俺が悪魔?それは前の戦いであいつらが勝ったからそう言われているだけだ

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第1章 アラスカ

09 セシリアとソフィーと俺の帰国の話

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セシリアさんが実家に戻って行って3日経った。
確か頑張って次の日には帰るとか言ってたはずなんだけど…
「セシリアさん何か事故にでも遭ってなければいいけど…」
「とりあえず昨日の午後一に車で戻るって連絡が来ていたみたいなんだけどその後の連絡がまだ来てないみたいなの。もしかしたらどこかでスタックしてるのかもしれないわ」
「そう言えばセシリアさんの実家ってどこらなの?」
「確か…そう言えばどこだったかしら?私そこらの話はまったく聞いて無かったわね。もし気になるなら確認してくるけど…?」
「あーそこまではいいかな?こっちって個人情報の扱いがけっこううるさいって聞いたから無理しなくてもいいよ」
「そう言ってもらったら助かるわ。もし確認するならボブに少しだけ無茶させないといけないから出来ればしたくなかったの」
ソフィーさんはボブに何をさせようと思ったんだろ?

って言うかボブ…どんな人なんだろ?なんか話を聞いてる限りでは防犯カメラの映像とか勝手に消去したり他人の個人情報を探ったりできるみたいだけど…なんかあまり近づかない方が良い感じの人だったり?

そしてセシリアさんが実家から戻らないまま俺の退院の日が決まった。
突然消息を絶ったセシリアさんの代りに部屋の掃除をしてくれるそこそこおばあちゃんな人が部屋に出入りするようになったけど、その人は全く俺と話をしてくれないし、なんなら目も合わせてくれない。
何も言わずに部屋に入ってきて勝手に掃除してそのままお辞儀だけして出て行く。
正直な所、早めに退院できそうなので俺はホッとしている。

今、部屋の中には俺とソフィーさんと母さんだけが居る。
「一応5日後にここを退院してアメリカの航空会社が特別に用意してくれたチャーター機ってので戻る事になったわ。それとソフィーさんが後のケアの為に日本に同行してくれる事になったらしいわ。ソフィーさんこれから大変だと思いますがよろしくお願いしますね」
「こちらこそ。私は日本の事はそこまで詳しい訳ではありませんので現地で色々協力していただく事になると思いますがよろしくお願いします」

ソフィーさんが日本に一緒に来てくれる事になったらしい♡
母さんが日本に連絡をしてくるって部屋を出て行ったのでちょっとソフィーさんを呼んで聞いてみた。
「あっちに戻ってもエッチな事ってしてもらえるの?」
「…博之様はそのような事ばかり気にかけて、まったく…まぁその…私もできればもっと愛し合いたいって思ってますので?その…機会がある様であればと願っています♡」
ソフィーさんの軽いキスが俺の唇に♡
「部屋はどうなるのかなぁ~いっしょに住めるといいなぁ~♡」

俺の頭の中はソフィーさんとの甘い新婚生活というか同棲生活にまっしぐら状態になっていた。


が、そんな訳がないよね。

一応母さんが数日かけて日本の親戚一同に連絡を取って俺と日和が生活できる場を確認してきてくれた。
日本に戻ると一度今まで住んでいた家に戻ってから転校手続きとか色々して、俺の新しい生活の場所に行く事になるらしい。
「日和と俺とばあちゃんが一緒に住む事になるの?でもばあちゃん家って確か…」
「そうなのよ。ド田舎だから近くにマンションとかアパートなんてものは無いのよね。だから…ソフィーさんにはおばあちゃんの家にホームステイしてもらう事になるか、ちょっと遠くなるけど町に近い辺りに家を借りてもらうかどうかして車で遠距離通勤?してもらう事になると思うのよ」
ちなみにばあちゃんの家って言うのは岡山県の国際サーキットのある辺りのちょっとだけ海に近い辺り。
「あの辺りに高校ってあったっけ?」
「確かお父さんの通った高校が…山道を自転車で20分ぐらい行ったらそこからバスで30分から40分とかって言ってたかしら?」
「1時間に1本ぐらいしかないバスに乗るのが前提で1時間ぐらいかかる場所の高校…俺通えるかなぁ…って言うか日和の通う中学もあるの?」
「一応そっちは同じバス停から20分ぐらいの所に在るみたいよ」
「それでも合計40分ぐらいか…日和ってそんな所に通うことになるって分かってるの?」
「まだ詳しくは言ってないけど分かってくれるわよ」
母さんはなんとなく日和の事を理解してない気がする。

まぁでもばあちゃんもまだ60前ぐらいの年だったはずなんで車の運転ぐらいは出来ると思うから俺の体がまともに動く様になるまでは通学を手伝ってもらえると考えておくか。



時はさかのぼり…セシリアが車で実家を出た直後。
愛車のF-150で音楽を流しながらハイウェイを走っていたら3台の車が後ろからとんでもない速さで近づいてきた。
「なぁに?また公道レースやってるバカがいるの?ったく…」
低速路側に移動して通り過ぎるのを待っていると2台の車が追い越して行き自分の車と同じ様な速さで移動し始めた。
セシリアは前を走り始めた車2台に意識を向けつつ車を運転しているといきなり後ろから衝撃がきた。
「ちょっ?!なにやってんのよ?!去年買ったばかりなのに!…って…これ…ちょっとまずいかも」
バックミラーを見ると自分のピックアップトラックにバンパーガードをぴったりと押し付けながらライトを消して走る車がいるのが見えた。それと中で運転している人の顔は見えない。何かマスクの様なものを被っている気がする。

