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第1章 アラスカ
03 生還者
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テレビの中でニュースキャスターが早口で事故の説明をしている。
先日の飛行機事故の現場で生存者が一人発見されたらしい。
「そう言えばこの事故って桜井さんの息子さんの通っていた学校の修学旅行の子達が乗ってたんだよね?」
「そのはずだよ。確か田中さんと佐々木さんの子も一緒に行ってたって聞いたわ」
「あらー大変ねぇ…そう言えば昨日田舎からみかん送ってきたんだけど食べる?」
「あらいいわねぇ♪うちもそろそろ栗とか送ってくれる頃のはずなんだけど今年は冷夏だったから来ないかもだわ」
「あらあらそうなの?いつもおすそ分けいただいて今年も楽しみにしてたんだけど残念だわ~」
パートの奥様方が昼休憩に一つのテレビの前に陣取って井戸端会議をしていた。
ここはとある会社にある社員食堂兼休憩室。広さは200人ぐらいが同時に座って食事ができる程度。
室内には壁に沿って3×2列ほど50インチぐらいの壁掛けテレビが設置されていて同じ内容の映像が表示されている。
廊下に近いテレビの辺りに10人ぐらい集まって食事をしながら談笑しているグループが居た。
「そう言えばお前の部署って桜井さん居たよな。その後どんな感じなの?」
「なんかもう見てらんないよ。すげぇ落ち込んじゃっててさぁ…」
「まぁでもしょうがないよなぁ…一人息子だったんだろ?確か田中さんと佐々木さんって人は休んで現地に行ったって聞いたけど桜井さん行かなかったんだな」
「桜井さん新規の企画が立ち上がったばかりだから抜けられなかったみたいでな。一応家族が現地に行ってるって言ってたけど…」
男達がため息吐きながら話していると廊下を走る人の気配が感じられた。
「あっ!木下!!すぐに部屋に戻ってくれ!他にも黒田と広田を見かけたら戻るように言ってくれ!」
「はい」
木下と呼ばれた男は食べていた弁当を口に入るだけ詰め込んで席を立った。
「すまんちょっと急ぎらしいから俺は行くな。もし黒田と広田を見かけたら戻るように伝えてやってくれ」
「おぉ」「了解」「片付けは俺らがやっておくから行け」
「悪い。じゃぁ!」
木下が最後にお茶を飲み干して走って食堂を出て行った。
「もしかしたら桜井さんの息子さんが生きていたとか?」
「…まさかなぁ?」
「あの映像を見た感じだとさすがに無理だと思うが…」
「確か相当広い範囲に破片が散らばってたよなぁ」
「けっこうな高さで爆発したとかって専門家が言ってたみたいだけど…」
「まぁ生きてたら奇跡だな」
「「確かに」」
同期3人が話していたら周囲の人も会話に混ざってきた。
「そう言えばあんな感じの急いだ感じって…あの時を思い出すなぁ…」
「そう言えばあの大震災の時も社内を結構走り回ってたやつらが居たなぁ…」
「そう言えば聞きました?東南海地震の確率の話」
「なんか2050年辺りで100%とかって話だろ?聞いた聞いた。いまだ明日発生する地震も予知できない気象庁の言う事なんか信用できるか。それに少し前には10年以内に80%とか言ってたんだぞ」
「まぁあいつらって言う事がコロコロと変わりますからねぇ~」
…男達の井戸端会議も続いていた。
木下が黒田と広田がよく居る場所を回って戻ると部屋の中にはすでに黒田と広田が戻っていた。
「あれっ?島田さんは?黒田は今日はどこに居たの?」
「チームの部屋でミーティングしてたら島田さんが走ってきて部屋にすぐに戻れって言ってまた走って行ったよ」
「私もう少しゆっくり食べたかったのにデザート食べられなかったんだけど」
広田が不満げな顔で机の脚をコンコン蹴りながら文句を言っていた。
「二人も島田さんに言われてすぐにここに来たのか。なるほど、入れ違いになったんだな」
「えっ?なぁに??わざわざ私を探してくれたのぉ~?」
おもちゃを見つけた猫がもし人ならこんな顔をするかも?って感じの笑みを浮かべながら広田が木下にそっと近付いた。
