俺が悪魔?それは前の戦いであいつらが勝ったからそう言われているだけだ

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第3章 岡山県2

08 検査と平田と4人の娘達

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ソフィーは大阪にあるけっこう有名らしい高いビルの上層階にあるホテルのラウンジで人と待ち合わせをしていた。

「こんな高層ビルなんてアラスカのアンカレッジには無かったなぁ…」
ソフィーの視線の先には高さ10m近いガラスで壁一面が覆われた大阪の街が一望できる景色が広がっていた。


「ソフィーさん、お久しぶりです」
景色を見ていたら声をかけられた。
振り向くと記憶にある顔の男が少し離れた所から歩いて近づいてきていた。
「あら?なぜあなたがここに居るの?」

あの事故で国家運輸安全委員会の調査員として博之の下に派遣された調査員のマイケル・H・ブロデリックだった。

「今回ソフィーさんにこちらに来ていただいたのが、そちらの都合と合わせて国家運輸安全委員会からの再度の情報聞き取りも兼ねているからです。とりあえず内容的にこんな場所では話せないので部屋へ行きましょう。部屋にはそちらに所属する方達も待っていますよ」
言いたい事を言ってそのまま後ろを向いて歩きだすマイケル。
さすがに国に関係する団体に所属する相手を無視する訳にはいかない為にソフィーは急いで後を追った。

「部屋をわざわざとったのですか?話では早ければ今日中に帰れると聞いていたはずですが」
「こちらの聞き取りに関しては1時間もかかりません。そちらの都合で部屋を押さえていたみたいなので詳細はそちらで確認してください。私はあなたを部屋に案内する役目をさせられているだけなので、詳しくは知らされていません」
ソフィーに特に興味を持ってない様な振る舞いで先行するマイケル。

エレベーターに乗りアッパーフロアと呼ばれるエリアまで移動して廊下を進むと少しばかり豪華な部屋がある辺りまで来た。
「こちらです」
マイケルがドアを開けて先に入る。

ドルフ医師から聞いていたのは少しだけ確認したい事があるといった程度だったはずだが…ソフィーは少しだけ自分の知らない何かが裏で動いているのを感じた。

部屋に入るとベッドが隅に押しやられていて検査機械が壁際に並べられていた。
「これは…何を調べる気ですか、アンドリュー医師?」
そして部屋の中に立っていたのは自分が勤務していた病院で産科医と婦人科医をしていたアンドリュー・ザトロウカルだった。
「私がわざわざここに来ている事で少しは何か気づかないか?ソフィー君」
産科と婦人科の医者のアンドリュー医師がここに居るという事は考えられる内で一番可能性が高いのは…
「あのピルは偽物だったのですか?」
「最初に思うのがソレなのか?ドルフさんは君にどれだけ嫌われているんだ?ハァ…とりあえあず答えておくが、それは無い。君も自分で薬の判別ぐらいできるだろう?私が用意した薬は偽物ではない。間違いなく正規ルートで手に入ったものだ。だが、先週辺りに送られてきた彼の体細胞と回収された精液に関して少しばかり気になる事があった。君も医療の現場に居たのだから自分のバイタルチェックぐらいはしているのではないか?」
話をしながらタブレットPCを差し出してきたアンドリュー医師。

バイタルチェックはしている。…が、少しばかり体温の変化は出ていた。でもそれは薬の効果が日々の体調によって変わる事と季節の変化がもたらしたものと言える程度の物であったはず…
手渡されたタブレットPCを見ると博之から排出された体液とそれ以外の物質が分けて表示してあり、それらの濃度や平均値などがその横に併記してあった。

博之の体液に関するデータには特に大きな異常は見られないが、たぶん自分の体液から検出されたであろう物質が少し気になった。
ピルを服用している事からエストロゲンとプロゲステロンの値が大きく出ているのは問題無いのだが、あるはずの無い分泌物が検出されていた。
ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン。
本来であれば尿に出てくる物質なのだが、なぜか回収機によって博之の精液と一緒に回収されていた。

「私は妊娠しているのですか?」
自分の体が博之とセックスをしている時にどんな状態になっているのかが、それだけで分かる気がして少しばかり頬が熱くなった気がするソフィー。

「一応その可能性が高いと考えている。だが、君も知っている様にピルには排卵を抑える効果がある為に本来であれば妊娠などしない。そちらのホルモン物質の値から見ても薬は確実に効いていると言える。でも君の体が妊娠初期の反応を示した。これは普通にしていて絶対にありえないとは言えないが、そうとう低い確率と言えるだろう」
確かピルを服用していて通常妊娠するのは0.何%と言った確率だったはず。
「それなら…まずいわね…このままだと博之君は高校生で父親って事になってしまう…さすがに三月さんに怒られてしまう…どうしよう…」

「君は何を心配しているのだ?ここで問題になるのは彼の免疫システムじゃないのか?」
アンドリュー医師がため息を吐きつつ正論を投げかけて来た。

「博之君の免疫システムがなぜここで?」
「妊娠している女性の子宮内では胎盤という臓器を介して母親と胎児が繋がっているが、本来であればその胎児は免疫システム上では異物として認識されるはず。でも人類の大昔の先祖の原始哺乳類が何かのウイルスに感染する事で卵生から胎生に変化した。卵から胎児が体内に出てきてもそれを異物として排除しない様な効果があった為に哺乳類は発生したと言われている」
「そう言えば博之君の免疫システムには…」
「そう。彼の体は他者の細胞を生かす事が出来る。それはこちらで培養した細胞でも確認できている。それを考慮すると今の君の体の反応は本当に妊娠した結果なのかどうか、もしかしたら他の結果から似たような反応が出ているのか…それを詳しく調べる為に私はここに派遣された。という訳でこれに君のおしっこを取ってきなさい♪」
とても嬉しそうな顔で紙コップを渡すアンドリュー医師。

