俺が悪魔?それは前の戦いであいつらが勝ったからそう言われているだけだ

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第2章 岡山県1

01 新しい生活

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俺と日和は岡山県備前市に在るとある限界集落に親父の車で送ってもらった。
関東から高速道路を延々乗り継いで途中休憩も何度もとりつつ大体10時間ちょっと。
移動に使われた車は親父の希望で自分の小遣いを犠牲にしてまで買った国産1BOXの少し大きめの車ではあったが、なかなかに大変な道のりだった。
そして俺と日和を送り届けたら親父と母さんはそのままトンボ返りで戻って行った。

「もしかしたら来年ぐらいに弟か妹が出来るかもしれないな」
「私はできれば弟の方が良いなぁ…ソフィーさんはどっちがいいと思う?」
車を見送りながら何気なく日和に聞いたらなぜかソフィーさんに話が飛んだ。

「えっ?!私ですか?…そうですねぇ…最初は…じゃなくて!子供を授かる事が出来るのであればどっちでもいいと思いますよ」
「そうなんだぁ~♪そう言えばソフィーさんはもうこっちで住む所は決まってるの?」
「一応コーディネーターの人に案内してもらう予定です。場所は確か…えーっと…ここです」
ソフィーさんがジーンズのポケットからスマホを取り出して地図を表示して見せてくれた。

「あっ♪その場所って私の通う事になる中学に近い!しかもお兄ちゃんの通う高校にも近い♡やるなぁ~ソフィーさん♡たまに遊びに行ってもいいかな?」
「そうですね。もう少し落ち着いたら遊びに来てください。歓迎します」
ソフィーさんも建前上の挨拶をうまく使える様になってきてる気がするが…日和はたぶん言質を取った気でいてソフィーさんの所に入り浸るぞ。

一応確認しておくか。
「それでソフィーさんの住む所はどんな感じの建物なの?」
「確かストリートビューで見れたはずです。えっと…」
ソフィーさんがスマホを操作して映像が切り替わった。

かやぶき屋根?…えっ?

「これってその…ここに住むの?これ昔の農家とかの家って言うか…」
「古き良き日本家屋デスね~♡私こんな家に住んでみたかったんデスゥ~♡」
あっ、日和の目から光が消えた。
「ちなみに部屋数は?」
「確かフスマで仕切られていて4部屋だったかな?全部で2000平方スクエアフィートぐらいの広さって聞きました♡ベッドルームも広々快適です~♡」
「2000スクエアーフィートってどれぐらいなのかよく分からないけど…」
「ンーたしーか11で割ったらスクエアメートル?確かそんなかんじだったよ?」
「日和、そのスマホが頑張る時だ。頼む」
「ラジャお兄ちゃん…換算サイトで見たら2000平方フィートは185㎡で…古い畳だと114畳って書いてあるけど…」
「かなりでかいな…たぶん襖で区切っても全部の部屋が20畳以上になる」
「マジ?!(よっし!よっし♪)」
「そんなもったいない事しませーん♡広い部屋で優雅ににっぽん満喫でーす♪」
「(チッ…二人で盛ってる所で一緒に寝るとか無理じゃん…しくった…でもまだ諦める訳には…)」

日和がなんかブツブツ言ってるが…?
「どうした日和?」
「んっ?なんでもないよ」
こいつ取り繕うのだけは一人前なんだよなぁ…

「とりあえずソフィーさん、ここらってやぶ蚊とかがすごいからこの家だと結構大変かもしれませんよ?もっとオシャレなマンションなんかの方が良くない?」
「ふふっ♪日和、アンカレッジの郊外の森の近くに比べたらここらの蚊なんて小物ですよ。まったく問題無いわ」
「そう言えば修学旅行に行く時に森に近づくなってすごく言われた気がするけどあれって熊とかが危険だからって思ってたけど…もしかして違ってたの?」
「ンー…野生動物も危険ですが、森林公園などに行かなければそこまで頻繁に出会う事はありません。一番危険なのは蚊ですモスキートね。顔とか刺されたら10分ぐらいで別人になるよ」

