上 下
27 / 29

26 入学試験2/2

しおりを挟む
高校の入学試験の前日の夜…京太郎きょうたろうの部屋の弟のベッドを借りて寝る事になった。
一応京太郎の親に今日と明日泊まり込んで勉強を見るって話を京太郎と一緒にしてみた所、すごく喜ばれた。
今回俺達が受ける高校は京太郎の家から歩いて5分。
ここに通う事が出来るなら、通学に掛かる交通費などは一切考慮せずにすむし、途中寄り道などを心配…は、しないかもしれないけど、一応事故とかの心配も他の学校に通うよりはせずにすむ。

おかげでお母さんが、
「もし合格できたら報酬を出しても良いわ。」
とまで言ってくれた。

さすがに友達付き合いして来た京太郎を金儲けに使うのもチョイ外聞が悪い気がしたので断わっておいたが、なんとなくお母さんは『これで合格間違い無し』みたいな感覚を持ってるような気がした。
そして今現在…日付が替わったAM0:15…今日8時間後ぐらいにば試験が始まるのでさすがにそろそろ寝なければならないのだが…
京太郎は友達が泊まりに来ると言う状態に若干興奮状態で寝てくれそうに無かった。

おかげで2:00過ぎ頃まで華莉那かりなの体の素晴らしさと、百花ももか百合花ゆりかさんの体の成長係数に関する考察の討論をさせられてしまった。

こいつ入試の事が不安だった訳じゃ無いのか?

そして朝の5:00チョイ過ぎにベルタイプの目覚まし時計で起された。
俺は2段ベッドの上を使わせてもらったので1回下まで降りてベルを止めなければならないのだが…
京太郎、なんでこんなうるさい状態で寝てられるんだ?

「なぁ京太郎。それうるさいから止めろよ。」





「なぁ!」
ボフッ!
「んあっ…ん?京児きょうじうるせぇぞ…」
ドコン!
こいつベッドを下から蹴りやがった。

っていうか俺のマクラは京太郎の顔にクリーンヒットしたはずなのに…まだ起きれないのか?
ガチャッ
あっ、弟の京児君がドアを開けて入ってきた。

「なぁ兄貴、そろそろ起きる時間なんだろ?あ、新次郎しんじろうさん、おはようっす。」
「あぁ、おはよ。悪いなベッド使わせてもらって。」
「気にしないで下さい。これで兄貴が高校に受かったら俺も1人の部屋になれるんで。」
ちなみに京児君、中学に入る前から少年野球をしていたので対応が体育会系だったりする。
とりあえず鳴り続いていた目覚まし時計のベルを止めてくれたので俺もベッドから出て京太郎を一緒に起した。

「さすがにこの時間は早いなぁ…あぁ~~ああっふぅ…おはよシンジ。」
「兄貴、わざわざ起しに来てやった俺には何もないのか?」
「あぁ?あー…いつもゴクロウ京児。これからも励めよ。」
「ちっ。」
「あぁ?!てめぇ…」
「おまえら今日受験当日だって言うのに余裕だな。」
さすがにまずいと思ったのかお互い襟の部分を持って握り拳を作った状態までしか行動に移さなかったが…
年子の男の兄弟ってこんななのか?

うち…妹でよかったなぁ…ここまで一瞬で殴り合いの喧嘩が始まる生活とかちょっとヤダ。
帰ったら璃子りこをイイ子イイ子してあげようっと♪

そして朝食を頂き京太郎と少し早く試験会場の学校に向かって移動を開始する。
一応徒歩5分の距離とは言いつつも気を付けなければならない。
中学の通学路は京太郎の家とウチの位置取りがちょうど反対になった感じなので特に問題無かったが、これから高校に通う様になったら気を付けなければならないって訳なんだが…

なんか色々記憶を持ってるせいでどうにも悪い方向の思考が頭を過ぎる。

そう言えば俺…記憶を残さない様にして『時間を戻ってみる気になったらクリック(記憶ナシ)』を押したと思うんだが…戻る事になった理由とそれ以外にも再度元の状態に戻っていたって事があったせいでなぜか3年間の記憶がある。
もしかしたら…俺あの時『時間を戻ってみる気になったらクリック(記憶アリ)』の方を押したのだろうか…

でも…あ、そうか…あの俺におきる事が書いてあったサイト…あ、このアドレスだけ記憶から消えてる。
そう言う事なのか?先を見る事が出来るとそれを確認しないと気が治まらなくなってたからそこだけ情報を削除した?

