギの鳥坂とさか君を思い出す感じに敵対心を向けてくる。

とりあえず飛んでる間ずっと魔力的な何かを消費しているみたいで自分の視界に写ってるゲージの下の青い奴がどんどん減って行く。
最初観光気分でゆっくり飛んでいた間はMPが減ったそばからすぐに回復していたので、色々変な飛び方とかして確認してみたのだが、どうも飛ぶ速さを変えたり色々軌道を変えたりするたびに少し消費していた感じだった。
そして今現在、全速力に近い感じでワイバーンが近づけない程度に飛び続けている訳で…
このままだとそう遠くないうちに俺は飛べなくなる。

そうならない内に逃げ切るか戦うしか無いんだけど…

チラッと振り向いて見た感じだと口とか噛まれたりしたらかなり痛そうなんだよね。
『お前はワニか?』って聞きたくなっちゃう様な歯がそいつが鳴き声を出してる間見えてる。
そしてその鳴き声って言うのはなんとなくだけど…仲間を呼んでる感じがするんだ。
今一応1匹だけだが、これから増えて行くとしたらちょっとまずい。

だからまずは一当てしてみるしかないだろうな。
装備は一応天叢雲剣(不壊)と鬼神の盾(不壊)と勾玉を装備してるので…そう言えばこの装備で戦った事なかったな…
とりあえず飛んでるから鬼神の衣(不壊)と鬼神の具足(不壊)は身に付けられないとしても、日本の神剣の名前が付いた剣が弱いって事は無いよな。

「何にしても一発やってみなければどんな具合か分からないってね。俺の心の師匠の…誰だっけ?2時…50?さん?なんかそんな名前の人も『やろうと思ったら今すぐやれ!』って言ったもんな♪ってわけで~とりあえず一発ぶち込んでみる!」
ワイバーンとの距離が100mほどしか無かったのでそのまま空中でインメルマンターンをしてそのまま剣で斬りつけた。

そして驚いた。
剣の長さが1.3mほどしか無いはずなのに剣の先30cm位が当たる程度ですり抜けたと思ったらワイバーンが二つに別れて落ちて行った。

さっすが神剣…こんなの俺が持ってて良いのか?

そして途中で鳴き声を出していた事でそれを聞いた仲間が近づいて来ていたらしく目の前に5匹ほどが飛んで来るのが見えた。
まさか一刀で両断出来ると思ってなかったので少しの間驚いていたのだが、元気なワイバーンが5匹も近づいて来るのをボーっと待つ訳にはいかなかったので、近くに見えていた樹の生えてない荒地の様な場所に下りて待ち、順に近づいてくるワイバーンに斬りつけた結果…

どうもこの剣、斬ろうと思う対象だけを剣の先10mほどの範囲で斬れる事が判った。

そして俺の立ってる荒地の周囲100m程度の範囲に体を半分に切られた奴や4分割されたワイバーンが5匹分転がった。
最初に追って来ていた奴の片身は樹の生えてる辺りに落ちていったので必要であればこれから探さなければならないのだが…
もう片身はかなり勢い良く飛んで行ったからもうどこに落ちたか分からない。
まぁでも、なんとなくここにある肉の塊りだけで1週間ぐらいなら十分満足できる程度の肉が確保できる気がする。

とりあえず神剣を使ってワーバーン肉を解体するのもどうかとは思ったが、こっちの世界に送り込まれてそろそろ4時間以上経ってる。
いいかげん腹が減って何度か催促されていたので、不敬を承知で美味そうな肉を切り分けてインベントリに放り込んで行った。
確か…インベントリには時間経過があるってアリエルが言ってたけど…とりあえず腐ったら捨てれば良いよね。

ワイバーンを解体しはじめてそろそろ2時間ほどか?さすがに空腹が限界になりそうだったので、近くの森の中から焚き木として使えそうな燃えそうな木を引っ張ってきて腕力にモノを言わせてイイ感じの長さにへし折り焚き火を点けた。
そしてインベントリに入れておいた肉の塊りを木を剣で削いで作った大型の串に刺して焼くと何とも言えないうまそうな匂いが♡
速攻でかぶりつき咀嚼したところとても美味♡
肉が甘い感じでとってもジューシー♡

とりあえず串をもう2本ほど増やしながら順に肉を出しては串に刺し焼いて食べた。
それにしても半分位生肉状態で食べてる感じがあったんだけど…龍人だから美味く感じたのかな?
そこそこイイ感じに腹も膨れて3大欲求の残り二つが文句を言いだしたのだが…

寝るのはそこらの木の上でも寝れそうだけど…性的な欲求を満たしてくれる相手ってどこに居るんだ?

少しの間俺は途方に暮れていた。
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