この医者はこの反応が患者さんに不評であまり良い医者とのレビューが無かったはずなのに…
なんとなく患者の側の気持ちが感じられたソフィーだったがとりあえずカップを受け取りトイレに行った。




とても嬉しそうな顔で検査をしているアンドリュー医師にソフィーが言い難い拒否感を募らせながら部屋を出て、専用エリアで夜景を見ながら夕食を一人で取っている頃、陽菜の部屋で平田が目を覚ました。



「…んっ?イタタ…毛布ぐらいかけてくれていても罰は当たらないんじゃないか?…なぜ俺が拘束されている?」
平田の目が覚めた時、全裸のまま体が上を向いて寝かされていたおかげで両腕から先が痺れていて拘束されている事に気付くのに少しばかり時間がかかった。
「あら、お目覚めの様ね。ずいぶんとゆっくり寝ていたけど大丈夫なの?何度かスマホが鳴っていたわよ?」
陽菜が答えた。

「チッ…お前らはあまりこの結束バンドの使い方が分かってないみたいだな」
平田はそう言って体を起こし自分の体を目視で確認した。とりあえず体は誰かがきれいにしてくれたらしい。股間がアナルセックスをした後特有の芳ばしい香りを放っておらず、カッピカピにもなっていない。口で処理されたかウェットティッシュできれいに拭ってもらえたようだ。
お嬢様がしてくれていれば嬉しいと思いつつ平田は手首を少し回しながらひねる様に両手を引っ張り結束バンドを引きちぎった。

「えっ?!それって千切れるの?!うそぉ!!」
「待って!平田!やめて!博之さんと約束したでしょ!」
「ヒロリンが大丈夫って言ってたけど…もしかしてヤバい感じ?」
「博之さんが大丈夫って言ってたから大丈夫♡ほら、もう一回アナル使う?私があなたのソコをキレイにしておいたのよぉ~♡」
美咲がスカートをめくり赤いパンティーを見せながら聞いてきた。

そして美咲がきれいにしてくれた事を知り少しだけため息が漏れそうになる平田。
「お前がしてくれたのか、すまんな。だが今は尻は必要ない。それと私は博之様の眷属になったからお前達を害するまねはしないから安心しろ。それと俺が言った、『分かってない』って言うのは無茶苦茶にバンドを締めたら血流が止まってしまい指が死んでしまうからだ。お前らは男連中の事を殺す為に拘束したわけではあるまい?」

「まぁそうね」
陽菜達がお互い視線で会話しながら頷いてる。

「単に無力化したいだけであれば締める強さをうまく調節しなければならない」
「あらそうなの?…ねぇみんなそんな事って知ってた?」
「「「全然」」」
「…じゃぁあいつらってちょっとまずい事になってたりするのかしら?」
「…そうねぇ…もしかしたら何人か指がお亡くなりになってたり?」
「あー凛がやった奴らは一応第一関節の少し根元の辺りを縛る感じにしたから、たぶん大丈夫だと思うけど…」
「凛ってなんでそんな大事な事を言ってくれないの?今日来てる手下君たちが全員親指無くなったら凜のせいだからね?」
「陽菜さんも知識共有してるんだから知ってたでしょ?何言ってるの?」
「知識と実際にやるには大きな違いがあるってゆーのはだれでも知ってる事よね~」
「ね~」
「それに私はずっと博之様に入っていたのであなたは私の記憶を持ってるけど私はあなたの知識はまだ共有してもらってないわ」
「ほらぁ~緑もこう言ってるでしょ?だから凜のせいなの♪」
「…そいつらの指が無くなるのが凜のせいでも別にいいけどね~~そのうちこの体は緑が使う事になるんだから♪」
「あら、そうとは言いきれないわよ?緑は他の人に入るかもしれないわ」
「あのぉ…みんな一応記憶の中だけとは言っても私の知り合いなのでできれば憎まれる様な状態って言うのはイヤなんだけど…」

「なぁ下に居る奴らもさっきの俺みたいに拘束されてるのか?」
いつもの如く3人から4人に増えても話が途切れない娘たちを見ていた平田が我慢できなくなり聞いてきた。
「そうね。そろそろ車に押し込んで…えーっと…5時間ぐらい過ぎてる頃かしら?」
陽菜が指折り数えながら答えたら平田が急いで服を着て地下にダッシュして行った。

「あの人って下の連中をけっこう大事にしてるのね」
「平田は部下にけっこう慕われているのですよ」
緑が少しだけ自慢げに答えていた。

平田が地下階に拘束されていた手下達を解放してそのまま帰らせてから緑を連れて帰って行った。
そしておばあちゃんが博之を迎えに来る為に日和から連絡が入った時に着信音で博之が目覚め、少しだけバタバタしながら準備をして、3人の女の子に見送られておばあちゃんの車に回収されて帰って行った。
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