…なんかちょっと変な感じだなぁこれはも
「おい!シンジ!!」
いきなり肩を引っ張られた。

そして目の前10cm位の所をトラックが通り過ぎた。
「えっ?あ…」
体が固まってしまった…今トラックの横に書いてあった運送会社の名前がすぐ目の前を通った…

「お前何考えてたんだ?今のはさすがに危なかったぞ?」
どうも深く考えすぎていたらしく目の前の信号が赤になってるのに気付かなかったらしい…

「なんか…ありがとな。おかげで助かった。」
「まぁいいけどよぉ…お返しとして今日と明日の事頼むぞ!」
イイ笑顔で肩をバンバン叩かれてるけど…
俺の心臓が痛いほど速く動いていた…

まずは初日の国語、理科、社会に関してはなんとかなっただろう。
京太郎も試験問題に解答を書いて持ち帰れる程度には余裕があったみたいだ。
試験が始まる前には華莉那も百花も哲也てつやも、他にも同じ中学から受けに来てる連中全員が揃っていたので特に問題は無かった。
帰る前に勉強会をした5人で集まって少しだけ確認した感じでは全員問題ないはず。

そもそも俺と華莉那に関しては試験内容を元にした勉強をしてきてその試験内容のままの問題が出てるのだから落ち様が無い。

そして次の日の数学と英語も特に問題らしい問題も無く試験が終わった。
とりあえず後は、俺達の合否発表を確認して百合花さんと一緒にお祝いと言う事になる訳だ。

少しだけ重たい荷物を降ろせた気がした。


そして次の日涙声の百合花さんからの電話が来て百合花さんの合格を知った。
そして…彼氏の不合格も教えられた…

どうも百合花さん…彼氏とは試験の勉強をしてる間も距離を取り続けていたらしく、一緒に大学に行く同級生と集まって問題の解答などの確認をしたらしい。
10人位で集まって俺達みたいに勉強会をしたそうだ。
そして1人だけではなくまんべんなく俺の書いた試験問題を別の紙に書いた物を見せつつ教えてもらうと言う体で解答を確認したらしい。
みんな聞かれた事が分らない場合に集まって知恵を出し合う様な事をしていたので、その10人全員が合格したそうな…

「ねぇ…百合花さん、俺さぁ他の人に問題見せるなって言ったよね?なんでまた見せちゃったの?」
『だって…グズッ…自分だけで答えを確認しようとしても判らない所とかあったから…』
「それで回りの人の点数上げちゃって彼氏を置き去りとか…彼どうするの?」
『わかんないよぉ!…一緒に合格発表見に来て一緒に受けた女の子ばっかりが合格して…気付いたら彼居なくなったたんだもん…ねぇ…私どうしたら良いの?』
…それを俺に聞かれても困るんだけど。

『ねぇ…私今日初体験の予定で家に帰らないつもりで出てきたんだけどどうしたら良いのよぉ~!!!』
だから知らんがな…
とりあえず俺達の合格発表が1週間後だから…それまでは俺にもそこまで余裕がある訳じゃ無いし…

「あーとりあえず彼には後期試験を頑張れって言ってあげてください。確か百合花さんの行く大学って後期試験の内容は小論文とかだったはずですから準備しておけば何とかなるでしょ?」
『…そうか!判った!シン君ありがとねっ!!お礼に今度私の処女あげるから楽しみにしておいてね!!!じゃぁね!』
電話がそれで切れた…

後ろの方で色々話をしてる声が聞こえていたから百合花さん一緒に合格した友達の居る所で電話していたんだと思うけど…処女とか俺の名前とか大声で言っちゃってたけど…大丈夫なのか?

とりあえず俺と華莉那と…他オマケの合格発表が一週間後にある。
もしかしたらこっちでも何か変な事が起きるのかなぁ…不安になってきたんだけど…
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性転換タイムマシーン

廣瀬純一
SF
バグで性転換してしまうタイムマシーンの話

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

性転換マッサージ

廣瀬純一
SF
性転換マッサージに通う人々の話

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

戦艦大和、時空往復激闘戦記!(おーぷん2ちゃんねるSS出展)

俊也
SF
1945年4月、敗色濃厚の日本海軍戦艦、大和は残りわずかな艦隊と共に二度と還れぬ最後の決戦に赴く。 だが、その途上、謎の天変地異に巻き込まれ、大和一隻のみが遥かな未来、令和の日本へと転送されてしまい…。 また、おーぷん2ちゃんねるにいわゆるSS形式で投稿したものですので読みづらい面もあるかもですが、お付き合いいただけますと幸いです。 姉妹作「新訳零戦戦記」「信長2030」 共々宜しくお願い致しますm(_ _)m

機動幻想戦機

神無月ナデシコ
SF
リストニア大陸に位置する超大国ヴァルキューレ帝国は人型強襲兵器HARBT(ハービット)の製造に成功し勢力を拡大他国の領土を侵略していった。各国はレジスタンス組織を結成し対抗するも軍事力の差に圧倒され次々と壊滅状態にされていった。 これはその戦火の中で戦う戦士達と友情と愛、そして苦悩と決断の物語である。 神無月ナデシコ新シリーズ始動、美しき戦士達が戦場を駆ける。

とある引きこもりの少女の日常

日暮 雪夜
SF
行動的な引きこもりの少女の日常を描いた(作者の妄想) ジャンルを変更しました 不定期投稿

処理中です...