そして顔をしかめて詰められた距離を同じだけ取る木下。
「広田ウザイ」
「も~木下ってツンデレ要素多めなんだから~♡今度おっぱい揉ませてあげるからねっ♡」
「お前この間俺にも同じ事言ってたけど揉ませた事って一回でもあるのか?」
「は?あんた達に揉ませてもこの体の価値が下がるだけでなんもイイ事がないじゃん。揉ませるわけないでしょ?」
「舐めてんなぁ…」
「お前はそのうち痛い目に遭え!」
いつも通りの会話が繰り広げられていた部屋に桜井と島田が入ってきた。
「悪いな休憩時間に集まてもらって」
「いえ、何かあったんでしょ?」
「ニュース見たんだけどもしかしたら…?」
「あぁ、どうもうちの息子が発見されたらしい」
「「おぉ~~!!」」
「マジ?!スゴイジャン!!桜井さんの息子さんめっちゃ豪運!」
「俺、ニュース見た限りでは絶対無理って思ってたから毎日言葉を選んで話してたからホントに助かった~♪」
桜井父が両手を上げて皆が静かになるのを待つ。
「そんな訳でな、俺はすぐにでも現地に行かなければならなくなった」
「どうも会社の上からこんな状態で仕事をさせているのがニュースで流れでもしたら外聞的に良くないって判断があったらしい」
桜井父の発言に続いて島田が言葉を続ける。
「そんな訳でチーフの島田に俺の仕事を引き継いでもらってすぐにでも現地に行く事になる。皆には少し負担をかける事になるがすまんな」
桜井父頭を下げた。
「そんなの気にしなくても大丈夫ですよ!あとはこっちで何とかしますんで桜井さんは急いで帰ってください!」
「そうですよ!悪いと思うのなら何かイイお土産を頼みますね♡」
「そう言えば桜井さんのお土産ってアレだからあまり期待できないんっすよねぇ~(笑)」
「確かにちょっとアレだからなぁ(笑)」
「そう言わんでくれ。一応土産を買う時は妻にも一緒に見てもらうから」
ついさっきまで桜井父の目の下に色濃く隈があったが、今は元気ハツラツって感じで3徹ぐらいなら軽くこなしてしまいそうな笑顔を見せている。
その後少しの間仕事の引継ぎをして桜井父は帰社した。
ピッ ピッ ピッ ピッ ピッ
規則正しく発振音が聞こえてくる。
「オゥ♡セシリアが言ってた通りね♪すごいわ♡」
なんとなく女性の驚いた様な声が聞こえた気がする…
って言うか何か下半身がもぞもぞする…?
ピッ ピッ ピッ ピッ ピッ
また規則正しく発振音が聞こえてきた。
「ソフィー、私こんなのまだ食べた事ないんだけど…チョットだけ舐めてもイイかな?」
「セシリアあんたさぁ…あのカメラに自分が意識の無い患者にフェラってる姿が映ってもイイの?」
「そんなのボブにチョットオッパイ舐めさせたらすぐに消してくれるわ♡」
「あんたボブとそんなことしてるの?」
「チョットダケヨ♡」
なんとなく女性が二人…俺の近くで話をしてる感じがするが…
もしかしたら…ボブ君とエッチな事をする相談か?
こっちは一人で寂しく寝てるっていうのに盛ってる連中ってどこにでもいるんだなぁ…
俺もこう…女と気軽にエッチな事とかしたいよなぁ~♡
「ワ~オこの子すごいじゃん♡勃起したら12インチぐらいあるよ?!太さも…ヤバッ♡こんなの口に入れたら顎が外れそう♡」
「…本当にすごいわね…ちょっとくらいなら大丈夫かしら?って言うか本当にボブに言ったらカメラの映像消してもらえるの?」
「大丈夫だよ~前に何回かドルフ先生と個室でやってるのを消してもらったから間違いないわ♡」
「あんたアンドリュー先生ともしてるって噂があったけど…まさか?」
「まぁうちの医者はほとんど食ったわ♡今度誰がどんなだったか教えてあげるわ♡」
「まぁ…そのうちね♡」
…あっ…オチンチン気持ちいいかも♡
俺は何度も寝てる様な起きてる様な感覚を繰り返していた。
ピッ ピッ ピッ ピッ ピッ
また規則正しく発振音が聞こえてきた。
さすがにうるさい…俺のスマホってこんな音したっけ?
なんとなく目を開けたら白い天井が見えた。
はて?
ここは…?
あれっ?…体が動かない…?
