え~っと…子孫が何か送って来た?

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03 どうする?

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自分の部屋の中でとりあえず電気を点けてベッドに座る。

今家の中には俺だけだと思う。
あのリアルタイムで更新されていた様な今日の日付の所…
なんとなくだけど、あのサイトを知らなかったらあの通りになっていたかもしれない。

家から15分と言う距離のおかげで同じ時間に家を出たら同じタイミングで駅に着く。
そして駅で改札を通って陸橋を通ってホームに移動する時に、いつも通りであれば違う路線の車両が少し前の時間に到着していて電車から出てきた乗客が大挙して移動するのであの手摺の辺りをギリギリで通る。
場合によっては乗客が通り過ぎるまで階段の前で待つ事になる。

だが、すぐにでも俺が乗る電車がホームに入って来るので、椅子に座って通学したいなら自分に向かって来る人を掻き分けて進む必要があるので…

たまにあの辺りで手摺に体を押し付けていた気がする。

人が多い所で破れてポロリしていた状態でホームで待っていれば駅でチカン騒動になるだろうな。

もし、違う時間の電車に乗る場合は…どうなんだ?
俺が1つ遅い電車に乗る時は基本乗り遅れて焦ってる場合が多いので…少し前にホームに行って一番前で待ってる感じか。
だとしたら電車内でチカンに間違われる場合もあるか。

ん~~…

とりあえずパソコンを立ち上げてあのサイトをもう一度見てみる。

05/29(火曜日)
AM06:15 起床。
AM07:38 電車内で女性にチカンと間違われそうになり、○○駅で降りて家に戻る。
AM09:05 保護者から確認の電話が入り再度学校に行く。
PM00:25 あだ名がオナニー次郎からフルチンに変わる。
PM04:58 帰宅。

あだ名…

もう少し何か無いのかよ?
まぁでもあいつらならそれ位の語彙しか無いか…

さてと、今はAM08:49か…今日だけで戻るって判断もどうかと思うけど…
俺、この先少しでも危ない事を書いてあったらもう外に出られないかもしれないな…

俺の目には今、『時間を戻ってみる気になったらクリック』のテキストリンクの上を行ったり来たりするマウスカーソルが見えている。

カーソルを合わせるとブラウザの左下にリンク情報が表示されるが…何か変な感じになってる。
『時間移動…』みたいに表示されてるんだけど…これは本気かなぁ…

考えていたらスマホに電話がかかってきた。
画面の中の時間がAM09:05分になっている。

「はーい…あぁ母さん?……………あぁ判ってるけど………あのさぁ俺も自分から進んで破った訳じゃ無いんだからさぁ………………判ったって。行くから。…………………………は~い、じゃぁ。」

親には俺が学校に行きたく無いから故意にズボンを破ったって考えられているみたいだった。
朝から自分の股間を放り出して楽しむような性癖とか持つ訳が無いよな。

まぁでもあの目の前に座っていたお姉さんの怒った様な恥ずかしそうな顔…


まぁ…アリだな♡


とりあえず小遣いを減らされる危険があるので言う通りにスラックスを穿き替えて学校に行く事にした。
そして…俺は学校に着くまでスマホに表示させたあのサイトの更新をずっとし続けていた。

だって、何かアクションを終えたら気になってしょうがないんだ。

電車に乗って更新。
電車から降りて更新。
駅を出たら更新。
学校に向かって歩いて移動していて信号に引っかかったら更新…

学校に着いて電源を切らなければならなかったんだけど、怖くて電源を落とせなかった。


そしてそんな事をしているとスマホの電池なんてあっという間に無くなる訳で…
昼休憩には友人2人と学食でAランチを食べつつ俺はビクビクしていた。

この学食、在校生の人数に対して席が足りてないので、テーブル占拠とか基本出来ない。
共学なら男と女で隣り合って座るとかちょっとだけ期待できそうなシチュエーションが有りそうだけど、隣にはゴツい体の上級生が普通に座っていて…
3人小さくなりながらコソコソとAランチを食べて急いで学食から出る。
後続の学食を使う奴らに席を譲る為に。

自分達の教室に戻って来て俺はとても疲れている事に気づいた。

食べていて隣の人が食べ終わって席を立つだけで体に力が入り、人がすぐに座ってさらに緊張して…
途中一緒に食べていた友人にあだ名を変えられたけどそんな事はどうでも良かった。



もしかしたら俺何か不幸な目に会うんじゃ無いか?
みたいな事をずっと考えていた。



スマホの充電アダプターは一応カバンに入ってるのだが、それを学校で使っているのを見つかったら奉仕活動とか反省文とか色々とっても大変なのでなんとか授業が終わるまで我慢して急いで家に戻る。

そして帰ってきた時間は…

俺が今パソコンで表示しているあのサイトのタイムライン通りみたいで…


「これってこのままこの状態で過ごして居ても物音がするだけでビクビクする感じだし…勉強とか手に着かないよな。」
正直な所、今日の学校で受けた授業…まったく記憶に残って無かった。