そこまでかよ…

「外国の虫って怖いんだね…私日本に生まれてよかった」
日和の言葉は俺の心の声と一緒だった。

「ほらーみんな荷物を片付けんさいよぉー」
「「「はーい」」」
「ん?ソフィーさんは住む所の確認に行くんじゃないの?」
「私は博之君のサポートが一番のお仕事です。今日はおばあさまのお家に泊まらせて頂けるように三月さんが話をしてくれていまーす♡」
「へーそうなんだぁ~♡」
「二人ともさぁ、この家ってあっちの家みたいに音が漏れない訳じゃないから気を付けてよ?」
「「ナッ?!ナンノコトカナァ?!」」
「ほーらはやくきんさいって!!」
「「「はーい!!」」」
俺とソフィーさんがしどろもどろになって弁解しようとしたらばあちゃんの雷一歩前ぐらいの声が届いた。
「コッソリ聞こえてたみたいだね」
「コッソリだからもう少し優しくしてッテ言ったノ!モウッ!!」
「そういう乳繰り合うのは後でね~~」
「「はーい!!」」


家に入って広い廊下を移動すると風呂場とリビングに近い場所の部屋を俺の部屋として用意してくれていた。
日和は2階の大きな部屋を使うらしい。

ちなみにばあちゃんの家の間取りは1階が6LDKで2階に4部屋。元々じいちゃんがこの辺りの地主で土地だけは結構な広さを持っていたらしく、ずいぶん前の事だけど、話に何度か出ていたサーキットが作られた場所の土地を売ったらけっこうな金額になったそうで、その時にこの家を建てたらしい。

親父はそのおかげで東京の大学に通えたらしく、結果関東圏に家を買いそこそこ裕福な生活が出来る様になったそうだ。
「そう言えばばあちゃん、おじさんとかおばさんって最近戻ってないの?」
確か親父には兄が2人と姉が1人いるって聞いた事があるが実は俺、まだ会った事がない。

「ここ10年ぐらいはみんな戻ってこないねぇ。史郎しろうはどこか海外に住んでるみたいで喜三郎きざぶろうは北海道に家を建てたって言ってたから去年かな?私が会いに行ったよ。紗那絵さなえは今どこに居るんだかねぇ?まったく音沙汰が無いんよねぇ」
「おばあちゃん一人でこんなおっきな家に住んでて寂しくないの?」
話を聞いていた日和もその辺りが気になったらしい。
「少し寂しい時もあるけど今はほら、どこででも顔を見ながら会話とか出来る様になったからねぇ~そこまで気にならない感じかねぇ?10年ぐらい前はけっこう寂しかったんだけどねぇ」
チャーミングな笑顔でそんな事を言ってるばあちゃん。

そう言えばばあちゃんとはタブレットを使って映像を見ながら電話する事がけっこうあったな。

「なぁばあちゃん、もしかしてここってネットワークが届いてたりするの?」
とんでもない田舎なんで絶対ないと思ってたけどあの映像を送れるって事はもしかしたら…?
「ここはねぇ、少し山奥の車の走る所になんか電線がいっぱい繋がってるからそのおかげでテレビ電話が使えるみたいだよ」
テレビ電話…まぁそう言えなくもないか。
「そしたら…ちょっとばあちゃんのテレビ電話のマシンとか見てもイイ?」
「そりゃぁいいけど…あんた博之、もしかしたらここでもとんでもない所に入り込む気じゃないだろうねぇ?」
「トンデモナイトコ…ロ?」
しまった…親父に聞いてるなこれ。
「あんた少し前にコンピューター使ってなんかすけべぇな絵をいっぱい見てとんでもないお金を取られそうになったらしいじゃない。そんな事したらダメよ?」
ばあちゃんチラチラとソフィーさんを見ながらそんな事を言ってきた。
「あーそれは…示談になったって言うか、元々勘違いだったって言うか…ちょっとばあちゃんこっち来て!」
「ちょっと博之、そんなに強く引っ張ったらいけんよーばあちゃんもそろそろ足にがたが来てるんじゃけん」
「なんなら抱っこして運んでやるからこっち来てッて!」
「そんなはずかしい事はそふぃーさんと自分の部屋でしんさい!ばあちゃんで遊んだらいかんよ!」
「そうじゃないんだってば!ソフィーさんもそこで顔を赤くしてないでよ!」
「イエソノ…ハイ♡」
どうもばあちゃんには俺とソフィーさんの関係は完全に過不足無く伝わってるみたいだ。

日和も知ってるみたいだし、母さんも俺とソフィーさんが毎日セックスしてる事を知ってたって事かぁ…次顔合わせるのが恥ずかしいんだけど…ハァー
それにしても俺とソフィーさんの事がばあちゃんにまでばれてるなら、もう俺とソフィーさんは内縁の関係と言っても良いのではないだろうか?

俺まだ高校2年生なんだけど…
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