首から少し先辺りまではなんとなく感じられるんだけど…そこから先の感覚が全く無い。
自分の体が自分の意志でまったく動かせない事をボヤっとした感じの頭で感じていたら部屋に何人か人が入ってくるのを感じた。
「おー外人さんだ…」
ん?もしかして俺…マスクみたいなのを着けられてる?
自分の声が少しくぐもって聞こえた。
「聞こえているか?」
おんやぁ…?
「聞こえてるけど…なんであんた副音声みたいなしゃべり方してんの?」
俺が話しかけたらおっさん一人の女性を見ながら手招きした。
「ソフィー、君は日本語が扱えたな。翻訳を頼めるか?」
「任せてください」
日本語で話してるのに日本語の翻訳を彼女に頼む?このおっさんは何を言ってるんだ??
「少しばかり意識の混濁が認められる様だが…」
小さく聞こえていた英語っぽい声がだんだん聞こえなくなってきた。
「おっさんのしゃべってる言葉はちゃんと聞こえてるよ。翻訳とか必要無いよ」
医者っぽいおっさんと一緒に入ってきた女二人のうちの一人が驚いた感じの顔で小声でおっさんにしゃべりかけた。
あっ、美人…とまでは言えないかもだけどすごい体の女の人が俺の近くに顔を寄せてきた♡
なんかこう…イイ匂いがする気がする♡
「私はソフィーデス。話は聞こえる?」
「聞こえるよ。ソフィーさんどうも」
俺が応えたらソフィーさんは医者に向いて話しだした。
「私の日本語はそのまま聞こえている感じです。もしかしたら英語も日本語の様に聞こえているのかもしれません」
「そう言えばそんな症例の患者の話を昔どこかの報告書で見た事があったなぁ…頭の検査もした方がよさそうだな」
「どこまで彼に説明したらいいですか?」
「そうだな…今はまだ何も検査してないから詳しくは説明しなくてもいいだろう。日本のハイスクールの学生なら知らない単語だらけでこの会話もたぶん理解できないはずだ」
医者らしきおっさんはそう言って俺をチラッと見てそのまま部屋から出て行った。
「ねぇねぇソフィー♡私も紹介してよ♡」
もう一人の女の看護師さんがソフィーさんに話しかけてるけど…なんか聞いた事のある声だなぁ…?
「紹介とか…まぁ一緒にこの子の担当になるんだから紹介は必要か…ハァ」
「博之君。この子と私があなたがここを退院する日までお世話をすることになったわ。よろしくね」
「あっはい。どうも。桜井 博之です。よろしくお願いします」
「私はもう名前を教えたわね。この子はセシリア」
「ハァ~イ♡セシリアよっ♡仲良くしてねっ♡」
あっ…もしかしたらボブ君とエッチな事をしてる子…だった…かな?
あれっ?どっちの子がボブ君と付き合ってる…?
もしかしたら俺が寝てる間に聞いた声で何かこう勝手にストーリーを作ってしまった感じだったり…?
「そうだ、俺、体がなんかまったく動かせないんだけどなんで?」
さっきから気になっていた事を聞いてみた。
「「…」」
二人とも急にお互い顔を見て静かになったけど…?
「今は何も考えずにゆっくり休んで。体が動かせないのは少し前から体に痛み止めを使ってるからなの。少しだけ麻酔の効果もあるから体が動かせないだけだから安心していいわ」
ソフィーさんがお穏やかな微笑みで説明しながら頭をなでてくれた。
「博之君って何も覚えてないの?君…私の顔を持ってさぁ…ポッ♡もう忘れられないのよぉ~♡早く元気になってねっ♡」
もう一人の女性…セシリアさんだったかな?彼女が俺の足の辺りをなでなでしつつ潤んだ目で俺を見てる感じだけど…?
「ほらセシリア。そんな所をいじってないで早く処理しなさい。まったく…」
「大丈夫よ~この位置からはカメラに映らないから安心していいわ~♡」
「あんたはそんな事ばかり…まったく…」
どうもセシリアさんは俺の体のあまり触ってはいけない所を触っていたらしい?
…まったく触られた感じがしないんだが?!
なんてもったいない事を…外人女性にオチンチンを撫でられるとかいくら払ったらしてもらえると思ってるんだ!
俺の体よ!!
はぁ…早く良くなってくれないかなぁ…
っていうか田中と佐々木はどこに行ったんだ?