確か国語の時間に先生が黒板をちょっと強く叩いたのを記憶している程度だったりする。
授業中に話をしていたクラスメイトを前に向かせるために黒板を少し強く叩いて目を向けさせた位のはずなんだけど…

俺…明日から本当にまともに生活出来るのかなぁ…

とりあえず電池がカラになっていたスマホは今充電中で一応起動できる状態にはなっているけどまだ残電池容量が5%未満の赤色で表示されている。

学校でずっと使う為にはモバイルバッテリーとか買うしか無いんだけど…でも、朝の3時間程度で使い切る頻度でスマホを弄っていてそれをずっと持ち歩いて周囲で何かおきたらすぐに確認する様な生活を続けるのか?

って言うか時間移動しても俺って同じ感じの生活をしてしまいそうなんだけど…



はぁ~~…俺ってこんなに小心者だったのかぁ…

なんか…やり直した方がまだマシって感じがしだした。



そんな時にパソコンのチャットソフトが勝手に起動した。

ピピピピピピッ♪

ピピピピピピッ♪

ピピピピピピッ♪

呼び出し音が鳴り相手の名前が表示される。
名前が『マリー』、音声のみの通話みたいだ…



俺の心臓がすごい勢いで動き始めた。
えっと…これ出た方が良いよね?



とりあえずマウスカーソルを『通話』に合わせてクリック。

『あ、やっと出てくれた。ねぇおじーちゃん、この通話ってけっこう大変なんだから早く出てよね。まったく。』
声の感じが華莉那かりなが少し幼くなってちょっと鼻にかかった感じに聞こえる。

「あっ、あのっ!!あなたマリーさん?」
『…やだも~♡おじーちゃんにマリーさんとか呼ばれちゃった♡そうだよ♪私がおじーちゃんのひぃひぃひぃ…もうちょっと先の孫のマリーです。って自己紹介してる場合じゃ無いんだって。おじーちゃんなんでまだ戻って無いの?』

何でって言われてもなぁ…
「その…なんでって言うのは説明し難いんだけど…」
どっちで生活しても怖いってのはさすがに恥ずかしくて言えないよな。

『まぁ?おじーちゃんの性格はずっと全部の時間を確認したから知ってるけど、どうせ『俺このままだと引き篭もっちゃうよな~』とか考えてたでしょ?』

…あぁ、そうなる可能性の方が高いのか。
「そこまでは考えて無かったけど…まぁでも…そうなりそうな気がしてる。」
『だったらサックリとその今開いてるブラウザのテキストの所押しちゃってよ。見てるんでしょ?』
2画面の片方にブラウザが開いたままで『時間を戻ってみる気になったらクリック』とテキストリンクが表示されている。

「なぁマリーさん、俺これから先ずっとこんな気分で生きて行くしか無いのか?回りの小さな出来事にビクビクしながら…」
『…あ~…今そんな感じかぁ…まぁでも未来を少しだけしか見えない状態だったらそうなるかもしれないね。じゃぁおじーちゃんに1つだけ教えてあげるね。時間を戻ってやり直すなら、おじーちゃんの見る事が出来る未来って戻った日から今の日付までになるからね。だったらもう少し楽にならない?』

それって3年と半年位の期間が未来視出来るって事か?
「それ…今日見た感じにずっと俺の行動で変わって行くのか?」
『そうだね~一応ある程度大きな出来事があったら変わるけど…ねぇ、おじーちゃん、人って知ってる歴史の中では頑張らないと同じ歴史を選べないけど知らない場合は史実に沿った選択をするって話は知ってるよね?』
「あぁ、確かどこかで読んだ記憶がある。その人が同じ状況に置かれたら同じ選択をするって奴だよな。」
『だから、おじーちゃんには今選択権があります。このまま自分の未来?過去?を更新させて確認しながら生きて行く方法と、キーになる高校受験をやり直す事だけを記憶に残してやり直す方法。どっちが良い?』
マリーがそう言って聞いて来た時にブラウザの中のテキストリンクが2個になった。

『時間を戻ってみる気になったらクリック(記憶アリ)』
『時間を戻ってみる気になったらクリック(記憶ナシ)』

選べるのか…


でも記憶が有って未来の情報がリアルタイムで更新される状態での生活はさっきまで考えていた感じになると思う。
って言うか引き篭もる可能性がとっても高い事が判った。

たぶん今から戻って生活しても、全てが良い事だけじゃないはずだから…必ず今日と同じ様な状況が出てきて同じ様に考えると思う。


だとしたら…


「記憶ナシしか選べ無いだろうな。」
『そんな即決しちゃうおじーちゃんってカッコ良いよ♡』
顔も知らない自称俺の子孫の子にカッコイイって言われた♡

もう行くしか無い?
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