ハンドルを握る手にじっとりと汗がにじむ。
状況を見る限り確実にプロ…もしくはそれに近い連中の仕業。これから起こる事にかかる金額的にも車の性能的に見てもそこらのギャングに出来るような事じゃない気がする。
「まさか…情報を流してるのがばれた?」
携帯電話を持ちボブのアドレスに発信。

数秒呼び出し音が鳴って通話がつながった。
「ちょっとボブ!今襲撃受けてるんだけどどうにかして!!場所は「ちょっと待て、とりあえず話を聞け」…なに?」

セシリアは自分が想定できる状況の中で最悪に近い状態になっているのを感じた。
「俺は今銃を向けられている。そしてお前の車の場所はここのモニターに映ってる。お前の車の前には2台の…黒とシルバーの普通車が走ってるな。そして後ろからピックアップトラックが…これは当たってるのか?」
「そうね。今ダッジ・ラムか何かに押されてて止まれない感じよ」
「間違いないみたいだな。いいか、絶対に敵対的な事をするな。こいつらはお前を殺すのをためらわない」

思った通りの状況らしくため息しか出ないセシリア。

「もしかして後ろに居るのはドルフ先生かしら?」
「こんばんは。今からそちらの車に2人ほど行くから運転席を降りて後ろの車に乗れ」
ボブじゃない男の声が聞こえた。

「なぁに?もしかしたら私…楽しまれちゃう感じなのかしら?今日はそんなに良い下着をつけてないわよ?」
「車を右に寄せて止めろ」
セシリアの言葉には全く反応しない男。
「分かったわ。ちょっと携帯電話切ってもいいかしら?」
「そのまま繋げたまま車を寄せろ」
「…チッ。まったくせっかちさんなんだから…分かったわ」
セシリアは右手でスマホを持っていたのを左手に持ち替えてバッグの中に入っているもう一つの携帯電話を引っ張り出そうとしていた。
「そのような小細工は止めた方が良かったのだが、残念だよ。君の体をもう楽しめなくなってしまったようだ」
セシリアは電話口の男が自分を殺す許可を出したのを感じた。

そして男の声が聞こえた一瞬後に自分の運転する車のフロントガラスに5.56mm NATO弾が24発とリアガラスに同弾丸が12発撃ち込まれた。




モニターに映る3種類のライブ映像に映るF-150のフロントガラスに赤い色彩が一瞬見えた。
そして前の車両から撮られた2つの映像のF-150は左の路側帯を超えて斜面を落ちて行くのが映って画面から消えた。
後ろから撮られた映像のF-150は横転した状態で映り続けていた。

「セシリアの体と持ち物をすべて回収して車だけを残して撤退しろ」
『OK Boss.』
男の声が聞こえて映っていた映像が全部消えた。

5秒ほどの静寂の後ボブが声を発した。
「ドルフさん、これでいいんですか?」
「あぁ、君がこれからもここで仕事を続けたいなら今の事は忘れろ。それと君が裏で勝手にやっていた事はこちらで確認できているので今後は控えるようにな。では」
ドルフ医師はそう言って警備室のドアを開けて出て行った。
「…セシリアすまん」
ボブの声が小さく室内に響いた。




ドルフ医師の個室
「これで博之君のデータを持つのは我々だけになった。ソフィー君はそろそろサインする気になったかね?」
室内にはソフィーが少し前に渡された契約書を手に持って椅子に静かに座っていた。
テーブルの上に置かれたタブレット端末には映像を見るアプリケーションが立ち上がったままになっていた。
「セシリアは外部の製薬会社に雇われてスパイ行為をしていたのですか?」
「詳しくは調査中だがボブ君と一緒に雇われていたみたいだな。医務局の医師全員と関係を持って色々情報を吸い上げていたらしい。私も何度か誘われたが…どうも彼女は薬学の知識があったようだね。彼女との行為の後でどうにも違和感があったので血液検査をしてみたんだが少量の睡眠導入剤の使用が認められた」
ドルフ医師が言う事が全て本当ならばこれは刑事事件。
でもここに博之君の細胞の話がかかわってくると…
「表に出せないって訳なんですね」
「頭の回転の速い女性は私の好みだよ。今度飲みにでも行くかい?」
「遠慮させていただきます。私は一人に尽くすタイプなもので」
「ふふふ…君ほどの女性が彼にぞっこんになるか…もしかしたら彼の遺伝子には何か面白い情報が隠されているかもしれないね」
今ついさっき同僚を殺した男が目の前でとても楽しそうに笑っていた。

ソフィーは全身に冷や汗が流れるのを感じながら契約書を握りしめていた。
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