先日の飛行機事故の現場で生存者が一人発見されたらしい。
「そう言えばこの事故って桜井さんの息子さんの通っていた学校の修学旅行の子達が乗ってたんだよね?」
「そのはずだよ。確か田中さんと佐々木さんの子も一緒に行ってたって聞いたわ」
「あらー大変ねぇ…そう言えば昨日田舎からみかん送ってきたんだけど食べる?」
「あらいいわねぇ♪うちもそろそろ栗とか送ってくれる頃のはずなんだけど今年は冷夏だったから来ないかもだわ」
「あらあらそうなの?いつもおすそ分けいただいて今年も楽しみにしてたんだけど残念だわ~」
パートの奥様方が昼休憩に一つのテレビの前に陣取って井戸端会議をしていた。
ここはとある会社にある社員食堂兼休憩室。広さは200人ぐらいが同時に座って食事ができる程度。
室内には壁に沿って3×2列ほど50インチぐらいの壁掛けテレビが設置されていて同じ内容の映像が表示されている。
廊下に近いテレビの辺りに10人ぐらい集まって食事をしながら談笑しているグループが居た。
「そう言えばお前の部署って桜井さん居たよな。その後どんな感じなの?」
「なんかもう見てらんないよ。すげぇ落ち込んじゃっててさぁ…」
「まぁでもしょうがないよなぁ…一人息子だったんだろ?確か田中さんと佐々木さんって人は休んで現地に行ったって聞いたけど桜井さん行かなかったんだな」
「桜井さん新規の企画が立ち上がったばかりだから抜けられなかったみたいでな。一応家族が現地に行ってるって言ってたけど…」
男達がため息吐きながら話していると廊下を走る人の気配が感じられた。
「あっ!木下!!すぐに部屋に戻ってくれ!他にも黒田と広田を見かけたら戻るように言ってくれ!」
「はい」
木下と呼ばれた男は食べていた弁当を口に入るだけ詰め込んで席を立った。
「すまんちょっと急ぎらしいから俺は行くな。もし黒田と広田を見かけたら戻るように伝えてやってくれ」
「おぉ」「了解」「片付けは俺らがやっておくから行け」
「悪い。じゃぁ!」
木下が最後にお茶を飲み干して走って食堂を出て行った。
「もしかしたら桜井さんの息子さんが生きていたとか?」
「…まさかなぁ?」
「あの映像を見た感じだとさすがに無理だと思うが…」
「確か相当広い範囲に破片が散らばってたよなぁ」
「けっこうな高さで爆発したとかって専門家が言ってたみたいだけど…」
「まぁ生きてたら奇跡だな」
「「確かに」」
同期3人が話していたら周囲の人も会話に混ざってきた。
「そう言えばあんな感じの急いだ感じって…あの時を思い出すなぁ…」
「そう言えばあの大震災の時も社内を結構走り回ってたやつらが居たなぁ…」
「そう言えば聞きました?東南海地震の確率の話」
「なんか2050年辺りで100%とかって話だろ?聞いた聞いた。いまだ明日発生する地震も予知できない気象庁の言う事なんか信用できるか。それに少し前には10年以内に80%とか言ってたんだぞ」
「まぁあいつらって言う事がコロコロと変わりますからねぇ~」
…男達の井戸端会議も続いていた。
木下が黒田と広田がよく居る場所を回って戻ると部屋の中にはすでに黒田と広田が戻っていた。
「あれっ?島田さんは?黒田は今日はどこに居たの?」
「チームの部屋でミーティングしてたら島田さんが走ってきて部屋にすぐに戻れって言ってまた走って行ったよ」
「私もう少しゆっくり食べたかったのにデザート食べられなかったんだけど」
広田が不満げな顔で机の脚をコンコン蹴りながら文句を言っていた。
「二人も島田さんに言われてすぐにここに来たのか。なるほど、入れ違いになったんだな」
「えっ?なぁに??わざわざ私を探してくれたのぉ~?」
おもちゃを見つけた猫がもし人ならこんな顔をするかも?って感じの笑みを浮かべながら広田が木下にそっと近付いた。
そして顔をしかめて詰められた距離を同じだけ取る木下。
「広田ウザイ」
「も~木下ってツンデレ要素多めなんだから~♡今度おっぱい揉ませてあげるからねっ♡」
「お前この間俺にも同じ事言ってたけど揉ませた事って一回でもあるのか?」
「は?あんた達に揉ませてもこの体の価値が下がるだけでなんもイイ事がないじゃん。揉ませるわけないでしょ?」
「舐めてんなぁ…」
「お前はそのうち痛い目に遭え!」
いつも通りの会話が繰り広げられていた部屋に桜井と島田が入ってきた。
「悪いな休憩時間に集まてもらって」
「いえ、何かあったんでしょ?」
「ニュース見たんだけどもしかしたら…?」
「あぁ、どうもうちの息子が発見されたらしい」
「「おぉ~~!!」」
「マジ?!スゴイジャン!!桜井さんの息子さんめっちゃ豪運!」
「俺、ニュース見た限りでは絶対無理って思ってたから毎日言葉を選んで話してたからホントに助かった~♪」
桜井父が両手を上げて皆が静かになるのを待つ。
「そんな訳でな、俺はすぐにでも現地に行かなければならなくなった」
「どうも会社の上からこんな状態で仕事をさせているのがニュースで流れでもしたら外聞的に良くないって判断があったらしい」
桜井父の発言に続いて島田が言葉を続ける。
「そんな訳でチーフの島田に俺の仕事を引き継いでもらってすぐにでも現地に行く事になる。皆には少し負担をかける事になるがすまんな」
桜井父頭を下げた。
「そんなの気にしなくても大丈夫ですよ!あとはこっちで何とかしますんで桜井さんは急いで帰ってください!」
「そうですよ!悪いと思うのなら何かイイお土産を頼みますね♡」
「そう言えば桜井さんのお土産ってアレだからあまり期待できないんっすよねぇ~(笑)」
「確かにちょっとアレだからなぁ(笑)」
「そう言わんでくれ。一応土産を買う時は妻にも一緒に見てもらうから」
ついさっきまで桜井父の目の下に色濃く隈があったが、今は元気ハツラツって感じで3徹ぐらいなら軽くこなしてしまいそうな笑顔を見せている。
その後少しの間仕事の引継ぎをして桜井父は帰社した。
ピッ ピッ ピッ ピッ ピッ
規則正しく発振音が聞こえてくる。
「オゥ♡セシリアが言ってた通りね♪すごいわ♡」
なんとなく女性の驚いた様な声が聞こえた気がする…
って言うか何か下半身がもぞもぞする…?
ピッ ピッ ピッ ピッ ピッ
また規則正しく発振音が聞こえてきた。
「ソフィー、私こんなのまだ食べた事ないんだけど…チョットだけ舐めてもイイかな?」
「セシリアあんたさぁ…あのカメラに自分が意識の無い患者にフェラってる姿が映ってもイイの?」
「そんなのボブにチョットオッパイ舐めさせたらすぐに消してくれるわ♡」
「あんたボブとそんなことしてるの?」
「チョットダケヨ♡」
なんとなく女性が二人…俺の近くで話をしてる感じがするが…
もしかしたら…ボブ君とエッチな事をする相談か?
こっちは一人で寂しく寝てるっていうのに盛ってる連中ってどこにでもいるんだなぁ…
俺もこう…女と気軽にエッチな事とかしたいよなぁ~♡
「ワ~オこの子すごいじゃん♡勃起したら12インチぐらいあるよ?!太さも…ヤバッ♡こんなの口に入れたら顎が外れそう♡」
「…本当にすごいわね…ちょっとくらいなら大丈夫かしら?って言うか本当にボブに言ったらカメラの映像消してもらえるの?」
「大丈夫だよ~前に何回かドルフ先生と個室でやってるのを消してもらったから間違いないわ♡」
「あんたアンドリュー先生ともしてるって噂があったけど…まさか?」
「まぁうちの医者はほとんど食ったわ♡今度誰がどんなだったか教えてあげるわ♡」
「まぁ…そのうちね♡」
…あっ…オチンチン気持ちいいかも♡
俺は何度も寝てる様な起きてる様な感覚を繰り返していた。
ピッ ピッ ピッ ピッ ピッ
また規則正しく発振音が聞こえてきた。
さすがにうるさい…俺のスマホってこんな音したっけ?
なんとなく目を開けたら白い天井が見えた。
はて?
ここは…?
あれっ?…体が動かない…?
首から少し先辺りまではなんとなく感じられるんだけど…そこから先の感覚が全く無い。
自分の体が自分の意志でまったく動かせない事をボヤっとした感じの頭で感じていたら部屋に何人か人が入ってくるのを感じた。
「おー外人さんだ…」
ん?もしかして俺…マスクみたいなのを着けられてる?
自分の声が少しくぐもって聞こえた。
「聞こえているか?」
おんやぁ…?
「聞こえてるけど…なんであんた副音声みたいなしゃべり方してんの?」
俺が話しかけたらおっさん一人の女性を見ながら手招きした。
「ソフィー、君は日本語が扱えたな。翻訳を頼めるか?」
「任せてください」
日本語で話してるのに日本語の翻訳を彼女に頼む?このおっさんは何を言ってるんだ??
「少しばかり意識の混濁が認められる様だが…」
小さく聞こえていた英語っぽい声がだんだん聞こえなくなってきた。
「おっさんのしゃべってる言葉はちゃんと聞こえてるよ。翻訳とか必要無いよ」
医者っぽいおっさんと一緒に入ってきた女二人のうちの一人が驚いた感じの顔で小声でおっさんにしゃべりかけた。
あっ、美人…とまでは言えないかもだけどすごい体の女の人が俺の近くに顔を寄せてきた♡
なんかこう…イイ匂いがする気がする♡
「私はソフィーデス。話は聞こえる?」
「聞こえるよ。ソフィーさんどうも」
俺が応えたらソフィーさんは医者に向いて話しだした。
「私の日本語はそのまま聞こえている感じです。もしかしたら英語も日本語の様に聞こえているのかもしれません」
「そう言えばそんな症例の患者の話を昔どこかの報告書で見た事があったなぁ…頭の検査もした方がよさそうだな」
「どこまで彼に説明したらいいですか?」
「そうだな…今はまだ何も検査してないから詳しくは説明しなくてもいいだろう。日本のハイスクールの学生なら知らない単語だらけでこの会話もたぶん理解できないはずだ」
医者らしきおっさんはそう言って俺をチラッと見てそのまま部屋から出て行った。
「ねぇねぇソフィー♡私も紹介してよ♡」
もう一人の女の看護師さんがソフィーさんに話しかけてるけど…なんか聞いた事のある声だなぁ…?
「紹介とか…まぁ一緒にこの子の担当になるんだから紹介は必要か…ハァ」
「博之君。この子と私があなたがここを退院する日までお世話をすることになったわ。よろしくね」
「あっはい。どうも。桜井 博之です。よろしくお願いします」
「私はもう名前を教えたわね。この子はセシリア」
「ハァ~イ♡セシリアよっ♡仲良くしてねっ♡」
あっ…もしかしたらボブ君とエッチな事をしてる子…だった…かな?
あれっ?どっちの子がボブ君と付き合ってる…?
もしかしたら俺が寝てる間に聞いた声で何かこう勝手にストーリーを作ってしまった感じだったり…?
「そうだ、俺、体がなんかまったく動かせないんだけどなんで?」
さっきから気になっていた事を聞いてみた。
「「…」」
二人とも急にお互い顔を見て静かになったけど…?
「今は何も考えずにゆっくり休んで。体が動かせないのは少し前から体に痛み止めを使ってるからなの。少しだけ麻酔の効果もあるから体が動かせないだけだから安心していいわ」
ソフィーさんがお穏やかな微笑みで説明しながら頭をなでてくれた。
「博之君って何も覚えてないの?君…私の顔を持ってさぁ…ポッ♡もう忘れられないのよぉ~♡早く元気になってねっ♡」
もう一人の女性…セシリアさんだったかな?彼女が俺の足の辺りをなでなでしつつ潤んだ目で俺を見てる感じだけど…?
「ほらセシリア。そんな所をいじってないで早く処理しなさい。まったく…」
「大丈夫よ~この位置からはカメラに映らないから安心していいわ~♡」
「あんたはそんな事ばかり…まったく…」
どうもセシリアさんは俺の体のあまり触ってはいけない所を触っていたらしい?
…まったく触られた感じがしないんだが?!
なんてもったいない事を…外人女性にオチンチンを撫でられるとかいくら払ったらしてもらえると思ってるんだ!
俺の体よ!!
はぁ…早く良くなってくれないかなぁ…
っていうか田中と佐々木はどこに行ったんだ?
0
1人で見てたら誤字とかありそうです。
もしよければ感想辺りでも使って報告していただければ助かります。
誤字報告だけなら感想に上げずにそのまま消去する事も可能なので、よろしくお願いします。
もしよければ感想辺りでも使って報告していただければ助かります。
誤字報告だけなら感想に上げずにそのまま消去する事も可能なので、よろしくお願いします。
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